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水の国の王は転生者

作者:Dellas
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第三十三話 ラ・ロシェール強襲


 ……ヒュンヒュンと、ロケット砲の甲高い音が大空に響く。
 空高く昇ったロケットは、小高い丘の上に建つ石造りの城の城壁を飛び越え場内へと降り注ぎ爆炎を上げた。

「殿下、敵方の城より白旗が掲げられました」

「分かった。攻撃停止、降伏を受け入れると使いを送れ」

「御意」

 マクシミリアンの失策を利用し国内の反乱分子を炙り出したエドゥアール王は、各諸侯に動員令を発した。
 かくして、マクシミリアン婚礼三ヶ月前という微妙な時期にトリステイン王国の内乱は幕を開けた。

 先手を取ったのはトリステイン王党側で、マクシミリアンの常備軍500と王宮の地下で埃を被っていた『ミニエー銃』1000挺を予備兵に渡し、急遽1500の歩兵連隊を編成、ラザールのロケット砲部隊や工兵隊、補給隊など集めた『マクシミリアン軍』は、常備軍が無くまだ準備の整っていない有力反乱貴族に対し各個撃破して回った。

 電光石火、開戦2週間で多くの貴族は降伏し、マクシミリアンの武名を恐れて戦わずに降伏貴族も現れた。
 と、いってもマクシミリアンが軍を指揮している訳ではない。マクシミリアンは言わば『御輿(みこし)』で、軍はダグーら家臣団が指揮している。

 同じ頃、王軍も編成を終えて、各地の反乱軍討伐に加わっていた。
 一方、反乱軍はお粗末で大して戦略を持たずに、リッシュモンの言われるままに蜂起してしまった為、連携が取れず各個撃破の標的になった。
 本気で反乱を起こす気の無い貴族は、自分達が反乱軍に名を連ねている事に驚き、王党軍に組している親しい貴族を通じて恭順の意を伝えてくる者もいた。とはいえ、恭順を受け入れられた貴族は少数で、大半は赦されずに取り潰された。

「将軍、この場はお任せしても宜しいでしょうか?」

「御意にございます」

 幸い死傷者は無く、マクシミリアンは同行していた王軍の将軍に後始末を任せると、次の戦場へと移動を開始した。







                      ☆        ☆        ☆







 転戦、転戦、また転戦。

 開戦1ヶ月で、マクシミリアンは多くの戦場を経験した。
 ラザールのロケット砲は、どの戦場でも抜群の威力を発揮し、ダグー警備隊長改め連隊長に指揮された歩兵連隊も『ミニエー銃』の威力で連戦連勝を繰り返した。
 しかも反乱貴族側は兵の集まりが悪く、組織的な反撃が出来ない状態で、平民に人気のあるマクシミリアンと戦いたくない、という理由で徴兵を拒否して逃げ出す者が多発していた。

 マクシミリアンらの活躍で反乱貴族の中にも戦線離脱する者も増えだした。元々、烏合の衆に近い連中だったから尚更だ。

 そんな中、凶報がマクシミリアンらに知らされた。

 反乱首謀者のリッシュモンがチェルノボーグへ移送中に反乱貴族に奪還されたというのだ。
 エドゥアール王は、マクシミリアンを介して密偵団に対し、直ちにリッシュモンの行方を探す様に指示し、密偵団だけでなく王宮からも人を出して捜索に当たらせていた。

 その甲斐あってか、密偵団がリッシュモンの居場所を掴む事ができた。

 場所はトリステイン南部の町ラ・ロシェールで、山間の街で世界樹(イグドラシル)を桟橋代わりに利用した港町だ。
 どうやら、リッシュモンはフネでロマリアに逃げ込むようだった。

 転戦中にこの事を知ったマクシミリアンは、新宮殿で待機しているコマンド隊にリッシュモン追跡を命じた。

 ……

 コマンド隊を乗せたフネはラ・ロシェールへを目指して進路を南に向けた。

 船内では、詰めのミーティングが行われていて、その中にアニエスの姿があった。
 アニエスはこの内乱の引き金が自分にあったことを知らない。

『あえて、知らせる必要はない』

 と、隊長のド・ラ・レイは判断した。

 開戦から1ヶ月、地獄の訓練に耐えた結果、何とか実戦に耐えられる練度を判断され、アニエスに初陣の機会が回ってきた。
 ……とはいえ、下っ端でだが。

「密偵団からの情報では、ラ・ロシェール内の『女神の杵』亭に宿泊しているとの事、目標の捕縛もしくは殺害が許可されている。護衛のメイジは5人以上を確認。各員、気を抜かないように」

