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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦艦ナデシコ
  1423話

 高杉の暴走とも呼べるような告白の日から、数日。
 その間、俺と神楽坂、そしてエリナの間にある空気は微妙に緊張したものだったが、それでも特に致命的なまでの破綻は存在しないままに日々は進んでいた。
 だが……敵地と呼べるべき場所に侵入していながら、どこかのほほんとした日々は、一本の通信で終わりを告げる。

『アクセル代表!』

 通信をしてきたのは白鳥で、その様子は非常に切迫している。
 映像モニタに映し出されている白鳥の顔は厳しく引き締まっており、何か洒落にならない出来事が起きたのは明らかだ。
 そうなれば当然その通信を聞いた俺達も真剣に話を聞く必要があった。
 白鳥の切羽詰まった声が聞こえたのだろう。ゲキガンガーの設定資料集を読んでいたヤマダも、本を持ってこちらの方へと近寄ってくる。
 エリナ、神楽坂、近衛、桜咲といった者達もこっちへと近づいてきた。

「どうした? 何かあったのは間違いないらしいが」
『……はい。草壁中将から先程通達がありました。木連は五日後に地球へ向けて侵攻を開始すると』
「それは、どういう立場でだ? いや、お前の顔を見る限りだと、討伐軍側じゃないのは明らかだが」

 可能性としては、賊軍の友軍としてという可能性と、第3勢力という可能性がある。
 賊軍としては木連の協力は是非とも得たいだろう。
 どこからともなく――多分木連からだろうが――相転移エンジンを入手して独自に相転移エンジン搭載艦を作ったのはいいが、虎の子だろうそれが月ドックの攻防であっさりと鹵獲されてしまった。
 ルリと同じ能力を持っている奴がいるのは脅威だが、それだけを頼りにしても戦いで勝てる筈もなく、結果としてネルガル……いや、サワガサキも賊軍にいるんだし、ネルガルアカツキ派とでもよぶべきか、ともあれアカツキ達に鹵獲されている。
 更に月ではナデシコ級が次々と作られているのだから、戦力的には賊軍に勝ち目は薄い……それどころか、シャドウミラーが討伐軍に協力している関係上どうしたって賊軍に勝ち目はない。
 そうなると、賊軍が頼れるのは木連だけとなり……木連もサワガサキ達や連合軍はともかく、前々から手を組んでいたクリムゾングループを見殺しには出来ないだろう。
 ただ、純粋に木連の立場として考えれば、足手纏いでしかない賊軍は自分達とは別の勢力とするのが一番理に適っている訳で……

『賊軍に協力する、と』

 だが、白鳥の口から出たのは最悪の選択肢だった。
 いや、俺達にとって最悪の選択肢ではなく、木連に……延いては草壁にとって最悪の選択肢だ。
 恐らくクリムゾングループとの関係を切るに切れない状態なんだろうが、それにしたってこの選択は最悪以外の何ものでもないだろう。
 もしかして木連が得ていた物資とかは、クリムゾングループから得ていたのか?
 まぁ、シャドウミラーの宝とも言えるキブツがあるならまだしも、ここで資源を得る方法と言ったら木星の周辺にある小惑星帯から得るくらいしかない。
 ……ああ、いや。木星の大気からヘリウムとかは回収出来るか。
 ともあれ、それを含めて木連の資源が乏しいのは事実だ。
 その資源の足りない部分をクリムゾングループから受け取っていたとすれば?
 どうやって木連に資源を渡していたのかというのは、チューリップの存在を考えれば悩む必要もないだろう。人間を転移させる事は不可能だが、物質の類は全く問題なく転移出来るというのは、これまでの実績が示しているのだから。
 俺達シャドウミラーが木連と取引をしているのは、あくまでも食料だけだ。
 もしシャドウミラーと資源の取引を行っていれば……そう考えれば、話は分からないでもないが、今更だろう。

「それで、お前達はどうするつもりなんだ? 以前から何度も言っていたと思うが、これから草壁が向かおうとしているのは破滅への道だぞ?」
『……分かっています。正直、今でも草壁中将に反旗を翻すというのはいい思いはしません。ですが……木連そのものがアクセル代表が言うように破滅へと向かっているのであれば、それを止める必要があるでしょう』
「よく言った」

 これまで、何だかんだと明確に言葉には出さなかった言葉を、白鳥は今口にした。
 勿論俺もそれを許容してきてはいたのだが。
 俺達に言わされて反乱を……革命を実行するのではなく、あくまでも自分達の意思で革命を起こす事が重要なのだ。

