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カードファイト!!ヴァンガードG ネクステージジェネレーション

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turn:1 本城タイガ

 
前書き
一つの時代が終わり、また新たな時代が始まろうとしていた
本城タイガのもとに届いた謎のカード
彼がヴァンガードと出会い、この先どのような時代を築いていくのか
新たな時代で繰り広げられる少年たちの戦い
今、運命の歯車が回り始める 

 
春、桜の花びらが舞う公園の中を一人の少年が歩いていた
少年は一人桜並木の中をただ俯き歩いていた

Turn1:本城タイガ

彼、本城タイガに家族はいない、ある男性の家で居候として暮らしながら近くの中学校に通っていた
いつも通りコンビニで買ったサンドイッチの入った袋を手にポストの中身を取り出して家に入ろうとすると
「ん?」
普段あまりない彼あての郵便物、その封筒にはただお誕生日おめでとうの文字が
「なんで知ってやがんだ………誰だよこんなもん送ったの」
確かに今日は彼、本城タイガの13歳の誕生日だった
しかし同居人の男性以外でそれを知っている人物など
そういって封筒の中身を見るタイガ
中に入っていた手紙を読んでみると
「この出会いがあなたにとって良き運命であるように………出会い?」
気になってもう一度よく見ると封筒の中から小さめの紙が何枚か出てきた
「これ、あれだよな、ヴァンガード」
その紙に見覚えのあったタイガは訳も分からず裏にしたり表にしたりとそのカードを見つめる
何種類かあるうちの一枚がふと目に留まった
「クロノファング・タイガー?」
重圧そうな見た目をした赤い獣のカード
そのカードを見て首を傾げるタイガ
次の瞬間彼の耳に獣の咆哮のようなものが聞こえた気がした
「うわっ!」
驚いて飛びのくタイガ、その拍子にカードを落としてしまう
「おっ?」
そしてカードの中に混ざった小さな紙片に気が付いた

「ここか」
紙片に書かれていた地図の場所にやってきたタイガ
二階建ての建物の一階にはカードキャピタル3号店と書かれた看板が
自動ドアの前に立ち店の中に入っていく
中には大きな画面のようなものと奥にいくつもテーブルが置いてある
そして彼が持ってるのと同じようなカードが飾られた棚とショーケース
ショーケースの中のカードを見回しているタイガだったが
「いらっしゃい」
聞き覚えのある声に振り返った
「葛木か」
「意外だな、本城がヴァンガードに興味あるなんて」
そこにいたのはお店のエプロンを付けた少女、葛木メグミ
彼女はタイガのクラスのクラス委員だった
面倒見がよくクラスの仲間にも慕われている反面、気が強い一面もあり同じぐらい他の生徒と衝突しているところも見かける
「お前こそこんなところで何してんだよ、まさか中学生のくせしてバイトしてるわけじゃないだろ」
「ここ、あたしの両親が経営してるカードショップなの、今はちょっと用事があっていないけど」
「それでお前が店番を?」
「まあね、それで、うちに何しに来たの?」
メグミの問いかけに懐から先ほどのカードを取り出すタイガ
「これなんだけど」
「みたことないカードね………ギアクロニクルか」
それを見たメグミは少し離れた場所のショーケースを見る
「この辺が同じクランのカードだけど、やっぱりないわね」
「クランってなんだ?」
タイガの問いかけに対してメグミはそばにあった棚を探り始めた
「そのユニットが所属してるグループ、あ、カードに書かれたキャラクターをユニットって呼ぶの」
棚の下の段を開けいくつかの小さな箱を取り出すメグミ
「ヴァンガードのプレイヤーはたいてい、自分に合ったクランを見つけて、同じクランのカードでデッキを組んでいくの」
そう言って懐から白い機械を取り出すメグミ
底面をスライドさせ中からカードの束を取り出す
タイガのものより種類がたくさんありそうだ
「興味があるなら教えてあげようか?」
メグミの問いかけに対しタイガは先ほどの出来事を思い出しクロノファングのカードを見つめた
