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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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異伝~”第六使徒”エオリア・フォーリア~

~朝・アカシア荘~



「ン……………?朝……?」

ベッドで眠っていたエオリアは朝の陽ざしの眩しさに気付いて、目を覚まして起き上がり

「目を覚ましたか。」

「おはようございます、エオリアさん。既に朝食は私とレシェンテが作っておきましたので、エオリアさんの分も作ってありますのでどうぞ食べて下さい。」

「ハア……………まさか本当に”使徒”になるとは……”性魔術”に及び腰になって、逃げ帰る事を期待していたのに……………」

起き上がったエオリアを見た椅子に座って朝食をとっているセリカとリタは声をかけ、同じように朝食をとっているレシェンテは疲れた表情で溜息を吐き

「あ、セリカさん……それにリタちゃんやレシェンテちゃんもおはよう。二人の作った朝食、勿論頂くわ♪」

声をかけられたエオリアは答えた後、嬉しそうな表情をし

「フフ、これからは主を守る仲間同士として仲良くしましょうね?」

「勿論!……そうだ!近い内、3人でセリカさんに”性魔術”をしてもらおう?そしたら私も可愛い二人を愛せるし♪」

リタに微笑まれたエオリアは嬉しそうな表情で答え

(クク、セリカに抱かれるまでは初心(うぶ)な反応だった癖に、もうそんな事が言えるとは…………華奢な見た目に反して意外と図太い嬢ちゃんだの。)

エオリアの言葉を聞いたハイシェラは口元に笑みを浮かべたが

(図太いとは失礼ね………貴女こそ、人が初めてを奪われる瞬間を見ていたなんて、趣味が悪いのじゃないかしら?)

(ハハハハハハハッ!昨日の事といい、”使徒”になったばかりの新参者の癖に他の”使徒”達どころか、エクリア嬢ちゃんをも差し置いてセリカの盟友にして”地の魔神”たるこの我にそんな口を叩くとは中々度胸がある”使徒”だの!)

ジト目で壁にたてかけてある『ラクスハイシェラ』に視線を向けて送ったエオリアの念話を聞いて大声で笑った。



「え、えっと……………」

「ぞ~っ!!セ、セリカ!絶対にわらわ達とエオリアを一緒に”性魔術”をするなよっ!?」

一方リタは冷や汗をかいて困った表情をし、エオリアの言葉を聞き、思わずその光景を思い浮かべたレシェンテは大量の冷や汗をかいて身体を震わせた後必死の表情でセリカに視線を向け

「……俺が失った力の状況にもよるがな。……それよりも……いい加減に服を着たらどうだ?」

セリカは苦笑しながら答えた後、服どころか下着も身につけていない生まれたままの姿になっているエオリアに視線を向けて尋ね

「え……………きゃあっ!?み、見ないで下さいっ!!」

尋ねられたエオリアは一瞬呆けたが、何も身につけていない裸である自分の状態に気付いた後悲鳴を上げて枕をセリカに投擲し、側にある毛布を手に取って、手に取った毛布にくるまって自分の身体を隠して顔を真っ赤にした状態でセリカを睨み

「……既にお前と俺は肉体関係の間だから、俺の前で裸になった事ぐらいで今更恥ずかしがることもないと思うが……」

(この戯けが。そういう事もわからないのは相変わらずだの。)

「そ、それとこれとは別問題です!セリカさん、女心が全然わかっていませんね!それでも女神の肉体を持つ人ですか!?」

「クスクス。今の発言は主が全面的に悪いですね。」

「全くじゃな。」

投擲された枕を片手で受け止め、呆れた表情で言ったセリカの言葉を聞いたハイシェラは呆れ、エオリアは顔を真っ赤にした状態でセリカを睨み、リタは微笑み、レシェンテは呆れた表情で頷き

