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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第77話

声を追って行ったロイド達はティオのサーチを頼りに警察学校へ行く街道の途中にある樹海に入り、奥に到着した。



~ノックスの樹海・奥~



「……開けた場所に出たね。」

「俺もこのあたりまでしか訓練で来なかったけど……」

ワジの言葉に答えたロイドは周囲を見回し

「あれ……?ここって行き止まりだったか?」

周囲の違和感を感じて眉を顰めた。

「いえ、まだこの先にも獣道は続いていたはずです。」

「どうやら倒木が道を塞いだみてぇだが……倒れたのは一月くらい前か。」

ロイドの違和感を聞いたノエルとランディは答え

「で、でもそれじゃあ例の魔獣は一体どこに?」

「………何かの気配は感じるんですが……」

「俺達から逃げた……訳でもないよな?」

二人の言葉を聞いたエリィとティオは不安そうな表情をし、リィンは考え込んでいた。するとその時

「ハハハハハハハハハッ!!」

笑い声が聞こえてきた!

「!?」

「笑い声だと……!?」

声を聞いたロイドは驚き、ランディは信じられない表情をした。



「クク……揃いも揃ってのこのこと現れやがったか……相変わらずメデたい連中だぜ………」

「こ、これは……」

「まさか……魔獣を操ってた犯人……?」

不気味な声を聞いたロイドは驚き、ノエルは厳しい表情をし

「い、いえ……それよりも………」

「この声……どこかで聞いた事があるような……」

「それに俺達の事も知っている様子だぞ……?」

ティオは不安そうな表情をし、エリィとリィンは厳しい表情をし

「…………………」

「おいおい、まさか――――」

そしてワジは黙って唇を噛みしめ、ランディが目を細めたその時

「来る――――下がれっ!」

何かに気付いたワジが警告した!

「!!」

警告を聞いたロイド達がその場から後ろに跳躍したその時、異様な姿をした巨大な”何か”が跳躍して巨大な棍棒でロイド達がいた場所を叩き付けた!



「な――――!?」

「お、鬼……!?」

異様な存在―――鬼を見たロイドとノエルは驚き

(………―――!この”魔”の気は……!)

(”グノーシス”を服用した者達から感じた者達と同じ……いや、それ以上に強く感じるぞ……!?)

(一体何者だ……!?)

ルファディエル、メヒーシャ、ラグタスは鬼を睨んでいた。

「……クックックッ………カハハハハハッ………!」

するとその時鬼は笑いだしてロイド達を見つめた。

「……っ…………!」

「こ、これは…………」

「まさか……”魔人”なのか……!?」

鬼を見たエリィは厳しい表情をし、ティオとリィンは信じられない表情をし

「も、もしかしてグノーシスで魔人化したのと同じ……!?」

ノエルは厳しい表情で鬼を睨んでいた。

「てめえ……もしかして……」

そしてランディは目を細めて鬼を見つめ

「ヴァルド―――あんたなのか!?」

ロイドは鬼を睨んで叫んだ!



「ククク………ハハハハハハッ!バニングスにオルランド……ずいぶん久しぶりじゃねえか。クク……それにワジ……テメェともな。」

するとその時鬼――――魔人ヴァルドは笑った後ロイド達を見つめた。

「ああ……そうだね……君のファッションの悪趣味さは知っていたけど……さすがに”それ”は、幾らなんでもやりすぎなんじゃないの……?」

「クク……抜かせ。」

そして厳しい表情で自分を見つめていったワジの言葉にヴァルドは不気味笑みを浮かべて答えた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

「そ、それじゃああなたが列車を脱線させた……!?」

「クク……何をわかりきった事をわざわざ確認してやがる……?そこらの魔獣ごときにあんな真似ができるわけねぇだろ……新たな”チカラ”を手に入れたこのヴァルド・ヴァレス以外になアアッ!」

ロイドとノエルの言葉に答えたヴァルドは全身に闘気を纏って吠えた!

「なんて鬼気………」

「洒落になってねぇぞ……」

「これが”グノーシス”の”力”か……!」

ヴァルドの闘気にエリィは驚き、ランディは目を細め、リィンは真剣な表情で言った。

「さてと、わざわざここまで俺を追ってきてくれたんだ……とっとと始めるとしようか……?この俺がどれだけ”上”か……骨の髄までわからせるためによォ……?」

「くっ………」

「……どうやら本気みたいだね。」

「クク、てめぇらごとき今更本気を出すまでもねぇ……せいぜい優しく撫でてやるから死なない程度に味わいやがれよ……?―――このオレが手に入れた正真正銘の”チカラ”をなああッ!!」

