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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~不審人物の調査~後篇

ホテルに到着したロイド達はミンネスが泊まっている客室を聞いた後、その客室に向かった。



~歓楽街・ホテル・ミレニアム~



「―――ええ、それではまた明日。今後ともよろしくお願いします。」

客室にロイド達が到着すると扉が開いてそこから青年―――村長の息子のデリックが出てきた。

「おや……あんたたちは。」

「えっと、すみません。アルモリカ村のデリックさんですよね?」

「ああ、その通りだが……俺に何か用なのか?」

「申し遅れました……警察の特務支援課の者です。少しお話をお聞かせ願えますか?」

「……なるほどな。あんたたちは村長……親父の差し金だな?警察まで呼ぶなんて……フン、ご苦労なことだ。」

ロイドの話を聞いたデリックは考え込んだ後、ロイド達を睨んだ後、鼻を鳴らした。

「え、えっとあの……」

「……大体見当はついてる。俺の最近の行動を洗おうって言うんだろう。別に後ろ暗いことをしているわけじゃないんだ。なんでも聞いてみろ。」

(ふむ……意外な反応だね。)

デリックの答えを聞いたワジは小声で言った、

「……では、単刀直入に聞きます。ここ数日、あなたはミンネスさんという方と付き合いがあるそうですが……一体、どういう目的が?」

「……まあ、いいだろう。いまさら知ったところで親父にはどうにもできまい。少し前から、ミンネスさんにはあることについて世話になっている。主に、村の改革についてな。」

「む、村の改革ですか……?」

「そ、そんな大事なことを村長さんに黙って進めているんですか?いくらなんでもそれはよくないような………」

デリックの説明を聞いたノエルは戸惑い、目を丸くしたロイドは尋ねた。

「村長……親父には今まで何度も話したさ。だが、返す言葉は決まって『あるべき姿を見失うな』だの『急激な変化はよくない』だの……だが、現状を維持してもあんな田舎の村に未来があるとは思えない。村を存続させるには、改革が絶対に必要なんだ。親父はそのところを、わかってないんだ……」

「なるほど……そんな中、ミンネスという人物に出会ったわけですね。」

デリックの説明を聞いたティオは納得した様子で頷いた。

「……彼は、親父と違って俺の相談に乗ってくれた。そして、アルモリカ村の養蜂業に大きな可能性を見出してくれたらしくてな。近々、彼と協力して大きな事業を立ち上げる計画もあるんだ。」

「な、なんつーか……途方もねえ話だなあ……」

「フン……俺が話せるのはこの位だ。もういいだろう?そろそろ村に帰らせてもらう。」

そしてデリックはロイド達から去って行き

「あっ……」

「行ってしまいましたね……」

「とにかく……折角ここまできたんだ。ここは一つ、ミンネスという男に、直接会ってみよう。」

「なるほど……色々わかるかもしれねえしな。よし、そんじゃ早速突入してみるとするか。」

ロイド達は扉をノックして、入室の許可を取った後客室の中に入って行った。



「お初にお目にかかります。私がミンネスにございますが……本日はどういったご用件でしょう?」

ロイド達が部屋に入るとスーツを着た中年の男性―――ミンネスがロイド達を見回して尋ねた。

「先程も言った通り……いくつか質問をさせていただこうと思います。ご協力いただけますか?」

「ええ、もちろんですとも。私に協力出来る事なら何なりと………なにか、この辺りで事件でも起こりましたかな?」

「いえ……聞きたいことというのはあなたについてです。あなたがどういった人物なのか、アルモリカ村でなにをしようとしているのか……一通り、お聞かせ願いたいのですが。」

「ほう……?まあいいでしょう。それくらいは詮無きことです。コホン……私はある会社で役員をさせてもらっている者でしてね。仕事内容は、商品開発から営業まで幅広くしております。アルモリカ村へは、わが社……『クインシー社』の重要な取引のため、訪問させていただきました。」

(クインシー社………ああ、あの大手のお菓子メーカーね。)

ミンネスの話を聞いたルファディエルは考え込んだ後ある事に気付き

「え……ええっ!あのクインシー社ですか?」

エリィは驚いた。

「初めて聞く名前だが……お嬢は知ってるのかよ?」

「えっと……クインシー社というのは、外国の有名なお菓子メーカーなの。製菓業界でもかなりの大企業で、確かクロスベルにも商品が輸入されてたと思うわ。ちなみにメヒーシャはそのメーカーのチョコレートのミルク味が好物の一つなのよ。」

ランディに尋ねられたエリィは答えた後微笑み

(くかかかかっ!ミルク味とは可愛いじゃねえか!)

