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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  157 クリスマスの冒険


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

「……さてハロウィーンも終わったし…」

今日も授業や魔法の訓練に励んだハロウィーンを寮内で楽しんだ夜から数日後の夜。いつぞやの様にカーテンを閉めて“サイレント”を掛けたベッドのの中で、思考に(ふけ)っていた。

……当然ではあるが〝くそ鼠(ピーター・ペティグリュー)〟はベッドのカーテンの外──“サイレント”の効果外に出してある。

「後の問題は“賢者の石”か…」

ルビウス・ハグリッドが1991年の──7月30日を跨ぎながらの7月31日に〝ハリー・ポッター〟を夜の嵐の小屋へと、(さなが)らお伽噺(フェアリーテイル)王子様(プリンス)みたいに迎えに行くのは【ハリー・ポッターと賢者の石】を観た事があるなら、詳しく云うまでものない。

……(もっと)もながら、それだと〝ハリー・ポッター〟がお姫様(プリンセス)になってしまうのも気にしてはいけない。

閑話休題。

……まぁ、この世界線では〝アニー・ポッター〟──TSして本当に〝お姫様〟になっていたのは、今更詳(つまび)らかに語るべくもないだろう。

また閑話休題。

アニーの話を聞くに、迎えに来たのは〝育ちすぎた蝙蝠(スネイプ)〟だったらしく、スネイプ先生はダンブルドアからの信用を真に勝ち取れていなかったようで──ダンブルドアからの〝お遣い〟は聞いていなかったようだ。

(……クィレルもクィレルで(つつが)無く(?)〝お辞儀さん(ヴォルデモート)〟に寄生されているし…)

クィレルのターバンの後ろからは〝イヤな感じ〟はビンビン感じていて──その〝イヤな感じ〟は今も〝倉庫〟で死蔵されている4つの〝分霊箱(ホークラックス)〟と同じ様な感覚なので、クィレルがヴォルデモートに寄生されているのは変わらないだろう。

(そういや、“マールヴォロ・ゴーントの指輪”に“蘇りの石”があるとは思わなかったな)

ダンブルドアが“ゴーントの指輪”に呪われていたのを思い出して、〝どんな呪いが掛かっていたのか〟と云う事と──〝填められている石〟が気になり、ふと“ディティクト・マジック”を掛けて見れば“マールヴォロ・ゴーントの指輪”に“蘇りの石”が填められていることが判明した。

恐らくだが──〝映画版〟では詳しく語られていなかったが、ダンブルドアは死後、ハリーの〝後押し〟をするために金のスニッチに“蘇りの石”を隠してハリーへと遺贈したのだろう。

……ちなみに〝指輪〟には装着したものを蝕むタイプの呪いが掛かっていた。これについては恐らく変更点はないだろう。

それと、これは意外だったのだが、“シャナク”を掛けたら〝呪い〟が消えたので──〝分霊箱(ホークラックス)〟であると云うこと以外は割と無害になった。

(あ、どうせなら)

「……“□□□□”」

ふと思いついた悪戯(いたずら)を、手のひらで遊ばせていた“マールヴォロ・ゴーントの指輪”──もとい、“蘇りの石”に施す。……我ながら小洒落た悪戯で、味方(ダンブルドア)陣営には恐らく悪転しないだろう魔法を“蘇りの石”へと掛ける。

……予期していなかった事ではあるが、間違いなく〝原作ブレイク〟であるのは今更である。

(……ま、それも今更だし──なるようになるか…)

人はそれを〝思考停止〟と云うかもしれないし──実際その通りなのだが、〝果報は寝て待て〟と云う(ことわざ)もある。……俺はその諺に(のっと)り、ベッドに掛けていた“サイレント”を解き、迫り来ていた睡魔に身を委ねた。

……〝時の飯〟もそうだが、〝時の睡眠〟も必要なのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE アニー・リリー・ポッター

帰省するハーマイオニーをロンと一緒に見送ったクリスマス休暇。クリスマス・イヴを明日──今日のクリスマスに胸を躍らせながらベッドに入り──目を覚ます。……まず目に入ってきたのはベッドの近くにはまるで山みたいにプレゼントが積まれていた。

いくつか目ぼしい物を検分していく。目ぼしいものはハグリッドからの〝木彫りの横笛〟、[君のお父さんが亡くなる前に、これを私に預けた。君に返す時が来たようだ。上手に使いなさい]と簡素にメッセージが添えられた宛先不明の〝銀色のモノ〟。

「この笛はハグリッドから…」

その木彫りの笛は取り敢えず枕元に置いておき、次にさらさら、霞みたいに掴み甲斐の無い──どうにも名状しがたい〝銀色のモノ〟を持ってみる。

「……[君のお父さんが亡くなる前に、これを私に預けた。君に返す時が来たようだ。上手に使いなさい]──誰だろう?」

更にプレゼントの山を検分してみる。……すると、1枚の写真を見つけた。今度は両親の写真ではなく、〝ボクに似た女の子と写真の父とは似てもにつかない黒髪の男の子〟が写った写真だ。

……その女の子が誰の事だかは、何と無く判った。

「お母さん…」

暖かい気持ちになりながら写真を詳しく調べてみと、写真の裏にはこんなメッセージが添えられていた。

「[君のお母さんと小さい時に撮った写真だ]──これも誰だろう?」

〝父とは思えない知らない男の子と幼き日の母と(おぼ)しき少女の写真〟〝銀色の名状しがたいモノ〟。……添えられているメッセージにしろ疑問は尽きないが、魔法界についてはボクより精通しているロンにこの〝銀色のモノ〟について()いてみる事にした。

