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戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~

作者:紡ぐ風
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EPISODE11.人の心はこんなにも弱いけど

「リディアンが─」
「破壊された…だと!?」
響と翼は驚愕する。
「ちくしょう!フィーネに裏をかかれた!」
「オイ!あんた等フィーネの出方を考えていたのか!?」
「当然だろ!俺達を何だと思っている。とにかく、こんな所でモタモタしている暇は無い。すぐリディアンに戻るぞ!」
キョウヤの指示で六人はリディアン音楽院に向かう。

「何…………これ───」
明らかにノイズとは違う何かによって破壊されたであろう跡を見て響は驚きを隠せずに居る中、翼は瓦礫に座っている了子を見つける。
「了子さん!無事だったんですか!」
了子を見て響は安否を尋ねようとするが、
「フィーネ!これはどういう事だ!」
クリスが激怒する。
「やはり、お前がフィーネだったか!」
「キョウヤさん、何を言っているんですか。了子さんがフィーネなわけないでしょ。」
「響ちゃん、現実から目を逸らすな。もしオバハンが犯人じゃないなら、なんでノイズに襲われていない。それが現実だ!」
「キョウヤ・タカナリ、何故気づいた?」
「あまりにもできすぎているんだよ。でっかいタワーにノイズを用意して、基地はもぬけの殻だ。そうなれば二課に出入り出来る客員以外有り得ないんだよ!」
「そうよ。まぁ、あなたの通信機に仕込んだ盗聴器を破壊されたのは計算外だったけど。」
「悪いな。俺は疑いやすい性格でな。」
「ふぅん。私には関係の無い話だけれども。」
了子はそう言うとネフシュタンの鎧を纏う。
「そんな!櫻井女史が!」
「そんなに驚く事であるのか?まあいい。今宵、私のカ・ディンギルで月を穿つ!そう、これこそがカ・ディンギルだ!」
フィーネがそう叫ぶと二課の本部が姿を変え、バベルの搭に酷似した搭、カ・ディンギルが出現する。そして、カ・ディンギルはエネルギーを蓄える。
「なんだよそれ……そんなこと、させるかよッ!-♪Killitr Ichaival tron-」
「我々も行くぞ。-♪Imyuteus Ameno habakiri tron-」
「-♪Balwisayll nescell Gungnir tron-」
「-♪By way Hakujun curse-」
「-♪My brave Seiryu engetuto to now-」
「-♪I have needful Trident to now-」
六人はシンフォギアを纏う。
「俺達は守る!この美しい世界を!」
キョウヤは先陣をきってフィーネに突進するがネフシュタンの鎧の鞭に捕らえられてしまう。
「つまらぬ。このまま引き裂いてやろう。」
フィーネは力を込めるが、
「させない!」
「横ががら空きだ!」
美冷と翼によって鞭は切り裂かれ、キョウヤは回避する。
「二人とも、ありがとう!」
「大丈夫だ。それよりも、フィーネをどうするかだ。」
「決まっているだろう!まずはネフシュタンの鎧を破壊する!そうしないと突破口を開けない!」
キョウヤは再びフィーネに向かってトライデントの刃を放つ。キョウヤに合わせて美冷と翼も攻撃を放つが、フィーネはASGARDで攻撃を防ぐ。
「その程度で私を止められると本気で思っているのか?」
フィーネはキョウヤに向かって歩いて行く。しかし、
「-♪HAHA!さ~あ~it's showtime火ぁ山のよう殺伐rain-」
クリスがCUT IN CUT OUTで妨害をする。
「愚かな真似を。」
「-♪HAHA!さ~あ~お前らの全部 全部 全部 全部 全部~ 否定してやる! そう、否定してやる!-」
クリスは更にMEGA DEATH QUARTETの内三発をフィーネに放つ。
「下らない攻撃を。」
フィーネは鞭でミサイルを破壊する。しかし、
「おかしい。最後の一発は。…まさか!」
攻撃に疑問を持ったフィーネは空を見る。すると、ミサイルに乗ったクリスがいた。
「こっちが本命さ!」
クリスはフィーネが放つ攻撃を綺麗によけながらカ・ディンギルのはるか上、成層圏にたどり着く。
「まさか!カ・ディンギルを止める気か!」
フィーネは驚く。
「私は、私の尻拭いをするだけさ!-♪Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl-」
「何をしている!止めろ!私の悲願が!」
「クリスちゃん!絶唱を使うな!」
「(パパ、ママ、二人がなんで私にこの力をくれたか、やっとわかったよ。パパとママは、この綺麗な世界を守りたかったんだね。)-♪Gatrandis babel ziggurat edeoal Emustolronzen fine zizzl-(パパ、ママ、ありがとう。大好きだよ!)」
クリスはキョウヤの言葉を振り切り絶唱を放つ。クリスは絶唱の力によって周辺にフォニックゲインの塊を発生させる。カ・ディンギルもエネルギーが充填し、そのエネルギーを放つ。クリスはその瞬間を確認して自身の一斉砲撃を放つ。2つのエネルギーはぶつかり合い、互いに譲らぬ勢いであるが、カ・ディンギルの方が威力が上回りクリスに直撃。そのまま月に放たれるが、クリスの絶唱による照射で軌道がずれ、一部を抉る程度に済む。しかし、クリスはイチイバルのギアを破壊され、空から落下して来る。
「クリスちゃん!」
「雪音!」
それを見て響と翼は驚く。
「おのれ、ビームの照準をずらしたのか!ならばッ!」
フィーネがそう言うと、カ・ディンギルは再びエネルギーを蓄える。
「何ッ!?」
「キョウヤ・タカナリ、何を驚く。考えてもみろ。一度撃って終わる兵器など、兵器とは言わない。」
「それじゃあ、クリスちゃんは…」
「ただの犬死にだ。」
響の言葉にフィーネはそう言い響は拳を震わせる。
「しかし、奴も愚かなものだ。一度止めればいいと思いながら、結局やったことは無駄な足掻き。しかも自分は成し遂げたと思い込んで。まったく、愚の骨頂とはまさにこの事!」
フィーネは高らかに言う。
「貴様っ!よくも─」
翼がフィーネにそう言った次の瞬間、
「よくも、よくもクリスちゃんを、命ヲ燃シテ散ラシタ者ノ偉業ヲアザ笑ッタナ!」
響は怒りに身を任せ、ガングニールに肉体を乗っ取られ、身体は黒い靄に包まれる。
「立花ッ!」
「風鳴翼、止めろ!響ちゃんは俺に任せて、お前はフィーネを止めてくれ!限定解除、レリックドライブ!」
キョウヤもレリックドライブを発動し響を止める為に向かい、翼達にフィーネを止めるように指示する。
「翼さん、フィーネはボク達三人で対処しよう。大丈夫だ。鑓が剣に変わったといえど、ボクの指揮は衰えない。」
「私も、自然と安心出来る。きっと、近くにこんな優しい盾があるからだろう。行くぞ!」
翼は千ノ落涙を、美冷は霧型・津々を放つがフィーネは鞭を回転させて弾く。すると、
「そこだぁぁぁ!」
美冷は突進し、フィーネに鑼型・轟々を放つ。しかし、
「そのくらい、見通せるわッ!」
ASGARDを使い攻撃を回避していた。

