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魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士

作者:如月ユウ
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7話 巴マミの心の在処

 
前書き
エミルはマミを励まそうと彼女の家に戻る
彼女は驚きながらもエミルを家に招き入れ、魔法少女になった理由と過去を語る 

 
マミは誰もいなくなった部屋に一人座っていた。

「私のせいで鹿目さんと美樹さんの迷惑をかけてたのね…」

自分がしてきた行動に後悔をしていた。

「鹿目さんが魔法少女になってくれるって言ってはしゃいでいたら魔女に負けそうになった」

「暁美さんの言う通りだわ。私、エミル君がいなかったら…」

「このことで私から離れてしまったら…」

ピンポーンとチャイムが鳴る。
誰だろうこんな時間に?
玄関に行き扉を開けると

「ど、どうも」

エミル君がいた。








マミは紅茶を淹れてテーブルに置いた。

「ごめんなさい紅茶だけで」

「こんな時間に来た僕が悪いんですから」

エミルは紅茶を飲む。

「エミル君もしかして忘れ物をしたの?」

「え、えっと…」

エミルはマミが心配で来ただけで何を話すか考えていなかった。

「巴先輩が心配だったんです…」

とりあえずマミが心配だと伝える。

「心配?」

「は、はい。先輩、明美さんに散々言われましたので…」

「えぇ…」

「僕、暁美さんに反論出来なくて悔しくて…」

「…」

マミは黙ってしまう。

「先輩?」

「ねぇエミル君…」

「エミル君はなんで契約したの?」

「契約?」

「何か願い事があったの?」

エミルはきょとんとする。
彼の場合、体内にあるラタトスクの力を解放するだけで願いなんてなかった。

「さっき言いましたけどラタトスクの契約は願いを叶える代わりに契約するのではなく、力を貰う代わりに契約するんです。」

「じゃあ、願い事がなくて契約したの?」

「はい」

再び黙ってしまう。

「エミル君…私ね…生きたくて契約したの。」

「生きたくて?」

「昔、交通事故に遭って両親は死んだの」

驚きを隠せなかった。
親がいないのは夜遅くまで働いていたのかと思っていたが家族が亡くなっているなんて思わなかった。

「私も助からない状態だった。そこにキュウべぇがやって来て、生きていって願って魔法少女になったの」

「じゃあ今まで…」

「ううん、私にもパートナーはいたわ。けどお互いの考えが合わなくて別れたわ。それからはずっと一人…」

「(巴先輩…昔の僕と同じだ。友達がいなくて一人で抱えて…)」

マミの気持ちが痛いほどわかる。
リヒターと出会うまで友達がいなくずっと独りだった。家にいても叔父と叔母がよく思われていなく毎日が苦痛だった。

「先輩…巴先輩は一人じゃありません。僕、鹿目さんや美樹さん、暁美さんにテネブラエ。みんな先輩の友達です」

「けどそれは学校にいるときの話でしょ?魔法少女として戦うときは誰もいない…」

「なら僕も一緒に戦います!」

マミはビクンと身体が動く。

「先輩の気持ちはわかります。僕も昔は一人ぼっちでしたから…だから僕が先輩の側にいます。先輩を一人ぼっちにはさせません」














「ほんとうに?」

マミが顔をあげると涙を溜めていた。

「ほんとうに私の側にいてくれるの?」

「はい」

「私と一緒に戦ってくれるの?」

「はい」

手をついてふらふらとまるで迷子になった子供が親を見つけたようにエミルのもとへ行く。

「私はもう一人ぼっちじゃないの?」

「僕がいます」

エミルに抱き付いた。まるで見捨てられないように強く…強く

「辛かった…お父さんとお母さんがいなくなって…」

「はい」

「寂しかった…ずっと一人で…」

「はい…」

「鹿目さん達が私から離れるのかと思っていたら心が痛くなって…」

「はい…」

「もし離れてしまったら死んじゃおうかなって思って…」

「先輩…」

「エミル君は…私の側から離れない?」

「側にいます」

その言葉を聞いた瞬間、もう我慢出来なかった。

「ずっと一人で戦って…頼れる人がいなくて…怖かった…こわかったよぉぉぉぉ…」

「うえぇぇぇぇぇぇん!!!」

マミは今まで溜めていたものを全て吐き出す。
私は独りじゃない、彼が私の側に居てくれる。
つらいことがあっても支えてくれる。それがどれだけ安心出来るか。

エミルは抱き締めて何も言わず頭を撫でる。







「ごめんねエミル君…服汚しちゃって…」

「大丈夫ですよ、これぐらい」

エミルの制服はマミの涙でグシャグシャになっていた。

「あ、そうだ」

思い出したかのようにポケットからグリーフシードを出した。
魔女の戦いで拾ったまま持っていたことを忘れていた。

「僕が拾ったままでしたので先輩にあげます」

「けど…」

「ソウルジェムがないので必要ないんです」

手のひらにグリーフシードを置いてマミに渡すが受け取らない。

「なら、エミル君…私のことマミって呼んで?」

「えっ?」

「マミって言ってくれたら受けとる」

「えっと…」

「言って」

少し強くして言う。

「ま、マミ先輩…」

「先輩はナシ!マミって呼び捨てで言って」

「ま、マミ…さん」

「うーん、さんもいらないのに…」

「こ、これが精一杯です」

「仕方ない後輩ね」

くすりと笑ってグリーフシードを受けとる。

「今はそれで許してあげる♪」

マミは笑顔になった。

「ご飯まだだったよね?今、作ってあげる」

「大丈夫です。すぐ帰りますので」

「ダーメ!側にいるって言ったから帰さない」

「でも…」

「帰るならリボンで拘束するけど?」

ソウルジェムを持って変身しようとしていた。

「いただきます…」

「よろしい♪」

マミが夕食を作り一緒に食べる。

「(エミル様)」

「(テネブラエいたんだ。いるなら返事してよ)」

「(あの情況で話しかけるほど図太い性格はしていません)」

「(しかし…マルタ様が見たら大変な目に遭いますよ?)」

「(わかってるけど…放っておけなくて…)」

「(エミル様は優しいですからね)」

「(馬鹿にしてる?)」

「(いえいえ、思ったことを口にしただけです)」

晩御飯を食べ終わり帰ろうとしたが

「ねぇ、エミル君」

マミはエミルの手を握る。

「今日は泊まってくれる?」

「えっ…」

「ダメ?」

上目遣いでエミルにお願いする。

「えっと…」

再びソウルジェムを出すとエミルは折れてマミの家でお泊まりすることになった。 
 

 
後書き
側にいる

その言葉だけで巴マミは心から救われた
もう独りじゃない。エミルが側にいてくれる
たったそれだけで彼女の心は救われた 
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