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おぢばにおかえり

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第三十二話 あちこち回ってその九

「心からね」
「まあまあ。ところで先輩」
「何よ」
 不意に話を変えてきました。
「このお化け屋敷ですけれどね」
「えっ、ええ」
 ここで気付きました。私達まだこのお化け屋敷に入っていません。
「結構よさげですよ」
「いいのね」
「僕これでもお化け屋敷好きでして」
 意外な趣味というか何というか。結構色々なことに興味を持ってる子です。
「それでですね」
「勘ってことかしら」
「はい。ですから二人で入りましょうよ」
「私も入るの」
「嫌なんですか?」
「嫌じゃないけれど」
 お化け屋敷そのものは苦手ではないです。ただ。
「阿波野君と一緒なのね」
「それがいいんじゃないですか」
「何でいいのよ」
 私にとってはこのことも意味がわかりませんでした。本当に何でもかんでも私の側にいて。そのことがとても不思議でもあります。
「私は阿波野君と一緒にいたくないのに」
「じゃあ入りましょう」
「人の話聞いてるの?」
「聞いてますよ」
「何処がよ」
 少なくともそういうふうには見えません。いつも私の話を聞かずに勝手に話を進めているようにしか見えないんですけれど。
「けれど入るのね」
「はい」
 明るい笑顔で私に言ってきました。
「入りましょう。映画村って学生割引が凄いから有り難いですよね」
「東映だからかしら」
 そのことはふと思いました。
「子供番組も沢山作ってるし」
「特撮とかアニメですよね」
「私は特撮が好きだけれどね」
 何故かというと出て来る男の人達が皆格好いいからです。仮面ライダー電王の佐藤健さんも中村優一さんも大好きだったりします。
「時代劇だって考えてみたら子供も観るわよね」
「暴れん坊将軍とか子供の頃から観ていましたよ」
「子供のことをいつも考えている会社なのね」
「いい会社ですね」
「そうね。響鬼は何が何なのかわからなかったけれど」
「あれ仮面ライダーだったんですかね」
 阿波野君はお化け屋敷の入り口を潜りながら私に言ってきました。
「鬼とか言ってましたけれど」
「さあ」
 私もそれはかなり疑問でした。
「バイクにも乗らなかったし」
「そうですよね。バイクに乗らない仮面ライダーなんて」
「斬新どころじゃないし。それに妖怪だって」
「はい」
「ここにあるみたいなのよりずっとね」
 そのお化け屋敷の中の妖怪を見ます。はっきり言ってそれ程怖くはないです。
「凄いデザインだったわよね」
「お金かかっていたんですよね」
「そんなに?」
「もうかなり」
 お金のことはテレビ番組ではあまり考えたことはないです。ただ純粋に楽しんでただけで。けれど言われてみればあれだけ大きくて凝ったものだと。 
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