「-♪It's showtime 待たせたね 俺の出番だ-」
キョウヤは暴走した響を止める為に精一杯の力で攻撃するが、暴走した響は確実に回避して行く。
「-♪焦らないで見てくれ 最高のショーを 護ると決めたからに~は 命賭けるまで-」
暴走した響のストレートパンチをキョウヤは腹部で受け止める。
「ぐっ!-♪俺のステージは常にon timeだぜ! 戦うってことは 護るってこと 信じてくれ 俺はただ君を護りたい!-」
しかし、キョウヤもお返しとばかりに水面蹴りを暴走した響に放ち、
「-♪Gomy way!Go my way! それこそが俺のHero's road! Go my way!Go my way! 護れるならば命は惜しまない 決めたんだ もう二度と この手離さない!-」
その後もキョウヤによる猛ラッシュで暴走した響は手も足も出ず、
「-♪Strike Sagittarius!-」
キョウヤは右腕にトライデントを装着し、一撃必倒のパンチ、ストライクサジタリアスを暴走する響の胸の中心、ガングニールの本体目掛けて放つ。
「そろそろヤバいな。ドライブアウト。」
キョウヤはレリックドライブを解除する。

「-♪何故だ 何故だ何故だ 涙など要らぬのに~-」
一方、翼は逆羅刹を、美冷は旋型・百々を、フォルテは六天魔王をフィーネに放つが、フィーネは華麗に回避する。
「その程度か?今度はこちらから行くぞ!」
フィーネはそう言い鞭を伸ばし翼を狙うが、美冷とフォルテが盾となり翼を庇い、
「翼さん!今です!」
美冷は翼に言う。
「ああ!-♪迸れ!この命尽きるまで 共に見た夢が叶う時まで 奏であった悲しみを取り戻さん 鬼火の制裁にて-」
翼はアーマーの脚部を翼のように展開し飛翔、フィーネの攻撃を回避しながら上空に舞う。
「-♪いざ飛ばん 背負った怒涛の羽根 断罪の天空に舞いて-」
フィーネの攻撃をかいくぐった翼はカ・ディンギルの先端に着く。
「-♪確かめよう 同じ場所には居られない~ だ~か~ら~ 戯れるには飽きた!否ッ!緋の藻屑と消えよ!-」
翼は全身全霊の力で大技の炎鳥極翔斬を放ち、カ・ディンギルを真っ二つに破壊する。しかし、その爆発に翼も巻き込まれてしまう。
「風鳴ッ!」
キョウヤは爆発するカ・ディンギルに向かって叫ぶが返事は無く、キョウヤのヘッドギアから天羽々斬の反応が消滅してしまう。
「くっ、風鳴翼。お前のその勇姿、忘れないぞ。」
キョウヤは惜しむような表情をする最中、
「私の─私達の悲願が、人類の完全なる相互理解が……」
破壊されたカ・ディンギルを前にフィーネはただ嘆いていた。
「フィーネ!お前の計画もここまでだ!諦めろ!」
キョウヤはフォルテ達と合流しフィーネに投降の意を持ち掛けるが、
「許すものか。貴様らは私の逆鱗に触れた。異世界の装者達、三人もろとも生かして帰すものか!」
フィーネは怒り狂い、NIRVANA GEDONを無造作に放ちキョウヤ達が回避する中で素早く移動し美冷の首を掴む。
「美冷ッ!」
キョウヤは反応するが、フィーネは美冷をカ・ディンギルの残骸に投げ捨て、美冷のギアはその衝撃で粉砕され解除されてしまう。
「よくも、俺の女を!」
キョウヤは怒り、フィーネに突進するが、フィーネは鞭を剣のように変え、装甲の無い部分を切り裂かれ、その攻撃によってキョウヤのギアも解除されてしまう。
「キョウヤ、大丈夫か!」
フォルテもキョウヤの惨状を見て、普段の冷静さを失い、傷ついたキョウヤのもとに向かうが
「させるものか!」
フィーネはフォルテの足首を鞭で絡め捕り、瓦礫に打ち付けて白盾を破壊し、引き寄せて腹部を殴り続け、蹴り飛ばしフォルテのギアも解除させる。そして、フィーネはキョウヤの攻撃によってギアを解除され、放心状態になった響の所に向かう。
