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Blue Rose

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第二十話 小さくなる身体その四

「だからね気にしないでね」
「けれどそれは」
「いいんだよ、とにかく今日はだね」
「はい、外出出来るなら」
「行くね」
「お願いします」
「じゃあ今から行こうか」
 岡島は微笑み優花に話した。
「長崎の街までね」
「今からですね」
「行こうね」
「それじゃあ」
 こうしてだった、優花は岡島と共に長崎の街に出ることになった。岡島は彼を自分の車に乗せてだった。
 そしてだ、ドライブしつつ助手席の優花に言った。
「ここはね」
「何処に行くんですか?」
「長崎の街に行くけれど」
「長崎のですか」
「具体的に何処に行きたいかな」
「そうですね、グラバー園ですか」
 少し考えてからだ、優花は岡島に答えた。
「あそこに」
「わかったよ、じゃあ行こうね」
「あそこ奇麗ですよね」
「うん、僕もよく行くよ」
 そのグラバー園にというのだ。
「ここに来てからね」
「そうなんですね」
「君の言う通り奇麗な場所だからね」
「だからですか」
「あそこは蝶々夫人の舞台なんだよ」
「あそこをモデルにしてですね」
「そう、蝶々さんの家が考えられたんだ」 
 グラバー園のその場所がだ。
「そうしたところなんだ」
「そうらしいですね」
「だからあそこに三浦環さんの像もあるんだ」
「戦前の有名なオペラ歌手ですね」
「日本人のね」 
 日本で最初に世界的な名声を得たオペラ歌手だと言われている、その歌唱は今もCDに保存されていて聴くことが出来る。
「蝶々夫人を当たり役としていたよ」
「日本人だからですか」
「そう、役を回してもらってね」
「それで歌ってたんですね」
「そうだよ、じゃあグラバー園に行って」
 そしてとだ、岡島はさらに言った。
「それから中華街にも行こうね」
「中華街にもですか」
「これは僕の好みだけれどね」
「中華街はですか」
「うん、あそこ大好きなんだよね」 
 顔を綻ばせての言葉だった。
「料理が美味しいから」
「特に長崎ちゃんぽんですね」
「そうそう、あれとカステラはね」
 それこそというのだ。
「最高だね」
「両方共お好きですか」
「カステラもよく食べるんだ」
「そういえば療養所のおやつによく出ますね」
「うん、君によく出してるよね」
「ここに来てもう二回出ましたね」
 まだ入って少し経った位だがというのだ。
「カステラは」
「僕が選んでるんだ、おやつは」
「好きだからですね」
「君にも出すことになってるね」
「そうだったんですね」
「流石に食べ飽きるって人もいるけれどね」
 名物だけあっていつも食べるからだ、岡島はこの話は少し苦笑いになってそのうえで優花に話した。 
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