「降下予定地点はラ・ロシェールを10リーグ下った場所だ。これは敵に我々を察知されないための処置でもある」

「コマンドー!」

「1時間後に予定空域に到着する。全員降下準備後、待機だ」

「コマンドー!」

 各隊員は準備に取り掛かった。

 アニエスが準備をしていると、一人の男が声を掛けてきた。

「よう、アニエス。」

「ヒューゴさん」

 この男は、名前をヒューゴといって、アニエスが入隊するまでは一番年下の下っ端で、アニエスが入隊した事で下っ端から解放され、それ以来何かとアニエスに絡んでくる男だった。悪い男ではなく、愛嬌と菓子を奢ってやる程度の気前の良さをもっていた。

「意外だったな。一番下っ端のお前を連れてくるなんて」

「今まで訓練の手を抜いた事はありませんよ。多分、隊長もその辺を見ていてくれたんだと思います」

「まぁ、いつかは初陣を張らなきゃならないしな」

「がんばります」

 2人で、ワイワイやっていると。

「おい! お前ら早く仕度しろ!」

「ゲッ、副隊長!」

「すみません!」

 2人でくっちゃべっている所を、副隊長に見つかり怒られた。

 ……

 時間は深夜を少し回った頃だろう。
 降下予定空域上空に入ったフネはパラシュート降下に移ろうとしていた。

 隊員達はパラシュートを収納したリュックを背負い、それぞれ支給された。『場違いな工芸品』を持ち整列していた。

「時間だ。各員直ちに降下し、目標を確保せよ」

「コマンドー!」

「よし、行け!」

 次々とフネから飛び降りたコマンド隊隊員。
 ついにアニエスの番になった。アニエスには.38口径のリボルバーが支給されていた。訓練しているとはいえ12歳の女の子、ライフルを撃つのは無理と判断された結果だ。
 そして、実戦に耐えられるといっても、あくまで伝令役や給弾係などが主任務だった。

「よし、次!」

「コ、コマンドー!」

 アニエスは意を決して夜の空へと飛び出した。

 山間部ながらも幸い風も弱くアニエスは予定通りの場所へ着地し、素早くパラシュートを回収すると、他の隊員に混じって、ラ・ロシェールの街へと山道を登っていった。

 ……

 コマンド隊は『女神の杵』亭を囲むように配置を完了させた。

 後方で指揮を取る隊長のド・ラ・レイは、突入部隊を指揮する副隊長に使い魔の猿のボーマンを同行させた。
 使い魔のボーマンは字を書く事ができて、主人と使い魔との間にできる感覚の共有を組み合わせる事で、離れている隊長と隊員との意思の疎通が出来た。

「突入準備完了。目標の部屋割りも把握しています」

 副隊長が準備完了を使い魔のボーマンにいうと、ボーマン通じてド・ラ・レイに伝わった。

「よし、始めろ」

 ド・ラ・レイが作新開始を命じた。ちなみにアニエスは伝令役をしてド・ラ・レイの後ろに控えていた。

『ハジメロ』

 使い魔のボーマンの書いた文字を見て、一人の隊員がフクロウの鳴き真似で作戦開始を全隊員に伝えた。

 『女神の杵』亭はラ・ロシェールで一番上等な宿屋兼酒場で、1階部分が酒場、二階部分が宿屋になっていた。
 しかも深夜で内乱中とあって、客足は疎らで戦乱を嫌って国外に逃げる商人が数人居た位だったが、数人の貴族が商人を追っ払っていた為、店内には護衛の数人の貴族と店主しかいなかった。

 1階と2階、同時に突入しようとした矢先、酔った貴族が店の外へ出ようと席を出た。

『ホー、ホー』

 異常を察した鳴き役の隊員がハトの鳴き真似をした。ハトの鳴き真似は『待て』の意味が含まれて、間一髪、突入を踏み止まった。

 酔った貴族は店を出て、夜風に当たりながら散歩を洒落込もうとしていた。
 周りには誰もいない、一人だけだ。副隊長はアイコンタクトで隊員に貴族の始末を命じた。

 隠れている茂みから貴族までは50メイルと離れている。
 銃を使えば銃声であっという間にコマンド隊の存在を知られてしまう。サイレンサーなんて洒落た物は持っていない。そこで隊員はクロスボウと取り出した。
 無音武器のクロスボウなら気付かれずに殺る事ができる。隊員は散歩中の貴族を狙い、そして放った。