「女神の肉体を持っている事は関係ないと思うが……………それよりも……どうやら元気が出たようだな。」

エオリアの言葉を聞いたセリカは呆れた表情で言った後、静かな笑みを浮かべてエオリアを見つめ

「あ…………………はい……………何だか実感がわかないですね………”あんな事”をしただけで”人”の身を捨て、不老不死の存在になっただなんて……………」

見つめられたエオリアは呆けた後頷き、不思議そうな表情で自分の両手を見つめた。



「―――だが、俺の”使徒”になり、絶大な”力”―――”正義の大女神”の”力”を得た事は事実だ。それは自分でも感じているだろう?」

「……………はい。その……ありがとうございます。私の自分勝手な我儘だけでセリカさんの”使徒”にしていただいて……」

「その事は別に気にしなくてもいい。俺にとっても得する話だから、”使徒”にすると決めたのだからな。……それにエオリアはリタとレシェンテにとっても数少ない友人だし、エオリア自身、ほおっておけない危うい状態だったからな。」

エオリアの言葉にセリカは答えた後静かな笑みを浮かべ

「セ、セリカさん……………」

セリカの言葉を聞いたエオリアは頬を赤らめ

「フフ………相変わらず優しいですね、主は。」

「全く………………それが”世界の禁忌”と恐れられる”神殺し”の言う事か?今のセリカは”神殺し”ではなく、”女殺し”と言ってもおかしくないぞ。」

リタは微笑み、レシェンテは呆れた表情で溜息を吐いた。その後エオリアは服や下着を身につけた後、セリカに歩いて近づき

「ん…………」

なんと自分からセリカの唇に自分の唇を押し付け

「………既に了解してもらっていますが………5年間は遊撃士を続けさせてもらいます。……勿論、私との”性魔術”をお望みなら言って下さったら、”性魔術”を受け入れますし、ご奉仕だってします。…………そして5年が経てば……………”第六使徒”エオリア・フォーリアの人生…………永遠に貴方に捧げます。――――セリカさん!」

唇を離した後笑顔でセリカを見つめて言った。

「……ああ。」

「フフ、プレイアのお屋敷でお留守番をしているマリーニャちゃん達に知らせないといけませんし、メンフィルにいるエクリアちゃんにも”使徒”が増えた事を報告しないといけませんね。」

(クク、異世界出身の”使徒”ができたと知った嬢ちゃん達の反応が楽しみだの。)

「まあ、サリアは喜んで、他の者達は絶対驚くか呆れるじゃろうな………」

「私やレシェンテちゃん以外の”使徒”か……一体どんな人達なのかしら?」

エオリアに見つめられたセリカは静かな笑みを浮かべ、リタは微笑み、ハイシェラは口元に笑みを浮かべ、レシェンテは苦笑し、リタ達の会話を聞いていたエオリアはまだ見ぬセリカの”使徒”達の姿を想像していた。その後セリカ達と共に朝食をとったエオリアはセリカ達より先に部屋を出て支部に向かった。


その後支部に到着したエオリアはミシェルから自分に割り当てられて最優先依頼の説明を聞いていた。



~遊撃士協会・クロスベル支部~



「……了解したわ。じゃあ、行ってくるわね。」

説明を聞き終えたエオリアは頷いた後笑顔でミシェルを見つめて言い

「え、ええ。それよりもエオリア、貴女、昨日何か良い事でもあったのかしら?」

エオリアの様子を見たミシェルは戸惑いながら頷いた後口元に笑みを浮かべてエオリアに尋ねた。

「え?どうしてそう思うのかしら?」

「だって、昨日まで貴女が纏っていた暗いオーラが全部吹き飛んでいるんだもの。正直、”グノーシス”に手を出すのかと心配していたぐらい、落ち込んでいたわよ、昨日までの貴女。」

「フフ、いくらなんでも私が”グノーシス”に手を出すなんて絶対にありえないわ。……でも、心配をしてくれてありがとう。これからは心配させた分の倍以上は働くつもりだから、期待していて。それじゃあ、行ってくるわ。」

