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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第125話

~太陽の砦・最奥~



「……あ………」

ヨアヒムが叫びながら消滅した後ロイドは声を上げ

「チッ………最後まで世迷言を………」

ランディは舌打ちをし

「でも……哀れね………」

「……はい…………」

複雑そうな表情で呟いたエリィの言葉にティオは頷いた。

「………………………」

そしてロイドは一歩前に出て視線を床に向けて悔しそうな表情で黙り込み

「………気にする事はないよ。あの狂気の薬を大量に飲んだ時点でもう彼は助けられなかったんだ。」

「ええ………例え貴方達の仲間が創った解毒薬とやらを使っても、助けられなかったでしょう……」

「もし助けられるとしても、それをできる可能性があったのは”癒しの女神(イーリュン)”自身………例え助けられる方法があってもその方法は不可能でしたでしょう………」

黙り込んでいるロイドにヨシュア、フェミリンス、エクリアは慰めの言葉を投げかけ

「うん………そうね……出来ればあたしも助けたかったけど……」

「ミントも同じ気持ちだよ………」

「ああ………最後まで……彼の妄想を晴らす事が出来なかった……出来ればきちんと裁きを受けて自分の罪を受け止めて欲しかった。そうでないと……彼自身も彼が犠牲にした人達も哀しすぎる………」

エステルとミントの言葉にロイドは頷いた後悔しそうな表情で呟き

「「ロイド……」」

「………ロイドさん………」

「…………………」

ロイドの言葉を聞いたエリィとルファディエル、ティオは心配そうな表情で見つめ、レンは複雑そうな表情で黙り込んだ。するとその時ロイドを黙って見続けたランディがロイドに近づいて、ロイドの背中を強く叩き

「オラ!何をしけたツラしてやがる!」

真剣な表情でロイドを見つめて言った。



「ランディ………?」

ランディの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情でランディを見つめ

「俺達は全能じゃねえ!全てが上手くいくわけがねえんだ!それでも精一杯やってここまで来れたんだろうが!?ベストとは言わねぇが………上出来ってもんだぜ!」

「………ランディ………」

ランディの励ましの言葉を聞いた後驚きの表情でランディを見つめ

「………かつてのロッジ制圧作戦では多くの教団信徒たちが自決しました。ガイさんやアリオスさん、課長たちは屍を越えてわたしを助けてくれました。避けられない犠牲も……時にはあるのだと思います。」

「そしてパパ達がその犠牲の先を越えてくれたから、レンやティオが今、この場にいるのよ………」

「………ティオ……レン………」

ティオとレンの言葉を聞いたロイドは驚きの表情で2人を見つめ

「彼は自滅してしまったけど………まだまだ後始末は残っている。………クロスベル全域の混乱、それから操られていた人の安否も……落ち込んでいる暇は無いと思うわ。」

「………エリィ………」

エリィの言葉を聞いたロイドは黙ってエリィを見つめた後目を閉じ

「………ありがとう。そうだな……ヘコんでいる場合じゃないな。それに………キーアや課長との約束もちゃんと守らないとな………!」

静かな笑みを浮かべた後目を開いて笑顔で言い

「ええ……!」

「全員で無事にあの子の元に戻る約束……それと課長に一人前と認めてもらう約束ですか。」

ロイドの言葉にエリィは頷き、ティオは静かな笑みを浮かべて呟き

「ハハ………何とかどっちも守れそうだぜ。」

ティオの言葉にランディは笑いながら呟き

「ふふっ………」

「………仲間か………」

「リベル=アークや”影の国”で戦った人達を思い出すね♪」

「フフ………まさか”神”である私が人の輪の中に入るなんて今でも信じられませんわ……」

「フェミリンス……」

ロイド達の様子を見たエステル、ヨシュア、ミントは微笑み、フェミリンスは苦笑し、苦笑しているフェミリンスをエクリアは微笑みながら見つめていた。

「フフ………どうやら幕引きみたいね。本当は手を貸すつもりはなかったんだけど………”影の国”で一緒に行動していた時に能天気でお人好しなエステルやエステルに影響されたみんなに影響されちゃったのかしら。」

