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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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first contact
  ep.008 最悪な夏休み

 
前書き
今回からいきなり過ぎる急展開が起こります。
どうか混乱しないでください。 

 
風紀委員のメンバーで集まって遊びに行った数日後。
的場は支部の自分の持ち場の光景を見て衝撃を受けた。
普段使っている支部のPCは、ハッキングを掛けられていて、第0学区についての情報もすべて引きぬかれていた。

「そんな......。」

PCの近くには1枚の紙の切れ端が置かれていた。
部屋の中もかなり荒らされていて、まるで、これ以上深入りすることが自分の"死"を意味しているように感じた。
紙切れには走り書きで警告が書かれていた。

"これ以上知ることは死ぬことだと思え"

あからさまな脅迫文だ。

「そう言えば、野口さんはいないのか?」

的場はあの彼女を紹介してもらった日から野口とは会っていなかった。
それどころか連絡すら取っていない。
というより取りたくても繋がらなかった。

突然のことが多過ぎて頭が整理できていない的場は、そんな中でもう1枚の紙切れを見つけた。
その紙切れには1つの電話番号とメッセージが書かれていた。

"すべてを知りたいなら私の所に連絡をね♪"

先程のメッセージとは打って変わって的場を誘うような内容のものだった。

「うんと迷いなよー。君の選択はこの後、学園都市に大きな影響を出すだろうし君のこれからも大きく変わるだろうからさ。」

1人の女性が意味深なことを独り言のようにブツブツと喋った。
的場は頭の中を整理する。

まず考えたのは事件が起きた日の推測。
・的場が遊びに行った日が夏休みの初日。
・今日はそれから4日後。
・夏休みの2日目と3日目は支部自体が閉められている。
・毎日夜の7時から朝の7時の間は監視カメラがずっと監視している。
・的場が初日に野口と会った時間はAM9:00。
・支部のロックは1〜9の10桁の南京錠。
・無理矢理建物を破壊して侵入するとサイレンが鳴る。

以上の点から、一般人が潜入したと考えると、2日目と3日目は南京錠の影響で不可能だと考える。
つまり、初日に侵入するのが無難だ。
それも監視カメラがついていないAM7:00以降でPM7:00以内、そもそもその情報を知っている時点で明らかにこの支部の誰かが共犯の確率が高い。

『まさか.........。』

的場の脳内に悪い予感が走った。
風紀委員のメンバーで遊びに行った日に、予定が入っていて行けなかったのは野口を含む数名。
だが野口を除くメンバーは今日、支部に来ている。
もはや、野口が共犯だと言わんばかりの内容だ。
それでも信じたくなかった的場は、その最終として紙切れに書かれていた電話番号に連絡をとった。

「もしもしー、あーやっぱり来たんだね的場くん。思いの外判断が速くて私はびっくりだよ。」

電話に応答したのは、この異常事態に似合わないくらい余裕たっぷりの女性の声だった。
それでも、的場にとってこれが最後の頼みの綱だった。

「あなたが俺に事件の真実を教えてくれるんですか?」

「おうともー。でもねー私のことは"向子さん"って呼んでくれるとありがたいなー。」

どうやら彼女の話によると、知り合い達に"向子さん"と呼ばれ続ける内にそれ以外の呼ばれ方には薄っすら違和感を感じるんだそうだ。

「お互いの顔とかを知っていたほうがこれから便利だから何処かで君と会いたいかなー。的場くんは予定空いてる日あるの?」

的場は2日後の予定が空いていたためそれを伝えた。
向子はそれを確認すると、場所を指定した。
指定された場所は、なんと野口と的場の行きつけのカフェだった。

『なんで......たまたまなのか....それともおれのことは調べあげられてるのか....?』

的場が内心パニックになっているのを感じ取った向子はそれに追い打ちを掛けるように言葉で畳み掛ける。

「ねー的場くん。今、"なんで"って思ったでしょ。」

完全に読まれていると悟った的場は心拍数がどんどん上がっていく。
彼女に対してとてつもない恐怖を感じた。

「今日はこの辺にしとこうかな。じゃあね。」

電話は切れた。
的場はこの電話の内容を他人に話す訳にもいかないと思い、その日はそれで支部を出た。

自分の家に帰るとベッドに横になり、一旦深い眠りについた。
今日は何かをしたわけでもないのにやけに疲れてしまった。

『今はもう、泥のように寝たい。』

翌日も、的場は支部に顔を出さなかった。
野口も同じく顔を見せなかったらしい。

ーその頃
第0学区にいた野口は電話で誰かと話し合っていた。

「流石だね向子さん。的場くんをちゃんとここまで導いてあげてね。」

「報酬は弾ませちゃうからねー。」 
 

 
後書き
今回登場した"向子さん"。
別の人の小説のほうも見ている方は知っている人物だらうと思います。
次回もお楽しみに。 
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