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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第89話

~旧市街・ライブハウス”イグニス”~



「オイ………居なかったってのはどういうことだ?俺は連れて来いと言ったんだ。聞こえなかったのか、アア?」

ロイド達がサーベルバイパーの拠点であるライブハウスに入るとヴァルドがサーベルバイパーの青年を睨み

「そ、そのう………ディーノの奴、家にも帰ってないらしくて……」

睨まれた青年は言い辛そうな表情で答えた。

「ならとっとと探して来いやァ!!」

「オッス!!」

そしてヴァルドに怒鳴られ、焦りながら頷いた。

(ディーノって………まさか一課のリストにあったパシリの?)

(よくわからんが………行方不明ってことか………?)

その様子を見ていたロイドとランディは小声で会話をした後、エリィ達と共にライブハウスを出た。

「どうなってんだ、ありゃあ……」

「状況はわからないけれど、リストにあったディーノ君は見当たらなかったわね。」

「ああ、それに連中の様子も普通じゃなかったし……」

ライブハウスを出たロイド達はそれぞれ顔を見合わせて話し合っていた。するとその時

「―――やあ、ちょっといいかな。」

ワジがロイド達に近づいてきた。

「ワジ君。どうしてこんなところに……」

「バイパーの様子が気になってさ。新入りの例の子、今朝からいないみたいじゃない。ま、あんな事やっちゃった後だし、まさかとは思うけど………」

「お前……何か知ってるのか?」

「まあね。ここじゃ何だし、トリニティにおいでよ。僕の知ってる範囲でよければ教えてあげるからさ。」

そしてワジはロイド達から去って行き

「………サーベルバイパーの情報についてはワジに頼るしかなさそうだな。」

「そうね………何かあったことだけは確かみたいだけど。」

ロイド達はワジの後を追って行き、トリニティに入って、ワジに話しかけた。



~プールバー”トリニティ”~



「……来たね。」

「ワジ、早速だけど話を聞かせてくれるか?」

「情報料、って言いたい所だけど今回はタダにしておくよ。僕らも無関係じゃないし………そこそこヤバイ話だからさ。」

「「「?」」」

ワジの言葉を聞いたロイド達はそれぞれ不思議そうな表情をした。そしてワジは話し始めた。

「バイパーのパシリの子はディーノっていったっけ。最近、様子が変だったみたいだね。」

「ああ、噂には聞いてたな。確か幹部とタイマンしたとかなんとか………」

「それがさ、昨日はついにヴァルドに喧嘩を挑んだらしいよ。」

「あ、あのヴァルドに………!?」

ワジの話を聞いたロイドは驚きながら尋ねた。

「そういうこと。聞いた話だけど、ものすごいスピードと力でヴァルドと良い勝負をしたらしいよ。最終的にはヴァルドが全力を出して何とか勝ったらしいんだけど………ディーノの方はそのまま飛び出て行った挙句に今朝、誰も姿を見てないらしいんだ。」

「ヤバイじゃねえか……」

「さすがにそれは………ただ事じゃないわね。」

ワジの説明を聞いたランディは目を細め、エリィは静かに呟いた。

「それで………やっぱり何かのクスリなわけ?」

そしてワジはロイド達を見回して尋ね

「なっ………!?」

「どこでそれを………」

ワジの疑問を聞いたロイドとエリィは驚いた。

「あ、やっぱりそうなんだ。最近『願いが叶う薬』とかいう都市伝説みたいな噂が流れてるからさ。もしかしてと思ったんだけど。」

一方ロイド達の様子を見たワジは納得した様子で呟き

「カマをかけたのね………」

「おい、あんまり周りに広めるんじゃねえぞ?事が事だからな。」

ワジの言葉を聞いたエリィは溜息を吐き、ランディは忠告した。

「フフ、その辺はわきまえてるよ。ま、旧市街じゃ今の所そのディーノって子以外にクスリを使ってるのはいなさそうだ、ただ、誰がクスリをさばいてるのかもわからないしね。僕の方でも気を付けておくよ。」