するとその時レンは口元に笑みを浮かべて呟き

「あ、あんですって~!?」

レンの言葉を聞いたエステルはジト目でレンを睨み

「ハハ………協力してくれて本当にありがとう、レン………」

その様子を見ていたロイドは苦笑した後静かな笑みを浮かべてレンに言い

「ふふっ、お礼を言いたいのはこっちの方。レンの”壁”を取り除いてくれてありがとう、ロイドお兄さん。………それとエステル。貴女もレンにわざわざレンは捨てられていないって事を教えようとしてくれてありがとう。」

ロイドの言葉を聞いたレンは微笑みながらロイドとエステルを見つめ

「まったくもう………普段からそうやって素直でいればティータみたいに可愛げがあるんだから、何でそうしないのよ……」

レンに見つめられたエステルは溜息を吐いた後呆れた表情で呟き

「君の力になれて光栄だったよ………――――特務支援課、撤収準備。囚われた人達を護衛しつつ、マフィア達の身柄を確保しながら地上に戻ろう………!」

レンの言葉を聞いたロイドは静かな笑みを浮かべて頷いた後、エリィ達を見回して指示をした。その後ロイド達はロッジを出た。



~朝・古戦場~



「あ………」

「………朝陽が………」

「……キレイです……」

「ああ………それに暖かいな……」

ロイド達が外に出ると既に朝になっていて、太陽の光をロイド達が感じていたその時

「ロイド―――――――ッ!」

聞き覚えのある少女の声が聞こえてきた。

「この声………!?」

「まさか………!」

声を聞いたロイドとティオが驚いたその時、ツァイトと共にやって来たキーアがロイドに飛び込み

「キーア………!」

キーアを受け止めたロイドは驚いた。

「………~~っ~~~~~!!!よ、よかったぁ………!ロイドも、エリィも………ティオもランディも無事で………!」

「グルル……ウォン!」

安堵の表情のキーアが呟き、ツァイトが吠えるとキーア達の後ろからはセティ達やセリカ達と共に来たセルゲイ、アリオス、ダドリー、ソーニャ、ノエル、そしてロイド達に後ろからはエステル達が近づいて来た。