 (ボルト)は首の裏、延髄に刺さり、呻き声一つ出さずに道端に倒れ、すかさず別の隊員が死体を茂みの中に隠した。

「よし、いいな。突入」

 再び、『行け』もしくは『作戦開始』の意味を持つフクロウの鳴き真似をすると、コマンド隊員は一斉に『女神の杵』亭の1階、2階の両方に同時に突入した。

 1階の酒場に突入したコマンド隊に対し、酒を飲んでいた護衛の貴族達は咄嗟に反応できなかった。

「なっ!?」

 『何だお前ら!?』と言う事も出来ずに一人の貴族はトンプソン短機関銃で蜂の巣にされ息絶え、他の貴族全員も同じような末路をたどった。

「ひいい……」

 カウンターの裏で震えていた店主。

「すまない店主。請求は王宮までよろしく頼む」

「は、はい」

 2階でも始まったらしく、銃声と女の悲鳴が聞こえた。

 2階でもコマンド隊が突入。
 ロープの反動で窓ガラスを割って中に入り、ベッドで寝ていた貴族を拳銃やナイフで殺した。

 全ては順調……と思いきやトラブルが起きた。

「副隊長、大変です!」

「どうした」

「2階にて多数の民間人が……」

「民間人? 宿帳には貴族と商人以外、他に名前が無かったぞ」

 ちなみに商人たちは事前に退避させてある。

「どうも娼婦のようで、どうやら貴族の相手をしていた様です」

「娼婦か……このまま作戦領域内に居ても邪魔なだけだ、速やかに退去してもらおう」

 副隊長が、隊長と感覚を共有させる使い魔のボーマンに言うと、ボーマンが『ゴエイ、オクル』と書いた。
 娼婦を退去させるための護衛を送るらしい。

 数分後、アニエスを含む4人のコマンド隊員が遣わされた。

 ……

「まったく、ひどったらありゃしないわ。内乱が起こって以来の久々の上客だったのに」

 作戦領域外への道中、4人の娼婦の内の一人が隊員たちに向かって、延々と愚痴を漏らしていた。

「我々も、大変心苦しく思っております」

「だったら兵隊さん、私を買わない? 安くしとくわよ」

「勤務外でしたら嬉しかったのですが、残念ながら勤務中ですので遠慮しておきます」

「ケチ!」

 幸い、口の回る隊員が居て娼婦の相手になってくれていた。
 和気あいあいの一歩前の様な、和やかな雰囲気だった。

「なあ、あの姉ちゃんおかしくないか?」

 同僚のヒューゴがアニエスに寄って、異変を伝えた。

「あの姉ちゃん……て、どの人ですか?」

「一番右っ側の姉ちゃんだよ。あの分厚いバスローブを羽織った姉ちゃん」

 4人の娼婦は横並びで歩いていて、アニエスは後ろから見て右側の娼婦を見た。

「綺麗な人ですね」

「だろ? 綺麗なんだけど何か違うんだよ」

「どう違うんですか?」

「うなじが、さ……うなじが、そそらないんだ」

「はぁ?」

「おかしいだろ? あんなに美人なのに、もしかして顔から下は別人じゃないのか?」

 ヒューゴはヘラヘラ笑いながら喋っていたが、場の空気が妙な方向へ変わっていった。

「……」

「……」

 ベラベラ喋っていた娼婦は急に黙り込み、他の2人の娼婦も明らかに挙動がおかしい。
 不穏な空気を察した別の二人の隊員が腰に挿した銃に手をかけた。

「そこの人、ちょっといいか?」

「……」

「手を頭の後ろに」

「……」

「駄目よ! みんな逃げて!」

「助けて!」

 娼婦達の絶叫と同時に『おかしな娼婦』が魔法を放った。

 爆炎が周囲を包み、二人の隊員は炎に包まれアニエスたちも爆発の衝撃波で地面に叩きつけられた。
 3人の娼婦も衝撃波で倒れたが、見た限りでは気絶しただけだった。

「馬鹿共め!」

 『おかしな娼婦』は吐き捨てるように言うと、走り去っていった。

「おい、アニエス動けるか?」

「な、何とか。ヒューゴさんは?」

「俺は、足が折れたみたいだ。ドンさんとペリーさんも追えそうにない」

 ドンとペリーと呼ばれた二人の隊員は、全身に大火傷を負い、危険な状態だ。

「前に聞いた事がある、『フェイスチェンジ』って奴だ。多分中身は男だよ」

「え、男!?」

「アニエスは奴を追うんだ。ひょっとしたら大物かもしれない」

「わ、分かりました。後の事はお願いします!」

「おう」

 アニエスは全身の痛みを堪え立ち上がると、逃げた娼婦を追って走り出した。

 ……

 逃げた娼婦を追って、山道下っていくと、暗闇の中薄っすらと娼婦の後姿が見えた。

 アニエスは腰の.38口径の残弾を確認し、娼婦に向けて発砲した。
 弾は娼婦の足元に着弾した。

「おのれ!」

 娼婦は振り向きざまに『ファイア・ボール』を放った。

 アニエスは近くの岩陰に避難すると『ファイア・ボール』が岩を焦がした。
 すかさず.38口径で反撃、3発中1発が娼婦の手に当たった。
 幸運にも、マジックアイテムを破壊したのか、娼婦の顔が見る見るうちに男の顔に変わった。

