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英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第74話

~IBC~



「警備隊の新型装甲車………!?」

「クソッ、あんなもんまで持ち出しやがったのか!!」

「そんな…………装甲車とどうやって戦えば………」

装甲車の登場にロイドは驚き、ランディは舌打ちをし、エリィは不安そうな表情になった。

「フフ……なかなか頑張ったようだが、もうこれでおしまいだよ。」

するとその時装甲車の背後からなんと不気味な笑みを浮かべている警備隊員が背後に多くの警備隊員達を控えて現れた。

「……どなたかしら?」

「ロギンス!?なんでお前が――――」

不気味な笑みを浮かべている警備隊員をレンは警戒し、警備隊員と顔見知りであるランディは信じられない様子で声をかけたが

「ああ、ランディ君。勘違いしないで欲しいな。”僕”は君の元同僚ではない。彼の身体を借りてこうして話しかけているだけさ。」

警備隊員はランディが知っている目の前の警備隊員の口調とは全く違う口調で答えた。



「その口調……!?」

「ま、まさか……」

「ヨアヒム先生………!?」

聞き覚えがある口調にエリィは厳しい表情をし、ティオは驚き、ロイドは警備隊員を睨んで警備隊員の正体を言い当てた。

「フフ、正解だ。僕からの招待状は目を通してくれたようだね。アーネスト君も一応、役に立ってくれたというわけだ。」

「てめぇ……」

「病院を占領したのはやっぱり彼らを挑発する為だったのね………」

口元に笑みを浮かべて語る警備隊員―――ヨアヒムをランディとルフィナはそれぞれ睨んだ。



「一体、何のつもりですか…………こんな事をしでかして………クロスベル全土を混乱に陥れて………!」

「あなたは………”D∴G教団”は一体何をするつもりなんだ……!?」

「ハハ、それが知りたいのであれば僕らの仲間になってもらうしかないな。”グノーシス”を服用してもらえればその境地へと導かせてもらうよ?」

「ふ、ふざけないでください………!………あなたが………あなたがあんな酷いことを………!」

「………………………………」

「レン様………」

ヨアヒムの問いかけに対してかつての過去を思い出したティオは辛そうな表情で叫び、殺気を纏ってヨアヒムを睨むレンの様子をフローラは心配そうな表情で見つめていた。

「フフ、別に各ロッジの儀式は僕がやった事ではないけれどね。無論”グノーシス”のプロトタイプの実験データは回収させてもらったよ。そのデータを元に、この古の聖地で僕は”グノーシス”を完成させた………そう、全ては運命だったのさ!」

「あ、あんた……」

「何を口走ってやがる………」

「世迷言を……」

「レン嬢ちゃんから”教団”の情報をもろうて知ってはいたけど、資料に書いていた以上に頭がイカれとる連中やな………」

高々と叫んだヨアヒムをロイドとランディ、レオニダスは睨み、ゼノは真剣な表情でヨアヒムを見つめていた。



「クク…………”至らぬ”身である君達に理解してもらうつもりはない。我々の要求はただ一つ。あの方を―――キーア様を返してもらうというだけだ。」

一方ヨアヒムはロイド達を見つめて嘲笑した後、ロイド達に驚きの要求をした。

「ふえっ!?キーア様というのは確か………!」

「レン様の予想通り、この襲撃の狙いは”黒の競売会(シュバルツオークション)”の件の少女か……!」

ヨアヒムの要求に驚いたフェリシアの言葉の続きを答えたジョーカーはヨアヒムを睨んだ。

「あ、あの方………!?」

「………キーア様って………」

「あんた………あの子をどうするつもりだ!?」

「勘違いしないでもらおう。キーア様は元々、我等が御子(みこ)。その身を君達が預かったのはただの偶然に過ぎない。あの方にはただ、あるべき場所に還っていただくというだけさ。」

「ふざけるな………!あんたらの狂信に……あの子を巻き込ませるものか!」

「さっきから聞いていれば……妄想めいたことばかり……!」

「てめぇみたいな変態野郎の元にキー坊を戻せるわけねぇだろうが………!」

「おととい……来やがれ………です……!」

「うふふ、キーアの今の”保護者”はレン達よ。”保護者”として貴方みたいな、最低最悪な人の所に戻す訳がないでしょう?」

「遊撃士として……そして人として、あの娘は貴方に絶対に渡さないわ、”外法”!」

そしてヨアヒムの話を聞いたロイド達”特務支援課”の面々に加えてルフィナはそれぞれキーアを絶対に渡さない事を答えた。



「やれやれ……交渉は決裂か。ならば君達の屍を越えてキーア様をお迎えさせてもらおう。」

ロイド達の返事を聞いたヨアヒムは溜息を吐いた後、片手を上げた。すると装甲車はロイド達に砲口を向けた!