あの時感じたものが何だったのか、なぜ自分の所にこれが届いたのか
タイガはそれが知りたかった
「頼んでいいか?」

様々な種類のカードがテーブルの上に並べられていた
「ヴァンガードはまず、カードを集めてデッキを作るところから始めるの、こっちの黄色い枠のカードと黒い枠のカード、そしてこっちの赤い枠のカードと緑の枠のカード」
「デッキは二つ用意すんのか?」
「黒い枠のカードと赤い枠のカードは裏の模様が違うでしょ」
メグミに言われて手に取った二つのカードを見比べてみるタイガ
確かに裏に書かれた模様が違うようだ
「青い模様のカードが50枚、銀の模様のカードが16枚、銀のカードは別になくてもプレイできるけど、可能なら用意したほうがいいわ、50枚のデッキは黄色い枠のカードを16枚必ず入れること、デッキづくりに関しての決まりはこんなところかしら」
そう言って一枚のカードを手に取りタイガに向けるメグミ
「デッキが出来たらいよいよファイトの開始」
「つってもこれじゃあな………」
タイガの手元にあるカードはどう見ても50枚に達していない
「お店のカードだけどこれ」
そう言って先ほど棚から取り出した箱を渡すメグミ
「あんたのそのカードと同じギアクロニクル、時間と空間をつかさどるユニットたち」
「ギアクロニクル………」
「それからカードにはグレードって呼ばれるものがあって」
タイガが持っているカードの左上の数字を指さすメグミ
「ヴァンガードはこのグレードが0のカードから始まってだんだんとレベルアップしていくゲームよ、例外もあるけど数字が大きいものほど枚数を少なくしていくのがコツ」
「おお、なんとなくわかったぜ」

出来上がったデッキを整えるタイガ
「(不思議だ、今日初めてこのカードに触ったはずなのに………サクサク組めちまった)」
メグミが用意したカードはたくさんの種類があった
なのにタイガは迷うことなくその中から数種類のカードを手に取りデッキを組んでいた
まるで、最初から知ってるかのように
互いのデッキを持ってテーブルの前に立つ両者
「それじゃあ初めていきましょうか」
自身のデッキから一枚抜き取ったカードを裏向きに伏せるメグミ
「戦いの舞台は惑星クレイ、地球によく似たこの星に、私たちはか弱い霊体として降り立ち、戦うこととなる」
そう言って伏せたカードを指さした
「ファーストヴァンガード、私たちはまず霊体となった自分自身をこのカードに憑依させる、そしてその姿を借りることで初めて戦う力を得る、これがライドよ、この後自分の順番、ターンを重ねていくんだけど、説明する都合があるから私が先で構わないかしら」
「ああ、別にいいぜ、えっと………」
「グレード0のカードの中に、一枚だけ黒い枠のカードがあるでしょ」
「ああ、これか」
デッキから抜き取ったカードをメグミと同じように伏せるタイガ
「お互いのデッキをシャッフルしたら最初に五枚、手札となるカードを手元に加える」
そう言って自身のデッキをシャッフルしてタイガの方へ差し出すメグミ
「公平になるようデッキをシャッフルするときは一度互いのデッキを交換するの」
「そっか………」
シャッフルした自身のデッキを差し出すタイガ
受け取ったメグミのデッキを軽くシャッフルして差し出す
同様にメグミもタイガにデッキを差し出した後自分のデッキからカードを引いた
タイガも同様にカードを手札に加える
「ゲーム開始前に、手札のカードを一度だけ交換することが出来るわ、引き直しといって、最初のドローとこれを合わせて、手札にグレード1から3が揃うようにするの」
メグミに言われて自分の手札のグレードを確認するタイガ
引き直しを終えるとメグミがテーブルの画面をスライドさせる
「本城のデッキはギアクロニクルだから………」
ある場所でメグミは手を止めた
「ここね、私たちの戦いの舞台は惑星クレイ、ダークゾーンの工業地帯」
あたりにパイプ、鋼鉄のようなもので出来た建物で囲まれた場所
「私のクランはバミューダ△、惑星クレイにその名をとどろかすメガラニカの歌姫たち、イメージして、この場所に降り立つ自分の姿を」
メグミに言われタイガは目を閉じて意識を集中する

惑星クレイ、ダークゾーンの工業地帯
