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真・恋姫無双〜中華に響く熱き歌

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幽州編
  第22話 北平と五胡

 
前書き
お久しぶりです!
では、どうぞ! 

 

馬に乗った兵士らしき格好をした男が馬に乗り少しの時間でも惜しい、そう言わんがごとく駆け抜ける。
それを見た誠和は
「バサラ殿、いよいよ、ですかな」
そう、バサラに話しかける。
「ああ、そうみてえだな」
そう言いながら、ギターを肩に担ぎながら赤兎の方へ歩く。
「バサラ殿」
そんなバサラに後ろから声を掛ける誠和。
バサラは首だけを動かし、後ろを見る。
「行ってらっしゃいませ」
そう言いながらお辞儀をする。
それにバサラは
「ああ、行ってくるぜ」
そう返す。
そしてバサラは赤兎に跨り城門へと駆け抜ける。


そこから少し時間が経ち、北平の役所にて、馬に乗った兵士が役所に入る。
そして、北平の太守公孫瓚のいる部屋へ入る。
「し、失礼致します!」
兵士は勢いよく部屋に入る。
公孫瓚は部下の将軍と話をしていたところであった。
その部下の名は趙雲、字は子龍という。
この趙雲、その武勇を認められ公孫瓚に部下として仕えて欲しいと言ったが、まずは客将として仕え、自分が仕えるに足るかを見極める。
主君に相応しい、そう思ったら仕えよう。
そう答えた。
公孫瓚はこれを了承する。
そして、今では客将ながら軍の訓練を任されるまでになった。
さて、公孫瓚は平時なら兵士にいきなり入室したことに対し注意をするところだが、その尋常ならぬ様子に目を瞑る。
「どうした、そんな慌てて。なにかあったのか?」
「も、申し上げます!この北平から北へ10里(約4km前後)程に五胡の軍勢が現れました!その数およそ2000程と思われます!」
それを聞いた公孫瓚は
「なに!?五胡だと!?
・・・それは確かか?」
とっさに立ち上がり、大声を出す程驚愕した。
「はい!」
兵士は勢いよく肯定する。
「ふむ、ならば我が武を披露する絶好の機会というわけですな。」
そう言い放つのは趙雲である。
「・・・趙雲、今は確かにお前の力は重大だ。頼むぞ。」
「任されよ。なんなら、私1人で五胡の軍勢など蹴散らしてみせよう。」
「はは、今はその冗談も頼もしく思えるな。」
「(冗談などではなく本気だったのだが・・・)
うむ、白佳殿が緊張しすぎのように見えましたのでな、緊張をほぐすためにやらせていただきましたそ。」
「うん、ありがとう。
よし!では、まず騎兵1000を早急に準備させよ!
それらを趙雲に率いさせ、先に鮮卑にあたらせる!
いいか、趙雲?」
「任された」
「よし。さらに2000の騎兵を同時に準備させよ!準備が出来次第私自ら率いて出陣する!急ぎ全軍に伝えよ!」
「はは!」
兵士が部屋から出て全軍に伝えに行く。
だがその後に新たな兵士がまた慌てて部屋に入る。
公孫瓚は
「どうした、何があった!」
と兵士に聞く。
また何か問題が起きたのか?
そう思ったが、兵士の言葉は予想を上回ることだった。
「も、申し上げます!北門から赤い大きな馬に跨った男がなにやら琵琶のようなものを背負い、出ていきました!」
『はあ?』
公孫瓚と趙雲は兵士の言葉に思わず間の抜けた声を出してしまった。
それはそうだろう。
五胡が現れたという方角にわざわざ出ていく者がいるとは思わなかった。
それが武器を帯びているならまだしも、その男は琵琶のようなもの、つまり楽器であり、武器には到底見えない、ということである。
「なぜ通した?もしかしたら五胡の間者という可能性もあるかもしれないんだぞ?
そうじゃないにしても五胡の現れた方へ行くなど、正気じゃないぞ!」
「そ、それが止めようとしたのですが、我々を振り切り走り去って行きましたので・・・」
「はあ〜?!」
公孫瓚は訳が分からないという風だ。
そして趙雲は
「して、その男は見た目以外にはなにか変わったところは無かったか?」
と聞く。
「そ、そう言えば、その男は去り際に、
『よっしゃあ!待ってろよ!おれの歌を聴かせてやるぜ!』
などと言っておりました。」
「歌を聴かせる、だと?」
なにを言っているのだ?
趙雲がこう思うのも無理はない。
この場にいる公孫瓚や報告に来た兵士でさえも理解ができていない。
彼女たちは五胡のことを自己の国に攻めいる蛮族程度にしか思っていなかった。
だが、五胡は強い。
それだけは言える。
公孫瓚はこの北平にて何度も五胡と戦ったが、それを思い知っている。
それは趙雲も報告に来た兵士もである。
だからその男の言動を理解できないのである。
「・・・何がしたいのだ、その男は・・・」
趙雲は思わずそう呟いてしまう。
公孫瓚もなにか言いたそうだが、頭をぶんぶんと振り、思考を切り替える。
「ええい!今はその男のことも大事だが、今は軍の準備を優先しろ!
私も準備をするから、お前らも直ちに行え!」
「は!」
「承知」
趙雲と兵士は返事をし、2人は部屋を出る。
兵士はこのまま準備をするのだろう。
だが趙雲は何かを決めたかのような表情をする。
「・・・すまぬ、白佳殿」
そう呟き、走り去る。

