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魔女に乾杯!

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43部分:第四十二話


第四十二話

                  第四十二話   姉と妹
「利奈」
 梨花は自分より二つ下の妹を見てその名を呼んだ。
「起きてたの」
「結構音が大きかったからね」
 姉と同じ赤い髪を後ろで編んで束ねている少女はそれに答えた。
「それで起きちゃったの」
 見れば青いパジャマを着ている。それだけで彼女が今さっきまで寝ていたことがわかる。
「そうだったの、御免なさい」
「あ、いいのよそれは」
 だが彼女は姉の謝罪を微笑んで受け止めた。
「だってお姉ちゃんが頑張ってるんだから。仕方ないわ」
「有り難うね」
「いいって、そんなこと。それより魔法の方はどうなってるの?」
「生憎ね」
 梨花は妹の問いに苦い顔をした。
「思うようにいかないわ。残念だけれど」
「そうなの」
「何をどうしたらいいのか。ちょっとわからなくなっちゃってね」
「お姉ちゃんの魔法って土の魔法だったよね」
「ええ」
 梨花はそれに頷いた。
「土の魔法だったら石とかそんなのを使うわよね」
「ええ。それがどうかしたの?」
「他には地震とか」
「それはかなり難しいけれどね」
「お空にいる相手にはあまり効果が期待できないよね」
「そうなのよ。それで困っているのよ」
 梨花は困った顔になっていた。
「ピエールやジュリエッタとも色々と相談しているんだけれど」
「御免」
「御主人様の御力になれないです」
「そうなんだあ」
「どうしたらいいのかしらね。何か凄い魔法があったらいいのだけれど」
「そうだね」
 利奈は首を傾げて考えながらそう応えた。
「凄い魔法かあ」
「何かいい考えないかしらね」
「そうね」
 その考える目が大きくなる。まるで月の様になった。
「魔法を一杯使ったらいいんじゃないかな」
「一杯?」
「うん」
 利奈はそう言って頷いた。だがそのすぐ下ではピエールとジュリエッタが首を傾げていた。
「一杯って」
「どういうことなのかしら」
 二匹にはよくわからなかった。あれこれ考えるがやはりわからなかった。
「あのね、お姉ちゃん」
「うん」
「ちょっと耳を近づけて」
「わかったわ。けれど大きな声は出さないでね」
「わかってるわ」
 梨花は屈んで妹に耳を寄せた。利奈はそれを受けて姉にこっそりとした感じで話をはじめた。


第四十二話   完


                   2005・9・12


 
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