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歌集「春雪花」

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 心痛む

  君なき今を

    狂おしく

 悲しみ纏う

   夜の明くるまで



 ずっと…彼のことを考えている…それが私の日常になっている…。

 仕事も…休日もない…。ずっと…ずっと…。

 彼のいないこの場所…山々に囲まれた田舎町…。夜ともなれば尚寂しくなり、考えを逸らす術もなく…。

 愛しさは募り…心を掻き毟る…。
 悲しみは重く纏わりついて離れず…。

 そうして一人…夜が立ち去るのを待つだけなのだ…。

 それが…私の罪の対価なのだろう…。


 彼を愛した私の…。



 雨ぞ降る

  雲の上では

   逢えしものを

 地には虚しき

   われぞ在りなむ



 七夕の節句…織女と牽牛が一年に一度逢える日…。

 この日の雨は、二人が出会えた喜びの涙だと云う…。

 これだけ雨が降っていても、雲の上では出逢えているのかと思うと…無性に侘しくなる…。

 織女、牽上…ここには私の様な侘しい人間もいるのだ…。

 そう、愚痴りたくなるものだ…。



 
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