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英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第62話

探索を開始したロイド達は最初に近くの建物―――看護師や医師の寮に入ると扉の前を守っていたマフィア達がロイド達に気づいた。



~ウルスラ病院~



「くっ………」

「早速いやがったか………!」

「「………………」」

ロイド達に睨まれたマフィア達は何の反応もせず武器を構えた。

「フ………問答無用か。」

「まあ、時間が短縮できるからむしろレン達にとっては都合がいいのじゃないかしら?」

「来るわ………!」

そしてロイド達はマフィア達との戦闘を開始した!



「これはどうかしら!?」

「ミスティアーク!!」

マフィア達の動きを封じ込めるためにエリィとレンはそれぞれ怒涛の銃撃をマフィア達に放ったが

「「……………」」

マフィア達は自分達に命中した銃弾も気にせず反撃した。

「させるかっ!」

「大丈夫!?」

エリィに銃撃したマフィアの攻撃はエリィと戦術リンクを結んでいるロイドがリンク機能によって瞬時に反応して防御態勢でエリィの前でエリィを庇い、庇われたエリィはリンクアーツ―――クイックティアで自分を庇ったロイドのダメージを回復し

「フンッ!!」

鉈を持って近づいてきたマフィアにランディがスタンハルバードを振るって注意を自分にひきつけた。



「砕け散れっ!!」

そこに銀がクラフト――――崩月輪でマフィア達にダメージを与えると共に態勢を崩し

「うふふ、隙は見逃さないわよ♪」

その隙を見逃さないかのように銀と戦術リンクを結んでいるレンが銃撃で銃を持つマフィアに追撃を叩き込んだ。

「それっ!ダークマター!!」

その時仲間達が時間を稼いでいる間に戦術オーブメントの駆動を終えたティオがアーツでマフィア達にダメージを与えると共に一か所に固めてい動きを封じ込め

「うぉぉぉぉ………ブレイブスマッシュ!!」

「ハァァァァ………サラマンダー!!」

「今だ!クロスミラージュ!!」

「貫いちゃえ♪スパイラルバレット!!」

その間にロイド達は遠距離攻撃のクラフトを次々と叩き込み

「来い――――斬ッ!!」

「「!?…………」」

銀がクラフト―――龍爪斬でマフィア達を纏めて捕えて自分の元へと引き寄せて斬撃を叩き込むとマフィア達は地面に倒れて気絶した!



「チッ………手こずらせやがって。」

「やはり感情のゆらぎが殆んど感じられませんでした…………ひょっとしたら自分の意志で動いていないのかもしれません。」

「じ、自分の意志で動いていない………?」

ティオの推測が気になったエリィは戸惑いの表情をし

「東方には薬物と暗示を利用した”傀儡の術”なども存在する。その可能性はあり得るだろう。」

「同感ね。その証拠に痛覚も全然ない様子だったし。」

「し、信じられない………」

「けったくそ悪ぃ話だな……しかしこりゃあ、どう考えてもガルシアのオッサンの流儀じゃねえぞ?」

銀とレンの説明をエリィと共に疲れた表情で聞いていたランディは真剣な表情で推測した。

「ああ……わかってる。とにかく今は、病院関係者の安全を確認する方が先決だ。まずはこの宿泊施設の内部を調べてみよう。」

「ええ………!」

その後ロイド達はマフィア達が守っていた扉の奥に行き、通路にある扉を開いて部屋の中に入った。



「ひっ………!?」

「な、なんだアンタら………!?」

部屋に入って来たロイド達を見た青年は悲鳴を上げ、男性は戸惑った様子で尋ね

「あなた方は………」

ロイドは不思議そうな表情で部屋にいる人物達を見た。

「あなたたち………たしか警察の人じゃ!?」

その時、部屋の中にいたメイド服を着た女性が驚きの表情で尋ねた。

「ええ、クロスベル警察の者です。こちらの異変に気付いて、皆さんの安全を確認しに来ました。」

「た、助かったわ!」

「バスから引きずり出された時はどうなることかと………」

そしてロイド達が警察だと知ると部屋の中にいる人物達は明るい表情をしたり安堵の溜息を吐いた。



「あんたら、途中で停まってたバスに乗っていたのか?」

「ああ………道の途中で、いきなりあの黒服たちが立ち塞がったんだ。」

「む、無言で銃を突きつけられてここまで歩かされて……抵抗しようとした運転手さんはい、いきなり撃たれて………!」

「そうだったんですか………」

「……心配ね、その撃たれた運転手さん。」

「はい………」

「………しばらくの間、ここで待っていてください。皆さんの安全は自分達が必ず確保します。」

バスの乗客たちの話を聞いたエリィは頷き、レンの言葉にティオは頷き、ロイドは指示をした。

「わ、わかった!」

「よろしく頼んだわよ!」

その後ロイド達は隣の部屋に入った。



「あんたたち………!」

「確か警察の………!」

部屋に入って来たロイド達に気付いた看護師達の師長と寮長は驚いた。

「師長さん………ご無事でしたか。」

「……よかった………」

「どうしてここに………ひょっとしてもう安全なのかい!?」

自分達を見て安堵の溜息を吐いているロイドとティオを見た師長は尋ねた。



「いえ………私達も先程来たばかりなんです。現在、安全を確認しています。」

「そうかい………」

「どうやらケガをしてる人がいるみたいッスね?」

「もしかして一人は撃たれた運転手さんかしら?」

エリィの答えを聞いて残念そうな表情をしている師長にランディとレンはベッドに寝かされている男性達に気づくと尋ねた。

「ああ………ウチの警備員とバスの運転手さ。あの黒服たちに撃たれて………一応、応急手当は済ませたよ。」

「そうですか……セシル姉や他の人達はやはり病棟の方でしょうか?」

「ああ、ちょうど仕事中だったし、かなりの人間が病棟にいるはずだ。あたしは丁度休憩中でこっちに来ていたんだが……くっ、こんな大変な時に病棟から離れちまうなんて………」