「それでも、こいつ等よりも許せないのはお前だ、立花響。」
そして、フィーネは響の髪を掴んで持ち上げ、
「下らない善行をべらべら説教がましく押し付けて、そんな幻想は通じるわけは無い。人間は古来バラルの呪詛によって呪われ、手を繋ぐことよりもその手を切り落とす道を選ばざるをえない事態に陥った。私は、その呪いを解き、人類が互いに理解しあい私はその功績をもってあの人に認めてもらう。そのつもりだったのに!」
フィーネは響の腹部を強く殴る。
「さっきから聞いていれば、そんな下らない幻想を。そんなことやってもバビロニアの神はお前を認めない!それどころか神はお前からより遠ざかるだけだ!」
フィーネの言葉を聞いたキョウヤはフィーネに対してそう言うが、
「黙れ!貴様もこの小娘も、恋愛一つ知らない小童が何戯言を喚いている!貴様とて、婚約者だなんだと騒いでいるが、聴けばただの腐れ縁。そんな戯言、聞いて赦せるものか!」
フィーネはキョウヤに近づき響を叩きつけ、そのうえで倒れ込んでいるキョウヤを踏みつける。

一方、その頃─
「緒川さん、なんとか私達の無事を響に伝えられませんか?」
未来は二課のメンバーに尋ねる。
「どうやら予備電力が動いているみたいです。それに、スピーカーも電線が繋がっています。これなら、こちらのパソコンから接続出来ます。」
緒川は未来の質問に応え、スピーカーの電源とパソコンを繋ぐ。

「貴様も、この小娘も、私の愛を理解する気が無いくせにからかい、馬鹿にしたな。許すものか!」
フィーネは更にキョウヤと響を嬲り続ける。そして、響の髪を掴み上げる。すると、
『-♪…………よろずの愛を学べ-』
「ん?これは─」
何かの音を聞き取り、キョウヤは反応する。
「そうか!響ちゃん、歌が聞こえる!響ちゃんのことを思っている人の歌だ!だから、その人達の魂の叫びを聞け!」
キョウヤは響に叫ぶ。
『-♪誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして-』
(歌が聞こえる。とっても暖かい、私の知っている、私の日溜まり。この声、未来の声だ。まだだ私の日溜まりは、帰る場所はある。戦える!」
響の思いは言葉となり、戦意の炎が灯り、フィーネを蹴り飛ばして地面に立つ。
「なんだ、この雑音は!歌か!」
フィーネは聞こえて来るリディアンの校歌を聞き驚く。
「キョウヤさん、ありがとうございます。私、もう迷いません!」
「響ちゃん、もう大丈夫か!-♪I have needful Trident to now-」
「はい!-♪Balwisyall nescell Gungnir tron-」
「-♪Imuteus Ameno habakiri tron-」
「-♪killiter Ichaival tron-」
「-♪My brave Seiryu engetuto to now-」
「-♪By way Hakujun curse-」
響達は聖詠を奏でる。三本の白い光と三本の黒い光は天高く柱の如く輝く。
「何故だ、何故お前は立ち上がれる!異世界の装者達はまだ解る。だがお前の心は確かに打ち砕いたはず。あの歌が原因か?お前が纏うものは何だ?私が授けたものなのか?」
フィーネは立ち上がる装者達に驚きを隠せない。
「よく聞けフィーネ。これが、人の心の、光だぁぁぁッ!」
キョウヤは叫ぶ。すると、響達のギアは輝きを放つ超限定解除状態になる。
「シンンフォギィィヴァァァァァアアアアア!」
響は驚くフィーネに力強く叫んだ。



戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
つづく 
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