その場所でタイガとメグミは向かい合って立っていた
「おぉ」
初めて見る光景に圧倒されるタイガ
「驚いた、これが惑星クレイ、この場所で戦う力を得るため私たちはユニットの姿を借りることとなる、そしてヴァンガード、導くものという名の通り、自分のユニットたちを勝利へ導くのが私たちの役目」
そう言ってメグミは自分のファーストヴァンガードを手に取った
「スタンドアップ!ヴァンガード!」
裏向きだったカードを表に返す
同時に惑星クレイに降り立ったメグミの周りにバミューダ△の青い紋章が浮かび上がる
「BN-PRISM サファイア!」
次の瞬間メグミの姿は青い衣装を基調とした人魚の姿に変わっていた
タイガも伏せたままのカードを見つめて手に取った
「(なんで俺のもとにこのカードが届いたのかはわからない、けど………ヴァンガード、このゲームの中にその答えがある気がするんだ)」
表に返したカードを勢いよく掲げるタイガ
「スタンドアップ!ヴァンガード!」
次の瞬間タイガの姿は小さなドラゴンへと変わった
そのドラゴンの装飾にはいたるところに歯車が見受けられ
ギアクロニクルの名の通りだった
「ガンナーギア・ドラコキッド!」
小さな体で目の前のサファイアを目いっぱい威嚇するガンナーギア
「よし、説明する必要があるから私からやらせてもらうわね」
そう言ってフィールドのサファイアに手を伸ばす
「まずはスタンド、ユニットが行動するための準備をするの、とはいえ最初だからここですることはないわ、そしてドロー、スタンドアンドドローの流れで、ターンの最初を進めるの」
山札の上からカードを一枚とって手札に加えるメグミ、この流れがドローだ
ターンの最初に必ず行うこととなる
「そしてお楽しみのライド!ヴァンガードを一つ上のユニットへと成長させる!今私のヴァンガードはグレード0!だからグレード1のこのカード」
サファイアの上に新たなカードが置かれると同時にフィールドのサファイアの姿にも変化が
「BN-PRISM エメラル!」
先ほどのユニットとよく似た姿、緑を基調とした姿へと変わる
「そしてこの時、サファイアのスキル“先駆”が発動する、新たなユニットにライドした時、このユニットはリアガードサークルへと移動できる」
サファイアのカードを後ろにずらしてリアガードへと置くメグミ
と同時にサファイアがエメラルの後ろに姿を現す
「ヴァンガードと同じか、それ以下のグレードのカードなら手札から更にリアガードサークルに出すことが出来る、これがコールよ、もう一枚のエメラルをコール」
ヴァンガードの隣にもう一枚エメラルのカードを置くメグミ
「そして攻撃、グレード0と1のカードは共通能力“ブースト”を持っているわ、前にいるユニットに自分の力を与え、パワーを加算することが出来る、攻撃とブーストはカードを横向き“レスト”の状態にすることで宣言できる」
エメラルとサファイアのカードをレストしたメグミ
イメージの中で腕を組んだサファイアが目の前のエメラルに向けて手を伸ばす
光が二体のユニットを包み込みエメラルがガンナーギアに向かっていく
空中で一回転したエメラルがその尻尾をガンナーギアにたたきつけようとしてくるのを見てガンナーギアは思わず身構えたが
「なんてね」
その尻尾は直前で止まりエメラルは意地の悪い笑みを浮かべていた
「先行の最初のターンで攻撃は出来ないの、何もしてない、できない状態の相手を攻撃するなんてフェアじゃないでしょ」
「な、なるほどな」
一瞬本気で勘違いして冷や汗を流していたタイガだったが彼女の言葉に納得して向きなおった
「………って、え?じゃあこっちのエメラルを呼んだ意味は………」
「ん?無いわよ、コールの説明したかったし、丁度手札にあったから呼んだだけ」
きっぱりと言ってのけるメグミに肩を落とすタイガ
「まあいっか、じゃあターンの最初にやろうとしたスタンドっていうのは………」
「ええ、前のターン攻撃を宣言してレスト状態になったユニットをスタンド状態に戻して行動できるようにする、大体の流れはこんな感じよ、アタックが終わると同時にターンは終了、次は本城の番よ」
メグミの言葉で納得したタイガはガンナーギアを見てから山札の上から1枚引く
