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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第11話

ヴァイス達がジオフロントを進み始めたその頃、ロイド達はオーバルストアの中に入り、依頼人であるオーブメント職人でありロイドの幼馴染でもあるウェンディの所に向かった。



~オーバルストア・ゲンテン~



「ロイド、待ってたわよ。それに皆さんも……って半分は馴染みのない顔だけど。」

「ああ、このメンバーでは活動し始めたばかりだからな。」

ウェンディの言葉にロイドは頷き

「初めまして、ノエル・シーカーと言います。」

「リィン・シュバルツァーだ。これからしばらくよろしく。」

「ワジ・ヘミスフィアさ、よろしく。そういえば君―――ロイドの幼馴染なんだってね?よかったら、今度ぜひロイドの幼き日の面白可笑しいエピソードを聞かせてもらいたいんだけど。」

ウェンディと初対面なノエルとリィンと共に自己紹介をしたワジは口元に笑みを浮かべて言った。

「ふふ、いいですよ~!ロイドの弱みを握りたいのね?」

ワジの話を聞いたウェンディはからかいの表情になり

「な、なんの話だよ……――――とりあえず、さっさと本題に移ってくれ。エニグマⅡの講習をしてくれるんじゃなかったのか?」

ロイドは溜息を吐いた後話を戻した。

「あっと、そうだったわね。オッホン、ではさっそく……―――ロイド達も、既にエニグマⅡを使っているから知っているとは思うけど。エプスタイン財団が行った、今回のバージョンアップの唯一にして最大の変更点……それは何といっても、中心のスロット構造にあるわ。そして、その中心に嵌める特別なクオーツの事を『マスタークオーツ』と呼ぶの。」

「ああ、この文様が刻まれたクオーツのことだよな。」

「そう、その球状のクオーツよ。そして、そのマスタークオーツが従来のクオーツと決定的に違う点は『成長する』ということにあるの。オーブメントにセットした状態で戦闘を重ねることで練磨され、段階的に強化されていくそうよ。」

「何ていうか……少し神秘的な感じがしますよね。」

「ええ、まるで命を持っているみたいね。」

「それに常に携帯するからパートナーと言ってもおかしくないかもしれないな。」

「フフ、ちなみにこれからその原理やなんかを講義してくれるのかい?」

ウェンディの説明を聞いたノエル、エリィ、リィンは感想を言い、ワジは尋ねた。

「あ、ううん、そういうのは残念だけど研究者じゃないから私も詳しくは知らないの。そもそも本来は成長というより、秘められた力を引き出しに行くイメージアップらしいんだけど……それはともかく、皆さんに覚えて行ってもらいたいのはエニグマⅡの扱い方―――つまり、論より実践というヤツね。というわけで、まずはこちらを受け取ってくれるかしら。」

尋ねられたウェンディは答えた後エリィとワジにマスタークオーツを渡した。

「これがマスタークオーツ……」

「ふむ、確かに普通のクオーツとは存在感みたいなものも全然違うね。でもいいのかい、もらっちゃって?」

「ええ、いいもなにもそれは元々警察本部から皆さんに支給された品だから。ちなみに、マスタークオーツは普通の工房では合成できない上に量産できる物じゃないらしいの。ウチでも財団の研究所から幾つか入荷はしているけれど……基本的に、1種類につき1個しか売る事ができないからくれぐれも丁重に扱ってね。」

「なるほど……それだけ希少な品ということですね。」

「へえ…………じゃあメンフィルの戦術オーブメントの技術は進んでいる証拠だな……」

ウェンディの話を聞いたノエルは頷き、リィンは意外そうな表情で言った。



「へ?一体どういう事だい、リィン?」

リィンの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情で尋ね

「メンフィル軍では訓練兵にまでオーブメントを支給される上、マスタークオーツも一つだけだけど好きなマスタークオーツを選べる上、その選んだマスタークオーツを支給されるんだ。」