「……助かるよ、ワジ。」

「頼りにしてるわね。」

その後ロイド達は住宅街に向かった。



~グリムウッド法律事務所~



「やはり報せた方がいいでしょうか……」

「うーむ、しかし間違いだった場合先方の不利益になりかねない。まずは事実関係を確認してからだね。」

「そうですね……」

ロイド達がトリニティを訪れる少し前、事務所でハロルドとイアンが話し合っていて、そこにルファディエルとティオが入って来た。

「おや、君は……それに貴女とは初めましてかな、ルファディエル警部。」

「初めまして。ルファディエルと申します。以後お見知りおきを。」

入って来たティオとルファディエルを見たイアンは驚き、ルファディエルは会釈をした。

「おお……特務支援課の方達ではないですか。はは、丁度よかった。皆さんに相談すれば解決するかもしれませんね。」

「ああ、いいタイミングで来てくれたものだ。」

ルファディエル達を見たハロルドは明るい表情をし、イアンは頷いた。

「あの、話が見えないんですが………」

「………何かあったのですか?」

2人の様子を見たティオは首を傾げ、ルファディエルは真剣な表情で尋ねた。

「いや、実は昨日話していた貿易会社の経営者なんだが………今朝から連絡が取れないらしいんだ。」

「えっ………!?」

「…………………」

そしてイアンの話を聞いたティオは驚き、ルファディエルは目を細めた。

「『リゼロ貿易』という会社をお持ちで私も少しお付き合いがあったんですが………自宅にはいらっしゃらず、会社の方でも行方がわからないそうなんです。それで警察に届けようかと先生に相談していた所なんですが………」

「やっぱり失踪………でしょうか。」

ハロルドの話を聞いたティオは静かに呟き

「…………ハロルドさん、警察の方は少々事情があって動けないかもしれません。この件は支援課に回すという形を取っていただけますか?警察本部には折を見て話を通すことになると思います。」

ルファディエルは考え込んだ後提案した。

「わかりました………皆さんが捜査してくださるんですね?」

「ええ、少し時間がかかるかもしれませんが………イアン先生も、もし今後失踪者の相談があればセルゲイに連絡を回してもらえますか?」

「ああ………わかった、気を付けておこう。そういえばさっきから気になっていたんだが、ティオ君のその翼は一体………」

ルファディエルの言葉に頷いたイアンはティオに視線を向け

「………その。実はわたしは”闇夜の眷属”でして。あまり騒がれるのは苦手でしたので、今まで翼を隠していたんです。」

視線を向けられたティオは静かな表情で予め考えていた嘘を説明した。

「そうだったのですか………」

「フム………何か心境の変化でもあったのかね?」

ティオの話を聞いたハロルドは驚きの表情で呟き、イアンは考え込んだ後尋ね

「はい。………それではわたし達は早速捜査しようと思いますのでこれで失礼します。」

尋ねられたティオは頷いた後軽く頭を下げ、ルファディエルと共に事務所を出た。

「さてと………次はアルカンシェルね。飛んで行くわよ、ティオ。その方が時間の短縮になるし。」

「わかりました。」

事務所を出た2人はそれぞれの翼を羽ばたかせて空へと飛び立ち、歓楽街のアルカンシェルに向かって飛行して劇場の前に離陸した後、アルカンシェルの劇場に入り、受付に聞くと相談に乗って欲しいので、劇団長達がいるという客席ホールに向かった。