「これで、スタンドアンドドロー、だよな」
「ええ、そしてライド、私と同じようにグレード1のカードを重ねるの」
「えっと………」
タイガは自分の手札にある2枚のグレード1のカードを見つめた
そしてそのうちの1枚、スチームメイデン アルリムのカードを見つめこのユニットの姿になった自分を想像して………
自分のイメージにドン引きしてしまい勢いよく首を振るタイガ
何せアルリムは首元に大きな蝶ネクタイをしたかわいらしい女性のユニット
男の自分がその姿になるイメージに思わず青い顔になってしまうタイガ
「じゃ、こっちだな、メーザーギア・ドラゴンにライド」
「ガンナーギア・ドラコキッドもサファイアと同じで先駆を持ってるわ」
「じゃあ、こうしてコール、それから」
タイガは残ったアルリムのカードを見つめた
そしてカードの下側に書かれたパワーを見るが
「(6000か、葛木のヴァンガードにいるのは………)」
エメラルのパワーを見て見ると7000と書いてある
「これ、パワーが低いと攻撃は通らないんだよな」
「ええ、攻撃するユニットと同じかそれ以上のパワーがナイトアタックをヒットさせることはできないわ」
「(じゃ、これは呼んでも意味ないな)」
先ほどメグミがやったようにガンナーギアのカードをレスト、続けてメーザーギアをレストするタイガ
「ガンナーギア・ドラコキッドのブーストしたメーザーギア・ドラゴンでサファイアをアタック」
低く唸ったメーザーギア・ドラゴンがサファイアに向かっていく
「ヴァンガードのユニットがアタックするとき、ドライブチェックといって山札の上のカードをめくって確認してから手札に加えるの」
「えっと、こんな感じか?」
そう言ってタイガが山札の上のカードをめくる
【スチームバトラー マシュダ】
「トリガーゲットね」
「と、トリガー?」
「カードをよく見て、右上にアイコンがあるでしょ」
言われてタイガがマシュダのカードを見つめると確かに星のようなマークがある
それに手札にある別のカードにも同じマークが
「それは最初に16枚入れたトリガーのカード、黄色い枠の特別なカードよ」
「あ、なるほど!」
タイガは言われて納得した、アイコンがあるのは黄色い枠のカードだけだ
「チェックタイミングでそのカードが出ると効果が発動して追加効果を得られるの、共通する効果として自分の場にいる好きなユニットのパワーを+5000、マシュダのカードはクリティカルトリガーだから、ダメージを追加で与えるクリティカルの効果を好きなユニットに与えることが出来るわ」
「じゃ、メーザーギアにそのクリティカル効果ってのをつければ」
「攻撃が通ることは確定しているから私は追加ダメージを受けることになる」
「なるほどな、じゃあそうするぜ」
メーザーギアがその鋭い爪を振るいエメラルを切り裂いた
更に胸部にエネルギーを貯めそこから光線を放つ
ひるんでいたエメラルはその攻撃で飛ばされフィールドに倒れてしまった
「そしてここでダメージチェック、ドライブチェックと同様に山札の上のカードを確認、チェックタイミングに入るわ」
【PRISM-I サンシャイン・クリア】クリティカルトリガー
「クリティカルトリガー発動、ヴァンガードのエメラルのパワーを+5000、クリティカル+1」
「けど、俺の攻撃はこれで終わりだし、ダメージを与えるわけでもないんだから今トリガーを引いても」
「うん。本城がリアガードを展開していたらこれも意味があるんだけど、ほかにも………」
そう言ってもう1枚チェックするメグミ
【PRISM-M アドリア】
タイガがめくったのとは別のアイコンのカードだ
「トリガーはクリティカルだけじゃないわ、アドリアの効果はドロートリガー、このトリガー効果は文字通りカードを1枚引くことが出来る、そして共通効果でパワー+5,000をエメラルに、ちなみにダメージを受けると、チェックを行ったカードは手札じゃなくダメージゾーンに置かれるわ、こうして相手にダメージを与えていくのがヴァンガードの基本ルール」
「なるほどな、ダメージをチェックするときそれが出たら得ってことか………ん?」
それを聞いていたタイガはよくよく思い返してみた、そして
