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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第3章:再会、繋がる絆
  第54話「これが私の運命」

 
前書き
ちなみにジュエルシード25個同時発動とありますが、一つ一つの出力が少なくとも原作の3倍以上になっているので、優輝たちの全力砲撃に対抗できたという設定です。原作通りの出力ならあれで封印できています。(ついでに司にトラウマを植え付けてる。)
 

 




       =優輝side=



  薄々感づいてはいた。老人が言っていた“男女二人”。
  その二人が、僕の両親だって事は、状況から考えて当然だった。

  ...でも、それでも、こうして生きていてくれたのは、本当に嬉しかった。

「(....って、今はそんな感傷に浸ってる場合じゃない!)」

  再会を心から喜びたい所だけど、状況が状況だ。
  そうこうしている内にも、また閃光が一筋。

「っ、穿て!」

〈“stoß(シュトース)”〉

  また直撃コースなので、対抗するようにシャルで刺突を繰り出す。
  ただ突くのではなく、閃光の中心に当たるように突く。

「優輝!」

「ぐっ...クロノ!もっと遠くへ避難させてくれ!ここも危険だ!」

  なんとか凌ぎきり、クロノにそう叫ぶ。

「優輝、なんでここに!?」

「母さん、父さん。話は後!集落の人達を避難させて!」

  驚く両親にもそう言って、避難を任せる。
  ...閃光はある程度ランダムにばら撒くように放たれている。
  だからと言って、またここに命中するかもしれないから、急がないと...!

「早く!!」

「っ、こっちへ!」

  催促するように言って、クロノはすぐに行動を起こす。
  その間にも、閃光は何度も迸る。幸い、直撃はしていないが。

「『エイミィさん!誰かやられてたりは!?』」

『...だ、大丈夫!皆なんとか避けてるよ!』

  誰もやられてない事にほんの少し安堵するも、事態は何も好転していない。
  むしろ、司さんが助けられる事を拒絶してああなったから、悪化している。

「(なぜ、司さんは助けられるのを拒んだ?....いや、大体は分かっている。元々あの瘴気は司さんの負の感情によって生じたモノ。あれほどまでの負の感情と、自分を責めるような言葉...。)」

  それはまるで、自分は死ぬべきだと言っているみたいだった。

「(冷静になれ!緋雪の時のように、一人で突っ走る必要はない!今はただ、あの瘴気をなんとかして司さんを助け出す事を考えろ!)」

  もう、緋雪の二の舞のような事を起こしたくない。
  だから、必死にあの瘴気の対処法を考える。

「(今のあの瘴気は最初よりもだいぶ強化されてしまっている。司さんの意識はあるけど、救助を拒絶。無事でいるのかも分かっていない。...そしてなによりも、僕らの一斉砲撃をアレは相殺した。)」

  避難しているクロノ達に当たらないように、閃光を逸らす。
  思考と行動を別で行いながら、さらに思考を加速させる。

「(...だけど、少し考えれば、相殺さえされなければ通じる可能性はある。むしろ、あれは防衛機能の一端として相殺してきたんだ。通じる確率は高い。)」

  だけど、どうやってそれほどの威力を叩き込むかだ。

「(さっきと違って、攻撃が苛烈になってしまっているからさっきのような一斉砲撃は不可能。だから、一瞬であれに近い威力を出さなければ...!)」

  もう一度飛んできた閃光を、シャルで上になんとか逸らす。
  やる事は決まった。後は、その手段...!

「『エイミィさん!皆の各状況は!?』」

『えっと....椿ちゃん以外、自分の事に精一杯みたい!今は大丈夫だけど、このままじゃ...!』

  エイミィさんからの状況報告に、僕はさらに思考を加速させる。
  動けるのは椿のみ。正しくは椿と葵のみ...か。
  僕の手元にはメタスタス。これがあれば回避も接近も容易だが...。

