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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~お嬢様の捜索~前篇

~住宅街・ヘイワース宅~



「―――失礼します。」

「おお、皆さん……!」

「よくいらっしゃいました……!」

ロイド達がヘイワース宅に入るとハロルドとソフィアは明るい表情をしてロイド達を見つめた。

「こんにちは、ハロルドさん、ソフィアさん。支援要請の件で参りました。」

ハロルド達に見つめられたロイドは口元に笑みを浮かべて答え

「ありがとうございます……!正直、内容が内容でしたから受けて頂けないと思っていたましたので……」

ハロルドは頭を下げて言った。

「そ、そんな。頭を上げて下さい。……それより依頼はレン姫と面会がしたく、その手伝いを俺達にしてほしいとの事ですが……」

ハロルドの行動を見たロイドは驚いた後複雑そうな表情でハロルド達を見つめ

「はい……!レン姫……いえ、レンは以前お話した私達が亡くした娘なんです……!」

「最初に見た時は本当に驚きました…………!まさか亡くなったと思っていたあの娘が生きていたなんて…………!」

見つめられたハロルドは真剣な表情で答え、ソフィアは複雑そうな表情をした後明るい表情になった。

「……ちなみに確認しておきたいのですが……もしかして既に接触を試みようとしたのですか?」

「いいえ…………平民の私達が今では皇族であるあの娘に会える訳はないと最初からわかっていましたから、すぐに諦めました。……ですが、何とかあの娘と一度話したくて、方法を考えていたんです……」

「その時、思い出したんです……!エリィさんがメンフィル皇家と縁がある方だと……!」

ロイドに尋ねられたハロルドは表情を暗くして言った後真剣な表情になり、ソフィアは希望を持った表情でエリィを見つめ

「………お姉様――――イリーナ皇妃と私が姉妹の間柄であり、その縁でレンちゃんと面会できるとやはりお思いになられたのですか………………確かに私はレンちゃんと何度か会った事はありますが…………実はその前にお二人に謝らなければいけない事があるんです。」

見つめられたエリィは複雑そうな表情で答えた後申し訳なさそうな表情でハロルド達を見つめ

「え……?」

「一体何なんでしょうか?」

エリィの言葉を聞いたソフィアは呆け。ハロルドは不思議そうな表情で尋ねた。

「実は――――」

そしてロイド達はかつてコリンを捜索した時に手伝ってくれた菫色の髪の少女がレンであった事を説明した。



「そんな……!あの娘が…………レンがコリンと出会った上コリンを助けてくれたなんて……!」

「ああ……!女神(エイドス)よ、貴女が与えてくれた奇跡に感謝いたします……!」

ロイド達の話を聞いたハロルドは驚き、ソフィアは涙を流してその場で祈った。

「……すみません。本当でしたらもっと早くにお話しすべきでしたけど、本人が絶対に自分の事をお二人に話さないようにと、念を押しましたので……」

2人の様子を見たロイドは申し訳なさそうな表情で謝罪したが

「そんな……!皆さんは何も悪くありません!全て私達が悪いのです!」

「はい………あの娘をこの手から離してしまった私達が悪いのです……そんな私達にあの娘が会いたくないのも当然の事です…………」

ハロルドは真剣な表情で否定し、ソフィアは悲しそうな表情で言った。

「「…………………………」」

2人の様子を見たエリィは辛そうな表情をし、ランディは目を伏せて黙り込んでいた。

「……それで話を戻すけど、もしレン姫に会えたら、どうするつもりなんだい?まさか、僕達にメンフィル皇家からレン姫を奪う片棒を担がせる気なのかい?」

「おい、ワジ……!」

「ちょっと、ワジ君!?」

そしてハロルド達に尋ねたワジの言葉を聞いたロイドとノエルはワジを睨んだ。

「……いいえ…………今まであの娘の事を諦めて、コリンばかりを愛していた私達に今更自分達の娘として受け入れるなんて、虫のいい話だと理解していますし、新たな家族を手に入れて幸せに暮らしているあの娘もそんな事は望んでいないでしょう…………」

