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遊戯王Zwei

作者:エタブレ
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第5話

~放課後・部室~

遊希「遊莉、昨日は悪かったな~。あんな中途半端で終わっちまって!」

遊莉「別にいいよ。マエノヤで沢山デュエル出来たし。」

遊希「あっ!それ会長から聞いたぜ~。何でもちびっこを不良から守ったらしいじゃん。」

遊莉「守ったって…ん~まぁ、最後は会長が何とかしてくれたけどさ。」

械斗「フッ、それが生徒会長の役目だからな。」メガネクイッ

遊希「クッソ~俺がレポートでヒーヒー言ってる時にそんな楽しそうなことしてたとは!」
遊希は膝から崩れ落ちる素振りをした。

遊莉「…いや、全然楽しくないから!てかレポートは遊希の自業自得でしょ!」

遊希へのツッコミが終わると同時に、ガラガラと勢いよく部室のドアが開けられ、ポニーテールの少女とロングヘアーの少女が入ってきた。

ポニーテールの少女「ヤッホー皆ー!何の話してんのー?」

遊希「よー【梓(あずさ)】。【月都(つきみや)】先輩も。」

遊莉「こんにちは、二人とも!」

械斗「【灯(あかり)】も一緒だったのか。」

灯「ええ、丁度そこで会ってね。遊莉君、遊希君、こんにちは。」

械斗「以外と早かったな。さっき言ってた用事とやらは済んだのか?」

灯「ええ、もう済んだわ。」

梓「んで、何の話してたの?」

遊希「昨日の遊莉の武勇伝を話してたんだよ。」

遊莉「ちょっ…武勇伝って…」

械斗「昨日マエノヤで初等部の子が不良に絡まれてな。それを紅坂が助けたのだよ。」

梓「へー!遊莉ヤるじゃん!かっくいー!」

灯「遊莉君偉いわねぇ~」

遊莉「いやいや、そんな///」

遊希「んで、その後ちびっこ達とデュエル三昧だろ?いーよなー。俺もしたかったぜ。」
遊希は少し不貞腐れたように言った。

遊希「あっそうだ!遊莉、昨日の続きしようぜ!話してたらデュエルしたくなった!」

遊莉「あっごめん、今デッキ調整中。」

遊希「んな…会長は?!」

械斗「フム、私もだ。」メガネクイッ

遊希「なん…だと…」
遊希は完全に膝から崩れ落ちた。

梓「ウォッホン!」
梓はハ~とうなだれた遊希の肩を叩きながらわざとらしく咳をした。

梓「昨日灯ちゃんと作った新デッキがここにあります。そしてなんとデュエルディスクも。」

遊希「おぉ…神よ…」

遊莉「そんな大袈裟な…」

遊希「だって月都先輩が作ったデッキだろー!?相手にとって不足は無ぇぜ!」

梓「あたしも一緒に作ったっての!!」

械斗「フム…これは丁度良い。デュエル場を一つ借りてそこで我が部の宣伝も兼ねるとしよう。」

梓「え゛っ!?」

遊希「うぉー!観客居んのか!そりゃいいや!ますます燃えてきたぜ!」
狼狽える梓をよそに遊希は腕捲りをして気合いをいれていた。

灯「ふふっ、械斗ならそう言うと思って、貸し出しの申請はもう済ませてあるわよ。」

械斗「流石は灯だ、仕事が早い。もしや用事はそれだったのか?」

灯「さ~?どうでしょう?」

遊莉「あの~さしでがましいんですが、五月過ぎても新入部員が居ないのは会長が入部テストでみんな弾いちゃうからじゃないんですか?」

械斗「仕方あるまい。それが我が部、決闘部のしきたりなのだからな。」

械斗「さ、時間が惜しい。皆、デュエル場へ。私は校内放送をしてから向かう。」

遊莉「はい。」

遊希「ウッス!」

梓「う゛~ヤだ~」

灯「ほらほら、梓ちゃん元気だして。行きましょ?」

~校内~

スピーカーから械斗の声が聞こえる。

械斗《あー、生徒会長の井瀬だ。ただいまから我が決闘部のデモンストレーションを兼ねたデュエルを行う。対戦者は【王野 遊希】対【山藤 梓】だ。場所は第二デュエル場で行う。興味のある者は是非立ち寄ってほしい。繰り返す……》


男子生徒1「聞いたか!?決闘部のデュエルだってよ!」
男子生徒2「しかも王野がやるらしいな。」
男子生徒3「おいっ早く行こうぜ!場所なくなっちまうよ。」

梓の友達1「今の放送聞いた?梓出るんだって~!」
梓の友達2「マジ!?応援しに行こ!」
梓の友達3「あっ!待ってよ二人とも~!」

教師1「ほぉこれまた面白そうですな。」
教師2「ちょっと我々も観に行ってみますか。ねぇ、【相模(さがみ)】先生?」
相模「まったく、あいつら。顧問の俺に相談も無しに勝手な!」
校長「まぁまぁ、相模先生。良いじゃないですか。さ、行きましょう。」

械斗の放送を聞いた生徒達や教師陣が我先にと、一斉にデュエル場へ向かう。
そのなかにいた蒼髪の少女はなにかを決心したように呟いた。

蒼髪の少女「……決闘部…か…」

~第二デュエル場~

ワイワイザワザワガヤガヤ

遊希「おーおー、賑わってるねぇ!」

梓「ハ~。マジか…マジでやんなきゃいけないのか…」

遊希「なんだよ梓、さっきからウジウジして。」

梓「だってこんなことになるとは思わなかったんだもん!もっと、静かにやるもんだと思ってたのに~!」

遊希「いーじゃねーか、今度の大会のリハーサルだと思えば。」ケラケラ

梓「アンタってほんと気楽よね…」

遊莉達は二人から少し離れたところで話していた。

遊莉「なんだか梓の様子が…。やっぱり例のアレですかね?あんまり乗り気じゃないみたい…。」

械斗「ああ。山藤は極度のアガリ症だからな。これだけの大人数に見られながらだとやはりキツいみたいだな。」

灯「そうね。これを期に少しでも克服してくれれば良いのだけれど。」

遊莉「そうすれば今度の春の大会でもちゃんとした力を発揮できると思うんですけどね。」

械斗「まぁ、全ては山藤次第だな。さて、そろそろ始めよう。」

械斗がマイクを手に取り、フィールド中央に歩いていく。

械斗「あー、諸君今回は急な事にも関わらずこれだけの大人数集まってくれたことに感謝する。今回は我が決闘部のデモンストレーションも兼ねているので、まだ入部していない新入生で、興味がある者は是非遠慮無く申し出てほしい。」

械斗「さて、前置きが長くなったがこれより、【王野 遊希】対【山藤 梓】のデュエルを始める!」

その言葉と同時にワー!と一斉に歓声があがる

遊希「やっとか~待ちくたびれたぜ~。んじゃ梓、始めるか!」

そう言うと遊希はデュエルディスクを起動させ、デッキを差し込む。

梓の友達123「「「梓ー!頑張ってー!!」」」

梓「アハハ…」
梓は声のした方に苦笑いをしながら手を振った。

梓「ハ~もうここまで来たら…やるしかないよね…!」
梓は決意したように目を見開き、デュエルディスクを起動させデッキを差し込む。

二人がデュエルディスクを構えると、場内に静寂が流れる。そして瞬間、その静寂は決闘の合図によって破られた。

「「デュエル!」」 
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