「(とにかく、今の攻撃は全て防衛機能によるもの。なら、一度全員を退避させるか。)」

  今の僕になら、それは可能だ。
  どの道、攻撃を避けるのに精一杯なんだ。一度退避した所で変わらない。

「『クロノ!一度全員を攻撃の範囲外に退避させる!いいか?』」

『っ、ああ!その方がいいだろう。皆がまだ落とされていないのが奇跡な状態だからな!』

  クロノに一応聞いて、許可が入ったので行動に移す。
  もうクロノ達も相当遠い所まで行ったので庇う必要もないだろう。
  ...あそこにいる面子でも閃光は防げるし。

「『エイミィさん、アリシア!一番危なそうな奴から回収していく!そっちから教えてくれ!』」

『分かったよ!』

『了解!』

  まず、攻撃範囲の確認をして、どれくらい離れればいいか確認しておく。

『っ、はやてちゃんが!』

「『了解!』」

  自分の事で精一杯で、誰かを護れる状況じゃないのなら、やはり一番ピンチなのははやてだったか。
  後方から広域殲滅魔法で戦うスタイルだから、あまり回避も上手くないしな。
  なのはの場合は移動砲台みたいなものだから、幾分かマシなのだろう。
  ...と言っても、時間の問題か。

『ああっ!なのはもやばいよ!』

「『って、考えてる傍から...!』」

  はやてを捕まえるように転移に巻き込み、なのはも連れて範囲外へと逃げる。

「な、なんや!?」

「えっ!?」

「一時撤退だ!それ以上アレに近づくなよ!」

  戸惑う二人を置いて再び通信を繋げる。

「『次!』」

『次は...ヴィータちゃん!』

『後、アルフも危ない!』

  ずっと陽動していて動きが鈍ってきていたヴィータと、同じく疲弊した上にフェイトのように回避が上手くないアルフがやばいらしい。
  当然、すぐさま転移して助け出す。

  その後も、危ない人から助けだし、最後に椿を連れて一時撤退を終わらせる。

「っ...はぁっ、はぁっ、はぁっ...!」

  メタスタスの使用には微量とはいえ、魔力を使う。
  さらに転移は一応体に負担が掛かるらしく、それで僕は大きく疲弊していた。

「(一応、クリム・オスクリタも回収したかったが...。)」

  元よりそいつを捕まえるためにここに来たので、そいつも回収したかった。
  だが、吹き飛んだ場所にそいつはいなかったため、仕方なく諦めた。

「(逃げたか...。)」

  単身でも、転移魔法が使えたのだろう。
  緊急時だからって、後回しにしたのが間違いだった。

「(いや、今はそれよりも....。)」

  ジュエルシードの方を見据え、思考を巡らせる。

「(防衛機能による迎撃は、僕らの一斉砲撃をも相殺する。故に遠距離からの攻撃ではあの瘴気の突破は不可能と見ていい。だからと言って、接近しようにも...。)」

  あの触手と閃光を避ける、もしくは防ぎながら接近するのは至難の業。
  ....だけど、それは僕と椿と葵以外での話だ。

「(...僕と椿であの瘴気を破れるか?....いや、破れなければ意味がない。)」

  しかし、問題なのは瘴気そのものの耐久度だ。
  一斉砲撃は相殺されたから不明....いや、一応余波で瘴気は削れていた。
  つまり、一斉砲撃の余波に近い威力ならば確実に瘴気は破れる。
  まぁ、肝心の威力が分からないから耐久度については結局分からず仕舞いだが...。

「....試してみるか。」

  メタスタスで瘴気の目の前に転移しようと、魔力を込める。
  その瞬間。

     ―――ザザザザザ!!

「が...!?」

  耳障りなノイズのような音が響き渡り、転移が出来なかった。

「優輝!?」

「...メタスタスの転移が...拒絶された....!」

  どうやってロストロギアによる転移を防いだかは分からない。
  だが、転移が拒絶されたのだけは分かった。

「くそっ...反則すぎる...!」

  なんの根拠もない推測だが、ジュエルシードと負の方向に働いている天巫女の力が原因となっているのだろう。
  ...ロストロギアに対抗できるのは、ロストロギアだけってか...?

