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魔女に乾杯!

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84部分:第八十三話


第八十三話

                  第八十三話  フットワーク
「次はな」
 ライゾウが次のメニューについて話しはじめた。
「反復横飛びをしようぜ」
「反復横飛び」
「そう。左右にパッパッて飛ぶあれだよ。あれも凄いダイエットにいいからな」
「それなら知ってるけど」
 だがタロはあまりいい顔をしてはいなかった。
「やるの?」
「勿論」
 ライゾウは大きく頷いて答えた。
「そうかあ」
「どうしたんだい、旦那」
 タロの表情にライゾウも気付いた。
「あまり嬉しそうじゃないけど」
「実はね、あまり得意じゃないんだ」
 タロは浮かない顔のまま言った。
「けれど。ダイエットにはいいんだよね」
「そうだよ」
「それじゃあやるか。仕方ないけど」
「それでこそ旦那だよ。それじゃあはじめるぜ」
「うん」
 タロは頷いた。そして二匹は縦に並んで準備をはじめた。
 そしてまずは右に飛ぶ。次は左に。そして交互に跳んで動くのであった。
「どうかな、旦那」
 ライゾウは四本足で左右に跳びながらタロに声をかけてきた。
「あまり得意でないそうだけれど」
「うん」
 タロは答えた。だが見てみればライゾウに完全に動きを合わせていた。
「やっぱり。あまりキレがよくないね」
「嘘だろ」
 ライゾウはタロが自分に完全に動きを合わせているのを見てこう返した。
「全然凄いじゃないか。それで得意じゃないって?」
「そうだけど」
「冗談言っちゃいけないぜ旦那。それだけ動けリャ得意な方だよ」
「そうかな」
「猫の方が小回り利くのにその猫に合わせられるんだ。大丈夫だって」
「そう」
「ああ、心配はいらないよ。そのうち分身でも何でもできるようになるさ」
「何か忍犬みたいだね」
「旦那だったらなれるかもな、それだけの動きじゃ」
「まさか」
 タロは笑っていたがライゾウは半分本気だった。とにかくタロの動きはそこまでよかったのである。
 三十分程跳んだ後で反復横飛びを止めた。そしてまた次のメニューに備えるのだった。
「次は犬にとっちゃ難しいかな」
「何をするんだい」
「あれさ」
 そう言って上を見上げた。
「あれをかい」
「どうだ?できるかい?」
「やってみる」
 タロも上を見上げていた。そして強い声でこう答えたのであった。


第八十三話   完

              2006・1・19

 
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