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戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~

作者:紡ぐ風
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EPISODE1.歪む世界

一面に墓標が並ぶ大地。ここは合同墓地。そこに二十代半ばの女性が粗末な花束を持って立っていた。
「あれから十年。時間が経つのは早いね、キョウヤ。実はね、私来月結婚するの。ごめんなさい、あなただけを愛するって言ったのに。」
女性はそう言って花束を墓標の一つに置く。すると、蛍光色の強い異形が複数現れる。
「ノイズ。あなた達を、私は絶対に許さない! -♪I have needful SeiryuEngetuto to now♪-」
女性は歌い、次の瞬間にノイズと呼ばれた異形は一つ残らず消えていた。


全ては、10年前に遡る
地球とは異なる世界、ノースガルド。この世界は生物を絶やす生体兵器、ノイズに侵食されていた。
「状況はどうかしら、キョウヤ?」
金髪の女性が一人の少年に尋ねる。
「はい。地球でのノイズの発生が著しく、こちらの世界にも影響が出ています。」
「そう。キョウヤ、漸く転送システムが完成したわ。」
「本当ですか!?」
「ええ。でも問題があって一度に一人しか転送出来ず、一週間の休息が必要なの。そこでキョウヤにお願いなんだけど─」
「はい!」
「地球上のノイズの撃滅と大量発生の原因を調べてくれない?こちらも準備が出来次第援軍を送るわ。」
「解りました!地球の事は俺に任せて、こっちは頼みます、フィーネ!」
「ええ、解っているわ。気を着けてね。それじゃあ、転送システムを起動させるわ。」
フィーネと呼ばれた女性は転送システムを動かし、キョウヤと呼んだ少年を地球に転送させた。
「必ず、帰って来てね─」
フィーネはそう呟いた。

