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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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異伝~輪廻を超えし覇王、時を超えし暴王~

~同時刻・ゼムリア大陸・某所~



「ハックション!」

エルファティシアがクロスベルで祈っていたその頃、金髪の青年がくしゃみをした。

「風邪ですか、ヴァイス?」

その時、青年―――ヴァイスハイトの傍にいる腰に長剣を収めた鞘と、1丁のサブマシンガンを腰に付け、青みがかかった銀髪のルーンエルフの女性が青年を見つめて尋ね

「いや……こういう時ってのは誰かが俺の事を噂しているんだよ。」

「なるほど、なるほど………しかし一体誰が今頃貴方の噂をするのでしょうか?貴方や私と共に戦った仲間達はごく僅かな者を除けば、既にいないこの時代で………」

ヴァイスハイトの言葉を聞いた女性は頷いた後、不思議そうな表情をしてヴァイスハイトを見つめ

「フフ………何を言っているんだ、アル?以前話しただろう?”影の国”で共に戦ったほとんどの戦友達がこの時代に集結していると!」

見つめられたヴァイスハイトは口元に笑みを浮かべて女性――――アルを見つめて嬉しそうな表情で言った。

「そういえば、そうでしたね………ですが、ギュランドロス達の可能性かもしれませんよ?」

「あいつらは例外だ。全く………突然、消息を絶ったと思ったらこの時代に飛ばされているとか………あいつの無茶苦茶さや非常識さには慣れたつもりだったが………さすがに時代を超えるとか非常識にも程があるだろうが………!」

そしてアルの言葉を聞いたヴァイスハイトは溜息を吐いて答えた後、真剣な表情で叫んだ。

「ま、ギュランドロス様だからね~………いや~、そのお蔭であたし達もこんな面白い事に巻き込まれるとは思わなかったよ♪………さすがはギュランドロス様だね!」

「どこが面白いのですか!!あの時、ギュランドロス様が不用意にどこに繋がっているかわからない転移門に足を踏み入れたせいでこんな事になって………ううっ………”エリュア”は私達に何の恨みがあるというのですか………!」

その時、2人の背後から赤を基調とした軍服を着た紫髪の娘と同じ軍服を着た金髪の娘が近づき

「まあまあエルちゃん、そんなに落ち込まないの。エルちゃんの愛しのヴァイスさんが生まれ変わってこの時代とこの世界にいるんだから♪」

「ガッハハハハッ!そうだぜぇ…………俺とルイーネ、エルミナ、パティ………そしてヴァイスが揃った今この時こそが!この世界の時代を………いや、ゼムリア大陸の時代を動かす時だ!ヴァイスハイトの子供を産む為にせいぜい励めよ、エルミナ!世継ぎを生むのも女の立派な仕事だぜ!」

「あらあら。じゃあ、私もエルちゃんに負けずにギュランドロス様に一杯愛されないといけないわね。」

さらに2人と同じ軍服を着た腰までなびかせる青色の髪の女性が微笑み、外套が付いた赤い鎧を身につけた大男が豪快に笑いながらヴァイスハイト達に近づいた。



「なっ!?ギュランドロス様!ルイーネ様!冗談はやめて下さい!」

一方青髪の女性―――ルイーネの言葉を聞いた金髪の女性―――エルミナは顔を真っ赤にした後、大男―――ギュランドロスとルイーネを睨んだその時

「あれ~?ヴァイスハイト達と再会した夜、ヴァイスハイトとアルが泊まっている部屋に向かっていたのはエル姉じゃない~。」

「フッ………あの時のエルミナは積極的で驚いたぞ?まさかあれ程までに俺を求めてくるとは、予想外だったな。」

「あの時貴女が部屋に来た瞬間、空気を読んで部屋を出て、貴女達が泊まっている部屋で寝た私に感謝してくださいね。」

紫髪の娘―――パティルナがからかうような表情でエルミナを見つめ、ヴァイスハイトとアルは静かな笑みを浮かべて呟いた。

「~~~~~~!!!パティ!ヴァイスハイト!アル!」

そして2人の言葉を聞いたエルミナは顔色を真っ赤にして3人を睨んだ。

「フフ……ギュランドロス様。そろそろヴァイスさん達にも行き先を告げなくていいのですか?」

その様子を微笑みながら見ていたルイーネは大男―――ギュランドロスに言い

「おう!ヴァイス!アル!次の目的地は”クロスベル”だ!!」

ルイーネに言われたギュランドロスは頷いた後、胸を張ってヴァイスハイト達に言った。

「………一応聞いておくが、そこに行く根拠はなんだ?」

ギュランドロスの言葉を聞いたヴァイスハイトは呆れた表情で尋ね

「俺様の勘だっ!なんとなくだが、そこに行けば面白い事が起こると俺の勘が告げている!」

「……………もういい。真剣に聞こうとした俺が馬鹿だった。だがその前に………俺達の道を阻む者達を退けなければな。」

ギュランドロスの言葉を聞いて溜息を吐いた後、自分達を包囲した魔獣達を見た後、鞘から魔剣――――かつて”影の国”でウィル達が創った”ダーンウィン”を抜いて構え

「あらあら、囲まれちゃったわね。」

「わお!あれって確か”手配魔獣”って奴でしょ?ラッキー!あれらを倒して、遊撃士協会あたりにでも魔獣の首を持って行けばいつもみたいに大量のお金がもらえるじゃん!」

「全く………そんな呑気な事を言っている場合ですか!」

ルイーネは微笑みながら鞘から細剣を抜いて構え、パティルナは一際大きい魔獣達を見つけて口元に笑みを浮かべた後、刃をブーメランのように投擲する事ができ、さらに近接戦闘もできる特殊な武器―――”投刃”を構え、エルミナはパティルナの言葉に呆れた後真剣な表情で双剣を構え

「ガッハハハハッ!”四銃士”改め”六銃士”を襲おうとするとはいい度胸だ………全部、ぶっ潰して俺達の糧にしてやるぜっ!!」

ギュランドロスは豪快に笑った後好戦的な笑みを浮かべて大剣を構え

「”六銃士”………という事は私も数に入っているのでしょうか?」

ギュランドロスの言葉を聞いたアルは不思議そうな表情をした後、片手に剣を、もう片方の手にはサブマシンガンを構えた。

「やれやれ………アルと一緒に異世界を見て回る気楽な放浪の旅になる予定だったのに、まさかかつてギュランドロスが語った夢を実現する旅になってしまうとはな………だが、それも面白い………!ギュランドロス!遅れるなよ!」

そしてヴァイスハイトは苦笑した後、不敵な笑みを浮かべてギュランドロスに呼びかけ

「おうよっ!俺達が揃えば無敵である事を世界に教えてやろうぜっ!!」

呼びかけられたギュランドロスは力強く頷いた後、ヴァイスハイト達と共に戦闘を開始した!



後にこの六人が”六銃士”という異名で呼ばれ、エレボニアとカルバードから恐れられ、ゼムリア大陸の国家同士の力関係を大きく変えてしまい、ヴァイスハイト、ギュランドロス、そして後に2人と手を組む事になるリウイが”ゼムリアの三皇(さんこう)”と称され、ゼムリア大陸全土の国から恐れられる事になるとは誰も予想していなかった……………


 
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