「クク、君達の女神への祈りはすませたかな………?それでは死にたまえ――――」

醜悪な笑みを浮かべたヨアヒムは装甲車と警備隊員達に指示をした。

「やれやれ……まさか”西風”を相手に”その程度の物”を持ち出したくらいで、もう勝った気でいるなんて典型的な小物やな。」

「何……っ!?」

そしてゼノが呆れた表情で呟き、それを聞いたヨアヒムがゼノを睨んだその時!

「「オオオオオオオオッ!!」」

二人はそれぞれ戦場の叫び(ウォークライ)を発動して全身に黒い闘気を纏った!



「黒い……闘気……?」

「もしかしてランディさんと同じ………」

「ああ………ようやく”本気”を出しやがったか……」

「あれが戦場の叫び(ウォークライ)………!」

「うふふ、二人を味方にしていて正解だったわ♪」

二人がそれぞれ纏っている黒い闘気を見たエリィとティオは呆け、ランディとルフィナは真剣な表情で二人を見つめ、レンは意味ありげな笑みを浮かべていた。

「そらあぁぁぁぁっ!!」

「はあああぁぁぁっ!!」

そして黒い闘気を纏ったゼノはブレードライフルによる渾身の一撃を叩き込み、ゼノはクラフト―――ダイナマイトスパイクを真正面から叩き込んだ。するとゼノの一撃を受けた装甲車のガトリングガンやミサイルがついている部分が破壊されると共に装甲車は爆発を起こして炎上し、レオニダスの一撃を受けた装甲車は爆発を起こして炎上しながら転倒し、ヨアヒムの背後に控えていた警備隊員達は爆風によってふっ飛ばされた!



「な、な、な……!」

「なあああああああっ!?」

「装甲車を生身で………」

「し、信じられない…………!」

「ま、”西風の旅団”や”赤い星座”の連中は隊長クラスじゃなくてもあんな真似ができる奴なんてゴロゴロいるけどな……」

生身の人間が装甲車を無力化するというありえない出来事にヨアヒムは口をパクパクさせ、ロイドは驚きの表情で声を上げ、ティオは呆け、エリィは信じられない表情をし、ランディは疲れた表情で呟いた。

「レンちゃん、装甲車の消火を手伝って!あのままだと、中にいる人達が焼け死ぬわ!エニグマ駆動―――ハイドロカノン!!」

「は~い♪ジョーカーお兄さん達もお願いね♪エニグマ並びにアークス駆動―――ダブルハイドロカノン!!」

「かしこまりました。アークス駆動―――ハイドロカノン!!」

「アークス駆動~~~グランシュトローム~!!」

「アークス駆動―――クリスタルフラッド!!」

一方ルフィナ達はそれぞれ水や氷を発生させるアーツを放って炎上している装甲車の火を鎮火していた。



「クク、もう(しま)いか、小物?」

「俺達”西風”の”力”を軽んじていた事がお前の”敗因”の一つだ。」

ゼノは不敵な笑みを浮かべてヨアヒムを見つめ、レオニダスは静かな表情でヨアヒムを見つめてヨアヒムの”敗北”を宣言した。

「おのれ―――――ッ!そんな事を言っていられるのも今の内だ……!君達が幾ら強くても所詮は”到っていない”人間。”グノーシス”を投与した者達は他にもまだまだたくさんいる!」

敗北宣言をされたヨアヒムは怒りの表情で叫ぶと新たな警備隊員達がヨアヒムの背後に現れた。

「さあ!まずは大口を叩くあの二人をなぶり殺しに――――」

そしてヨアヒムが警備隊員達に指示をしようとしたその時!