ロイドの質問に答えた師長は悔しそうな表情をした。



「師長さん………」

「……安心してください。セシル姉や患者さん達は俺達が絶対に助けます!!」

「師長さん達はどうかケガをされた方を診ていてあげてください。」

「わかった………よろしく頼むよ!」

師長に指示をしたロイドとエリィは仲間達と共に再び、探索に戻り、時折襲って来るマフィア達を気絶させて、さまざまな場所に監禁されていた患者や医師、看護師達を次々と確認して行ったがセシルだけは見つからず、ロイドは焦る気持ちを抑えながら病棟の屋上に到着した。するとそこには驚くべき光景があった。



「なっ!?あれは………!」

屋上に到着し、ある方向を見つめたロイドは血相を変え

「おい、ヤバイぞ………!」

「いえ――――大丈夫よ。」

ランディは厳しい表情で叫んだが、セシルと一緒にいる人物に気づいたレンは冷静な表情で答えた。ロイド達が見つめた方向―――そこには今まで見た事がない得体のしれない魔獣達に囲まれたセシルと男の子を庇うかのような位置で法剣とボウガンを構えているアーシアがいた!

「ひっ……セシルおねえちゃん………」

「大丈夫、大丈夫だからね………」

魔獣達を怖がっている男の子をセシルは優しく諭し

「私がすぐに片付けるから安心してね。――――去りなさい、不浄なる者達よ。貴方達がいていい世界はここではないわ。」

アーシアも魔獣達を警戒しながら優し気な口調で男の子に声をかけた後気を引き締めて魔獣達に警告し

「「「「―――――!!」」」」

アーシアの警告に対して逆上したかのように咆哮を上げた魔獣達が一斉にアーシア達に襲い掛かろうとしたその時!

「―――遅い。刃よ、行けッ!まだまだっ!」

アーシアは法剣の刃を飛び回らせた後ボウガンから次々と矢を放ち

「―――奥義!ヘヴンサウザンド!!」

止めに飛び回っていた刃が戻って元の姿に戻った法剣に膨大な法力を溜めて巨大な光の剣と化した法剣で薙ぎ払って魔獣達を全て滅した!



「セシル姉ッ!!」

「あら………」

「ロ、ロイド……!?それにみんなも………」

「警察のお兄ちゃんたち………!?」

するとその時ロイド達がその場に駆けつけ、ロイド達の登場にアーシアは目を丸くし、セシルと男の子は驚いた。

「無事か、セシル姉!?」

「ロイド……ええ、危ない所だったけどアーシアさんが一緒にいてくれたお陰で私もミハイル君も傷一つ負っていないわ。」

血相を変えてまで自分の身を心配するロイドの様子に目を丸くしたセシルはロイドを安心させる為に微笑みながら答えた。



「よかった………って、貴女は………ルフィナさん!?どうしてルフィナさんがセシル姉達と一緒に………」

「え………………(ルフィナ………?どこかで聞き覚えがある名前ね………?)」

セシルの話を聞いて安堵の溜息を吐いたロイドだったがアーシアに気づくと驚きの表情でアーシアを見つめ、ロイドの口から出たアーシアに対するある名前を聞いたエリィは呆けた表情でアーシアを見つめて考え込んでいた。

「ハア……ロイドお兄さん、セシルお姉さんが心配で気が動転していたのはわかるけど、ちょっと迂闊過ぎるのじゃないかしら?」

「へ?………あ”。」

「ハア………冗談抜きで兄弟揃って肝心な所が抜けているわね。」

呆れた表情で溜息を吐いたレンの指摘を聞いてアーシアの事情を思い出したロイドは表情を引き攣らせて大量の冷や汗をかき、アーシアは疲れた表情で溜息を吐いた。



「おおっ!?よく見たらあのエオリアさんともいい勝負をするスゲェ美人なお姉さんじゃないッスか!ったく、セシルさんに続いてこんな美人なお姉さんとも知り合いとかお前のリア充度には限度ってものがないのか!?」

「何でそこで俺が出てくるんだよ!?」

「ランディさん、時と場合を選んで発言してください。」

アーシアの容姿を見て興奮したランディは悔しそうな表情でロイドに視線を向け、視線を向けられたロイドは疲れた表情で答え、ティオはジト目で指摘した。

「コホッ、コホコホッ………」

するとその時セシルの傍にいた男の子が咳をした。

「だ、大丈夫か………!?」

「発作が出ちゃったのね……………ミハイル君、部屋に戻ってお薬を飲みましょう。」

男の子の様子に気づいたロイドは男の子を心配し、セシルは静かな表情で答えた後、男の子に優しい口調で話しかけ

「う、うんっ…………コホコホ………ごめんね、セシルお姉ちゃん……ボクがわがまま言わなかったらこんなことに……コホコホッ……」

話しかけられた男の子は咳をしながらセシルに謝り

「大丈夫、大丈夫だからね…………」

謝られたセシルは優しげな表情で頭を撫でていた。

「セシル姉、俺が運ぶよ。」

「とっとと中に運ぶとするか。」

その後ロイド達は男の子を病室に運んで、セシルが男の子に薬を呑ませて、安静にさせて男の子が眠りはじめると、ロイド達はセシルとアーシアに事情を説明した―――――


 
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