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ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~

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第64話ビフォーアフター激しすぎんだろ!!

2025年5月26日、SAO生還者支援学校

午前の授業が終わって現在オレは屋上で翼と一緒にランチタイムを過ごしている。弾はいつも通り未来の愛妻弁当ならぬカノ弁を未来と一緒にどこかで食べている頃だろう。正直言うと未来の弁当を食って弾が倒れないか心配だったが、どうやら料理下手はとっくに克服出来ていたみたいだな。

「竜の弁当美味そうだな~。ドン引きするくらいの量だけど」

「胃袋の大きさがまず違うんだよ。確かに美味いぜ、義姉さんの弁当」

「何!?龍星先生の美人妻の弁当だと!?羨ましいぞ!あんな美人人妻に弁当作ってもらえるなんて!!」

「人妻言うな。人妻だけど」

オレが今食ってる弁当は義姉さんが作ってくれた7段重ねのお重だ。中身は唐揚げや海老フライ、ポテトサラダにおにぎりにパン。ナポリタンやその他炭水化物もあるな。しかも一番下にはおはぎがギッシリ敷き詰められていて、味噌汁の入ったポットもある。オレの大食いを知っているのか、こんな端から見たら大袈裟なボリューム弁当を作ってくれた。
オレが弁当を食い終わったところで翼の顔を見るとーーー何だか顔色が悪かった。何でか弁当が半分近く残ってるのに食い過ぎたみたいな顔してるし。

「大丈夫か?」

「お、おう・・・大丈夫だ。それより・・・」

大丈夫じゃねぇだろ、メチャクチャ苦しそうだろうが。心の中でそう思っていたら翼が鞄から何かを取り出してきた。これはーーー雑誌?いや、写真集か?

「ジャーン!!買ってきたぜ!!『週刊サーキュラー』最新号!!」

「何それ初めて見た」

「まあSAO事件の最中に発売開始したからな」

へー、SAO事件の最中にこんなのが発売されたんだ。どこの出版社だ?え~っとーーー『終焉社』。確か父さんの職場だったな。つーか社名縁起悪っ。
それよりこの『週刊サーキュラー』という雑誌、グラビアアイドルや読者モデルのグラビアが多いな。完全に青年誌だなーーー

「ん?この子・・・」

「ああ、オレその子のファンでさ~!デビューしたての時から必ず売れると思ってたんだよな~!見てみろよ、この子のプロフィール!」

え~っと、この濡れたブラウスを着て上目遣いをしてるグレーの髪の子ーーーB85、W59、H70のって違うそこじゃなくて。年はオレと同じ16歳、家が武道の道場って、コイツやっぱりーーー

「木霊ァァァァァァァ!!?」

「おう、南雲木霊ちゃんっていうんだぜ」

「んなこたぁ知ってらァァッ!!オレの幼馴染みだ!!」

「何ィィィィィィィ!!?」

オレの幼馴染みで亜利沙の従姉、南雲木霊。お母さんが日本人とロシア人のハーフで、オレがチビの頃通ってた道場の師範の娘だ。一応同じ小学校に通って、卒業してからあんまり会ってなかったから顔を見るのも約4~5年ぶりか。どうやらグラビアアイドルとして出てるみたいだな。というかビフォーアフター激しすぎんだろ!!当たり前だろうけど昔は断崖絶壁だったぞ!!

「・・・いや待てよ?そうか。だからメール返信来なかったのか」

「お前メアド知ってんの!?」

「まあな。SAOクリアしてからメール送ったりしたけど、忙しかったからかな」

「お前いいなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

このやかましい奴は放っておこう。とにかくようやく府に落ちた。オレが現実世界に帰還して、しばらく経ってからメールを送ったけど返信が来なかったのは仕事が忙しかったから。それか携帯電話の電池が切れていたから。他にもメアドを変えたって線もあるが、それなら納得出来る。でもアイツ、オレたちとは別の世界にログインしちまったんだなーーー

デーデン・・・デーデン・・・デーデン・・・

「うおっ!?何だ!?なんかジ○ーズのBGMが聞こえるぞ!?」

「あ、悪い翼。オレのスマホだ」

「着信音かよ!!!」

着信音だよ。そんでもってオレがこの着信音に設定した奴は一人しかいない。それはーーー

【デーデン・・・デーデン・・・ピッ!・・・もしもし、竜?アタシ・・・覚えてる?】

「忘れるわけねぇだろ。ひさしぶりだな、木霊」

【よかった!覚えてたんだ!スマホの電池切れてたからメール来てたの気付かなかったから、随分返信遅れちゃった!】

そう。今手に持っている写真雑誌に載っているオレの幼馴染み、南雲木霊。声を聞く限り、思ったより元気そ「その電話木霊ちゃんか!?代わってくれ!!な!?な!?いいだろ!?」ーーー