「...ますます近づけないな...。」

  自力で接近となると、本格的に僕と椿でしか攻撃できそうにない。
  僕と椿で、接近した際に放て、尚且つ瘴気を破れそうな魔法は...。

「....椿。」

「...一つだけよ。それ以外は隙が大きいわ。」

  椿に確認すると、一つだけあると答えてくれる。
  ...僕も隙や溜めの関係上、使える魔法は一つだけか...。

「(...魔力はそこらじゅうにある。体もまだ大丈夫。後は...。)」

  ふと、魔力反応が近づいてくるのを感知する。
  この魔力は....。

「クロノ。集落の人達は?」

「あっちに残っている者で十分と判断した。...こっちの方が重要だからな。」

  なるほど。あっちは大丈夫だから助っ人に来てくれたのか。

「...一応聞くが、アレを突破して接近する事は?」

「...無茶を言わないでくれ。命がいくつあっても足りなさそうだ。...まさか。」

  冷や汗を流しながら僕の問いに答えた後に、僕がやろうとしてる事を察する。

「...それ以外に方法はない。遠距離だと、相殺された上に反撃を受けるからな。」

「確かにそうだが....。」

  クロノは周り...皆を見渡し、少し考える。

「...行けるのか?」

「確証はない。だけど、それしか今の所方法がないのも確かだ。」

「そうか...。」

  一体脳内でどれほど悩み抜いたのか。
  苦虫を噛み潰した顔で、クロノは言葉を紡ぐ。

「...僕らでできる事は?」

「反撃の事を考えると、援護射撃はむしろ邪魔かな。」

  僕と椿に任せるのは不安なのだろう。僕だってクロノの立場なら不安だ。
  だから、せめて何か助けになろうとクロノは言った。...が、あまりできる事はない。

「...だけど、クロノのあの凍結魔法...エターナルコフィンだったか?あれなら、一度だけであればちょうどいい援護にはなる。」

「なるほど...。」

  あの魔法であれば、触手の動きを制限できるはずだ。
  他の魔法と違って、凍結させるからな。

「だが、発動まで時間がかかるし、なによりここからでは届かない。....護衛がいるな。」

「そうか....だが...。」

  あの魔法は広域殲滅魔法に分類される。
  つまり、座標の指定などから、発動までは動けないのだ。
  だから、その間クロノを護る人材が必要なのだが...。

「(防げる...もしくは相殺できる人物は...なのはと織崎とザフィーラか....。くそっ、ユーノがいればもう少し楽になったのに...!)」

  ユーノの防御魔法は盾の守護獣であるザフィーラに匹敵するほどだ。
  だから、ユーノもいればだいぶ楽になっただろう。

「...とりあえず、クロノの護衛として...なのは、織崎、ザフィーラ。...この三人がついてくれ。」

  なのはと織崎は相殺ができ、防御力も高い。ザフィーラは防御魔法で防げる。
  この三人以外は疲弊しているのもあるが、ちょっと条件が足りない。
  だから、この三人が最も適している。

「クロノもそれでいいか?」

「ああ。僕もこの三人が適していると思った所だ。」

  クロノからも同意見が貰えた。
  ちなみに、残りの全員で護衛に当たればいいと思うが、やはりアレは防衛機能であるため、人数が多いほど攻撃が苛烈になるようだ。
  先程全員を回収する際に分かった事だ。

「よし、ならそれで行こうか。」

「...皆、異論はないか!?」

  クロノが周りに聞くと、皆は特に反論をしてこなかった。
  唯一織崎だけ相変わらず僕を敵視していたが、案には異論はないらしい。

「では、今言った通りに....作戦開始!!」

  クロノの掛け声と共に僕と椿が範囲内に入る。
  途端に触手が迫ってくるが、まだ遠いため軽く躱す。
  横目でクロノの方を見れば、あちらも援護できる位置に移動していた。

「(この防衛機能は、一番近い者を優先して排除しようとする。...まぁ、司さんが拒絶しているのだから、当然だな。)」

  つまり、援護が入るまでは僕らでもおいそれと間近まで接近できないと言う事だ。
  おまけに、その後は一撃で司さんまでの道のりを切り拓き、助け出さないといけない。

「(それを成すのは...至難の業!だけど、そんなのは元より承知!!)」

  隣を同じように駆ける椿を横目で見る。
  彼女と葵は、この程度の逆境を何度も乗り越えてきたんだ。
  それに、前々世の僕だってそうだった。
  ...今更過ぎるんだよ!この程度!!