「(しまったー!俺あのアイコンのカード入れてねえぞ!葛木の攻撃の時どうすりゃいいんだ!?)」
苦悩し頭を抱えるタイガ
トリガーの恩恵がパワーだけではなんとなく損した気分になってしまう
せっかくの追加効果も無駄になってしまうからだ
「とりあえずこれであたしのターン………ちょっと本城聞いてる?」
「あ、ああ悪い、そうだな、俺のターンは終了だ」
顔をしかめながら一人困惑するタイガに声をかけるメグミ
彼の苦悩を知る由もない彼女はぶつくさ言いながら自分のターンを進める
「ライド!PRISM-I サンシャイン・ローザ!」
さっきまでとは打って変わって白い服が特徴の人魚へと姿を変えるメグミ
「リアガードのユニットは同じ縦列なら前後を自由に行き来できるの、だからまず、私はエメラルを下げて」
エメラルのカードを後ろの列に下げるメグミ
「そしてこのPRISM-R メルキュールをコール!」
白い髪に眼帯をした違った印象のユニットがまた姿を現す
「そのメルキュールにエメラルのブーストをつけてメーザーギアを攻撃」
エメラルの支援を受けたメルキュールがメーザーギアに向かっていく
「さらにメルキュールのスキル、名前にPRISMを持つユニットがいるので、パワーが+3000」
スキルが発動しメルキュールを包み込む光がより一層強くなる
「(くそっ、ただ攻撃を受けるだけ………ん?シールド?)」
ユニットが多く並ぶメグミのフィールドを見て気押されていたタイガ
悩んでいると先ほどのマシュダのカードを見てカードの横に書かれたシールドという言葉に気付く
いや、マシュダだけではない、ほかのカードにも同じようにシールドの値が書かれている
「もしかしたら」
そしてフィールド中央に大きく書かれたGの文字
「えーい!イチかバチかだ!」
そう言ってマシュダのカードをそこに置くタイガ
「えっ!?」
「なんだ?これで防御できるんじゃないのか?」
タイガの行動に目を見開くメグミ
彼女の反応を見てもしや間違った行動をしてしまったかと思うタイガだったが
「あ、ううん、ガードの仕方はあってる、そのカードのシールドの値をヴァンガードのパワーに加えることでガードができるの、そのフィールド中央のガーディアンサークルに置くことで、本当はシールドの位置が見やすいよう横向きにしておくのがいいんだけど」
「えっ?あ………」
それを聞いてタイガは自分の置いたマシュダのカードを見る
確かに自分に向けてカードの位置が正面を向くように縦にして置いていた
「ま、割とよくやるミスだしルール上は問題ないから、あ、ガードに使ったカードはドロップゾーンにおいてね」
「そういや肝心なこと聞いてなかったけどこれ何点受けたら終わりなんだ?」
苦笑しながらフォローするメグミに対してタイガが問いかける
「全部で6点受けた時点でゲームオーバー、そのプレイヤーの負けになるわ、攻撃に参加できるのは基本的に前列のユニットだけ、だから普通は1ターンで終わることなんてまずないの、手札も限られてるしね」
そう言って自分の手札の枚数がわかりやすいように前に少し突き出すメグミ
確かに立て続けにユニットを呼んだせいでタイガと比べて彼女の手札は3枚と少ない
だからこそ序盤から手札を使いすぎるのはリスクが高い、ガードを行うための手札がなくなってしまう恐れがあるからだ
「なるほどな」
「さ、攻撃続行、サファイアのブーストしたローザでヴァンガードを攻撃」
「(ガードに使えるカードはある、けどさっきみたいにトリガーが出たら………)」
タイガはフィールドのカードのパワーを見返してみる
アタックを行っているローザのパワーは14000
トリガーが出たら19000、メーザーギアにシールドを加えた数値を越えてしまう
そうなるとおそらくガードは失敗、ダメージを受けてしまうことだろう
「ノーガードだ、手札をこれ以上使いたくないしな」
「じゃ、私のドライブチェックね」
そう言ってメグミはドライブチェックを行おうとして先ほどの流れを思い返していた
「(教えてもいないのにガードの仕方に気付くなんて………本城案外才能あるのかな)」
【BN-PRISM ガーネット】トリガーなし
「ダメージチェック」
【スチームナイト ムダル】トリガーなし
「ターン終了よ」