ミシェルの言葉を聞いたエオリアは微笑んだ後支部を出て行った。

「フウ。何があったか知らないけどあの調子なら、大丈夫そうね。」

エオリアが出て行くとミシェルは安堵の溜息を吐き

「そうだな……だが………」

「………何となく感じたが……今のエオリアが纏っている空気………フェミリンスさんやセリカさんが纏っている空気にわずかにだが似ていないか?」

二人の会話を見ていたヴェンツェルは真剣な表情をし、スコットは不思議そうな表情で言った。

「エオリアが?よりにもよってあの二人に?そんなのありえないでしょ?だってあの二人は本物の”神”じゃない。まさかエオリアが”神”にでもなったっていうの?」

「そうは言っていないが……………」

不思議そうな表情で尋ねてきたミシェルにスコットは戸惑った様子で答えた。

「おはようございます。」

「今日は何をさせる気じゃ?」

「俺達にやってほしい依頼の説明を頼む。」

その時リタとレシェンテがセリカと共に支部の中に入って来た。

「っと、噂をしていたら来たわね。おはよう、3人共。今日貴方達に最優先でしてほしいのは…………」

入って来たセリカ達に気付いたミシェルは声をかけた後、近づいてきたセリカ達に説明を始めた。



~中央広場~



「あ、ティオちゃん、発見♪」

一方街を歩いていたエオリアはティオを見つけて嬉しそうな表情をし

「うっ…………」

エオリアを見たティオが表情を引き攣らせたその時、絶大な力を宿すセリカの”使徒”になった事で身体能力も大幅に上昇したエオリアは光の速さでティオに詰め寄り

「あ~ん、相変わらず可愛い~♪」

「く、苦しいです…………」

嬉しそうな表情でティオを抱きしめ、抱きしめられたティオは呻いていた。

「ハハ………」

「相変わらずね……」

「く~……!俺もされたい!エオリアさん!俺ならいつでもオッケーですよ!!」

その様子を見ていたロイドとエリィは苦笑し、ランディは悔しそうな表情をした後、真剣な表情でエオリアを見つめて言ったが

「絶対無理。」

「即答!?」

笑顔で言ったエオリアの断りの意志の言葉を聞いて声を上げた。

「さてと……久しぶりにティオちゃんエネルギーも補給できたし、私はそろそろ行きますから、そちらも頑張って下さいね、皆さん。」

そしてエオリアはティオから離れてロイド達に微笑み

「あ……はい。」

「お疲れ様です。」

微笑まれたロイドとエリィは答え

「ああ、それと………こう見えても私、肉体関係の間柄にまで仲が進展した親しい男性がいるから、どれだけ声をかけても無駄よ。」

さらに何かを思い出したエオリアは笑顔でランディを見つめて言い

「へっ!?」

「ええっ!?」

「………………………」

「ガ――――――ン!!」

エオリアの言葉を聞いたロイドは驚き、エリィは頬を赤らめて声を上げ、ティオは呆けた表情でエオリアを見つめ、ランディはショックを受けた。

「フフ、それじゃあね。」

ロイド達の反応を見たエオリアは微笑んだ後ロイド達から去って行き

「い、意外すぎる情報だったな………」

「え、ええ………あのエオリアさんにまさかそんな深い仲にまで進展した恋人がいるなんて……………」

「おのれ………!一体誰が!いつ!あのエオリアさんを口説き落とした上、あのエオリアさんとそんなうらやまけしからん事をしたんだ!?畜生~!セシルさんに続いてエオリアさんまでっ!!」

去って行くエオリアをロイドとエリィは信じられない表情で呟き、ランディは悔しそうな表情で声を上げた。

「………………………」

一方去って行くエオリアの後姿をティオは真剣な表情で見つめ続け

「ティオすけ?そんなにエオリアさんを見つめて何があるってんだ?」

「いえ……………何でもありません。行きましょう。(………どういう事でしょう……?エオリアさんからエクリアさんやマリーニャさん達――――セリカさんの”使徒”全員が纏っている”気”と全く同じ”気”を感じるなんて…………まさか………!……いえ、さすがにそれはありえませんね。ただの気のせいですね。)」