その後ヴァルドとの戦闘を開始したロイド達だったが、攻撃は殆んど効いている様子はなかった。



「クク……まあそんなモンだろうな。やれやれ……ちょいと強くなりすぎたかァ?」

攻撃を受け続けたヴァルドは不気味な笑みを浮かべて呟き

「くっ………」

「あ、あれだけやったのに殆んど効いていない……!?」

ロイドは唇を噛みしめ、ノエルは信じられない表情をし

「――――でしたら!ラグタス、ラテンニール!!」

ティオはラグタスとラテンニールを召喚し

「――――メヒーシャ、お願い!」

「出番だぜ、エルンスト!!」

「―――頼む、ルファ姉、ギレゼル!!」

ティオに続くようにエリィ達も次々と契約している異種族達を召喚し

「位相空間にアクセス………!ケイオスハート、召喚……!―――ラグタス、ラテンニール!!全力を出しても構いませんのでヴァルドさんを無力化してください!―――全魔力を解放します!ハァァァァァァァ………!!」

さらにティオは異空間から『魔杖ケイオスハート』を召喚して装備し直し、ラグタス達に指示をした後、上空へと舞い上がって全身に膨大な魔力や”魔”の気を纏った!するとティオの周囲の空気は震え、ティオの瞳は”グノーシス”を服用し、”魔人化”する直前のアーネストやヨアヒムと同じ紅い瞳へと、髪は”魔神”の力を解放したプリネのような銀髪へと変貌し、さらに魔導杖と一対の漆黒の翼に膨大な魔力エネルギーを溜め始め

「ティ、ティオちゃん!?」

「オイオイオイ……!ティオすけから感じるこの気配は……!」

「ああ……!”魔人化”したアーネストと同じ……いや、アーネストは軽く超えているぞ、この力は!?」

変貌したティオを見たエリィは驚き、ランディは目を細め、ロイドは驚きの表情で叫んだ。



「なっ!?この膨大な”魔”の気……下手をすれば上位悪魔クラスだぞ!?」

「あれほどの膨大な”魔”の気を纏いながら正気を保っていられるとは……!」

ティオの”魔”の気を感じたラグタスとメヒーシャは驚き

「あっははははははっ!さすがはラグタスの契約者だ!今のあの娘なら下手したらシェヒナぐらいの力はあるんじゃないかい!?」

「……さすがにそれは言いすぎよ。でも………無視できない力である事は確かね。」

「くかかかかかっ!将来はあの”グノーシス”の力で”魔人”に変貌した偽物魔人共とは比べものにならないくらいの、本物の”魔人”へと変貌するかもな♪」

エルンストは大声で笑った後興味深そうな表情でティオを見つめ、ルファディエルは呆れた表情で答えた後目を細めてティオを見つめ、ギレゼルは陽気に笑っていた。

「ハハハハハハッ!そう言えばテメェらにも舐められっぱなしだったなぁ!?天使共ッ!!」

一方ヴァルドは笑った後棍棒をルファディエル達に振り下ろしたが

「―――させないわ!!」

ルファディエルが結界をドーム状に展開してヴァルドの攻撃を受け止めた!

「クク……いつまで耐えられるんだ!?オラ、オラ、オラッ!!」

攻撃を受け止められたヴァルドは棍棒を振り回して何度も結界を攻撃したが

「ハッ!薬をキメて粋がった雑魚ごときが威張るんじゃないよ!そらそらそら―――――ッ!!」

「ガアッ!?」

エルンストが放ったSクラフト―――転移爆発を受けて怯み

「”力”を求めて”魔”に墜ちた軟弱者が!”魔”に墜ちたなら容赦はせんぞ!――――降り注げ!裁きの光!!ホーリー・ジャッジメント!!」

「グアアアアアアアアアッ!?」

メヒーシャは光の柱の雨を降り注がせるSクラフト―――ホーリー・ジャッジメントを放ってヴァルドを苦しませ

「チからがァ!みなぎル!!」

ラテンニールは大剣にすざましい闘気と魔力を溜めこんだ後

「滅せヨ!!」

「こいつでも喰らいなぁっ!!彗星の闇剣!!」

Sクラフト―――イディオの斬魔剣をギレゼルが投擲した暗黒の大剣と共に放った!二人が放ったSクラフトによる衝撃波や剣はヴァルドを襲い、ヴァルドの腹の部分を貫いた!

「ガハッ!?」

腹を貫かれたヴァルドは口から大量の血を吐いた!

「真なる”魔”の力……思い知りなさい!魔閃翼!!」

その時ティオは翼と魔導杖から膨大な魔力エネルギーを解き放ち

「我らの糧たる常明の光よ 今ここに集いてかの者を滅せん!セイクリッドシャイン!!」

ティオが放った魔力エネルギーがヴァルドに命中する瞬間、ルファディエルは光の大爆発を起こすSクラフトを放った!