………。

……。

…。

「ロン、メリークリスマス。……プレゼント、大事に使わせてもらうね」

「メリークリスマス、アニー。……アニーのおはぎは早速美味しく頂いた」

談話室に降りてロンと軽く挨拶を交わす。……ロンから貰ったクリスマスプレゼントは〝検知不可能拡大呪文〟が掛けられたバッグで、とても有用な物だった。……これさえあれば荷物の持ち運びが大分楽になるので、〝ダーズリー(あのいえ)〟で悪目立ちせずに済むのはありがたい。

……ちなみに、ボクがロンに贈ったのはおはぎである。

閑話休題。

「……ところで、ロン。……こんな物に見覚えは無い?」

――「おいジョージ、アニーが面白そうな物を持ってるぜ」

――「びっくりしたプレゼントの開封か? 俺達も混ぜてくれよ」

「フレッドとジョージ、ちょっと静かに。……ちょいと改めさせてもらうよ──“ディティクト・マジック”」

ロンに〝銀色のモノ〟を見せてみる。ロンはいきなり横合いからやってきたフレッドとジョージを(いさ)めながら杖を一振りして【ゼロの使い魔】式の探査魔法を掛ける。

……(やが)てロンは何かを確める様に頷いた。

「これ、羽織った方が早いな。……アニー、この〝銀色〟がアニーからしたら内側になるように羽織ってみてくれ。……変な魔法は掛かってないから大丈夫だ」

「……うん、判った──っ、ロンこれ…っ」

「こいつは凄い…。もしかしなくても“透明マント”かい?」

「すごいよ、アニー!」

ロンに言われた通りローブを着る様に羽織ってみると、ジョージ、フレッドの順番で沸き上がる。……ボクは(さながら)ら〝飛頭蛮〟の様な気分で──驚きのあまり言葉を見失ってしまう。

「しかもそれ〝本物〟だよ」

「ロン、それって…」

ロンの言葉でやっと意識を浮上させ──ボクがそこまで口を開くとロンは人差し指でボクの口を制する。……フレッドとジョージもロンの言葉の意味が判らなかったのか、ただただ首を傾げていた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……まぁ、こうなるとは思っていたけど…」

クリスマスをフレッドやジョージロンとばか騒ぎした深夜、早速“透明マント”を使う事となった。……どうしても“透明マント”を使ってみたい双子に頼まれた──否、頼みこまれたのだ。

―でもある意味運が良かったな、ジョージ―

―ああ、アニー様々だ―

――俺達、〝4階の右側の廊下〟に行ってみたいんだ――

(果たしてこれは〝上手な使い方〟になるのか…)

手紙に書かれていた[上手に使いなさい]と云う一文を思い出し──早速校則違反に使う事になってしまった事に、軽く良心の呵責(かしゃく)に苛まれる。……行くことを決める前、双子をロンと宥めようとしたのだが…。

―……〝4階の右側の廊下〟──ねぇ。……俺も地味に興味があるかも―

意外にもロンからフレッドとジョージに便乗するかのような言葉がもたらされる。

……ロンはハーマイオニーと──自慢になってしまうが、ボクと同様、よく点を稼ぐ──俗に云う〝優等生〟であるので、〝教師ウケ〟は悪くない。ボク、ハーマイオニー、ロンの三人だけで120点は稼いでいる。

……一方、今回の様な悪ふざけにもよく乗っかるので、〝級友ウケ〟も良い。……ロンの恣意(しい)によって開かれる、レイブンクロー生を始めとした──果てにはスリザリン生などの他寮の生徒が利用する〝非公認〟雑貨店がその最たるものだろう。

閑話休題。

“透明マント”の所有者であるボクが先頭を行き、両斜め後ろにフレッドとジョージが居てロンがその双子の間の後ろを歩く。……有り体云わばボクが〝頂点〟となっている菱形の様な陣形で真夜中のホグワーツを闊歩(かっぽ)していると云うわけだ。

ロンに〝消音(サイレント)〟を頼みながら歩いていると、〝4階の右側の廊下〟──目的地に到着する。

その廊下の最奥には扉が存在していた。

「……ここだな。……鍵が掛かってら」

「“開け(アロホモーラ)”──よし、開いたぞ」

当たり前と云えば当たり前で扉には鍵が掛かっていた──が、この双子はそんな鍵を見なかった事にするかの様に〝解錠〟の呪文を掛ける。……フレッドとジョージのツーカー振りにはびっくりである。

「……聞いてないんだけど」

「ここまで来たら、行くしかないじゃないか──」

「そうそう。いざ、ご開帳ってね──」

ボクの(なじ)りにフレッドとジョージは気にした様でもなく、ドアを開け──ボク、フレッド、ジョージの三者は言葉を失った。

色は黒、頭が三つの4メートルは優に越えていそうな犬が(いびき)をかきながら寝そべっていたのだから、出そうとしていた言葉の一つや二つ、見失ってしまっても仕方のない事だろう。

「「「………」」」

「……なんだ、〝三頭犬(ケルベロス)〟か」

(……扉…?)

ロンの冷静な言葉が〝ケルベロス〟の鼾が響く中で、いやに耳に残った。……ふと〝ケルベロス〟の足元を見ると、扉を発見。

……しかし今は〝それどころ〟じゃあない。

ボク、フレッド、ジョージは這う這うの(てい)で寮塔へ帰る事になったのは些末(さまつ)な事である。

SIDE END 
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