『いやっ!!来ないで!!』

「っ...!!」

  司さんの拒絶の念話と共に、さらに触手と閃光が殺到する。
  だけど、それを僕らは悉く躱す。

「(距離...約300m!カートリッジは...まだまだある!)」

  椿と隣り合って走っているが、互いに避けるのを阻害する事はない。
  椿たちと共に暮らすようになってから、何度も連携は取っているからね。

『優輝!行くぞ!』

「『了解!』」

  クロノから合図の念話が発せられ、その瞬間、背後から魔力が迸る。
  命中した対象及び近辺の物を凍らせるその魔力は、途中で触手に迎撃される。
  だが、そこから一気に辺りを凍結させ、一種の道が出来た。

「(よし!これなら...!)」

  行ける。そう確信して駆け出そうとした瞬間、脳内に声が響き渡る。

『....優....様....。』

「っ....!」

  つい驚いてしまい、躱す動作が少し大きくなってしまう。
  エイミィさんからの通信よりもひどいノイズが混ざった念話。
  声が途轍もなく聞き取りづらかったが、確かに念話として聞こえた。

『優輝さ....。どう......どうか...マ...ターを....。』

「(この声...まさか!?)『シュライン!!シュラインなのか!?』」

  攻撃を躱しながら念話に答えようと、こちらも念話を発するが通じない。

『....後は任...ます...。貴方に賭けましょう...マスターを、頼みます。』

「シュライン!っ....!」

  最後だけはしっかりと聞き取れた。
  僕を信じて、シュラインは司さんの事を任せてくれた。
  なら、その想いに応えなくちゃな。
  そう思って加速しようと足を踏み出した瞬間...。

『来ないでって....言ってるのに!!』

「なっ....!?」

  司さんの叫びと共に、今までとは比較にならない密度で閃光と触手が迸る。

「(っ...!今更引けるか!これぐらい...!)」

  弾幕のように迫りくる触手と閃光。
  どれか一つに掠ったりして減速すれば、たちまち蜂の巣にされてしまうだろう。

「っ、しまっ....!」

  だけど、さすがの密度に僕でも躱しきれず、思わずシャルで逸らしてしまう。
  それだけで、ほんの少し減速してしまった。

創造(シェプフング)....!間に合わな...っ!?」

  次々と迫る触手に対し、大きな剣を創造して串刺しにして凌ぐ。
  しかし、閃光は防げないし、なによりも物量の差がありすぎる。
  そのまま押し切られそうになって....。



   ―――“弓技・閃矢”

「っ...!!」

「行きなさい優輝!!」

  黒い閃光が、白い閃光を纏った矢で逸らされ、触手は打ち消された。
  振り返れば、そこには椿が弓を構えて立っていた。

「っ...任せた!!」

  瘴気を破るための戦力は削がれた。
  だけど、このままだとどちらもやられていたのだから、この判断は合っている。
  後ろは、椿に任せよう。

「っぁ....!!」

  躱す躱す躱す躱す。跳び、しゃがみ、横に避け、さらに走る。
  当たりそうになる攻撃は、椿が落としてくれる。
  だが、近づくにつれさらに攻撃の密度は高くなり...。

「...一種の壁かよ....!」

  瘴気の前に、切り拓かなければいけない程の触手が、そこにはあった。
  そして、それらは一斉に僕に迫ってくる。

「だが....!」

  すぐさま驚いていた思考を切り替え、魔力の結晶を投げつける。
  ...術式は知っている。何度も見たし、何回か受けた事もある。だから、使える。

「....爆ぜろ!!」

〈“Zerstörung(ツェアシュテールング)”〉

  僕の声とシャルの音声と共に、触手の壁が爆ぜる。
  それに誘爆するように、魔力の結晶も爆発する。

「(これで...“詰め”だ...!)」

〈“Lævateinn(レーヴァテイン)”〉

  そしてさらにシャルを大剣に変え、さらに切り拓く。

「(瘴気までの道は拓けた...!これが最初で最後...!!この先勝機は二度と来ない!!)」

Explosion(エクスプロズィオーン)

   ―――ここで...救い出す!!