「―――そこまでにしてもらおう。それ以上その二人に攻撃を仕掛ければ、警備隊の中から死者が出る。」

「!?」

「あ………」

「……あなたは……!」

聞き覚えのある男性の声が聞こえ、声を聞いたヨアヒムは驚いて後ろに振り向き、エリィとロイドは声の持ち主―――アリオスを呆けた表情で見つめていた。



アリオスの存在に気づいた警備隊員達はアリオスを無力化する為に次々とアリオスに近づいたが

「八葉一刀流、二の型”疾風(はやて)”――――」

アリオスの電光石火の攻撃によって次々と無力化され、アリオスは警備隊員達を無力化しながら坂を上った後跳躍してロイド達の前に現れ

「斬!!」

振り向くと同時に凄まじい斬撃波を放ってヨアヒムの周囲にいた警備隊員達をふっ飛ばすと共にヨアヒムに大ダメージを与えて地面に膝をつかせた!



「アリオスさん……!」

「か、風の剣聖……!?」

アリオスの登場にロイドが明るい表情をしている中ヨアヒムは信じられない様子で声を上げた。

「おいおい!すげぇタイミングだな!

「狙ってたみたいです……!」

「フフ……そんなつもりは無かったが。ちなみに、来たのは俺だけではないぞ。」

「え………」

アリオスの言葉にロイドが呆けたその時、警備隊員達を銃撃で戦闘不能に陥らせたセルゲイちダドリーが姿を現した!

「クッ……先を越されたか!」

「フ……さすがに俺もトシだな。」

「課長……!」

「ダドリーさんも……!」

姿を現した二人はIBCに走って向かい、それぞれ左右から地面に膝をついているヨアヒムに銃口をあてた。



「き、貴様ら………」

「ははっ……カッコつけすぎだろ!」

「むう……レンとした事がこんな美味しい場面を取られるなんて。こんな事ならレンも二人と一緒に残った方がよかったかもしれないわね♪」

「レンちゃん、貴女ねぇ………」

「お二人とも……よくご無事で……!」

二人に銃口をあてられたヨアヒムは悔しさと怒りに震え、ランディは笑顔を浮かべ、頬を膨らませた後小悪魔な笑みを浮かべているレンの言葉を聞いたルフィナは脱力し、エリィは明るい表情で二人を見つめた。

「幸い、良いタイミングでアリオスと合流できてな………」

「思わぬ加勢もあったからこうして辿り着けたわけだ。」

「思わぬ加勢?……あ………」

「あれは……!」

ダドリーの答えの意味がわからなかったロイドだったが、IBCへと向かう坂のふもとで待ち構えている人物達を見て呆け、ティオは驚いた。



~港湾区~



「……やれやれ。完全に操られてるみたいだね。」

ふもとで待ち構えている人物達――――ヴァルドと共に新手の警備隊員達を待ち構えているワジは静かな笑みを浮かべ

「オラアアアアアッ!」

ヴァルドは叫び声をあげた後ワジと共に強烈な一撃を警備隊員達に叩き込んだ!

「ハッ………大したことねえじゃねえか!このヴァルド様の力にかかりゃあ、警備隊なんざ―――」

警備隊員達の様子を確認したヴァルドが嘲笑したその時

「「……………………」」

「な、なんだコイツら!?」

「だから言っただろう?薬をキメてタフになってるって。行方不明になった君の所のディーノ君と同じさ。」

警備隊員達は立ち上がり、その様子に戸惑っているヴァルドに呆れた表情で溜息を吐いたワジは説明をした。



「チッ……そういう事か。どうやら落とし前を付ける必要がありそうだな……てめえら、始めるぞ!」

説明を聞いたヴァルドは舌打ちをした後警備隊員達を睨んで叫んだ!

「ウ―――ッス!」

するとどこからか青年達の声が聞こえ

「フフ……こちらも聖戦の準備を!」

了解(ヤー)!」

ワジが号令をかけると青年達の声が聞こえ、そしてサーベルバイパーとテスタメンツの青年達が警備隊員達を包囲し、アッバスがワジの背後に現れた!