「じゃ、スタンドアンドドロー………」
タイガはドローしたスモークギア・ドラゴンのカードを見て笑みをこぼした
「(よし、アタックに使えるカードが来た!)ライド!スモークギア・ドラゴン」
4本足の巨大なドラゴン、スモークギア・ドラゴンが雄たけびを上げる
「さらにもう1枚スモークギアをコール、そしてそのスモークギアでアタック」
リアガードに現れたスモークギアがローザに向かっていく
「それはガードするわ」
ウェーブのかかった金髪が特徴のユニット、PRISM-M カナリアがスモークギアの前に立ちふさがる
身体を力いっぱい捻って尾びれでスモークギアの前足をはじき返した
「ガンナーギアのブースト!ヴァンガードのスモークギアでアタック!」
「ノーガードよ」
ローザに向かって飛びかかるスモークギアが前足を振り上げる
「ドライブチェック」
【スチームバトラー ウル・ワタル】
「っと、また違うトリガーか」
「それはスタンドトリガー、レスト状態のリアガードを1枚だけスタンド出来る効果を持ってるわ」
「じゃ、攻撃の終わったスモークギアをスタンド、そんでもってパワーをプラスする効果もこいつにつけるぜ」
スモークギアが前足を振り下ろしローザを切り裂く
「ダメージチェック」
【PRISM-I ヴェール】トリガーなし
「スタンドしたスモークギアでアタック」
何とか立ち上がったローザにスモークギアが突撃を敢行
その体を大きく吹っ飛ばした
「ダメージチェック」
【PRISM-I サンシャイン・クリア】クリティカルトリガー
「って、さっきから変なタイミングでトリガー出るなぁ」
「ついてねえな」
皮肉を込めて笑うタイガ
それを見たメグミは戸惑っていた
「(本城って………こんな風に笑うやつだっけ?)」
メグミがいつもクラスで見てきたタイガは教室の隅で何をするわけでもなくその鋭い瞳で退屈そうに過ごしていた
クラスメイトの初めて見る姿に戸惑うメグミだったがすぐ笑顔を見せる
「それにしても、よくもやってくれたわね、こんなかわいい子たちに」
確かにメグミの使うバミューダ△は歌姫というだけあってどれも可愛らしいユニットばかり、だが
「そういうゲームだろうが、これ」
「そりゃそうだ、でも………」
どうやら皮肉のつもりだったらしいメグミはタイガの切り替えしに対し悪戯っぽく笑った
「女の子怒らせたら怖いわよ、ここからはヴァンガードの花形、グレード3の出番、見せてあげる、バミューダ△の戦い方を」
スタンドアンドドローの流れを終えたメグミは手札の1枚を手に取った
「今こそ降り立て!煌くステージへ!BN-PRISM ガーネットにライド!」
メグミがライドしたのはサファイア、エメラルとよく似た赤を基調としたユニット
「グレード3以上のユニットがヴァンガードに登場したことでサファイアのスキル、エメラルを手札に」
リアガードに置いていたエメラルを手札に戻すメグミ
しかしせっかく並べたユニットを手札に戻して何の意味があるのかタイガが首を傾げていると
「そしてガーネットのスキル!カウンターブラスト」
ダメージゾーンのカードを1枚手に取って裏返すメグミ
カウンターブラストはダメージゾーンのカードを裏返すことでスキルを発動するための条件を満たす
そしてガーネットのスキルは
「ユニットが手札に戻ったときにスキル発動!パワー+5000」
「そうか………このスキルの条件を満たすために」
ガーネットのパワーアップのためにはユニットを手札に戻すことが必要
先ほど発動したサファイアのスキルはそのための布石
「すげえ、スキルを組み合わせてこんなに………」
先ほどまでとは違う、パワーアップしたガーネットのパワーはブーストを合わせて21000まで上がっている
「これくらいじゃ驚くにはまだ早いわよ!」
そう言って攻撃の構えに入るメグミ
「(手札に戻したユニットを呼びなおさないのか?………)」
先ほど手札に戻したエメラルをもう一度呼ぶことも可能だったはず
もちろんメルキュールだけでも十分ヴァンガードにダメージを与えることはできるだろうが
「まずはメルキュールでアタック」
「ノーガード、ダメージチェック」
【ヒストリーメイカー・ドラゴン】トリガーなし
