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Three Roses

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第五話 ロートリンゲン家その十二

「私と違い、この国に代々仕えている名門の、しかも優れた諸侯が何人もついています。それにマリアは」
「島国にですね」
「嫁ぎますので」
「あちらの国が後ろ盾となりますね」
「そうなりますね」
「しかもお二人には常にセーラ様がおられますが」
 二人の共通の友人のだ。
「あの方も半島の国に嫁がれ」
「そうですね」
「ですからあの娘は半島を」
「はい、後ろ盾にされます」
「そうして二人を助けるでしょう」
「そうですね、それに」
 マイラはさらに話した。
「マリーは北の王国から王子を迎えます」
「北の国の後ろ盾もですね」
「あの娘にはつきますが」
「しかし」
 司教ははっきりと言った、懸念するマイラに。
「マイラ様の後ろ盾は違います」
「ロートリンゲン家と法皇庁は」
「そうです、その後ろ盾はです」
 まさにというのだ。
「大陸で比類のない、我が国や周辺諸国にもです」
「力が及ぶのですね」
「それも大きな」 
 こう話すのだった。
「ですから」
「私は、ですか」
「はい、それにマリア様はやがて島国に嫁がれ」
「セーラもですね」
「あの方もです」
 まさにというのだ。
「半島に嫁がれます」
「そうでした、だからですか」
「セーラ様も継承権をお持ちですが」
 彼女もだ、王家の血を引いているからだ。
「しかしあの方は半島に嫁がれマリー様も」
「島国にですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「お二人のことはご安心下さい、それに」
「マリーですね」
「あの方が北の王国、そしてこの国の諸侯の方々の後ろ盾があろうとも」
「私にはですね」
「その後ろ盾があります」
 ロートリンゲン家、それに法皇庁にというのだ。
「ですから」
「安心していいですか」
「若し大公に何かあれば」
 その時はというのだ、司教はこの時は王には未来がないと断定して言っていた。その病弱な身体故にだ。
「貴女様です」
「私がですか」
「この国の主です」
「女王になるのですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「ご安心下さい」
「ではその言葉を信じさせて戴きます」
 マイラは強い顔で頷いて司教に応えた。
「その様に」
「それでは」
「そしてその時は」
「はい、まさにですね」
「この国を正しい姿に戻します」
 このことをだ、マイラは司教に約束した。 
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