「おのれ、よくも『フェイスチェンジの指輪』を」

「あの顔、たしか……」

 かつて、新宮殿で仇のリッシュモンの似顔絵を見せて貰った時の事を思い出した。

「リッシュモン!」

 『フェイスチェンジの指輪』を破壊されただけでなく手も負傷したリッシュモンは杖を持ち替え、再び『ファイア・ボール』を放った。

 先ほどと同じように岩陰に隠れ『ファイア・ボール』をしのぐと、また反撃したが、これは当たらなかった。
 
「くっ!」

 .38口径の給弾を手早く済ませ、3発発砲。が、当たらない。

「落ち着け落ち着け落ち着け」

 ブツブツと独り言を呟くアニエス。
 仇の男をこの手で殺す願ってもいない状況に恵まれた事で焦りが生まれていた。

「もう少し近づかないと」

 自分が焦っている事に気付かないアニエスは強硬手段を取ろうとしていた。

「魔法を撃ったら全速力……よし!」

 『ファイア・ボール』が岩に着弾したタイミングでアニエスは岩陰から出て全速力でリッシュモンに迫った。

「はああああっ!」

「子供か!」

 パンパンと.38口径を撃ちながらアニエスはリッシュモンに迫った。
 リッシュモンは腕や腹に銃弾を受けても、スペルを唱え続けた。全弾撃ちつくしたアニエスは.38口径を捨ててナイフを取り出しリッシュモンへ突き立てた。

 だが、アニエスのナイフが仇の身体に食い込む前に、リッシュモンは『ファイア・ボール』のスペルを唱え終えた。

「死ね!」

 杖から火球が発生しアニエスの身体を燃やした。

「うわああぁ!」

 アニエスの身体は炎に包まれ、炎を消す為に地面を転がった。。

 リッシュモンは転がるアニエスの元へ近づき、腹をつま先で蹴りつけた。

「ぐふっ」

「平民風情が調子に乗りおって! このっ、死ね!」

 ガスガスと何度も蹴りつけられ、アニエスは遂に動けなくなった。

「ううう……」

 動けなくなったが、まだアニエスは諦めてはいなかった。

「手間を取らせおって、今すぐ殺してやる」

 リッシュモンは杖を掲げ止めを刺そうとした瞬間。

 パァン!

 という音の後、杖を持ったリッシュモンの腕が吹き飛んだ。

「うぐおおぉぉ!」
 
「アニエス!」

 声の先にド・ラ・レイと数人のコマンド隊員が居た。
 先ほどの攻撃はド・ラ・レイの隣に.308口径の狙撃銃を持った隊員が放った一発だった。
 そして、次々と空へ向かって照明弾が打ち上げられ。さらに数人のコマンド隊が応援に駆けつけてくれた。

(チャンスは今しかない!)

 肘から先が吹き飛んだリッシュモンは、どうしたら良いかうろたえるばかりだった。その光景を見てアニエスは最後の力を振り絞って、身体ごとナイフをリッシュモンにぶつけた!

「うわああああああ!!」

 アニエスは吼え、ナイフはリッシュモンの胸に深々と刺さり、二人は転がるように緩やかな崖へと落ちていった。

 ……

「ん……あれ?」

 何かに揺られる様な感覚に、目を覚ますと、アニエスは担架に寝かされラ・ロシェールへ戻る道中だった。

「起きたか」

「隊長」

 ド・ラ・レイはアニエスのすぐ隣に歩調を合わせるように歩いていた。

「あの……リッシュモンはどうなりましたか?」

「死んだよ。心臓を一突きだ」

「そうですか」

 アニエスは全身の力が抜ける様な感覚を覚えた。
 アニエスからは見えないが、リッシュモンの死体は死体袋に入れられ隊員が運んでいる。

「あの他の人たちは、どうなったのでしょう?」

「ドンとペリーは重傷だが、命に別状はない。民間人3人は軽傷だ」

「あの、ヒューゴさんは?」

「ヒューゴの奴は足を捻挫しただけだ。本人は骨折したと言っていたが副隊長にどやされるとすぐさま起き上がって持ち場へ帰って行ったぞ」

「ハハハ……」

 乾いた笑いがアニエスから漏れた。

「さて……」

 ド・ラ・レイは神妙な顔つきになった。

「見事、本懐を遂げた訳だが、これからどうする? 除隊するか?」

「え……」

「マクシミリアン殿下からは、敵討ちの為の力を授けてほしいと、直々にお願いされていたからな」

「……」

「まぁ、答えを出すのは、今すぐでなくてもいい」

「いえ、答えはもう出してあります……もうしばらく、コマンド隊にご厄介させて貰えませんか?」

「断る理由が無い」

「これからも宜しくお願いします」

「うむ」

 アニエスは全身の虚脱感に身を任せ、そのまま眠りについた。


 
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