そしてランディに尋ねられたティオは首を横に振って答えてロイド達を促した後、考え込みながらロイド達と共に目的地に向かって歩きはじめた。



~2日後・リベール王国・ロレント市郊外・メンフィル大使館~



「……………………………」

エオリアがセリカの”使徒”となって2日後、セリカから来た便りの中に書いてあるエオリアを”使徒”にした部分を読んだエクリアは石化したかのように表情を固まらせ

「姉様?一体どうされたのですか?」

エクリアの様子を見たイリーナは不思議そうな表情で尋ねた。

「それが………この便りによるとセリカ様、エオリアさんという遊撃士の方を”第六使徒”にしたって書いてあるのよ………」

「まあ………」

「えっ!?」

「ハア………異世界に来てまで……しかもよりにもよってクロスベルの今の状況で何をやっているのだ、奴は……………」

信じられない表情で言ったエクリアの話を聞いたイリーナは目を丸くし、ペテレーネは驚き、リウイは溜息を吐いた後呆れた表情をし

「セリカ様……………私が貴方の元に戻ってくるまでに…………いえ、サティア様が生まれてくるまでに一体何人”使徒”を増やす気ですか………?サティア様が嫉妬したら、どうするおつもりですか………?フウ……………」

リウイに続くようにエクリアも呆れた表情をした後、疲れた表情で溜息を吐いた。



~数日後・レウィニア神権国・王都プレイア・セリカの屋敷~



「ん。”神殺し”からの届け物。」

「ご苦労様。せっかく来たついでにお菓子でも食べていく?何だったら泊まっていってもいいわよ?転移魔術でここまで来るのに疲れたでしょう?」

「別にいい。全く……なんで”魔神”のエヴリーヌが転移魔術使ってまで手紙なんかを届けなきゃならないんだか。しかもレウィニアみたいな遠い所に転移魔術で来るのはめんどくさいのに……………リフィアは人使いが荒すぎ。」

さらに数日後、エヴリーヌはマリーニャに手紙を渡した後文句を言い

「あたしもあの娘の人使いの荒さにどれだけ苦労させられたことか……………あんたの気持ち、あたしにもわかるわよ。」

エヴリーヌの文句を聞いたマリーニャは疲れた表情で溜息を吐いた。

「……でも、今のリフィアには弱点があるしね。仕返しにエリゼに言いつけて、しっかりと怒るように言っておこうっと。キャハッ♪―――じゃあね。」

そしてエヴリーヌは呟いた後転移魔術でその場から消え

「あのリフィアに弱点ねえ……?本当かしら??みんなー!ご主人様から便りが来たわよ!!」

エヴリーヌが消えると手紙を手に取ったマリーニャは苦笑しながら呟いて首を傾げた後、屋敷に入って屋敷内でそれぞれ掃除をしている2人に報告し

「本当ですか!?」

「マリーニャさん、早く聞かせてくださいです~。」

掃除をしていたシュリは驚き、サリアは明るい表情で言った。

「今、読むから待ってなさい。なになに…………………へ??」

サリアの言葉を聞いたマリーニャは手紙の内容を読んだ後呆けた声を出し

「マリーニャさん、どうしたのですか?」

マリーニャの様子を見たシュリは不思議そうな表情で尋ねた。

「えっと……………異世界で”使徒”が一人増えたって書いてあるんだけど……………」

「……………え…………………」

「ふえ~?」

そして表情を引き攣らせながら言ったマリーニャの言葉を聞いたシュリは固まり、サリアは首を傾げ

「「えええええええええええええええええ~~~~~っ!?」」

我に返ったシュリとマリーニャは驚きの表情で同時に声を上げ

「わ~……このお屋敷に住む人が増えるんですね!?サリア、嬉しいです~。」

ある事に気付いたサリアは無邪気な笑顔を浮かべた。



”神殺し”セリカ・シルフィルの”第六使徒”となったエオリア・フォーリア。彼女の存在はセリカの他の”使徒”達やリウイ達を驚かせ………後に彼女はクロスベルで起こる大きな戦いに”遊撃士”として、”使徒”としてセリカ達と共に挑む事になる…………………… 
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