「さて、ノイズの異常発生が観られているのは東京って土地か。確か、エルドラドと地図がそっくりだから移動は便利だな。一応地球の金銭は父さんが用意してくれたし、しばらくは何とかなるだろ。」
キョウヤはまるで観光をするが如く東京の街を歩いて回っている。すると、
「ええと、『風鳴翼のニューアルバム、本日リリース!』へえ、ぱっと見俺と同年代位なのに有名な歌手なのか?まあ、それでも俺達にとって歌は安らぎを与えると同時に滅びを与える物。多分、俺の耳に入る歌は、俺と仲間達の戦歌だけだろうな。」
キョウヤは人気女子高生歌手のニュースを観てそう言った。
「さて、俺は今日どこで寝よう?考えてみれば準備しないで来ちまったしな。」
キョウヤがぼやいていると、炭のような粉塵が飛び交う。
「この反応、ノイズか。やはり早すぎる。俺達の世界のノイズの大量発生、明らかに異常だったのはこっちでも不自然な発生を起こしているのが原因か。なら!」
キョウヤは力を込めるが、
「ダメがこんな街のド真ん中で使えば、確実にみんなに被害が及ぶ。ここは少しの間逃げるか!」
キョウヤは住民の被害を考えて何かを躊躇い、ノイズを相手に走って逃げる。ノイズは、当然キョウヤを追いかけ、キョウヤはどんどん市街地を離れ、海に辿り着く。
「さて、俺のカッコイいアームドギア、見せてやるからよく観て置けよ!何せ、ここがお前達の墓場だからな! -♪I have needful Trident to now♪-」
キョウヤは歌うと、身体に黒い五つの光が現れ、それら一つ一つがキョウヤの装甲と成り、キョウヤは黒をベースに青のラインが入った鎧を纏った。
「さあ!かき鳴らすぜ!」
キョウヤがそう叫ぶと、脚部装甲が展開し、三叉槍に変わる。
「-♪俺のこの 眠りを解き放ち たぎらせる愚か者は!-」
キョウヤは歌いながら戦い、三叉槍─罰鑓(ばつそう)トライデントを二連続で横薙に払う攻撃、シューティングハレーを放ち尖兵レベルのノイズを蹴散らして行く。
「-♪荒れ狂う嵐の中で 泣いても~手遅~れ~さ~!-」
キョウヤはトライデントを使って三叉の先端で引っ掻くように切り裂くスクラッチコロカロで大型のノイズを撃破する。
「よし!地球でもきちんとアームドギアを使える!」
キョウヤは戦闘が行えることを確認し、残る小型のノイズを一掃しアームドギアを解除する。
「さて、今日の宿でも探すか。」
キョウヤが歩こうとした瞬間、
「-♪Imyuteus Ameno habakiri tron♪-」
天羽々斬のシンフォギアを纏いアームドギアを携えた翼が居た。
「1日に二つのアームドギア、しかも一つは奏の遺したガングニール。今日はなんという厄日だ。だが、この災厄は私には至極悦楽だ。」
「あんたは、あん時ニュースに出ていた歌手じゃん!やはり装者だったか!」
キョウヤは驚く。
「お前、ここで何をした。先程まで居たノイズの反応が消えて何が起きたのか調べに来てみたらお前が今ここに居た。事情を聴かせてもらう!」
翼は天羽々斬をキョウヤに突きつける。
「おいおい、この世界の装者はどこの誰とも知らない男にアームドギアを平気で突きつけるのかよ!それなら! -♪I have needful Trident to now♪-」
キョウヤは翼の行動に合わせてトライデントを纏う。
「何ッ!?男でありながらシンフォギアを!貴様、何者だ!」
「何って、通りすがりの異世界のシンフォギアの装者だ!」
二人はそう言いながら天羽々斬とトライデントを打ち合わせている。
「-♪去~りなさい!無双に猛る炎~-」
翼は打ち合いの中で飛び上がり雷の斬撃、蒼の一閃を放つ。
「-♪俺のこの 眠りを解き放ち たぎらせる愚か者は!-」
キョウヤも応戦するが如くスクラッチコロカロを放ち蒼の一閃を掻き消す。
「かなりの手練れだな。ただ者では無いな、貴様!」
「こちとら八年ノイズと戦っているんだ。年季が違うんだよ!おらっ!」
キョウヤがトライデントを振り上げた次の瞬間、
「二人ともそこまでだ!」
男性の声が響き渡り二人は動きを止める。
「風鳴司令!」
「援軍かっ!」
二人が振り返ると、赤いシャツにピンクのネクタイを着けた男性が居た。
「まったく、翼も何で挑発にのった?」
「そんな事ありません。彼がシンフォギアを纏っていましたので無力化し拘束しようと。」
「そうか。ならいいんだ。ところで、君にはお願いがある。その力で、我々と共にノイズと戦って欲しい。」
翼の司令官、風鳴弦十郎はキョウヤに尋ねる。
「おいおい、初対面で且つシンフォギアを扱える奴を相手に何を言っているんだ?今の俺にはあんた達と手を組む理由も無いしあんた達を倒す事だって出来るんだぜ?」
キョウヤは呆れながらトライデントを解除する。
「そのわりにはシンフォギアを解除したようだが?」
「戦う気も無いし、理由も無い。それに、ここではシンフォギアの力は人には観られる訳には行かないので。大丈夫ですよ、ノイズはもう一帯に居ません。さっきのそこに居る歌手の()との打ち合いの間で残っていた雑魚も駆除しておいたので。」
「貴様、私と戦っている間にそんな事を!」
「仕方ないだろう。ノイズを放置すれば被害も出る。かと言ってお前との打ち合いも放置出来ないし、ノイズが出たから止めましょうなんて言える状況でも無かっただろ。なら、戦える奴が戦って、被害を出さないようにする。シンフォギアの力は、人を救う為にあるんだからそのために使わないと。」
「ところで、君の名前は?」
「キョウヤ。キョウヤ・タカナリといいます。」
「そうか、キョウヤ君か。君が心配するのも無理は無い。だが安心して欲しい。君や翼君、響君がノイズを倒した後は我々が対処する。」
「対処、とは?」
「まずノイズの被害に遭う中で装者に救助された場合今後の言動に一定の制限を設け、被害にあった土地を徹底的に再建策し再び住めるようにし、住民は暮らして行けるようになる。どうだ、素晴らしいだろう。」
弦十郎がそう言った途端、
「それで、、被害にあった人は本当に救われてるのかッ!」
キョウヤは怒る。
「そんなの、ただ事実を隠蔽し、知っている人を黙らせて、まるであたかも無かった事にする。そんなの、救済でも何でも無い!俺は、お前達と組んで行く事なんて、出来ないッ!」
キョウヤがそう言った瞬間、キョウヤの手首には強固な手錠が掛けられていた。
「すみませんが、キョウヤ・タカナリさん。あなたを、特異災害対策機動本部二課まで連行します。」
翼は、キョウヤにそう告げた。
「この──チクショウがぁぁぁ!」
キョウヤの叫ぶ声が、夜の海辺に木霊した。




戦姫絶唱シンフォギア ~海神の槍~
つづく 
 

 
後書き
どうも、紡ぐ風です。仮面ライダー以外の作品オンリーを書くのは初めてなので結構大変です。それでは、キャラクターの説明に入ります。

キョウヤ・タカナリ
身長182cm
体重68kg
異世界、ノースガルドの出身。比較的飄々とした性格で重度のヒーローオタク。言動の端々にその影響が出始めている程で、思考はヒーロー物に影響を受けている。ノースガルドでは、一定のシンクロ率を持ち、且つ聖遺物に耐えられればシンフォギアとアームドギアの行使が可能である。ただし、それでも男性の装者は世界に六人しか存在しない。年齢は現在18歳。
使用ギア トライデント
海神ポセイドンの三叉槍の欠片から生み出したアームドギア。冠名は罰鑓。
使用技
シューティングハレー
二連続で放つ横薙の一閃。
スクラッチコロカロ
三叉の刃で対象物を獣の爪で裂く要領で斬り裂く。 
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