| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔女に乾杯!

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

34部分:第三十三話


第三十三話

                  第三十三話   ヒント
「参ったわね」
 ファルケンが溜息をついた。
「何かいい方法はないかしら」
「あったらとっくに言ってるよ」
 ビルガーがそれに合わせるようにして言う。
「けれど何もないから困ってるんだろ」
「そうなのよねえ」
「どうする、御主人」
 二羽は美樹に尋ねてきた。
「何かいい考えある?」
「私にもないわ」
 美樹は申し訳なさそうにそう答えた。
「あったら自分で何とかしているんだけれど」
「そうよねえ」
「あったらとっくにやってるか」
「うん」
「どうしようかねえ、じゃあ」
「とにかく何でもいいからやってみる?」
「それだとかえってロクなことにならないわよ」
 ファルケンはそう言って相棒を嗜めた。
「訳のわからない魔法になっちゃったらどうするのよ」
「それもそうだなあ」
「ここは御主人に任せるしかないわね」
「結局そうなるのね」
 美樹はそれを聞いて応えた。
「私次第、か。どうしようかなあ」
「とりあえず魔法を使ってみようよ」
「ええ」
 美樹は二羽の言葉に応えて魔法を使ってみた。風の気が彼女の前に出た。
「これをどうするかだね」
「もう一つ出してみたら?」
「うん」
 それに従いもう一つ出してみる。二つになった。
「また出してみたら?」
「ビルガー、あんたねえ」
 ここでファルケンが口を挟んできた。
「滅多やたらに出せばいいってもんじゃないでしょうが」
「けれど何かのヒントになる可能性はあるだろ」
「御主人の魔力の無駄遣いじゃない。魔法使うのにも色々使うのよ」
「これ位は何でもないけれどね」
「あ、そうなんですか」
 それを聞いてファルケンの方が恐縮してしまった。
「けれどねえ、どうしたものかな」
「そうですよね、どうするか」
「何とかならないかな」
「お姉ちゃん、魔法のお勉強してるの?」
 不意に信也の声が聞こえてきた。見れば美樹の側にまで来ていた。
「信也、起きてたの」
「うん。何か庭でお話するのが聞こえてきたから」
「御免なさい、魔法の勉強してて」
「いいよ。ところで面白いこと思いついたんだけど」
「面白いこと!?」
「うん」
 信也は頷いた。そして話しはじめた。

第三十三話   完


                2005・8・18



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