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牛女

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第五章

 三人はマジック難波店でだ、この日も手伝いに来ていた牧村に会うなり言われたのだった。
「わかったみたいだな」
「いや、何も言ってないですけれど」
「何でそう言えるんですか」
「今日会っていきなり」
「顔に書いてある」
 それでわかったというのだ。
「陰口、もっと言えば人の悪口は言うものじゃないな」
「まさか本当に出て来るなんて」
 苺がその時のことを思い出してだ、牧村に憮然とした顔で答えた。
「思いませんでした」
「何か今も信じられません」 
 莉世も苺と同じ表情で言う。
「大阪で出て来るなんて」
「ほんま殺されるかって思いました」
 最後に薫が言った。
「追いかけられて本屋に出て」
「人の陰口、悪口は言うなって戒めですか?」
 苺はまた牧村に言った、今度は問いだった。
「つまりは」
「そういうことだな、しかしだ」
「しかし?」
「悪口は言っていいものじゃない」
 陰口も含めてだ、牧村は苺達に話した。
「そもそもな」
「言って聞いて心が荒むからですか」
「それよりまだお世辞でもいいことを言った方がいい」
「そういうものですか」
「そうだ、悪いことを思えばだ」
 その分というのだ。
「いいことを言葉に出すことだ」
「それが一番ええんですね」
「そうだ、悪口は心を荒ませるしだ」
 牧村はここでこのこともだ、苺達に言ったのだった。
「また牛女が出て来るぞ」
「わかりました」
「もうあんな目に遭うのは沢山ですし」
「うち等もう絶対陰口、悪口は言いません」
「それがいい。笑う門には福来たるでだ」
 そしてと言うのだった。
「陰口、悪口に禍か妖怪が来る」
「ほんまその通りでした」
 三人は牧村の言葉に頷いた、そして以後陰口も悪口も言うことはなくなった。いつも笑顔でいる様になり牧村の言った分それだけ幸せになれた。


牛女   完


                   2016・7・29 
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