「はい……私達はただあの娘にただ一言謝りたいのです…………あの時、手を離してしまった事を…………」

「ほう…………?」

「あら……てっきりその娘を自分達の手元に戻すかと思っていたけど。」

「意外な答えでしたね……」

ハロルドとソフィアの答えを聞いたヴァイス、エルファティシア、アルは意外そうな表情をし

「…………わかりました。多少時間はかかると思いますが、何とか面会できるように手配してみます。」

ロイドは考え込んだ後頷いて答え

「おお……!ありがとうございます……!」

「どうか……!どうか、よろしくお願いします……!」

ロイドの答えを聞いた2人は頭を下げて言った。その後ロイド達はヘイワース宅を出た。

「おい、ロイド。安請け合いしちまって大丈夫か?さすがに今回はかなり難しいんじゃねえのか?仮にもあの嬢ちゃんは皇族で、しかも今はVIP扱いされているから、いくらお嬢がいるとは言え見張りのメンフィル兵達があの嬢ちゃんが乗って来たバカデカイ戦艦の中に通してくれるとはとても思えないし、ミシュラムに滞在していたら警備隊の連中も通してくれねぇぞ?」

ヘイワース宅を出たランディは真剣な表情でロイドに尋ね

「……わかっている。だからこそ一刻も早くリフィア殿下と接触しないと。」

尋ねられたロイドは真剣な表情で頷いて言い

「……エリゼの支援要請の件か。」

ロイドの言葉にリィンは静かな表情で言った。

「なら、早くエリゼさんがいる空港に行きましょう。グズグズしていたら遊撃士にエリゼさんの依頼を請けられてしまうかもしれないわ。」

「ああ。今回ばかりは遊撃士達に依頼を取られる訳にはいかない。行こう、みんな。」

そしてエリィの言葉に頷いたロイドは仲間達を促し、ロイド達は依頼者がいる空港に急ぎ足で向かった。


~クロスベル国際空港~



「―――すみません。エリゼさんですよね?」

その後空港内に入ったロイド達は空港のロビーにいる黒髪のメイドを見つけて話しかけ

「はい、そうですけど……?――――兄様!?」

話しかけられたメイド―――エリゼは首を傾げた後リィンに視線を向けて驚き

「久しぶり、エリゼ。元気そうだな。」

「はい。……兄様がいるという事は貴方方が”特務支援課”の方々ですね。――――初めまして。リフィア殿下専属侍女のエリゼ・シュヴァルツァーと申します。いつも兄―――リィン兄様がお世話になっています。」

リィンの言葉に頷いたエリゼはロイド達を見回して会釈をして微笑み

「おおっ!か、可憐だ~♪」

「メイドなのにいかにも良家の”お嬢様”って雰囲気ですよね……」

エリゼの笑顔を見たランディは嬉しそうな表情をし、ノエルは口元に笑みを浮かべてエリゼを見つめ

「フフ、こっちのお嬢さんの方が実はリフィア皇女だったり?」

「ちょっとワジ君?今の発言、リフィア殿下に失礼すぎよ?」

ワジは静かな笑みを浮かべて言い、ワジの言葉を聞いたエリィはジト目でワジを睨み

「ほう……こうやって正面で見るとさらに可憐さや清楚さがひしひしと感じられるな……ひょっとすればあのマルギレッタと並ぶか……いや、それ以上かもしれんな…………」

「あら♪もしかしてその娘にも手を出そうと思っているのかしら♪」

「まあ、ヴァイスですからありえそうですね……」

「あ、ズルいぞ、局長!?俺も後でナンパしようと思っていたのに!つーか、エルファティシアちゃん達を侍らしている癖にまだ足りないのかよ、アンタは!?」

「………………」

「局長、頼みますから依頼者にまでナンパをするとか、やめてください……それと、ランディも。」

ヴァイスは静かな笑みを浮かべてエリゼを見つめ、ヴァイスの言葉を聞いたエルファティシアはからかいの表情になり、アルは苦笑し、ランディは驚いた後悔しそうな表情でヴァイスを睨み。、リィンは表情を引き攣らせ、ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。