「あーもううるせぇ!!ちょっと黙ってろ!!」

「げふっ!?」

【え!?何!?今の誰!?】

「あー悪い。オレのダチだ。お前のファンでな、興奮してうるさいから黙らせただけ。大丈夫だ、問題ない」

【その人逆に大丈夫!?】

心配ご無用、全くもって問題ない。

「なあ、師範・・・おじさん元気にしてるか?武道の事で話したい事があってな・・・」

【あ、え~っと・・・】

ーーー何だ?木霊、何か歯切れが悪いーーー

【竜、学校終わったら時間ある?家に来てほしいんだけど・・・】

「・・・分かった。終わったらすぐに「行くのか!?幼馴染みだからっていいのか!?」すぐに行くからそれまで待ってろ!!!」

「グヘェッ!!」

【うん。お願いね・・・】プツッ、ツー、ツー

電話が切れたーーー師範の話になったら急に歯切れが悪くなって、影が指した木霊。アイツーーー何があったんだ?

「・・・っと、昼休み終わる!」




******




放課後、オレは家にまっすぐ帰らず和風建築の木霊の家に来た。前に和人の家に行ってその隣に建っていた剣道場を見たが、ここはそこより少し大きい。まあチビの頃から通ってたし、分かりきった事かな。
オレは道場の住居の方の玄関のインターホンを鳴らして、家の中から聞こえた足音に耳を傾ける。

「はーい・・・竜ちゃん!ひさしぶりじゃない!」

「おひさしぶりです。おばさん」

「こんなに大きくなって・・・木霊から話は聞いてるわ!上がって上がって!」

オレを迎え入れたのは木霊のお母さんだ。オレを含めた門下生たちが道場にいる間、みんなの食事を一人で作ってくれてた縁の下の力持ち。おばさんが師範の家に嫁入りしたんじゃなくて、師範がおばさんの家に婿入りしたってのは驚いたけど。
そう思いながらおばさんに連れてこられた部屋のふすまの前でおばさんと別れて、オレがふすまを開いた部屋にはーーー昼休みに翼に見せてもらったグラビア写真集のように大人に成長した木霊がいた。

「ひさしぶりだな。木霊」

「竜ゥーーー!ひさしぶりーーー!!」

「おうっ!?」

オレの顔を見て叫びながらオレにフライングタックルという形で抱きついてきた木霊をどうにか受け止め、オレは体勢を維持出来た。写真集の通りだな、こんなに感触がーーーいや、そうじゃなくて。

「お前幼馴染みとわいえ、仮にもグラビアアイドルが男に抱きついていいのか?」

「大丈夫!うちの事務所は放任主義だから、恋愛だって問題なし!!」

いや、事務所の主義では問題なくても世間的にはマズイだろーーー

「木霊、おじさんは?」

「・・・」

早速ではあるけど、本題に入る。木霊がオレを呼び出した理由、おじさんにーーー師範に何かあったのかは木霊の反応を見れば一一目瞭然だ。師範に一体何がーーー

「お父さん、ね・・・

























行方不明なの。突然、いなくなっちゃった」

「・・・え?」

師範がーーー行方不明?まさか、あの人が家族をおいていなくなるなんてーーー

「元々自由気ままな父親だから、もしかしたら新しい技でも開発してるんじゃないかな。そういえば言ってたっけ、『熱が冷めやがったバカ弟子どもを、また熱くしてやる」・・・って」

「・・・案外そうかもな!」

あの人はオレたちバカ弟子や家族の事を第一に考えてくれる、口は悪いけどいい師範だ。多分冷めきったオレたちバカ弟子を燃え上がらせてくれる大技を編み出して帰ってくるだろ。その時オレは、また師範に教えを乞うためにーーー身体、早く戻さねぇとなーーー

「ほら、コレ。お父さんが『オレがいない間に竜が来たら渡せ』って」

「ん?何だそれ?」

木霊が渡してきたのは、師範からの預かり物のーーー

「特訓メニュー?」

「『冷めてったバカ弟子の中で一番酷かったのは竜だから、来たらそれをやらせて鍛えさせろ』・・・ってさ」

確かにオレは左腕をなくし、武道から離れていった。自分の周りにあった物から離れていった。距離を作った。でも師範はオレがまた武道を始めるのを待っていたんだ。諦めなかったんだ。師範ーーーオレ、あんたの弟子になれてよかったよ。

「頑張るよ、オレ・・・」

「うん!サボらず毎日やりなさ「木霊もヌードでカメラに撮られる仕事頑張れよ♪」はっ!?ヌードなんて一度もなかったわよ!!あとグラビアアイドルってあんたが思ってるような変態っぽい仕事じゃないからね!?/////」

ヌードは言い過ぎたけどほぼ裸なのは確かじゃん。おまけに濡れて少し透けてるブラウス着て写真撮ってれば嫌でもそう思うっての。
最終的にオレは木霊に『出てけぇーーーっ!!』と怒鳴られながら追い出された訳だけどーーー元気そうでよかったなーーーあれ?何か忘れてるようなーーーあ!!

「翼サイン頼まれてたの忘れてた・・・」

アイツにとってはこれ以上ないサインゲットのビッグチャンスだったのに、すっかり忘れてたーーーま、いっか。 
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