「準備完了―――いつでもいいぞ、ワジ。」

「フフ……それでは聖戦を始めよう。」

アッバスの言葉にワジは頷き

「暴れるには丁度良い夜だ………てめえら、一人残らず叩きのめしてふん(じば)れ!」

好戦的な笑みを浮かべたヴァルドは大声で号令をかけた。

「おおっ!!」

するとサーベルバイパーとテスタメンツの青年達は警備隊員達との戦闘を開始した!

「あの方達は……!」

「執事長並びにメイド長、副メイド長をIBCにて発見しました!なお、お嬢様達や”西風”のお二人もいらっしゃっています!」

「既に警備隊と戦闘を開始している謎の若者達に遅れず、私達も続くぞ!」

「はいっ!!」

更に港湾区に現れたメイドや執事の団体が次々と港湾区に現れる警備隊員達との戦闘を開始した!



~IBC~



「あいつら……!」

「しかも結構、押してます……!」

「はは………プロ相手にやるじゃねえか!」

「うふふ、他の人達も到着したみたいね♪」

「それに皆さん、全員ご無事のようでよかったです~♪」

「やれやれ……来るのが少々遅いぞ。」

「フフ……細かい事は今はいいじゃない。」

(あの二人は……!何故、あの二人がクロスベルに………)

港湾区の様子を見たロイド、ティオ、ランディは明るい表情をし、レンとフェリシアは笑顔を浮かべ、呆れた表情で溜息を吐いたジョーカーにフローラは苦笑しながら指摘し、不良集団の中に混じっているある二人を見つけたルフィナは驚いた後困惑の表情で二人を見つめていた。



「くっ……不良ごときがどうして……」

ヨアヒムは悔しそうな表情で呟いたその時、エニグマが鳴る音がし

「あ……」

「さっきまで通信が繋がらなかったのに……!」

エニグマの音を聞いたロイドは声を上げ、エリィは明るい表情をした。そしてロイドは通信を開始した。

「はい、こちら特務支援課―――」

「よ、よかった~!ロイドさん、無事でしたか!警備隊に追われてるって聞いてどうなったのかと……!」

「フラン……無事だったのか!」

「はい……!こちらも反撃に転じました!それと遊撃士達が破壊された通信ターミナルを復旧してくれたらしくて……限定的ではありますが導力通信が回復できました!」

「そうか………!」

通信相手―――フランの言葉にロイドが頷いたその時、再びエニグマが鳴ってある通信相手がロイドに話しかけた。

「ハッ、復旧できたのはボクの情報のおかげだけどな!」

「その声は……ヨナか!」

「ああ、天才ヨナ様さ!ついでにIBCと協力して導力ネットも回復してやったぜ!ありがたく思えよな!」

「はは………恩に着るよ!」

「現在、警官隊がそちらに応援に向かっています!それとお姉ちゃんたちへの連絡はこちらでも試してみます!ロイドさん、どうか気をつけて!」

「せいぜい死ぬなよ~!」

「ああ……!」

フランとヨナの通信を終えたロイドはヨアヒムを睨み

「くっ、馬鹿な……………」

ヨアヒムは次々と起こる予定外の出来事に唇を噛みしめた。



「―――そういう事だ。”D∴G教団”幹部司祭、ヨアヒム・ギュンター。これ以上、このクロスベルで好き勝手な真似はさせんぞ?」

そしてアリオスはヨアヒムに太刀の切っ先を突き付けてヨアヒムを睨み

「クク……いいだろう。……こちらの戦力はマフィアと合わせて千名近く………しかも無尽蔵の体力を持ち、眠る必要すらない………歯向かう者は皆殺しにした上で我らが御子を取り戻してくれる………ハハハ……!楽しみにしているがいい………!!!」

ヨアヒムは凶悪な笑みを浮かべて笑った後地面に倒れた!


 
 

 
後書き
この物語でも装甲車は生身の人達に破壊されましたwwまあ、原作でもシャーリーが生身で装甲車を破壊していましたから、同じ大陸最強の猟兵団に所属していて、しかも連隊長であるゼノとレオニダスが破壊できても何の違和感もありませんwwそしてこの物語でもIBCイベントでヨアヒムはキーアに会う事すらできませんでしたww 
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