  カートリッジを込めてある全弾ロードし、リヒトを槍の形に変化させる。
  そして、魔力を込め、魔法を発動―――

「っ....!?」

  しかし、そこへ煌めく黒い光。...あの閃光が瘴気から発射されそうになるのを見る。
  不味い...!今は攻撃の体勢。躱す事は、不可能...!

「(一手....届かな....っ!)」

     ―――キィイイン!!

  発射され、僕に当たると確信した瞬間、僕のすぐ横を朱い閃光が駆け、閃光を打ち消す。

「っ.....椿....!」

  振り返れば、触手などによる攻撃に晒されながらもこちらに弓を向けている椿がいた。
  さっきのは椿による“弓技・朱雀落”だろう。
  助かった...!これで....届く!!

Heilung(ハイルング),Stärkung(ステァクング),Beschleunigung(べシュロイニグング),Synergismus(ズネギスモス)...!〉

「ただ一点を...貫く!!」

   ―――“貫く必勝の魔槍(ブリューナク)

  リヒトから放出された金色の魔力が巨大な槍と成り、瘴気を穿つ。
  瘴気を破った手応えを感じ、そのままその魔力を解き放って孔を広げる。

「司さん!!」

  間髪入れずに身体強化を施し、その孔に飛び込んでいく。
  内側だからか、瘴気による攻撃もない。だが、弾きだそうとしてくる。

「...優...輝.....君.......。」

「今...そこに...!」

  瘴気によって押し戻されそうになるのに、必死に抗う。
  身体強化を施し、限界まで力を振り絞り、中心地にいる司さんに近づく。

「いいよ...私は、ここで....。」

「ふざけるな!そんな事....っ....!」

  さらに押し戻されそうになるのを、何とか踏み留まる。

「...ダメなんだよ...。どんなに誤魔化しても、どんなに押し殺しても...。」

「なにを....!?」

  虚ろな目のまま、司さんは僕に手を翳す。
  途端に、押し戻す力が膨れ上がる。

「どんなに取り繕っても...結局、私は....!」

「がっ...ぐぅ....!」

  暴風のように押し戻そうとする力に、ギリギリで僕は踏み留まる。
  だけど、司さんの負の感情はさらに膨れ上がっていく。

「私は!皆に...ずっと皆に迷惑ばかり....!」

「そ...は....!」

  “それは違う”と否定しようにも、声が届かない。
  くそ...!声さえも拒絶されてる...!