(あら……フフ、ミルク味と言ったら、チョコレートの中でも一番甘い味じゃない。甘い物に目がないメヒーシャらしいわね……)

(フッ……あのメヒーシャが随分と変わったものだ……)

エリィの話を聞いたギレゼルは笑い、ルファディエルは微笑み、ラグタスは静かな笑みを浮かべ

(よ、余計な事を言うな、エリィ!!)

メヒーシャは頬を赤らめて慌てた。

「へ~………あ。そういえば子供の頃、そんなメーカーのチョコレートをよく買って食べてたような……」

一方ロイドは興味深そうな表情をした後ある事に気付いて呟き

「うーん、メーカーなんぞあまり意識して見ないからなあ。」

ランディは考え込みながら言った。



「ふふ、それもまた仕方のないことでありましょう。私自身、この立場にはいますが甘い物は苦手でしてねぇ。昔は本当に疎いものでした。長年営業方面で活躍したおかげで力を認められ、今の地位につかせてもらったわけですが……おっと、話がそれてしまいましたかな?」

(……ますます怪しいわね。大手の製菓業界の営業役が甘味が苦手だなんて。営業をする上で絶対に味の感想なども必要になってくるはずよ。)

ミンネスの話を聞いたルファディエルは目を細めて考え込んでいた。

「あ……い、いえ。こちらこそ失礼しました。……コホン。先程、アルモリカ村で『取引き』と仰いましたね。その『取引き』とは……村長の息子、デリックさんに関係のあることなんですね?」

「何でも、村の発展に関係のあることのようですが……」

「おや……そこまで知っておいででしたか。ふむ、デリックさん自ら情報を解禁したというのなら、隠す意味はありませんな。ふふ、彼とは友好的な関係を築かせていただいております。」

「やはり……」

「詳しく聞かせていただけますか?」

ミンネスの説明を聞いたティオは納得した様子になり、ロイドは尋ねた。

「ふふ、いいでしょう。我がクインシー社は、製菓業界の未来の為、日々研鑽を重ねています。そんな中、私は本社よりある使命を賜って参りました。それは、このクロスベルへのクインシー社の進出、その足がかりを模索することです。」

「つまり……クインシー社の子会社をクロスベルに?」

「ふふ、その通りです。そして、手始めに市内の百貨店にヒントを探しに行った所で……私は出会ったのです。かのアルモリカ村で作られるという、大変質のよい『蜂蜜』をね。」

「蜂蜜……アルモリカ村のレンゲ畑で作られるアレですね。」

「ハロルドさんもその質は保証していたっけ……」

「豊かな自然のもと、代々受け継がれてきたレンゲ畑によって生まれる蜂蜜。それを見た時、天啓の如く新たな製菓ブランドを立ち上げる一つの計画が生まれたのです。その計画名こそ……『アルモリカ・ハニーカンパニー』。」

「アルモリカ・ハニーカンパニー……」

「な、なにやら凄そうな響きだな。」

ミンネスの話を聞いたノエルは呆け、ランディは戸惑った。



「つまりは、アルモリカ村の蜂蜜をふんだんに使用したお菓子を提供していくわけです。しかし、そのためには現地の、アルモリカ村の方々の協力が必要不可欠でした。そこで私は、アルモリカ村の次期村長であるデリックさんに、この話を持ちかけたのでございます。製菓工場の建設、そしてこの新会社の経営をしてみないか、とね。」

「デリックさんにクインシー社の子会社を……!」

「無論、そのノウハウや販売ラインは我が社で用意し、以降、レンゲ畑はこちらのスタッフで管理する……一切のお手を煩わせない、そして村人たちの苦労を減らすという条件を提示させていただきました。」

「でも、工場なんて……いったいどこに建設するおつもりなのですか?」

説明を聞いていたエリィは不思議そうな表情で質問した。

「それに関しては今までの取引で、村の私有地を貸していただけることに相成りましてね。もともと物置程度しか使っておられなかったそうなので、快諾していただきました次第です。」

「確かにその条件なら、話に乗ってくれる可能性はかなり高いだろうね。村の改革を願うデリック君ならばなおさら……まさにあなたにとっても、デリック君にとっても悪い話じゃなかったわけだ。」