「オオオオオオオオオオオ―――――――――ッ!!??」

光の大爆発とティオが放ち続ける膨大な魔力エネルギーを受けたヴァルドは吠えながらダメージを受け続けた。そして二人の攻撃が終わるとラグタスが飛行してヴァルドの頭に近づき

「我が拳にて沈むがいい!――――絶拳!!」

膨大な闘気を込めた拳でヴァルドを殴り

「ガアッ!?」

殴られたヴァルドは口から大量の血を吐いて地面に叩きつけられ、地面に叩きつけられたヴァルドは元の人間の姿に戻った!

「す、凄い……!あたし達の攻撃は殆んど効かなかったのに……」

ヴァルドの様子を見たノエルは驚き

「ハア、ハア…………まさか”人間”を相手に……しかもケイオスハートを装備した状態でこの技を使う事になるとは思いませんでした……」

「つーか、マジでティオすけもエステルちゃんみたいに人間離れしてきたな……さっき変わった髪や瞳を見た瞬間、マジでヨアヒムやあの秘書野郎のように”魔人化”したのかと思ってビビっちまったぞ……」

Sクラフトを放ち終え、瞳や髪の色が元に戻ったティオは疲労の為か地面に膝をついて息を切らせて呟き、ランディは疲れた表情で呟き

「……色々な意味であの人達と一緒にしないでください………」

ランディの言葉を聞いたティオは疲れた表情で溜息を吐いた。

「ティオちゃん、大丈夫?」

「はい………膨大な魔力を一気に使った衝動と慣れない事をしてしまった衝動が来ているだけです……初めて使ってわかりましたが……この技はあまり乱発できませんね……」

心配した様子で見つめるエリィにティオは顔色を悪そうにしながら答え

「さすがに今のは効いたようだね……」

人間に戻ったヴァルドの様子を見たワジは目を細めて呟いた。

「畜生……”チカラ”を手に入れたこの俺がこんなにもあっさりと……それもあんなガキにまでやられるだと……?ハハハハハハッ!!面白くなってきたじゃねぇか!まさかテメェがそれほどまでの”力”を隠していたとはな、プラトー!!」

一方ヴァルドは悔しそうな様子で呟いて起き上がった後大声で笑いながら魔人化し、そしてティオに視線を向け

「……どうやら今のでワジと同じくらいの好敵手として見られるようになったみたいだぞ?」

「そんな目で見られるなんて、御免被ります………!」

ヴァルドの言葉からある事を察したリィンに言われたティオは疲れた表情で答えながらヴァルドを睨んだ。

「…………………」

一方ワジは黙り込んでいた。

「……クク……どうしたワジ……?いつもみたいに小奇麗なツラでスカした事を言ってみろよ……?そうじゃなくちゃ面白くならねぇだろうが……?」

ワジの様子に気付いたヴァルドは不気味な笑みを浮かべながら言った。

「――――ヴァルド。一体どこで”グノーシス”を手に入れた?」

「そ、そういえば……!」

「ヨアヒム先生が製造したものは調査用のサンプルを除いて全て廃棄されたはず……」

「という事は”誰か”がヨアヒムのように”グノーシス”を製造しているようね……」

「てめぇ……どこから手に入れやがった!?」

ワジの質問を聞いたロイドとエリィはある事に気付き、ルファディエルは目を細め、ランディはヴァルドを睨んで言った。



「クク……さてなぁ。それに、カン違いするな。この”チカラ”は何もクスリだけのモンじゃねえ……クスリはあくまできっかけ――――コイツはオレ自身から生み出された混じりけのない”チカラ”だ。ヨアヒムってのが手に入れた紛いモンの”チカラ”と違ってなぁ。」

「……確かに……ヨアヒム先生の時とは違って暴走はしていないようです。」

「きっかけはどうあれ使いこなせてるってわけか……」

ヴァルドの話を聞いたティオは真剣な表情でヴァルドを見つめながら呟き、ワジは重々しい様子を纏って言った。

「――――ヴァルド。”グノーシス”に手を出したからには”殺される覚悟”はできているのでしょうね?今ここで魔人化を解いて投降するなら、命は助けてあげるわ。」

その時ルファディエルは杖を構えてヴァルドを睨んで呟き

「ほう……?」

ルファディエルの言葉を聞いたヴァルドは興味深そうな様子でルファディエルを見つめ

「ル、ルファ姉!?」

「まさか殺害するつもりなのですか!?」

ルファディエルの言葉を聞いたロイドは驚き、ノエルは信じられない表情で尋ねた。

「―――忘れたのかしら?ヨアヒムやアーネストのように”魔人化”をすると知っていながら”自分の意志”で”グノーシス”を服用した者はゼムリア大陸史上最悪の国際犯罪組織である”D∴G教団”関係者として認め、その者の殺害許可は全国家から降りている事を。」