「え…………メンフィル軍ってどういう事??」

リィンの話を聞いたウェンディは不思議そうな表情でリィンを見つめ

「えっと……リィンはメンフィル軍から特別に期間限定で出向しているんだ。……それよりリィン、今の話は本当なのか?」

ウェンディの疑問にロイドは答えた後驚きの表情でリィンを見つめ

「ああ、本当だよ。実際に俺もクロスベルに来る前にマスタークオーツを支給してもらったし。……ほら。」

「本当だ………」

「す、凄いですね、メンフィルは……量産できないって話なのに既に量産しているなんて……」

「私がもらったマスタークオーツと同じ色ね……だったら属性も同じなのかしら?」

見つめられたリィンが見せたオーブメントの中央に嵌めこまれてある緑色のマスタークオーツを見て驚いているノエルと共に見つめ、エリィは自分が持っているマスタークオーツと見比べ

「その紋様は確か……『クサナギ』だね。へ~………噂には聞いていたけど、メンフィルの戦術オーブメントの技術って凄いのね~。」

ウェンディはリィンのオーブメントに嵌めこまれてあるマスタークオーツを見て呟き、興味深そうな表情で言った。

「それで話を戻すけどウェンディ。実践って一体何をすればいいんだ?」

「そうね、まずはその前に全員、マスタークオーツをオーブメントにセットしてもらえるかしら。誰がどれを付けても構わないから5人全員セットしたら声をかけてちょうだい。ちなみにマスタークオーツにも特定の属性があるけど、スロットに”縛り”はないの。つまり、マスタークオーツは人を選ばずにセットできるって寸法よ。」

「なるほど、それは便利ですね。」

「フフ、それじゃさっそくセットさせてもらおうか。」

その後マスタークオーツをセットしていないエリィとワジはそれぞれのオーブメントにセットした。

「オッケー、どうやら全員ちゃんとマスタークオーツをセットできたみたいね。」

「で、次はどうするんだ?」

「ふふ、単純明快―――今度はマスタークオーツの効果を実際に確かめて来て欲しいの。」

「それは……戦闘を通してという事ですか?」

ウェンディの話を聞いたエリィは尋ね

「ええ、そういう事です。ロイドのノエルさん、リィン君は既に経験済みみたいだけど、改めてよろしくお願いしますね。」

尋ねられたウェンディは頷いて答えた。

「了解です。」

「わかった。」

「ちなみに何か条件はあるのか?戦う場所とか、回数とか。」

「ううん、特にないわ。場所も相手も完全にお任せね。戦闘の回数も1度で十分だけど、ただし逃げずにちゃんと戦ってね。」

「フフ、ごもっともだね。」

「それでロイド、場所はどうするの?」

「そういえば、メゾン・イメルダに手配魔獣がいるんだったな。それを片付けるついでに試してみるのがいいかもしれないな。後はリィンの武器や戦い方も把握しておきたいし。」

「確かに、そこなら手っ取り早く試せそうですね。」

「ふふ、どうやら場所も決まったみたいね。じゃあ、次はこのクオーツを持って行ってちょうだい。」

ロイド達の会話を聞いていたウェンディは微笑んだ後クオーツを渡した。

「これは……」

「ええ、それも警察本部からの支給品よ。通常のスロットにそのクオーツを嵌めると、エニグマⅡ用の新アーツ、『アナライズ』が使えるようになるから。情報を制する者は戦いを制するっていうしね。ぜひ戦闘に役立てて。」

「ああ、了解だ。(今はティオがいないし……しばらく魔獣の情報集めはアーツやバトルスコープに頼る必要がありそうだな。)」

「それじゃ、気を付けて行ってらっしゃい。オーブメントの改造やクオーツを合成したい時はいつでも言ってちょうだいね。」

その後ロイド達はアパートのオーナーから鍵を借りた後、アルカンシェルが近かったのでイリア達に挨拶をする為にアルカンシェルに向かった。

~アルカンシェル~



「アルカンシェルか……劇場に入るのも久しぶりだな。」

「ふふ、そうね。イリアさんやリーシャさんはいらっしゃるかしら。」

「へえ……ロイドとエリィはあのアルカンシェルのトップスターとも顔見知りなのか。」

「フフ、君達って本当に有名人の知り合いが多いよね。」

「で、でもいいんですか?勝手に入っちゃって………」

ロイドとエリィの会話を聞いていたリィンは驚きの表情で呟き、ワジは静かな笑みを浮かべ、ノエルはロイド達に尋ねた。するとその時ロイド達に気付いた支配人が近づいてきた。