「そしてガーネットでアタック!リミットブレイク発動!」
リミットブレイク
ダメージゾーンのカードが4枚以上で発動できる必殺の能力
使い方次第では一発逆転も可能となる
「エメラル2体、そしてPRISM-Rメルキュールをコール!」
「なっ!」
エメラルを呼びなおし、同じ列にもう1枚エメラル
それだけじゃない、メルキュールのいた場所にも別のユニットを置いてきた
「バトルフェイズ中にユニットを!?スタンド状態ってことは………こいつらでも攻撃が」
「もちろんできるわ、さあ、ガーネットのアタックはどうする?」
「その前に聞いていいか?それ………えっと、メルキュール?上にもう1枚出たけどどうなるんだ?」
「ああ、リアガードサークルでこういう“上書き”の状態になるともといたユニットは退却といって、ドロップゾーンに送られるの」
そう言ってメルキュールのカードをドロップゾーンに置くメグミ
ガーネットのパワーは高すぎる
それにここで手札を使いすぎてリアガードにトリガーを乗せられてしまったら………
「ノーガードだ」
「じゃ、ドライブチェック………ツインドライブ」
「つ、ツイン?」
メグミの口から出た言葉に戸惑うタイガ
「グレード3の共通能力、ヴァンガードのグレード3のユニットがドライブチェックを行うときは、合計2枚のカードをチェックすることが出来る」
「つまり、その分トリガーも出やすくなる」
頬を垂れた冷や汗を拭いながら険しい表情を見せるタイガ
「そのとおりよ、ガードの時も思ったけどあんた随分飲み込み早いわね」
「そりゃどうも」
【PRISM-P プリンセス・ケルト】トリガーなし
「今のがファーストチェック、そしてこれがセカンドチェック」
【PRISM-P プリンセス・レイテ】トリガーなし
「ふぅ」
トリガーが出なかったことで安堵の息を漏らすタイガ
「安心した?でもダメージは受けてもらうわよ」
「あ、ああ、ダメージチェック」
【スチームスカラー ジジ】トリガーなし
「じゃあ次はリュミエールでアタック、リュミエールのスキルもメルキュールと同じでヴァンガードにPRISMの名前があるとパワー+3000」
そのままだとパワー9000で10000のパワーを持つスモークギアに届かない
だがリュミエールはこのスキルのお陰で問題なく攻撃できる
「えっと、それはガードだ」
スチームバトラー ウル・ワタルがフィールドの床をつかむとそれを使いリュミエールの攻撃を受け止めた
「エメラルでアタック」
「それはノーガードだ、ダメージチェック」
【スチームスカラー カー・ランマ】クリティカルトリガー
「っと、先に攻撃受けときゃよかったな」
もし先に攻撃したリュミエールのアタックを受けていればこのトリガー効果でパワーアップしたスモークギア・ドラゴンにエメラルの攻撃は通らなかった
「そういや、リアガードが攻撃を受けるとどうなるんだ?」
「その場合は上書きと一緒で攻撃されたユニットは退却してドロップゾーンに行くわ」
となるとトリガーでパワーアップしていた場合はリアガードのスモークギアが標的にされていただろう
「けど、ツインドライブにリミットブレイク、グレード3になるとこんなに違うのか、スタンドアンドドロー」
タイガは高まる気持ちを抑えられなかった
それだけ今のメグミの攻撃はすごかった、自分もグレード3になれば………
そう思ったタイガは大きく深呼吸して手札の1枚を手に取った
「我が望む世界へ導け!」
そう叫びタイガがかざすのは何か感じたあの時のカード
「ライド!クロノファング・タイガー!」
ヴァンガードサークルを包み込む強烈な光
重圧な装甲で包まれた両腕を使いその光を突き破って現れる赤い獣
クロノファング・タイガーはヴァンガードとして現れると同時に雄たけびを上げた
その力強さに驚き目を見開くガーネットやリアガード達
そして瞳を輝かせるタイガの姿があった

次回予告

タイガとクロノファング・タイガー
この出会いの先に待っているものは何か
初めてのファイトの先にタイガが見るものは
新たな時代はここから始まる
【turn:2 葛木メグミ】 
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