「これが...私の運命...結局、皆に迷惑を....。」

「司..さ.....!」

「だけど....。」

  ふと、こちらに顔を向ける司さん。
  手を差し伸べ、それを手に取ってくれるのかと、一瞬思うが...。

「...それだけは...皆に迷惑を掛ける事だけは....!」

「司..さん...?」

  刹那、さらに押し戻す力が膨れ上がる。

「ぐっ...!?ぁああああ!!」

「.....せめて、迷惑を掛けずに....。」

  離れて行く。そんな感覚に陥った僕は、リヒトを振い瘴気を少しでも祓おうとする。
  そうして無理にでも近づき、一歩強く踏み出して手を伸ばす。

「っ.....司さん!!!」

「........!」

  手が届きそうになり、司さんは虚ろなまま目を見開く。
  届く!そう確信して、さらに手を伸ばして....。









「―――え....?」

  司さんの姿が掻き消える。
  代わりに握られたのは青い菱形の宝石...ジュエルシードだった。

『こうなるのが...私の運命...。だから...もう、来ないで。』

「っ、がっ...!?」

  聞こえた司さんの声と共に、押し戻す力だけでなく、圧迫する力も発生する。

「(このままでは...押し潰される....!?)」

  身体強化しているので、辛うじて耐えているが、このままでは体が持たない。

「(転移魔法...発動する暇がない!瘴気を切り拓く...?ダメだ!とてもじゃないけど切り拓く余裕はない!このまま耐える....?それこそ死に一直線だ!)」

  万事休すか...そう思って力を抜きかけた瞬間、思い出す。

「っ、これ...だっ!!」

  一際力が強くなった瞬間、ある物に魔力を通す。





「っ、がはっ...!」

「優輝!?」

  後ろに吹き飛ばされながらも、脱出できた事を認識する。
  横から驚いたような声...これは椿か...。

「(メタスタスがなければ、死んでいた...!)」

  そう、あの瘴気の中で使ったのはメタスタス。
  外から中に転移するのは無理だったが、中から外なら可能だった。

「優輝!どうなったの!?」

「...最悪だ...!拒絶の意思が強すぎる...!助け..出せなかった...!」

  周りを見れば、そこは防衛機能の範囲外だった。咄嗟の転移でここに来たか...。
  瘴気の方を見れば、これから何か起きるとでも言いたげな程、脈動していた。

「もう一度...!」

「無茶よ!さっきのでも精一杯だったのに....!」

  引き留めようとしてくる椿。だけど、みすみす見殺しにするのは...!

「司ぁああああっ!!」

「あっ、神夜君!?」

  横から雄叫びと共に何かが飛び出したかと思うと、なのはが驚いていた。
  ..って、あれ織崎か!?

「馬鹿野郎...!お前じゃ、接近なんて...!」

  僕が言えた事じゃないが、無茶すぎる。
  織崎は司さんを好いている傾向があったから、ついに我慢が出来なくなったのか...。

「くそっ...!このままじゃ...っ!?」

  握りしめていた右手から、青白い光と魔力が鳴動する。

「優輝!それは...!」

「ジュエルシード...!」

  司さんを助けようとして、失敗した際に代わりに掴み取ったもの。
  封印が解けているソレは、今にも魔力が爆発しそうで...。







「―――お前は...黙ってろ!!」

  ...だけど、それを僕は無理矢理抑える。
  溢れ出んばかりの魔力を逆に吸収し、それを封印する魔力に変換。
  それに僕の魔力も上乗せして、あっという間に封印する。

「今はそれどころじゃないんだよ...!」

  封印したジュエルシードはすぐにリヒトの収納領域に突っ込んでおく。
  それよりも、今は司さんを...!

「優輝!...ああもう、付き合ってあげるわ!」

  ここで助け出さないといけない。僕はそう思って瘴気に再度接近する。
  織崎もごり押しで進んでいる。...だが、辿り着けはしないだろう。

「(ごめん緋雪!....ちょっと、無茶をする!!)」

  心の中でそう言って、霊力を魔力を混ぜ合わそうとする。













  ...その瞬間、視界が...いや、世界が光に染まった。



















   ―――....ごめんね。優輝君...皆...。....さようなら....。















  ...消えゆく意識の中、司さんの謝る声が聞こえた気がした...。









 
 

 
後書き
stoß(シュトース)…“突き刺す、衝突”のドイツ語。アォフブリッツェンには劣るが、強力な突きの一撃。ベルカの騎士で刺突を扱うのならばほぼ確実にこの魔法は使える。
貫く必勝の魔槍(ブリューナク)…52話にも登場したグリモワールに載っている魔法。
  優輝が扱う魔法の中でもトップクラスの貫通力を持ち、カートリッジか魔力の結晶を用いて初めて扱えるようになるほど、使用魔力も多い。
  ちなみに、今回この魔法を使う前にあったリヒトのセリフは、それぞれ“硬化”“強化”“加速”“相乗”のドイツ語にしたもの。(どこぞのプリヤで見た事あるなんて言っちゃダメ。)

一部分、プリヤの展開をパクr..参考にしてます。
ちなみに、ジュエルシード一つで次元震が起こるのに、今いる世界が無事なのは、一応司自身が次元震を起こさないようにしてるからです。(その代わり攻撃の密度とか他がやばい)
ついでに言うと、闇堕ち司>全盛期シュネー≧暴走ユーリです。
ジュエルシード25個同時使用はシュネーの強さを軽く凌ぎます。
司がせめて皆を傷つけないようにと思っていなければ、全員死んでました。 
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