「これはこれは、特務支援課のロイド様にエリィ様ではありませんか。大変お久しぶりですね。本日はどういった御用でしょう。」

「はい、実はこの度支援課の活動を再開することになりまして。市内の様子を見回りがてらこちらにも顔を出しておこうと。」

「ご迷惑じゃなかったですか?」

「ええ、もちろん迷惑だなんてとんでもありません。今はちょうど休憩時間なので、どうぞ挨拶されて行って下さい。イリアさん達も喜ぶと思います。」

「どうもありがとうございます。」

「え、えっと……」

「どうかした、ノエルさん?」

戸惑った表情で呟いたノエルに気付いたエリィは尋ね

「いえ、何ていうか改めて特務支援課って凄いなって。」

尋ねられたノエルは口元に笑みを浮かべ言った。」

「フフ、そうだね。あのアルカンシェルをまさか顔パスだなんて。」

「はは、言われてみれば確かにそうだよな。」

「ええ、本当にありがたい縁よね。」

その後ロイド達はイリア達がいる中央のホールに向かった。



「でも、それでシュリったら―――」

「や、やめろよ……よりによってリーシャ姉の前でっ!」

ロイド達がホールに少し来る前、イリアは口元に笑みを浮かべてリーシャに何かを言いかけ、それを聞いた少女―――シュリは慌て

「ふふ、イリアさん。シュリちゃんが困ってるじゃないですか。」

その様子を見ていたリーシャは苦笑していた。

「はは、なんだか盛り上がってるな。」

「ふふ、今はちょうど休憩中ってところみたいね。」

その時ホールによって来たロイドとエリィは微笑み

「ほ、本物のイリア・プラティエ……!」

「まさかこんな形であのアルカンシェルのトップスターと出会えるとは思わなかったな……(それにあの女性―――リーシャ・マオがリウイ陛下に教えてもらった要注意人物の一人―――”銀”か…………)」

「それと、そばにいる2人は……」

ノエルはイリアを見て驚き、リィンはイリアを見て驚いた後真剣な表情でリーシャを見つめ、ワジはリーシャとシュリに視線を向けた。

「ん……?………あーっ、弟君じゃない!!」

するとその時ロイド達に気付いたイリアは声を上げ

「あ……皆さんっ!」

「……ちっす。」

リーシャもロイド達を見て声を上げ、シュリは軽く頭を下げた。

「はは、お久しぶりです。」

「すみません、休憩時間の邪魔をしてしまったみたいで……」

「フフ、そんなことないない♪久しぶりに会いに来てくれたんだし、ゆっくりしてってちょうだい。あ、せっかくだから弟君はあたしと再会のハグでもやっとく?」

「い、いえいえ、結構です。」

イリアの言葉を聞いたロイドは苦笑し

「えー、そう?遠慮しなくてもいいのに。フフ、それとも~……やっぱり感触のよさそうなリーシャとのハグがお望みかしら?」

ロイドの答えを聞いたイリアは不満げな様子で言った後からかいの表情でロイドに尋ね

「え、えっと……」

「イ、イリアさんったら……」

イリアの言葉を聞いたロイドは慌て、リーシャは呆れ

「ったく、オヤジもいい加減にしろよな。」

シュリは呆れた表情で溜息を吐いた。

「ふふ……リーシャさんも相変わらず苦労しているみたいですね。」

「あ、あはは……こればっかりは宿命みたいなものかもしれませんけど。でも、久しぶりに皆さんに会えて本当に嬉しいです。ふふ、これからまたよろしくお願いしますね。」

エリィに微笑まれたリーシャは苦笑した後微笑み

「フフ、リーシャさんは記念祭の時の公演でデビューしたアーティストだったかな。たしか、旧市街のアパートに住んでいたんじゃなかったっけ?」

「は、はい……えっと、そういうあなたはもしかして、旧市街の不良グループの……?」

ワジに尋ねられたリーシャは頷いた後戸惑いの表情でワジを見つめ

「ワジ・ヘミスフィアさ。フフ、お見知り頂けて光栄だよ。」

見つめられたワジは静かな笑みを浮かべて答えた。

「あらリーシャ、知ってる子なの?そういえば、そっちの子達は以前はいなかったみたいだけど……」

「ええ、3人は支援課の新メンバーでして。」

イリアに尋ねられたロイドは頷き

「初めまして。メンフィル帝国から留学という形で出向させてもらっているリィン・シュバルツァーと申します。名高いアルカンシェルのスターであるイリアさん達に出会えて光栄です。」

