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吸血鬼の愛した妖精が一人

作者:百瀬杏樹
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序章

「・・・お前がそうなのか」
「ッ!?」
ビックスローの言葉に反応して、一人の女がガバッと顔を上げた。
量目に包帯をしているその女の口元は真っ赤な血で彩られており、側には人間が横たわっていた。
「・・・ここ最近、この町で失血死体が数多く出てる。お前だよナ?」
『おまえだよなー?』
ビックスローがそう言うと、側に浮いている人形達もそう言った。
「・・・人か、うぬは」
「一応人だ。お前を捕まえに来たんだよ♪」
「・・・ハッ。人間ごときが自惚れるでないわ」
女はそう言うと、どこからともなく二本のナイフを取り出し、一本をビックスローに投げつけた。
ビックスローがそれを避けると、その間に後ろへと下がる女。
ビックスローは女の後を追った。時にナイフを投げつけられ、かわし、時にこちらからも攻撃する。
輪廻の如く続いたこの攻撃、かわすの繰り返しは、女が足をとどめた事により一旦終わった。
「・・・」
「・・・」
冷たい空気の中、双方が無言で互いを見合った。
互いの目等、双方が見えていないのに。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・ククッ」
女が不意に笑い、ナイフを投げ捨てた。
「降参だ」
「・・・エ?」
予想外の出来事に、ビックスローはマヌケな声を出した。
その声を聞いて、女は再び笑った。
「うぬ一人なら充分遊んでやるが、雷を使う者が近くにいては分が悪すぎる。大人しく捕まってやろう」
雷。ラクサスの事だろうか。だが、いつ、ラクサスが近くにいると思ったのだろう。
わけがわからず首を傾げると、女が人差し指をピッとたて、ただし、と呟いた。
「評議員に行く気はない。うぬのギルドへ連れて行け」
「・・・エ?」
本日二度目のマヌケ声。
この女、何を言っている?ビックスローは頭が混乱しまくっていた。
評議員に行きたくないから、ギルドへ連れて行け?果たしてビックスローの今までの経験で、そんな事を言う者が一人でもいただろうか?
ビックスローがほうけているのを見ながら、女は再び笑った。
「評議員に連れて行かんのなら、大人しく捕まる。連れて行くのなら、大人しく捕まる気はない」
・・・やはり意味がわからない。
だが、連れて行くと言って、また戦闘になるのも面倒だ。
「わーったヨ。ギルドの方に連れて行きゃいいんだろ?」
「そうだ。話がわかるな、うぬは」
ビックスローは、雷神衆の仲間に色々と言われるのを覚悟した。 
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