~アルカンシェル~



「おお、支援課の方々………!丁度良い所に………!」

ルファディエルとティオが劇団長達に近づくと、2人に気付いた劇団長が明るい表情をした。

「………どうかされたのですか?」

「じ、実は………ああ、これは内密にお願いするんだが………朝から、うちのアーティストの一人が行方不明なんだ。」

「「!!」」

劇団長の説明を聞いたルファディエルとティオは表情を厳しくした。

「前に少しお話ししたニコルさんなんですけど………昨日から家の方にも帰ってないそうなんです。」

「家族の方でも手分けして探しているらしいんだけど、見つからないらしいのよ。」

「私どもの知っている連絡先は全て当たってみたいのですが………」

「……ニコルさん、最近様子がおかしかったのではありませんか?」

リーシャ達の話を聞いたティオは真剣な表情で尋ねた。

「あ、ああ、その通りだ。気が弱くて、ミスの目立つ新人アーティストだったんだが………記念祭の後くらいかな。急に驚異的な才能を見せ始めたんだ。」

「………………才能というのは、具体的には………」

「―――卓越した身体能力だ。それに情熱的な演技も難なくこなすようになった。」

「でもあれって………まるで憑き物がついたような感じよね。絶対ニコルがやるような演技じゃないわよ。」

「ええ、それに何だか熱に浮かされたような雰囲気で………まるで別人みたいでした。」

「………決まり……ですね。」

「ええ………しかもこちらも失踪済み……良くない状況ね。」

劇団長、イリア、リーシャの話を聞いたティオは呟き、ルファディエルは頷いた後厳しい表情になり、そして劇団長に言った。

「劇団長、ニコルさんの事は支援課に任せて頂けないでしょうか。もしかすると、自分達の方で探し出せるかもしれません。」

「本当かね………?もしそうなら願ってもない。是非頼みたい所だよ。」

「そうね、ルファディエルや弟君達が担当してくれるなら安心かも。それにあたしたちも、公演の段取りを付けないといけないしね。」

「今日の公演………まさかやるつもりなんですか………!?」

イリアの説明を聞いたティオは驚きの表情で尋ねた。

「ええ、それも話し合っていた所なんだけど………ニコル君が戻らなくても舞台をやめるわけにはいかないわ。何とか役をやりくりして上演するつもりよ。」

「劇団アルカンシェルが舞台を降りる事などありえませんからな。」

「ああ、役や台本、演出も調整しなければならないだろうが………公演時間を遅らせるという手もある。何とかして実現するつもりだよ。」

「驚きました……何というか、さすがの執念ですね。」

「フフ、さすがです。………わかりました。皆さんは公演の方をお願いします。ただし、楽屋や客席にニコルさんが戻っていないか常に注意しておいてください。もし見つけた場合はすぐに支援課の方に連絡を。」

劇団員や劇団長達の話を聞いたティオは感心し、ルファディエルは微笑んだ後指示をした。

「わかった、そうしよう。」

「……すみません、私がもっと注意していればこんな事には………ニコルさんのこと、どうかよろしくお願いします。」

「ええ。」

そしてリーシャの言葉にルファディエル頷いた。その後2人は劇場を出て行った。



「―――ルファディエルさん!」

2人が劇場を出たその時、リーシャが走って近づいてきた。

「リーシャ?どうしたのかしら?」

「その………ルファディエルさんにどうしても聞きたい事が………」

ルファディエルに尋ねられたリーシャは一瞬ティオに視線を向けた後言いにくそうな表情をし

「……わかったわ。ティオ、悪いけどこの辺でニコルさんやガンツさんの聞き込みをしてくれないかしら?」

「わかりました。」

リーシャの様子を見たルファディエルはティオに指示をし、指示をされたティオは行動を始めた。

「その………すみません。わざわざ気を使ってもらって………」

「フフ、いいのよ……それで私に聞きたい事とは何かしら?貴女の”裏”関連かしら?」

「いえ………ニコルさんの事です。ルファディエルさんなら、ニコルさんの事で、何か知っていて、あえてそれを私達に話していないと思って聞きにきたんです……………私の正体もすぐに見破ったぐらいですし。」

ルファディエルに尋ねられたリーシャは苦笑しながら言った。

「………残念ながら行方に関してはわからないわ。でも、どんな状態であるかは大体予想できているわ。」

「!?本当ですか………!」

ルファディエルの答えを聞いたリーシャは目を見開いて驚いた。

「……その前に一つ聞きたいんだけど………リーシャ。”裏稼業”をやっている貴女もわざわざ私に聞きに来なくても多分、気付いているのでしょう?ニコルさんが今、どんな状態なのかを……」

「………………………やっぱり、薬物による中毒症状ですか………?私の知る東方の薬で一時的に身体能力を上げる薬がある事を知っていたので、もしかしてと思っていたのですが………」

