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魔女に乾杯!

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37部分:第三十六話


第三十六話

               第三十六話   先生の昔
 華奈子達は学校が終わるとすぐに町の公園に集合した。皆既に魔法の法衣に着替えている。
「いいわね」
「ええ」
 四人は華奈子の言葉に頷いた。そして箒に乗って先生の家に向かった。
 先生の家は町ではかなり有名である。資産家であり先生はお嬢様として知られていた。学生時代はそれでかなりもてたという。
 しかし先生は別にそんなことを気にはしていない。その頃からおっとりしていたという。今では結婚して子供もいるらしいがとてもそうは見えない。やはりお嬢様然としているのである。
「何が出るかな」
 不意に美樹が呟いた。
「何がって?」
「いえ、先生って凄い魔法使うじゃない」
「そうね」
 梨花が美樹の言葉に頷いた。確かに先生の魔法はかなり凄い。町どころか県でもかなり有名である。子供の頃全国の
コンクールで優勝したこともあるらしい。
「若しかしたらとんでもない使い魔がいたりして」
「とんでもないってどんなのよ」
 赤音がそれを聞いて問うてきた。
「お化けでもいるっていうの?」
「そこまではわからないけどさ」
「何かとりあえず凄いものかも知れないじゃない」
「華奈子ちゃんのわんちゃんやにゃんこちゃんよりも?」
「あれ全然凄くないから」
 華奈子は春奈の言葉に苦笑した。
「犬や猫なんて使い魔じゃ普通だし。驚くこともないよ」
「そうかなあ」
「あたしから見たら春奈ちゃんの亀や蛙の方が使い魔にできるの凄いと思うよ。いや、これ本当に」
「わたしの魔法は水の魔法だから」
 そう言って春奈は謙遜した。
「亀さんや蛙さんは普通に扱えるわよ」
「そんなものかなあ」
「まああまり関係ないかも知れないね。私は風だから鳥を使っているけれど」
「私は蛇と蜥蜴」
「私は兎とハムスター・・・・・・。何かバラバラよね」
「そうなのよね。ほら、先生ってどんな魔法でも凄く上手に使えるじゃない」
「うん」
「だから余計気になるのよ。一体どんな使い魔がいるのかって」
「若しかして二匹とかそんなのじゃないかも」
「有り得るわね」
 四人は美樹の言葉に頷いた。
「ドラゴンとかフェニックスとか」
「まさか」 
 赤音のそれは流石に否定したかった。
「それはないわよ、幾ら先生でも」
「そうそう」
 この世界にはドラゴンやフェニックスも存在する。だが使い魔にするにはかなり難しいとされている。扱えるのは地球でも数人程だという。これでは先生でも扱えるのは無理だと思われた。
「けれど虎とか狼だったらどうする?」
「ちょっと止めてよ」
「まさか」
「わからないわよ、先生の魔力だと。先生って本当に凄いから」
「そうね」
「覚悟を決めるしかないわね」
 五人はうん、と頷き合った。そこで先生の家が見えてきた。和風の大きな屋敷であった。

第三十六話   完


                2005・8・27


 
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