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第三章

「大体どれ位ですかね」
「二十年じゃないか?」
「よく動いてますね」
「ここじゃ何十年でもな」
「車は、ですか」
「貴重なんだろうな」
 こう車田に話した。
「そういうことだろうな」
「そうですか」
「まあ動くのならな」
「それならですか」
「乗るしかないだろ」
 車田に対して割り切った声で話した。
「そういうものだってことでな」
「納得してですね」
「その国それぞれの事情がある」
「むしろ撃たれたりしないだけですか」
「いいかもな、じゃあな」
「行きますか、街に」
「今からな」 
 二人はバスの中で話した、そしてだった。
 街に着いた、まずは市場に案内されたが。 
 わりかし店もものも多く賑わっている、車田はその賑わいを見て秋本に言った。
「もっと、です」
「寂れてると思ってたか?」
「内戦でしたからね」
「それで飢餓もあってな」
「そんな国だって聞いてましたから」
「それを言うと俺もな」
 秋本もこう車田に言う。
「実はな」
「そう思ってましたか」
「御前程じゃないがここまで賑やかとはな」
「思ってませんでしたか」
「ああ」 
 その通りだというのだ。
「ちょっとな」
「意外でしたか」
「かなりな」
 実際にこう答えた。
「ここまで店もものも多くて人も行き交っててな」
「しかも人が着てる服も」
 商店街を行き交う彼等のそれを見るとだった。
「いい感じですね」
「整っててな」
「色々な服で」
「洋服ばかりだな」
「ここはずっとましでして」
 ガイドさん、黒人の彼が二人に言ってきた。
「内戦の戦禍も及んでなくて」
「それで、ですか」
「街も賑わっててですか」
「はい、そうです」
 実際にというのだ。
「この地域自体がそうでこの街が地域の中心なんです」
「それで賑やかなんですか」
「そうでしたか」
「有り難いことに、ですから案内も出来ます」
 ガイドの方もというのだ。
「こうして」
「そうですか」
「だからですか」
「そうです、まあ土産ものか何かでも買って下さい」
 ガイドはこのことは二人だけでなく参加者全員に言った。
「よかったら」
「じゃあ何か買わせてもらいます」
「俺もそうさせてもらいます」
「そうして下さい」
「あっ、それと」
 ここで車田はガイドに自分から言った、市場の端に来たがそこにある教会を思わせる場所を見てである。
「あそこで何かやってますね」
「あれ教会ですか?」
 秋本はその建物を見てこう言った。 
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