公孫瓚は準備を終え、あとは軍の準備が出来るのを待つだけである。
「よし!さあ、いつでも行けるぞ!準備はまだか!」
そうは言うが、まだ少しかかるであろう。
だが趙雲に率いさせる1000人はもうそろそろ行けるはずだ。
そう思っている矢先に兵士が慌てた様子で部屋に入ってきた。
「・・・今度はなんだ?」
「も、申し上げます!ち、趙雲将軍が単騎で北門より出て、五胡へと駆け抜けました!」
「はあ?!」
まさか!?そんな馬鹿な!?
などと叫びたくなるのを我慢する。
「どういうことだ?趙雲には1000の騎兵を準備出来次第出撃させる手筈なのだが?」
「そ、それが、
『先程北門より1人の男が赤い馬に跨り出て行ったそうだ。
私はこれより単騎でその男を追う。
もしこの男が五胡の間者であるならばこの槍にて突き伏せる。
だが 、間者でなかった場合は我が槍にて救ってみせよう。
お前らの誰かは白佳殿にこのことを伝え、誰か代わりの者に率いて来させるようにしてくれ。
では、頼んだぞ!』
と言い、行ってしまわれました。」
「な、なんだと〜!?」
そう叫んだ後にはあ、と溜息をつき
「仕方ない、代わりの者に騎兵を率いさせる。
厳綱に率いさせろ。」
「は!」
そう返事を返し、足早に去る兵士。
それを見届けてから公孫瓚は
「・・・はあ・・・」
もう一度深い溜息をついた。

場所は変わり、北平から北約10里前後。
そこには五胡の軍勢およそ2000程がいた。
彼らは付近の村を襲い、略奪しようとしているのか一つの場所に留まり、斥候などを放っている。
そして彼らを率いているらしき男に報告が来る。
「ああ?なんだって?」
「で、ですからここから南から赤い馬に跨った男がこちらに迫って来るようです!」
「ああ!?何者だそいつは!?」
「そ、それが初めて見る顔でして、しかも楽器みたいな物を持ちながら馬を走らせてます!」
「はあ?!つまり、武器みてえなもんは何も持ってねえってことか?!」
「は、はい」
そんなことを話していると他の者たちが騒ぎ出した。
「どうした!なにがあった!?」
「み、南から赤い馬に跨りこちらに向かって来ている者がいます!」
「ま、まじかよ・・・」

場所は変わり赤兎に跨りながら駆けるバサラ。
彼は五胡の軍勢に向かいながら笑顔で彼らを見る。
そしてギターを構え、
「へへ!やるぜ赤兎!」
『ぶふう!』
「いくぜ五胡お!!おれの歌を聴けええええ!!!」
 
 

 
後書き
ありがとうございます! 
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