「へえ?じゃあそいつは殺っちまってもいいのかい。」

「そ、それは……………」

「で、でも……ヴァルドはヨアヒムの時とは違って暴走はしていないし、セティ達がいれば、解毒薬も作れるからまだ助かるはず……!」

ルファディエルの話を聞いたエルンストは凶悪な笑みを浮かべ、エリィは複雑そうな表情をし、ロイドはルファディエルを複雑そうな表情をして見つめた後真剣な表情で見つめていった。

「………………………おい、ヴァルド。悪い事は言わねえ。ルファディエル姐さんの言う通りとっとと魔人化を解いて投降しろ。でないと――――マジでテメェを殺すぞ?」

その時ランディは目を細めてヴァルドを睨んだ後凶悪な笑みを浮かべて呟き

「ランディッ!」

「せ、先輩までどうしてそんな事を……!」

ランディの言葉を聞いたロイドは声を上げ、ノエルは信じられない表情でランディを見つめた。

「お前達にもわかっているはずだ。今のコイツはあのヨアヒムの野郎と変わらねぇぐらい相当危険なヤツって事を!もしコイツがクロスベル市で暴れてみたら、どれだけの被害が出るかわかりきっているだろう?既にコイツのせいで何人もの重傷者が出ているんだぜ?」

「それは………」

「確実に甚大な被害や犠牲者が出るだろうな………」

しかしランディの言葉を聞いたエリィは不安そうな表情をし、リィンは重々しい様子を纏って呟き

「―――殺す事に躊躇いのある者達は下がっていろ。足手纏いだ。」

「うむ。それにティオ達が手を汚す必要はない。」

「ま、お前達にはまだ早いから下がってな、ロイド。」

そしてメヒーシャ、ラグタス、ギレゼルはそれぞれ武器を構えてロイド達に忠告し

「久シブリの殺しだゼッ!!」

ラテンニールは意気揚々と武器を構え

「………………………」

「ま、待って、メヒーシャ……!」

「くっ……!みんな、早まるんじゃない!」

メヒーシャ達の行動を見たワジは重々しい様子を纏って黙り込み、エリィは慌て、ロイドは唇を噛みしめた後叫び

「ククク……面白くなってきたじゃねぇか……!」

ヴァルドは不気味な笑みを浮かべていた。



「な、なんだ!?」

「ば、化物……!?」

するとその時ミレイユが警備隊員を引き連れてロイド達に近づいてきた。

「ミレイユ……!」

「ミレイユ三尉……!」

「よかった……!復旧が終わったんですね?」

「え、ええ、それで急いで駆け付けたんだけど……な、なんなのその化物……!?」

エリィの言葉に答えたミレイユは厳しい表情でヴァルドを見つめた。

「クク……今日はここでお開きか。特務支援課……それからワジ。次会った時はプラトー達のようにもう少しくらいはオレを愉しませろや……?あの旧市街でやったチェイスバトルくらいにはなァ?」

「くっ……」

「てめぇ……」

ヴァルドの言葉を聞いたロイドは唇を噛みしめ、ランディは目を細め

「私までルファディエルさん達とひとくくりにしないで下さい……!迷惑です……!」

「ヴァルド……!」

ティオとワジは真剣な表情で言った。

「に、逃がすもんですかッ!総員、戦闘準備ッ!火炎放射器及びミサイルポッドの使用も許可する!エルミナ大尉の教えを今こそ見せてあげなさい!」

その時ミレイユは号令をかけ

「イエス・マム!」

号令に頷いた警備隊員はミレイユと共に散開してヴァルドを包囲してさまざまな武器やアーツでヴァルドを攻撃し続けたが

「カカ……ぬるいんだよオオオオオッ!」

ヴァルドは一切傷つかず、棍棒を横に振って衝撃波を発生させ

「きゃああっ!?」

「うわあああっ!?」

衝撃波はミレイユたちを吹き飛ばし、ロイド達をも襲ったが

「―――結界よ、我等を守れ!」

ルファディエルがドーム型の結界を展開して衝撃波からロイド達を守った。そしてヴァルドは跳躍してその場から去って行った。



その後、ロイド達はセティ達にも事情を説明して合流し、ミレイユの部隊と協力しながら広大な樹海を捜索したが……結局、魔人化したヴァルドの姿を発見することはできなかった。そして夜も更けていったん捜索が打ち切られた後……ロイド達は深夜近くに支援課に戻り、キーアが用意していた鍋をつつく気力もなく泥のように眠りにつくのだった……… 
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