エリィの質問に答えたミンネスの話を聞いたワジは静かな笑みを浮かべた。

「フフ、その通り。実際、彼の才能と強い責任感はそれに値するものと感じましたから。……ふふ、私の話はこんなところです。ご理解いただけましたかな?」

「……お話しを聞かせていただきありがとうございます。おかげさまで色々とわからなかった部分に答えが見出せそうです。」

「おや、もう話はいいのですか?」

「ええ、お時間をとらせて申し訳ありませんでした。自分達はこれで失礼させていただきます。」

「いえいえ、何のこれしき。またいつでもいらっしゃってください。どうかお気をつけて帰られますよう。」

その後ロイド達はホテルを出た。



「ふう……なんていうか……」

ホテルを出たエリィは溜息を吐き

「フフ、なんだか凄い話を聞かされてしまったね。」

ワジは口元に笑みを浮かべて言った。

「あのミンネスという男……予想以上の凄腕だったようですね。」

「話は小難しかったが、確かに儲かりそうな話だったし……しかし、ありゃあ……」

ティオの言葉を続けたランディは途中で黙り込み、ロイド達も黙って考え込んでいた。

「……でも、これで一通りの情報は手に入れられましたね。」

「ああ……一旦アルモリカ村に戻ろう。トルタ村長に報告しなきゃ。」

その後ロイド達はアルモリカ村に向かい、村長に今まで手に入れた情報を報告した。



~アルモリカ村~



「まさか……そのミンネスという男、クインシー社の関係者だったとは……そして……『アルモリカ・ハニーカンパニー』か。」

情報を聞いた村長は驚き

「私有地に工場を……そこまで大がかりな計画が進んでいたとは……あのデリックくんが、そんなことを……」

ハロルドは驚いた後考え込んでいた。

「あの……ところでその、デリックさんは?」

「あ……そうね。姿が見えないけど……」

「ホテルですれ違ったときは、村に帰るって言ってましたよね。」

「うむ……実は最近、あまり家にいつかぬようになってしまってな。最近では”トネリコ亭”で部屋を借りているらしい。ミンネスという男も宿を訪れておったようだし、そのために移動したのかもしれんな。おかげで私有地に工場を建てる計画など、毛ほども気づく事ができんかったわい。……情けない話じゃが。」

ロイド達に尋ねられた村長は唸った後答え、溜息を吐いた。

「……どうなんだろうねえ。案外、商人に入れ知恵されて移動したのかもしれないよ?村長に情報が届きにくいように。」

「?」

「ど、どういうことじゃ……?」

ワジの話を聞いたハロルドは不思議そうな表情をし、村長は戸惑いの様子を見せて尋ね

「ま、ここからはリーダーが説明してくれるよ、」

ワジはロイドに視線を向けた。



「あのな……まあいいけど。」

「ロイドさん、何か気になることでもあるのですか?」

「―――あくまで、俺達のカンのようなものですが……あのミンネスという男には、怪しい点があります。」

「何じゃと……!?」

ロイドの話を聞いた村長は声を上げた。

「彼の語った計画は、参加した誰者が利益を得られるものでした。アルモリカ村は新たな産業を得て、クインシー社は将来に展望ある子会社を得る事になる。一見説得力のあるように見える彼の話ですが……如何せん話がうますぎる。……そうは思いませんか?」

「……!い、言われてみれば……」

ロイドの説明を聞いたハロルドは目を見開いて言い

「それに、ミンネスさんは新型導力トラックを安く譲ったりしています。これはいわゆる、『先行投資』とも見る事ができると思います。」

「導力車の新型は、まだまだ高価なのは間違いありませんからね……さすがに5万ミラで譲渡するというのは、あたしも破格すぎる気がします。」

ティオの説明に続くようにノエルは真剣な表情で言った。

「つまり、逆に言えば……必ず代金を回収できる『見込み』がある、ってことになりそうだな。」

「それは……確かにおかしいですね。クインシー社ほどの大企業ならコストを度外視したプロジェクトを進めるはずがありませんから。」

「ふ、ふむ、それもそうか……なんだかキナ臭くなってきおったのう……」

ランディの話を聞いて考え込み、そして話したハロルドの説明を聞いた村長は厳しい表情をした。

「ミンネス氏には、何か別の目的……あるいは必ず儲かるアテがあるのかもしれません。何の証拠もありませんが……念のため、心に留めておいた方がいいと思います。」

「うむ……重々気をつけるとしよう。さて、ご苦労だったな、特務支援課の諸君。おかげでかなり状況を整理できたわい。礼を言わせてもらうぞ。いえ、それはいいんですが……その、大丈夫ですか?何なら、捜査を継続して……」

「いや……ひとまずはこれで結構じゃ。そもそも村の私有地に関しても、勝手な工場の建造計画などを認めるわけにはいかん。あとは村長として、なんとかデリックと話をして説得してみることにしよう。」

「……それがいいかもしれませんね。」

「では、自分達はこれで失礼します。また何かあったらいつでもお呼びください。」

「うむ、そのときはよろしく頼むとしよう。」

その後アルモリカ村を出たロイド達は幻獣の討伐に向かい、苦戦しつつも幻獣を倒した…………… 
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