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魔女に乾杯!

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123部分:第百二十二話


第百二十二話

                    第百二十二話  火と音楽と
 華奈子の放った数条の炎が紫の魔女に襲い掛かる。魔女はそれに対してまた笛で対抗しようとしていた。
「今度は水の曲でも出すつもり!?」
「いえ、違うわ」
 彼女は華奈子にそう言い返した。
「貴女の力を認めたから」
 構え、上にいる華奈子を見据えながら言う。
「私本来の魔法で。相手をするわ」
「音楽ね」
「ええ」
 彼女は答えた。
「曲は・・・・・・これよ!」
 急に何やらおどろおどろしい感じの曲が奏でられはじめた。
「この曲は・・・・・・」
「魔王!」
 梨花が言った。
「魔王って・・・・・・」
「シューベルトの魔王よ。これは」
「その通りよ」
 魔女も梨花の言葉を認めた。
「今の私の最高の魔法」
「最高の魔法」
「これで退けられないと私の負けよ」
「じゃあ負けね」
「それはどうかしら」
 だが魔女も切り札を出しただけはあって自信があった。
「魔王の名前は伊達じゃないから」
「じゃあその魔王を倒してあげるわ」
 華奈子も臆してはいない。
「この魔法でね。あんたごと」
「それはこっちの台詞よ」
 魔女は相変わらず華奈子を見据えていた。しかしその顔は紫の帽子の深い縁のせいでよくは見えない。
「これが・・・・・・破られる筈がないわ」
「言うわね」
「さあ、来なさい」
 魔女の周りを黒い気が覆ってきた。
「私の音楽と貴女の火のどっちが強いのか」
「決着を着けてあげるわ!」
 黒い気はそのまま巨大な影となった。影は次第に馬に乗った漆黒の騎士になった。
「あれが魔王ね」
「多分ね」
 赤音に美樹が答える。
「華奈子ちゃん、あんなのに勝てるのかしら」
「ここは華奈子ちゃんを信じよう」
 梨花はそう言って不安げな顔をする春奈を安心させた。
「仲間なんだからね」
「うん」
 春奈はその言葉に頷いた。
「仲間だから」
「そうよ」
 四人と使い魔達は二人の戦いを見守るだけだった。それは今最後の局面を迎えようとしていたのであった。



第百二十二話   完


                              2006・6・14


 
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