「あ、あたしは警備隊から支援課に出向させてもらっているノエル・シーカーと言います!そのっ……イリアさんのことは妹のフランともども、いつも応援させていただいています!」

ノエルはリィンと共に自己紹介をした後緊張した様子で言い

「フフ、ありがと☆」

2人の言葉にイリアは微笑んだ。

「ティオちゃんとランディ、セティちゃん達はまだ戻ってませんけど……しばらくはこの5人に加えて局長とアル警視と一緒に活動する予定なんです。」

「ええっ!?きょ、局長自らがですか!?」

エリィの話を聞いたリーシャは驚き

「なるほどね~。それにしても新しい局長だったかしら?本当に接しやすくて面白い男よね~。あんな面白い男がトップだったら警察のイメージも本当に変わりそうね。」

「ハハ……………まあ、唯一の欠点を除けば、本当に良い方ですよ。」

イリアの言葉を聞いたロイドは苦笑して答え

「唯一の欠点?……ああ、なるほど。そういえば今の局長の女性関係って凄い事になっているわね♪なんせ、ハーレムを公言しているし♪弟君にとっては偉大なる大先輩になるんじゃないかしら♪」

ロイドの言葉を聞いたイリアは不思議そうな表情をした後ある事を思い出し、からかいの表情でロイドを見つめて言い

「ええっ!?何でそうなるんですか!?」

(………確かに下手すればこの子もそうなってもおかしくないというか、既になりかけているのよね…………)

(くかかかっ!いい所を突くじゃねえか!)

(ハア……局長がロイドに余計な事を教えないといいんだけど…………)

(エリィと恋人同士になっておきながら既にラグタス将軍が契約されている少女からも思いを寄せられているこの男ならあの新しい局長のような者になってもおかしくないな……)

イリアの言葉を聞いたロイドは表情を引き攣らせ、ルファディエルは疲れた表情になり、ギレゼルは陽気に笑い、エリィは溜息を吐き、メヒーシャは顔に青筋を立てていた。

「フフ…………それにしてもなかなかエキセントリックなメンツが集まったみたいじゃない。」

ロイドの様子を見たイリアは微笑みながらロイド達を見つめ

「い、いや~……イリアさんには敵いそうにありませんけど。」

イリアの言葉を聞いたロイドは苦笑した。

「というか、アーティストの方って想像してたのよりもずいぶんとフランクなんですね。」

「確かに。それと雑誌で見るより美人度合いも格段だね。」

「フフ、ありがと。でもそんなに褒めたって何も出ないわよ?と、それはともかく……ほら、さっきから黙ってないであんたも挨拶なさい。」

「……わ、わかったよ。」

イリアに促されたシュリは戸惑いながら頷いた後自己紹介を始めた。

「劇団で下働きをやってるシュリ・アトレイドだ。えっと……よろしく。」

「ふふ、よろしくね、シュリちゃん。」

「よろしくな。」

シュリの自己紹介を聞いたノエルとリィンは頷いた後口元に笑みを浮かべてシュリを見つめ

「はは、シュリも元気にしてたか?」

ロイドは口元に笑みを浮かべて尋ねた。



「フン、にこやかに話しかけんなっつの。…………言っとくけど、オレはまだ”あの時の事”を忘れていないからな。」

(ま、まだ根に持ってたのか……)