「それで、人数はどうなっている? まさか、お前達3人だけでやるという訳にはいかないだろ?」
『……はい。どうしたって手がたりません。私や源八朗が率いている優人部隊の者達にも声を掛けるつもりですが、草壁中将を慕っている者も多い以上、そう簡単に戦力を確保出来ません。そこで、アクセル代表にお願いがあるのですが』
「何だ? こっちも木連で騒動が起きるのなら色々とやっておきたい事はあるんだ。それが何なのかは言えないが……」

 その言葉に、白鳥は寧ろ納得の表情を浮かべる。
 俺達だけで木連を倒すのはそう難しい話ではない。だが、それを知った上で白鳥達を焚きつけてきたのには相応の理由があると、そう理解した為だろう。

『それを承知の上でのお願いです。このままだと、シャドウミラーにとってもあまり面白くない展開になりますので、そちらにとっても利益はあるかと』
「へぇ」

 白鳥がここまで言うのであれば、恐らくブラフという訳ではなく、本当に何らかの意味があるのだろう。
 それを理解しただけに、興味深い気持ちを抱く。
 現状で何を俺達に願うのか、と。
 戦力を貸して欲しいと言ってくるのか? それはありかもしれないが、白鳥達も出来ればこの革命は自分達の力だけでどうにかしたいと考えている筈だが……

『元一朗に、会って欲しいのです』
「へぇ」

 俺の口から数秒前と同じ言葉が出る。
 何故なら、それ程に白鳥の口から出た言葉は予想外だったからだ。
 月臣元一朗。白鳥や秋山と同じく、優人部隊の幹部格の1人だ。
 何でも三羽鴉と呼ばれているとか何とか聞いた覚えがある。
 だが……白鳥や秋山と違って深く物事を考えず、感情で突っ走る事が多い。
 それは、俺達が初めて木連に来た時、いきなり殴りかかってきたのを見れば明らかだろう。
 その件もあって、俺から見れば典型的にヤマダと似ている性格という印象が強いのだが。
 そもそも月臣が本気で俺に殴りかかってきても、俺に取っては子猫がじゃれている程度の……いや、もしくはそれ以下の脅威しかない。
 勿論月臣がいきなり殴りかかってきた件は、エザリアがしっかりと交渉の武器として使ったらしいが。
 ……まぁ、交渉をしにやってきた、それも相手の組織で一番偉い相手に殴りかかったのだから、実際に被害はなくてもそれだけで大きな取引材料にはなるよな。

「何でだ?」

 何故月臣に会って欲しいと、そう言ってきたのかを尋ねると、白鳥は少しだけ沈黙した後で口を開く。

『優人部隊の中には派閥……というのは少し大袈裟ですが、誰を慕っているのかというのがあります。私や源八朗、三郎太といった具合に。その中には当然元一朗を慕っている者もおり、もし現状のままで私達が行動を起こした場合、その者達は元一朗に味方をし、優人部隊同士で争う事にもなりかねません。それは、シャドウミラーとしても歓迎すべき事ではないのでは?』
「まぁ、そうだな」

 優人部隊というのは、今回の革命において白鳥達の核となる部隊だ。
 精鋭揃いだけあって、一人一人の能力も高い。
 ……まぁ、その優人部隊の最上位に位置するのが草壁なのだが。
 それでも優人部隊の者達にとっては、最上位にいて他の部隊の指揮もしている草壁より、自分達の直接の上司を慕うのは当たり前な訳で……
 そして負けん気の強い月臣には一定の支持者がいるんだろう。
 これは、あのグリューノを慕っている部下が何だかんだと多かった事からも明らかだ。
 強気一辺倒なだけでは意味がないだろ、月臣は典型的な木連の人間として部下の面倒見もいいんだろう。
 そうなれば、当然慕う者も出てくる。

『ここで元一朗をこちらに引き込めば、優人部隊は草壁中将を止める為に一致団結して当たれます。草壁中将が率いている部隊は他に幾つもありますので、出来れば優人部隊は一つに纏まって戦いたいと思います』
「……それを俺達が引き受ける利益は?」

 俺個人としてはその頼みを引き受けてもいいと思っている。だが、今の俺の立場はシャドウミラー代表だ。
 少しでもこちらに利益をもたらすように動く義務がある。
 まぁ、それと同様に相手から毟り取り過ぎると恨まれるので、その辺の見極めもしないといけないんだが。

