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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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  ep.005 我紋駿河(バキューム)

「ん?また僕宛ての手紙」

<内容>
よぉ、俺はレベル6の者だ。
STUDENTだっけ?
それに入ってやるよ。
だが、タダで入る訳がない、
レベル6全員で来なよ。

「これは、挑戦状だね。」

野口は興味深く思った。
studentをレベル6のみの組織だと考えると、
この挑戦状の文面は非常に挑戦的だと思ったのだ。

「クソッタレが!!!!」

神薙がイライラしながら言葉を放つ。
プライドの高い神薙からすればこの挑戦状は、
かなり舐めてかかっている。
そして翌日、指定された場所に向かうことになった。

指定された場所に向かうと驚きの光景が広がっていた。
そこには2人の少年が戦って、決着がついてすぐの状態だったのだ。

「ん? また新手か?」

勝った方の少年がこちらを見る。
その少年の目はいかにも何度も戦闘をしてきたであろう目だった。

「君は先客かな?」

野口が少年に問いかけた。

「......いいや、俺は君たちに挑戦状を送った者だよ。」

真偽のわからない返答だったが、それを考える前に池野のが返した。

「うん。 君は嘘を言ってるんだね。
分かりやすくて助かるよ。」

池野の言葉に一同は驚いたが、その中で箱部が池野に質問をした。

「何処で気づいたんですか?」

「彼は言葉を口にする直前に、うっすらと頬の筋肉を緩めたんだ。 確かに人にはそれぞれ違うクセがあるから初対面で100%当てるのはほぼ不可能だけど。
彼の場合はそれは例外だね。」

池野の答えにstudentの全員が感心したが、
同時に池野に隠し事ができないと知ってゾッとした。
すると、少年は笑い出した。

「ハハハッ....やっぱり隠し事が苦手なのは不便なもんだよなぁ。」

少年は笑うと、戦闘モードに入った。
大した変化はなかったが空気が変わったのは明らかだ。

「さぁ、来い!!」

少年の掛け声と同時に神薙、桐崎、騎城が前に飛び出した。
同時に池野が遠距離から手裏剣を数枚投げる。

『さぁ、どう避ける。
仮にどれかを避けたとしても、必ずどれかを食らうように計算して投げてる。どう出る。』

しかし、池野の考えとは全く違って少年は避けるどころか、微動だにしなかった。
次の瞬間、池野の手裏剣は少年の目の前で停止し、足元にバラバラと落ちた。

「どういうことだ?遠距離攻撃は効かないのか?」

「なら近距離で思いっきりぶん殴ればどうだ!!」

次に神薙が少年の目の前まで接近し、強烈なパンチを顔面に当てる。
能力で重さの倍率を変えて拳を重くしているため、威力を強化されているが少年はそんな拳を食らってもなお、表情が歪むことすらなかった。
すると少年は神薙の腕を掴むと、背負投げの体勢になり、神薙を背負うとそのまま神薙を地面に叩きつけた。

「カハッ!!」

「足りないなぁ。」

次に騎城が能力で、相手に掛かるダメージを上げて、拳をラッシュで決める。
しかし、少年は防御の体勢すら取らず、拳を食らい続けるのみだった。
少年は騎城の拳を1発避けると、そのまま背後に回って蹴りを加える。
騎城は強烈な蹴りで吹き飛んだ。

「まだだ、全然足りない。」

「チッ、不死火鳥(フェニックス)ッ!!!!」

次に桐崎が能力を纏いその手に炎を溜める。
炎で見えなくなった拳を桐崎は構える。

「燃え尽きろ!!」

次の瞬間、桐崎の拳に溜められていた炎は、まるで火炎放射のように少年に向けて飛んでいく。
今度こそは間違いなく避けなければ死んでしまう。
だが、少年はやはりびくともしなかった。
シュルシュルシュルシュル......