そしてシュリに睨まれたロイドは冷や汗をかき

「えっと、あの時のことって……?」

「ロイドがその娘に一体何をしたんですか?」

事情がわからないノエルとリィンは不思議そうな表情で尋ね

「えっと、確か弟君が背後からシュリをガッシリと―――」

2人の疑問にイリアは笑顔を浮かべて説明しかけようとし

「い、いや、違っ…………というか、あれはそもそも根本的な原因はシュリだろ!?」

イリアの説明を聞いたロイドは慌てた後すぐに気を取り直して突込み

「な、なんだと!?……ま、まあ確かにオレも悪かったけど…………あんな強く抱きついてきといてよくもヌケヌケと……!」

ロイドの突込みを聞いたシュリはロイドを睨んだ後目を逸らしたがすぐにまたロイドを睨んだ。

「ええっ!?」

「だ、抱きっ……!?」

「フフ、なにやら楽しそうなことがあったみたいだねえ。」

「そういえば、そんな事があったわよね…………?」

一方シュリの言葉を聞いたリィンとノエルは驚き、ワジは口元に笑みを浮かべ、エリィはすざましい威圧を纏った笑顔でロイドを見つめ

「い、いやえっと、だから……!っていうか、エリィは事情を知っているだろ!?」

4人の反応を見たロイドは慌てた後すぐにエリィに指摘し

「おおっ、なんだかいきなりの修羅場ね!せっかくだからあたしも参加して―――」

その様子を見たイリアは嬉しそう表情をし

「イ、イリアさん……ややこしくなりますから。」

イリアの様子を見たリーシャは疲れた表情でイリアを制し

(うう、この件に関しては反論すればするほど泥沼にはまる気がするな……)

ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。



「ふふ、それにしても……皆さんもお元気そうで何よりです。支援課の皆さんには本当によくしていただきましたし……またいつでも遊びに来てくださいね。」

「うんうん、あたしも大歓迎よ。それに、最近のリーシャの練習風景は以前にも増してみる価値があるしね。」

「へえ、そうなんですか?」

「フフ、確かに彼女が舞台で飛び跳ねたら”色々”と見所がありそうだけど。」

「こ、こらこらワジ君。」

「本人の目の前で失礼だろ……」

「あ、あはは……」

口元に笑みを浮かべて言ったワジの言葉を聞いたノエルとリィンは注意し、3人の会話を聞いたリーシャは苦笑し

「フフ、もちろんそれもあるけど。この頃は日常のちょっとした所作にもキレを感じるのよね。疲労を感じさせないっていうか……察するに、休息の取り方でも改善したってところかしら?」

イリアは微笑んだ後興味深そうな表情でリーシャを見つめた。

「……え、えっとまあ、そんなところでしょうか。」

「そうなのか……まったく気付かなかったな。」

「ふふ、イリアさんだからこそ気付けるレベルの違いみたいですね。」

イリアの言葉を聞いたリーシャは戸惑いながら頷き、シュリは驚き、エリィは微笑み

(……確かに最近は”仕事”が休業中だから、十分に休息を取れているけど……それを肌で感じ取れるなんて、やっぱりイリアさんは凄い……)

(……なるほど。”銀”としては動いていない証拠ね。それを感じるイリアはイリアで凄いわね……)

リーシャは考え込んだ後イリアに感心し、ルファディエルは静かな表情でリーシャを見つめた後口元に笑みを浮かべてイリアを見つめた。

「はは、まあリーシャは頑張り屋な所があるし……これからも十分休息をとって、体を壊さないよう気をつけてくれよ。」

「はい、お気遣いありがとうございます。」

「でも、アルカンシェルはいつも忙しそうだし……邪魔にならない程度に顔を出すくらいが丁度いいかもしれないわね。」

「ふふ、リハーサル中や公演中じゃなかったらいつでも大歓迎よ。まあ、これからはちょっと忙しくなりそうなんだけど。」

「えっと……そうなんですか?」

「何やら面白いことを考えていそうだね?」

「もしかして新作の発表でしょうか?」

イリアが呟いた言葉を聞いたノエル、ワジ、リィンは尋ね

「フフ、まだヒ・ミ・ツ♪ま、ウチの今後の展開を楽しみにしといてちょうだい。」

尋ねられたイリアは笑顔で答えた後ロイド達を見つめて言った。

「はは、わかりました。」

「ふふ、しっかりとチェックしていかなくちゃね。」

その後アルカンシェルを出たロイド達はアパートがある旧市街に向かい、その途中にある遊撃士協会にも挨拶をする為に中に入った………… 
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