そしてルファディエルに尋ねられたリーシャは考え込んだ後言い辛そうな表情で尋ね

「十中八九そうね。ちなみに現在、ニコルさんと同じ状況の人達が次々と行方不明である事が判明している状態よ。」

「………そうですか………」

ルファディエルの答えを聞いた疲れた表情で溜息を吐いた。

「……その、ありがとうございます。わざわざ教えて頂いて………」

「フフ、いいのよ。貴女とは”一応”協力関係だからね。………そうだわ。貴女にこれを渡しておくわ。」

お礼を言うリーシャにルファディエルは微笑んだ後、セティ達が創った解毒薬を渡した。

「これは………?」

「ニコルさんが服用している薬物を解毒する薬よ。もし彼を見つけたらそれを呑ませてあげて。それを呑めば薬物症状は解毒されるわ。」

「本当ですか!?でも、そんな凄い薬をどうして私に………」

「もしかしたらニコルさんが貴女達の所に戻ってくるかもしれないしね。ちなみにその薬はまだ量産化されていない貴重な薬で全部で2つしかないわ。」

「ええっ!?どうしてそんな貴重な薬を私にくれるんですか………?」

ルファディエルの説明を聞いたリーシャは驚いてルファディエルを見つめた。

「”競売会”の時に世話になったからね。そのお礼よ。それに貴女なら中毒症状に陥って我を失い、身体能力が大幅に上がっている彼を気絶させて呑ませる事もできるでしょうしね。………ちなみに解毒薬の数に関しては心配いらないわ。ウルスラ病院に量産化してもらえるよう、手配はしてあるから時間が経てば大量に生産できるわ。彼が見つかったら少しでも早く舞台に立たせてあげたいでしょう?貴女にはこれからも”協力”してもらう事もあるだろうし、その先行投資だと思ってもらっていいわ。」

「あ、ありがとうございます!お言葉に甘えて、ニコルさんが帰ってきたり、見つけたら遠慮なく使わせてもらいます。あ、そういえば話は変わりますけどティオちゃんの背中の翼って一体………」

「ティオは”闇夜の眷属”で騒がれるのが嫌で今まで翼を隠していたのよ。それで心境の変化があったのか、もう隠すのをやめたみたいね。」

「そうだったのですか………後でイリアさん達にも説明しておきますね。イリアさん達も後で気づいて、驚いていましたし。」

「ええ、ありがとう。」

「………それではイリアさん達と打ち合わせもあるのでこれで失礼します。」

「ええ、頑張って。」

そしてリーシャは劇場の中に入って行った。

「さて………これでリーシャの私に対する”恐怖”もしくは”疑惑”が”信頼”に変わりかけているかもしれないわね。それにしてもあの娘、”裏”に属する者としてかなり甘い所があるわね。………まあ、その方が私達にとっては都合がいいのだけれど。……そろそろティオと合流して、ロイド達と合流しましょうか。」

リーシャが去った後、ルファディエルは静かに呟いた後ティオと合流し、その後エニグマでロイド達の現在位置を聞いて、そこに向かった。



~住宅街・住宅~



「一課の資料によるとたしかこの家のはずだけど………」

ルファディエル達がロイド達の所に向かっているその頃、ロイド達は住宅街にある薬物を服用したと思われる人物の家に入った。

「あれは……」

そしてエリィは女性と話し合っているソフィアに気付いた。

「あの、あの……わたくし、一体どうしたら………」

「クレイユさん、どうか落ち着いてください。こうなったら誰かに相談するしかないでしょう。」

ソフィアが女性と会話をしていたその時、ロイド達が近づいてきた。

「あなたはハロルドさんの奥さんの………」

「あ……支援課の皆さん!よかった………実は困った事がありましてどなたかに相談しようかと………」

ロイドに話しかけられたソフィアは明るい表情で言った。

「………それはもしかして………証券マンをなさっているこちらのご主人の事とか………?」

「そうなんですの。今朝目を覚ましたら、主人がいないんですの。ソフィアさんと2人でご近所を探してみたのですけど………」

「そ、そうですか………あの、ご主人は最近様子がおかしかったのでは……?」

「あ……そうかもしれませんの。娘はずっと心配していましたの。」

「……予想的中か。夜の闇に消えたって事は目撃者を見つけんのは難しそうだな。」

ロイドの質問に答えた女性の話を聞いたランディは目を細めてロイドに話しかけた。

「ああ、今はともかく失踪者の全員の確認を取ろう。ソフィアさんはこちらのご家族の方と面識があるみたいですね。あの………警察の方でも捜索してみますが時間がかかるかもしれません。しばらくご家族の方に付き添っていて頂けますか?」

「ええ、喜んで。主人もじきに仕事から戻るはずですし。」

「すみません。では、この場をよろしくお願いします。」

そしてロイド達は家を出た。



「ロイド!」

ロイド達が家を出ると空からルファディエルとティオが降りてきた。

「ルファ姉、ティオ。そっちはどうだった?」

「それが……」

ロイドに尋ねられたティオはルファディエルと共に服用している可能性のある者達が2人とも行方不明である事を説明し、ロイド達も尋ねた者達が2人とも行方不明である事を説明した。

