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Three Roses

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第五話 ローtリンゲン家その六

「その時は」
「そうなるわね、本当に」
「ですがそれは」
「ええ、王家の務めね」
 マリアは受け入れていた、既にそのことを。
「もう」
「そうですね、マリア様も新教ですが」 
 セーラもだ、語る彼女にしても。
「旧教である島国に嫁がれますね」
「貴女も旧教である半島にね」
「そうなりますね、そしてマリー様も」
「旧教の方を迎えます」
 養子にというのだ。
「そうなります」
「そうですね、それぞれ」
「同じ神を信じていても」
 マリーも薔薇を見ていた、そのうえで語った。
「どうして旧教と新教に別れているか」
「東では正教もありますね」
「そうですね、同じ神と主を信じていても」
 それでもとだ、マリーは近くの薔薇を見つつも遠い目になりその果てにあるものをも見ながら語るのだった。
「どうしてそうなるのか」
「それは」
 マリアはマリーのその疑念にだ、顔を曇らせ。
「そう言われると」
「わからないですね」
「神は同じね」 
 このことはマリアもわかった、だが。
 何故それでいて新旧に別れているのか、そう聞かれるとだった。
 マリアはどうしてもわからずだ、こう言うのだった。
「どうしてか」
「はい、とてもですね」
「わからないわ、私には」
「私もです」
 セーラも言う。
「どうしてでしょうか」
「同じ神を信じているのならいがみ合うことは」
「そう言われると」
「確かにですね」
 マリアとセーラもそのことはわかった、それでマリーに応えて言えた。このことについては。
「旧教だ新教だと対立しても」
「何の意味もないことですね」
「それこそ」
「何もですね」
「そう、ですから」 
 同じ神を信じているのならとだ、マリーはあらためて言った。
「私は新旧の対立はです」
「何の意味もないとですね」
「考えています」 
 こうセーラに答えた。
「ですから新旧の対立を越えて」
「そうしたうえでの政治をですね」
「考えていかねばならないです」
「必ずですね」
「そう考えています」
 遠くを、薔薇を見つつ言うマリーだった。
「何があっても」
「それが貴女の考えなのね」
 マリアはここではマリーを見つつ彼女に問うた。
「そうなのね」
「はい」
「信仰の対立を越え」
「そのうで国を豊かにしていくべきです」
「農民、そして商人や技術者も」
「それがひいてはです」 
 国、特に民を富ませるそのことがというのだ。
「国を豊かにします」
「その通りですね」
 セーラはマリーのその言葉に頷いた。そして。
 あらためてだ、マリーを見てそのうえで彼女の言葉を出した。 
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