「なっ..........」

桐崎は衝撃を受けた。
自らが放った炎は少年の体内へ吸い込まれていく。
そして放たれた炎がすべて少年の体内へ入ると、桐崎に急接近し、勢いを乗せた強力な回し蹴りを食らわせる。
桐崎は首元に回し蹴りを食らい、吹き飛ぶと同時に意識を失った。
地面に落ちた桐崎は意識を失っていたが、能力の影響で体が自動再生を始めていた。
studentのメンバーを数名片付けた少年は、意味不明なことを言い出した。

「さてと、中々溜まったな。
誰から仕留めようかな。」

少年はそう言うと野口の目の前まで迫り、拳を振る。
野口はその拳をガードした。
しかし、それで終わりではなかった。
少年の拳は突然、光を放つ。
野口は異変を察知し、後方に下がろうとしたが、1歩遅かった。

「遅かったな、爆ぜろ!!!」

キュィィィィィィィィィィィィィイイイイン!!!
ドゴーーーーン!!!
光を放つ拳は爆発し、野口は吹き飛ばされる。
野口は衝撃でグルグル回転し、後ろにあった壁に激突し、頭を強打した。
額からはゆっくりと血が流れだす。

「次は.......」

少年は次に箱部に急接近し、目の前に付くと、うっすらと光を放つ拳を構える。
キュィィィィィィィィィィィィィイイイイン!!
一方の箱部は突然過ぎて脳が追い付いていなかった。

「爆ぜろ!!」

爆発の直前に箱部の脳は状況を整理したが、何をするにも手遅れだった。
が、突然池野が箱部をお姫様抱っこのようにして抱えると爆発の直前に地面を蹴って回避した。

「いっ...池野くん..!?」

「はぁ...はぁ.....危ないよ.....箱部さん....。」

池野は若干、息を切らしていた。
だが、そんなことを気にしている余裕はなかった。

「んじゃ、まずはお前からだ。」

少年は今度は池野に狙いを絞った。
それに対して池野は攻撃の通じない相手をどう倒すかで考えを巡らせていた。

『どうする。
遠距離は効かないし、近距離も効かない。
オマケに炎みたいな物質での攻撃も不可能。
どうしたらいいんだ。』

「オラッ!!! ぶっ飛べぇぇぇぇええ!!!!」

池野が諦めかけたその瞬間だった。
ドゴーーーーン!!
突然、少年の体が爆発したのだ。

「ガハッ!!」

少年の反応を見て、1人の人物が話しだした。

「やっぱりね.....。」

野口だった。
しかし、頭部から血を流しているので、僅かながらに意識が朦朧としていた。

「君の能力は、ダメージの吸収と放出。
外部から受けたダメージを体内に溜め込んで圧縮して、爆発させる能力なんだね。」

「まさか......お前.....。」

少年は驚きながら言葉を放つ。
そして野口は微笑みながらまた話しだした。

「きっと、そのまさかだよ。
君の溜め込んだダメージを体内で放出させたんだ。
外部からは吸収できても内部からなら無理なんじゃないかと思ったからね。」

『そうか、だから僕のクナイはその速度を吸収されて落ちたんだな、他にも神薙くんや騎城くんの肉弾戦、桐崎くんの炎が吸収されたのも納得できる。』

そして野口はさらに話を続ける。

「今、放出したのは君の溜め込んだ内のほんの一部。
本番はこれからだよ。」

少年は激怒し、野口に拳を構え走ってくる。

「クソォォォォォォォオオオオ!!!!!!」

ドゴーーーーンドゴーーーーン
ドゴーーーーンドゴーーーーンドゴーーーーン......

一体、何回の爆発があっただろう。
少年はボロボロになって倒れた。
野口もフラフラしている。
出血量も割と多いようだ。

「池野くんには悪いんだけど、そこで伸びてるメンバーとあとついでに僕もまた基地まで運んでもらえないかな。
そろそろ意識がと.......ぎれ..........。」

野口は倒れた。
こうして少年とstudentとの対決は幕を閉じた。 
 

 
後書き
今回は観測者さんからの要望もあって
戦闘シーンには力を入れました。(自分的には)
楽しめましたでしょうか。
また次回もお楽しみに。 
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