『私達の動きが失敗すれば、シャドウミラーにとっても痛いのでは? そもそも、それが目的で木連までやって来たのでしょう?』
「まぁ、それは事実だな。けど正直なところを言わせて貰えば、シャドウミラーがその気になれば木連を制圧するのは難しくない。それどころか、木連そのものを消滅させる事すら可能だろう」
『……』

 俺の言葉に白鳥と秋山、高杉がそれぞれ厳しい表情を浮かべる。
 実際、本気でそれをやるつもりならそれ程難しい話ではない。
 フレイヤ辺りを使えば、都市艦とかは一発で消滅するだろうし。

「おいっ、アクセル! それはちょ……」

 何かを言おうとしたヤマダだったが、エリナに鎮圧される。一応、仮にもヤマダは軍事訓練を受けてきた男なんだが……ネルガル会長秘書、恐るべし。
 神楽坂、桜咲、近衛の3人は特に何か行動を起こしてはいない。
 まぁ、少しだけ俺を責めるような視線が向けられてるが……その程度で終わってるんだから、まだマシだろう。
 シャドウミラーの一員としての自覚があるからこその行動といったところか。

「それで? どんな利益がある?」
『……アクセル代表は何を希望しているのですか? それを教えてくれないとこちらとしてもそれに対応出来ませんが?』

 なるほど、そう来るか。まさか遠回しに聞いてくるじゃなくて、真っ正直に聞いてくるとは思わなかった。
 けど、そうなればこっちとしても話が早い。

「お前達が行動を起こせば、当然草壁も行動を起こすな? その時にまず草壁が確保するのは何だと思う?」
『それは……やはり戦力では? 自分で言うのもなんですが、優人部隊というのは木連の最精鋭です。そんな私達を相手にする以上は草壁中将も戦力を確保する必要があります』
「正解だ。それに関しては俺も異論がない。さて、問題だ。その戦力は当然戦えば消耗する。それは、木連の軍人同士であっても……いや、だからこそと言うべきか、お互いに消耗していくだろう。すると、当然消耗した戦力を新たに生み出す必要がある」

 ここまで言うと、向こうも俺が何を言いたいのか理解したのだろう。視線を鋭くしてくる。

『そう言えば……以前にも虫型戦闘機の生産プラントを要望してましたね』
「正確には違うが……まぁ、そうだな」

 以前……あの笠の男が俺を襲撃した件で草壁に俺達が要求したのは、カトンボ、ヤンマ、チューリップの生産プラントだった。
 だが草壁がこちらに渡してもいいと言ってきたのは、白鳥が口にした虫型戦闘機……バッタの生産プラント。
 俺達にとってバッタはもう十分に確保していたし、そもそも個体としての能力がメギロートよりも圧倒的に低いから、結局バッタの生産プラントは拒否し、最終的に地球との会談という選択をした。
 ……今考えてみれば、恐らくあの時点で草壁はクリムゾングループを始めとした賊軍との間でこの計画を練っていたんだろうな。
 これ程の騒動だ。一朝一夕でどうにか出来る訳がないだろうし。

「正直に言おう。俺達が欲するのはカトンボ、ヤンマ、チューリップの生産プラントだ。それぞれ……そうだな5基ずつくらいは欲しいところだ。バッタの生産プラントもついでに幾つか貰っておきたいところだが」
『そんな!』

 木連に生産プラントがどれくらいあるのかというのは、以前基地に侵入した事で既に判明している。
 勿論実験艦の生産プラントの類が載っていなかったのを考えれば、全てが判明している訳ではない。
 恐らく公には隠されている生産プラントというのも存在しているのだろう。
 それこそ、今回みたいに反乱が起きた時の為とかの対処として。
 それでも、相当数の生産プラントの位置は把握している。
 ちなみにバッタの生産プラントを入れたのは……まぁ、戦闘用の無人機としてのバッタは特に意味がないけど、小さければある程度使えるだろうという思いがあり、同時に整備とかの補助要員としてもある程度使えるかもしれないという思いがあるからだ。

「勿論ただで寄越せとは言わない。内乱が始まったら、俺達が生産プラントを確保する。その中から、俺が言った分だけを報酬として渡して貰いたい。……お前達も、いらないところに戦力を使うよりは、戦力を集中して使った方がいいだろう?」

 その言葉に白鳥は少し悩んだが……やがて頷く。
 友人を思う心って素晴らしいなと思う一時だった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1208 
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