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真・恋姫無双〜中華に響く熱き歌

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幽州編
  第25話 趙雲と公孫瓚

 
前書き
お久しぶりです!
では、どうぞ! 

 

五胡に対して歌を歌ったバサラは北平に帰るところであった。
その途中でバサラの反対側からなにやら軍隊らしき者達が来ていた。
「おいおい、まだやる気かよ、軍の連中は」
呆れながらそう呟き、赤兎を走らせる。


「ん?あれは・・・」
そう呟くのは白い馬に跨り、先頭を走る公孫瓚であった。
彼女自身も二千の軍を率いて趙雲と合流せんと行軍していた。
「あの赤馬は・・・そうか、あいつが報告のあった男か!
おーい!赤馬に跨ってる者!聞きたいことがある!止まれー!」
公孫瓚はそう呼びかけるが、赤馬の男に止まる気配はない。
むしろ加速している気すらする。
「おいおい、あいつ、なんで止まらないんだ?」
そして赤馬の男は、軍の横を走らせながら、全速力駆け抜けるのであった。
「む、無視された・・・」
ただ、軍の中で一名のみ精神的に落ち込む者がいたが、それは物語とは関係のないことである。

その後、バサラは北平に戻り誠和の店へと戻ってきた。
それを迎えたのは誠和こと張世平であった。
「戻ったぜ、誠和」
「おかえりなさいませ、バサラ殿。
どうでしたかな?」
「それが五胡のやつら、俺の歌をまるで聴こうとしやがらねえ・・・
だけどな、俺はあいつらに俺の歌が伝わるまで、歌い続けるぜ!」
そう宣言するバサラに誠和は
「ええ、あなたならできます、バサラ殿。
例えあの五胡でも、あなたなら歌で分かり合えるはずです。」
笑顔で語る。
「ああ!やってやるぜ!
景気付けにいくぜ!SEVENTH MOON!」
最初に軽快にギターを弾いたかと思えば、重厚な音が響く。
そして、歌が始まる。
まるで、これからが始まりだと言わんばかりに歌う。
そう思いながら、バサラの歌を聴く誠和であった。

五胡の軍勢が北平に現れてから1日が過ぎた。
場所は北平の太守の使う執務室。
そこには北平の太守である公孫瓚とその客将である趙雲がいた。
この2人がここにいるのは訳があった。
「・・・そうか、あの赤馬の男は五胡の間者ではないと、そう言うのだな。」
「おそらくそうでしょうな。少なくとも五胡の軍勢があの男に向けて矢を放つ様子からは仲間のようには見えませんでしたな」
そう、この2人は五胡の軍勢とバサラのことについて話し合っていた。
昨日、趙雲はバサラになぜ歌うのか問いかけ、バサラはそれに答え、走り去ってしまった。
そして、公孫瓚も趙雲の下へ向かう道中でバサラとすれ違うものの、なにも聞くことができなかった。
2人は合流し、軍にはほとんどと言っていいほど損害は無かったが、付近の村はどうか分からない。
そのため、公孫瓚は軍を分け、付近の村々を調査させ、被害が無いかを調べていた。
その後、北平に戻り公孫瓚と趙雲は戦後の処理をしていた。
バサラに対しては部下にバサラを探させ、バサラのことを見つけはしたのだが、
「・・・そして、あの男が居るのがよりにもよってあの『張世平』の家だとはな・・・」
「ええ。あの男に手を出しづらくなりましたな・・・」
2人の話題に出た張世平、真名を誠和、この男が話題に出たのはある理由がある。
それは、この男が幽州において途轍もない影響力があるからだ。
張世平は中華を周りながら行商をしているが、中華の各地に店を出している。
そのために中華の多くの情報を得ており、多くの富を手にしている。
特に中華北部、東部に絶大な影響力がある。
そして、ここ幽州においてもそれは変わらない。
公孫瓚は北平の太守ではあるが、幽州の刺使でも州牧でもない。
北平は五胡との国境沿いで、防衛の観点から比較的多くの兵権を任せられてはいるがそれは兵権に限り、他の権限は刺使や州牧に劣る。
そのため公孫瓚は商人を重用して資金などを工面してもらい、軍事費の足しにしている。
その中でも張世平は公孫瓚にたくさんの援助をしている。
だから公孫瓚はバサラと張世平との関係が分からない今、下手に手を出すのは得策ではないと考えていた。
「まったく、あの男が張世平とどういう関係なのかは分からんが、あの張世平が自宅に匿うくらいだ、よほど親密な仲ということになるな。」
「ですが、分かりませぬな・・・」
「何がだ?」
「あの赤馬の男のことです」
「ああ、そういえばあの赤馬の男は五胡に歌うために出て行ったと聞いたが、なんのためにそんなことをしたんだ?」
「・・・分かりませぬ。
私もそれをあの男に聞いたのですが、
『おれが歌いたいから歌った。それだけだ』
と話し、さらにはこれからも五胡に対して歌うのか聞いたら
『当たり前だ!!』
と言ってのけました。」
「・・・本当に訳が分からないな」
はあ、と溜息をつく2人。
五胡に対して馬に乗り楽器を弾きながら歌う者など、未だかつて聞いたことも無い。
いや、あの男を除いてこれからも出ることは無い、それほどのことなのだ。
「しかし、あの男の馬術は目を見張るところがあります。
あれほどの馬を自在に操り、楽器を弾きながら歌うだけでも至難の技であるのに、一度も弓矢が当たらなかった。
それにあの男がその気になればあの部隊の長の首など容易く取れるほどのものでした。
あのようなこと、私はおろか白佳殿でもできるかどうか・・・」
「お前がそこまで言う程、か・・・」
公孫瓚は趙雲からバサラに対してのことを聞きながら考えこんでいた。
(あの赤馬の男の目的が全然読めない。五胡に歌を歌って何になるというのだ。歌いたいから歌った?
五胡の部隊の長の首を取れる程の馬術を持っているのに?)
「・・・その男のことは今の時点では全然分からない。
取り敢えずはその男を監視しておくにこしたことはないな。」
「それがいいでしょうな。まだあの男の情報が集まっていない現状ではそれが賢明でしょう。
どうするかは情報が集まってからでも遅くはありますまい。
それにあたって白佳殿」
「ん、なんだ?」
「あの男の監視については私に任せてはくれませぬか?」
「趙雲がか?なんでまた?」
「いえ、特に理由はございませぬが、あえて言うなら興味が湧いたといいますか・・・」
そう言う趙雲の顔はなにやら面白そうなものを見つけた子供のようなものであった。
「はあ・・・そう言うなら監視は任せるが、まじめにやってくれよ」
「ふふ、大船に乗った気持ちでおられるがいい!」
そう胸を張る趙雲を溜息をつきながら見る公孫瓚であった。 
 

 
後書き
ありがとうございました! 
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