「フフ、随分と賑やかな職場なんですね、兄様。」

ランディ達の反応を見たエリゼはリィンに微笑み

「ああ。……まあ、たまに賑やかすぎて困る事もあるけどな……」

微笑まれたリィンは頷いた後苦笑した。



「えっと……依頼内容は『お嬢様の捜索』という事ですが……そのお嬢様というのはやはり、リフィア殿下の事ですか?」

「はい……少し目を離した隙に逃げられてしまったのです。フウ…………」

ロイドに尋ねられたエリゼは答えた後疲れた表情で溜息を吐き

「に、逃げ……!?」

「あ、相変わらず型破りな方なのですね……」

「と、とても皇女のやる事とは思えないですよね…………」

「フフ、とんでもないお転婆姫だね。」

エリゼの話を聞いたロイドは驚き、エリィとノエルは表情を引き攣らせ、ワジは静かな笑みを浮かべ

「……リフィア殿下はカーリアン様の放浪癖が受け継がれているという話だからな…………」

「なるほど……性格だけはしっかりと受け継がれている訳か。」

リィンは苦笑しながら言い、リィンの話を聞いたランディは納得した様子で頷いていた。

「と、とりあえず話はわかりました。リフィア殿下の行きそうな場所に思い当たりはないでしょうか?」

そしてロイドは戸惑いながら頷いた後尋ね

「そうですね…………”グロリアス”に乗船中、レン姫やレオン少佐に現在クロスベルに滞在している知り合いの方達に会いに行くみたいな事をお二方に言って、お二方を誘っていました。」

尋ねられたエリゼは考え込んだ後答えた。

「殿下の知り合いがクロスベルに……?」

エリゼの話を聞いたエリィは不思議そうな表情をし

「もしかしたらティオすけや局長が持っている”影の国”とかいう場所で撮った写真に写っている連中の誰かじゃねえか?あの写真に写っている何人かは今もクロスベルに滞在しているし。」

ある事を思い出したランディは呟き

「それだったら俺もその中に入るだろうな。俺もリフィア皇女とは”影の国”で出会っている。」

ランディの言葉を聞いたヴァイスは口元に笑みを浮かべて答えた。

「……だとするとリフィア殿下が会いに行ったと思われる人物は局長、セリカさん、レシェンテさん、リタちゃん、リースさん、カーリアンさんの誰かか…………」

ランディとヴァイスの話を聞いたロイドは考え込み

「……あの。カーリアン様は候補から外していいと思います。殿下にとってカーリアン様はリウイ陛下と同じくらい頭が上がらない方だそうですし、それにあの方でしたら殿下を見つけ次第、私達の所に連れて来ると思います。今まで殿下が城を抜け出した時もリウイ陛下と一緒に何度も連れ戻していたそうですし…………」

ロイドの言葉を聞いたエリゼは少しの間考えだ後申し出

「さらに局長と僕達は今日はずっと一緒に行動しているから候補から外れるんじゃないかい?」

エリゼの話の後に続くようにワジが話を続けた。

「となると遊撃士協会と大聖堂を訪ねたほうがいいわね。」

「ああ。……そうだ、エリゼさん。リフィア殿下の件とは関係のない話なのですが、一つ尋ねてもよろしいでしょうか?」

エリィの言葉に頷いたロイドは真剣な表情でエリゼを見つめて尋ね

「?はい、何でしょうか。」

尋ねられたエリゼは不思議そうな表情でロイドを見つめて言った。



「……先程レン姫の話が出てきましたが……レン姫はクロスベル市内に出る予定はあるのですか?」

「いえ、私の知る限りではレン姫が市内に出る予定はありません。夕方ごろにリフィア殿下と一緒にある方達と会う予定となっておりまして、それまでの間は”グロリアス”に待機する予定のはずですが……それが何か?」

「いえ………それじゃあ早速捜索を開始しますので、お手数ですが連絡先を教えてもらってもよろしいでしょうか?リフィア殿下を見つけ次第、すぐに連絡しますので。」

「その事ですが……殿下を見つけるまで私も皆さんと一緒に行動してもよろしいでしょうか?」

「へ……」

「エリゼ?」

エリゼの申し出を聞いたロイドは呆け、リィンは不思議そうな表情をした。

「……殿下の今までの行動を考えるとこちらの予想の斜め上な事をすると思われるので殿下の事を知っている私も一緒について行けば、何か助言ができると思いますので……ご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします。」

「な、なるほど……そういう事でしたら。」

「いや~、君みたいな可憐な娘が一緒に来るなんて大歓迎だよ♪」

「ああ、全くだな。」

疲れた表情で答えた後頭を下げたエリゼの話を聞いて苦笑しながら頷き、ランディは嬉しそうな表情で言い、ランディの言葉にヴァイスは頷き

「それじゃあ短い間になるがよろしくな、エリゼ。」

「はい、兄様。」

リィンはエリゼに微笑み、微笑まれたエリゼも微笑みで返した。その後ロイド達はまず遊撃士協会に向かった………… 
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