「どうしてキーアちゃんが………」

「はは………しかもえらい大所帯じゃねえか。」

エリィはキーアを視て驚き、ランディはセルゲイ達を見回して笑い

「先程、市街に展開していた警備隊員達が全員気絶し、悪魔達は光と共に消えた。それで取り急ぎ、彼女を連れてこちらに出向いたというわけだ。」

驚いているロイド達にアリオスが説明し

「まったく、連れて行けとダダをこねられて困ったぞ。フン、これだから支援課は………躾くらいきちんとしておけ。」

ダドリーは呆れた表情で言った後、ロイド達を睨んで注意したが

「クク、そう言いながらわざわざ連れて来てやるあたりがお前らしいがな………」

「セ、セルゲイさん………!」

口元に笑みを浮かべて呟いたセルゲイの言葉に慌てた。

「はは………副司令に、ノエル曹長も………」

その様子を苦笑しながら見ていたロイドはソーニャとノエルに視線を向け

「皆さん、お疲れ様です!」

「こちらの部隊もようやく身動きが取れるようになったわ。それで様子を見に来たんだけど………とりあえず、危機は去ったのね?」

視線を向けられたノエルは敬礼をし、ソーニャは口元に笑みを浮かべて尋ねた。

「はい……」

「不気味な魔獣や悪魔達も全て姿を消してしまいましたし………」

「おかげで全員、連れて帰って来られたぜ。ま、マフィア達は拘束して、地下に置いたままだが………」

ソーニャに尋ねられたロイドとティオは頷き、ランディは説明を続け

「………むしろこれからの方が大変かもしれませんね。」

「そうね……市民への説明と諸外国の対応………操られ、大怪我をした警備隊員達へのケアや治療もきちんとしないと………」

「マフィア達も一通り、拘束する必要がありそうですね。」

「そして今回の事件に関する一連の証拠集め……一ヵ月は大忙しだろうな。」

エリィの言葉に続くようにソーニャ、ノエル、ダドリーは呟き

「フフ………ギルドも協力させてもらおう。」

「……感謝する。それとディオン三姉妹。お前達も解毒薬の件で忙しくなると思え。後はルファディエル。普段特別待遇にされている分、お前は私達の倍は働いてもらうぞ。」

アリオスの言葉にダドリーは静かな笑みを浮かべて頷いた後セティ達とルファディエルに言い

「はい……!」

「やっとあたし達の腕が認められたね♪」

「ええ……!私達”工匠”の力が皆さんの役に立つ………これぞ”工匠”が目指しているものですね……!」

「フフ、わかっているわよ。さすがにそれぐらいはしないと特別待遇の権利も無くなりそうだしね。」

ダドリーの言葉にセティ、シャマーラ、エリナは嬉しそうな表情で頷き、ルファディエルは苦笑しながら頷き

「あ、勿論、セリカ達も手伝ってね♪」

「ああ、それは勿論。」

「クク、サティアの件でエステル嬢ちゃんに甘くなりすぎているだの。」

「全くセリカは……」

「クスクス………」

エステルの言葉にセリカは口元に笑みを浮かべて頷き、セリカの様子を見たハイシェラとレシェンテは苦笑し、リタは微笑んでいた。



「……ふふっ………」

「確かに死ぬほど忙しくなりそうだが……」

「でも………何だかすべてが良い方向に行きそうね。」

「……ああ……」

「うんっ!」

「ウォン!」

「クク……―――ロイド、エリィ、ティオ、ランディ。詳しい報告はゆっくりと聞かせてもらうとして……とりあえず―――ケリは付けてきたか?」

和やかでいるロイド達を見たセルゲイは口元に笑みを浮かべて尋ね

「あ………」

セルゲイの言葉を聞いたロイドはエリィ達を見回し

「はい………!」

4人同時に返事をした!

「クク……上出来だ。これでどうやら………お前達を一人前として認めてやる事が出来そうだ。………ガイのやつも喜んでるだろう。」

「課長………………」

「フフ…………」

「……………………………」

そしてセルゲイの言葉にロイドが驚き、ルファディエルとアリオスが静かな笑みを浮かべたその時

「はいは~い!ちょっとどいてどいて~!」

なんとグレイスがカメラマンと一緒にセルゲイ達の背後から現れた。



「グレイスさん!?」

「こ、こんな所まで……」

グレイスを見たロイドとエリィは驚き

「こんな美味しいネタを見逃すわけにはいきますかって!何はともあれ、まずは一枚パシャリと行かせてもらうわよ~!ほら、全員入った入った。」

グレイスは口元に笑みを浮かべてロイド達を促した。

「やれやれ……」

グレイスの言葉にセルゲイは溜息を吐き

「写真、とってもらうの~?」

キーアは嬉しそうな表情でロイドに尋ね

「ああ………ニッコリ笑うんだぞ?」

「うんっ!」

ロイドの言葉に元気よく頷いた。

「ツァイト、入りましょう。」

「グルル………ウォン。」

ティオの言葉にツァイトは頷き

「えっと、あたしたちは………」

「さすがに遠慮した方がよさそうだね………」

「そうだよね……」

エステル達は遠慮しようとしたが

「おらおら。遠慮すんなっつーの。嬢ちゃんやエステルちゃんが呼んだ助っ人の人達も入ってけよ?」

ランディはエステル達の言葉を撤回した後レンやセリカ達に視線を向け

「ふふっ………それじゃあ遠慮なく。」

「ハハ……わかったよ………」

視線を向けられたレンとセリカは微笑みながら頷いた。

「まったく……」

一方ダドリーは呆れ

「フフ、たまにはこういうのも悪くなかろう?」

アリオスは静かな笑みを浮かべ

「ほら、副司令も課長さんの横あたりに!」

「はいはい………でもこれ、どんな絵面になるのかしら。」

ノエルはソーニャに場所を促した。そしてロイド達はそれぞれ所定の位置に並び

「さあ、行きますよー。―――はい、チーズ!」

グレイスの言葉にそれぞれの仕草をして、グレイスが連れて来たカメラマンに写真を撮ってもらった。



こうしてロイド達のクロスベルの一番長い日がようやく終わった………!




 
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