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牛女

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第三章

「ちょっとそこの嬢ちゃん達」
「?うち等か?」
「そうかいな」
「そや」
 女の声だった、大人の。その声がかけられてきたのだ。
「ちょっと話を聞きたいけどな」
「何の話ですか?」
 三人共後ろを振り返った、すると。
 フードのあるマントを着物の上から羽織っていた、そのフードを深く被って顔はよく見えない。着物にフードの格好を見てだ。
 三人は変な格好だと思ったがだ、女に問うた。
「あの、それで一体」
「私達に何でしょうか」
「何か用でしょうか」
「それ何ですか?」
「あんた達最近ずっと陰口言うてるな」
 こう三人に聞いてきたのだった。
「そやな」
「?牧村さんと同じこと言うてるわ」
「ほんまや」
「何でや」
「そら不満はあるわ」
 女はいぶかしむ三人にさらに言った。
「客商売してたらな」
「そやろ、変なお客さん一杯おるで」
「そんな人の接客すんねんで」
「ストレス溜まるの当たり前やろ」
「そら陰口も言うわ」
「それも当然やろ」
「これ位ええやん」
 三人で言う。
「何で牧村さんと同じこと言うか謎やけど」
「まさかお姉さん噂の牛女とか」
「何か陰口が嫌いっていう」
「あはは、それはないやろ」
「ないな、幾ら何でも」
「冗談にしても下手やわ」
 三人の中だけで笑って話した、だが。
 女はその三人にだ、こう言ったのだった。
「その牛女っていうのは」
「?何や」
「何やっちゅうねん」
「ちょっと雰囲気おかしいで」
「こんな顔かい?」
 女はここでフードを取った、すると。
 そのフードから出て来たのは牛だった、完全に牛だった。茶色の毛でつぶらな瞳に角をj生やした牛の顔があった。
 その顔でだ、三人に言うのだった。
「陰口は許さへんで」
「えっ、嘘やろ」
「牛女?ひょっとして」
「本物かいな」
「陰口は人の心を汚すんや」
 牛女は自分を見て驚く三人に言った。
「悪いこと言うて聞いて、こんな悪いことはない」
「いや、そやから」
「これ位ええやろ」
「面と向かって言うてへんし」
「ちゃう、言うて聞くだけであかんねん」
 陰口、もっと言えば悪口はというのだ。
「言うもんやない、そんなん言う奴はうちが許さん」
「許さんっていうと」
「ひょっとして」
「うち等」
「覚悟はええな」
 牛女は全身に凄まじい気を宿ってだ、そのうえで。
 三人に向かって突進してきた、目は真っ赤に光っている。
 その突進と気を見てだ、二人は。
 危険を感じて慌てて逃げ出した、センターにいた苺は左右にいる莉世と薫に言った。
「に、逃げるで!」
「そ、そやな!」
「はよ逃げな!」
 苺の左右にそれぞれいる二人も言う。三人共既に駆けている。
「ほんまに襲ってきたわ!」
「牧村さんの言う通りやったわ!」
「これ洒落にならんわ!」
「牛の角でやられるで!」
「あのスピードで体当たりや!」
「それ受けるで!」
 その角と突進の勢いを見て言う。 
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