「…………まさか全員、行方不明になってるなんて……」

「せっかく解毒薬を手に入れたのに、一足遅かったわね………」

互いの状況を報告し終えたエリィは溜息を吐き、ルファディエルは表情を厳しくし

「嫌な予感、的中だな………自発的に消えちまったのか、それとも拉致されちまったのか。」

「現時点では情報が少なすぎてどちらの可能性も考えられますね。」

ランディは溜息を吐いた後、考え込み、ティオは不安そうな表情で呟いた。

「……失踪した5人については氷山の一角かもしれない。クロスベル市全体ではかなりの人数が失踪している可能性が高そうだな……」

「ええ……一体どれだけの人達が消えてしまったのか………」

「どうする、ロイド?一人一人を捜すってのはさすがに難しそうだぜ?」

「ああ……こちらの手が圧倒的に不足している。こうなると上からの圧力で一課が動けないのが痛いな……」

「でしたら二課のドノバン警部に相談してみてはどうでしょう?以前、手伝った貸しもありますし。」

「いや……難しいと思う。ダドリー捜査官がわざわざ、支援課を頼ってきている以上、二課にも圧力がかかっているはずだ。」

「なるほど……確かに。」

「となると広域防犯課も状況は同じでしょうね………警官隊のマンパワーが使えればすごく助かるのだけど………」

ロイド達と話し合っているエリィが考え込んだその時

「……捜索する人数を圧倒的に増やす事はできる案は一応ありますよ。」

「ええっ!?」

「マジかっ!?」

「本当なのか、ティオ!?」

ティオの言葉を聞いて、ロイド達と共に驚いた。

「はい。”ブレイサーロード”のエステルさんと”黄金の百合”のミントさんならそれが可能です。」

「あ…………」

「メンフィルの貴族として認められている彼女達の護衛部隊と所属しているメンフィル兵達か……」

「ちなみに何人ぐらい所属しているんだ?」

ティオの説明を聞き、何かを察したエリィは声を上げ、ロイドは考え込み、ランディは尋ねた。

「確か………エステルさん約250人ぐらいで、ミントさんが約200人ぐらいだと本人達から聞いた事があります。……あ、でも。確かリベールの異変の件やリベールの復興でお二人が兵達を使って活躍してメンフィル帝国のイメージアップにも貢献したそうですから、その功績でメンフィル帝国がお二人の護衛部隊を増員したという話も”影の国”で聞いた事があります。」

「オイオイオイオイ………!そんなにいたら軍隊とも戦えるぞ!?」

「まさかエステルさんとミントさんにそれ程の多くのメンフィル兵達が所属しているなんて…………確かにそれ程の多くのメンフィル兵達の手を借りられれば、助かるけど………」

「ああ。遊撃士協会に事情を話さなければならないし、第一彼女達の護衛とはいえ他国の兵をクロスベルに入れる事になるからな………ダドリーさん達とも相談しないと………」

ティオの話を聞いたランディは驚き、エリィは驚いた後ロイドに視線を向け、視線を向けられたロイドは考え込んだ。するとその時ロイドのエニグマが鳴りはじめた。



「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」

「おい、新米ども……!まさか何かしでかしたんじゃないだろうな……!?」

「へ………もしかしてその声はダドリー捜査官ですか?」

「もしかしても何もない!お前達、ルバーチェに何かちょっかいをかけなかったか!?」

「い、いえ別に………現在は薬物捜査の方に専念していますから。……何かあったんですか?」

「あったも何も!連中の事務所が……ゴホン、何でもない。何もしてないなら構わん。そのまま捜査を続けていろ。」

「あ………………………………」

通信相手―――ダドリーに一方的に通信を切られたロイドは声をあげた後エニグマを真剣な表情で見つめていた。

「ダドリー捜査官から?何かあったの?」

「いや……」

ロイドはエリィ達にダドリーとのやりとりを伝えた。

「なんだそりゃ。」

「……露骨に怪しいですね。ルバーチェ商会で何かあったんでしょうか?」

ロイドの話を聞いたランディは目を細め、ティオは考え込んだ。

「……多分だけど、ルバーチェも全員行方不明になったんじゃないかしら?」

「ええっ!?」

「…………確かにルバーチェの構成員達がこの蒼い錠剤を服用している可能性があったからな…………その可能性は高そうだな………」

そしてルファディエルの推理を聞いたエリィは驚き、ロイドは考え込みながら呟いた後、エリィ達と共に考え込んだ。

「こりゃ、行ってみるしかねえんじゃねえのか?」

「そうね……抗争には関わるなって釘は刺されているけど………」

「失踪者にマフィアが絡んでいるなら大義名分は立つのではないかと。」

「そうね。それならダドリーも文句は言えないでしょう。」

「ああ………ルバーチェ商会に行こう!」

その後ロイド達は裏通りにあるルバーチェ商会の建物に向かった………
 
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