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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第31話

ルバーチェ商会のビルに到着するとそこには2人のマフィア達が扉の前で話し合っていた。



~ルバーチェ商会~



(ここが”ルバーチェ商会”………)

(ずいぶん怪しい路地だとは思っていたけど………)

「なんだ、お前ら?」

「お前らみたいなガキどもが近寄っていい場所じゃねえ。とっとと失せやが―――」

小声で会話をしているロイド達に気付いたマフィア達はロイド達に近づいて忠告しようとしたその時

「なっ!?お、お前ら、あの時の!?」

驚きの表情でロイド達を見た。

「もしかして………」

「ハッ、どうやらお知り合いだったみてぇだな。」

マフィアの反応を見たティオは呟き、ランディは口元に笑みを浮かべた。

「なんだ?こいつらがどうしたんだ?」

一方理由がわからないマフィアは驚いているマフィアに尋ね

「例の警察のガキどもだ!旧市街の仕込みを邪魔してくれた………!」

「なんだと………」

忌々しそうにロイド達を睨んでいるマフィアの説明を聞き、ロイド達を睨んだ。

「……どうやら自己紹介をする必要はなさそうですね。今日は捜査任務でこちらに伺わせてもらいました。」

「なにィ………?」

「こちらの会長さんに取り次いでもらえませんか?とある事件に関して話を聞かせてもらいたいんです。」

「ふ、ふざけるな!警察のガキが会長に話だと!?よくもぬけぬけと………」

「………容疑者というわけではなくあくまで、参考人としてです。もちろん強制ではないので無理強いはしませんが………」

ロイドの話を聞いて怒りの様子を見せているマフィア達にエリィが説明し

「取り次いでくれるくらいはしてもらってもいいんじゃないの~?」

シャマーラが続けた。

「チッ………アルノーがしくじった件で更に調子に乗らせたみてぇだな………」

「おいおい、どうする?勘違いしてるクソガキどもに改めて礼儀でも教えてやるかよ?」

「フン、そうだな………」

(………なんか駄目っぽいぜ?)

(………このままここにいても戦いになるだけです。)

今にも攻撃を仕掛けてきそうな様子のマフィア達を見たランディとエリナが小声でロイドに忠告し

(………仕方ない。退散するしかないか………)

忠告されたロイドが疲れた表情で頷きかけたその時、扉が開き

「―――通してやれ。」

豪胆な声が聞こえた後、スーツ姿の巨漢が扉の中から姿を現した。

「わ、若頭………!」

「お、お疲れ様です!」

「おう、ご苦労。」

(で、でかい………)

(あのヴァルドさんも相当な大きさでしたけど………)

(こっちはそれ以上だな………)

マフィア達に声をかけられている巨漢の身体の大きさにロイドとティオ、ランディは驚いていた。

「クク………お前らが警察のガキどもか。話には聞いてたが思った以上に若いじゃねえか。」

「………特務支援課のロイド・バニングスです。あなたは………?」

不敵な笑みを浮かべた巨漢に見つめられたロイドは静かな口調で自己紹介をした後、警戒した様子で巨漢に名を尋ねた。

「ガルシア・ロッシ。”ルバーチェ商会”の営業本部長を務めている。ククク………まあ”若頭”と呼ばれることの方が多いがなァ。」

「……………………」

(おいおい………いきなり大物くさいぜ?)

(ええ………恐らくナンバー2ね。)

巨漢―――ガルシアが名乗るとロイドは真剣な表情でガルシアを睨み、ランディは目を細めてエリィと共にロイドに忠告した。そしてガルシアはロイド達に背を向けて言った。

「―――入れ。話は俺が聞いてやる。」

ロイド達に言ったガルシアはビルの中に入って行った。

「え、あ………」

「……ハッ。若頭がそう言うなら仕方ねぇ。とっとと入りやがれ。」

「………くれぐれもあの人に無礼を働こうと思うなよ?長生きしたかったらな。」

ガルシアの行動に呆けているロイドにマフィア達はそれぞれ忠告した。その後ロイド達はビルの中に入り、応接室らしき豪華な部屋でガルシアと対峙し、事情を説明した。



「クク―――何かと思えば。ウチの会長が、イリア・プラティエに脅迫状で嫌がらせを………?ククク………とんだヨタ話もあったもんだぜ。」

ロイド達の話を聞いたガルシアは嘲笑しながら答えた。

「………無論、こちらもそうだと決めつけているわけではありません。ですが、殆んど手掛かりがない状況で先日もめ事があったと聞きまして………参考までに話を聞かせてもらえばと。」

「ハハ………会長が引っ叩かれたヤツか。ありゃ、酒の席でのちょっとしたハプニングだ。会長も酒が入ってたせいかほとんど記憶にないらしいしな。全然、気にしてないと思うぜ。」

「そう………なんですか?」

(まあ、そうでしょうね………そこまで器量が狭かったら、支援課はとっくに襲撃をかけられていたわ。)

「お聞きした話だと………帝都のオペラハウスへの進出をイリアさんに持ちかけられたとか?」

ガルシアの話を聞いたロイドは意外そうな表情をし、ルファディエルは納得した様子で呟き、エリィはアルカンシェルで聞いた話を持ち出して尋ねた。

「ああ………そんな話もあったな。ウチも色々な付き合いがある。そっちの方から仲介された話だ。まあ、むしろそれは口実で会長はあれの特別ゲストとして彼女を招待したかったらしいが………」

「あれ………?」

「特別ゲスト………?」

「ああ、こっちの話だ。―――まあ、そういうわけで何のかかわりもねぇ話ってことだ。クク………わかったか、坊主ども?」

「…………………念の為、脅迫状の現物を確認してもらってもいいですか?」

ガルシアに言われたロイドは考え込んだ後、ガルシアを見つめて尋ね

「ハ………まあいいだろう。よこせ。」

「………これです。」

ガルシアの返事を聞き、脅迫文をガルシアに渡した。

「はん………なんだこいつは。確かにイリア・プラティエの公演を妨害したいみてぇだが………ん………!?」

脅迫状の内容を読んだガルシアは眉を顰めていたが、ある部分を見て意外そうな表情をした。

(え………!?)

(何か気付いたみたい………)

ガルシアの様子を見たロイドは驚き、エリィは真剣な表情をしていた。

「………………………」

一方ガルシアは黙って考え込んだ後、ロイドに脅迫状を投げ返した。

「………フン、くだらねぇな。脅迫状というよりは単なるイタズラじゃねえのか?」

「え………」

「おいおい………」

「何か心当たりがあるような反応でしたけど………?」

そしてガルシアの答えを聞いたロイドは驚き、ランディは目を細め、エリィは真剣な表情で尋ねたが

「フン、何のことだ?手紙の文面についてもまったく心当たりはねぇな。ま、少なくともウチの会長が書いたんじゃねえのは断言できる。クク………とんだ無駄足だったなぁ?」

ガルシアは余裕の笑みを浮かべて何も答えず、嘲笑しながらロイド達を見回した。

「……………………………」

(チッ………何か知っていそうだが………)

(聞き出すのは難しそうですね………)

「………話はわかりました。ところで、今の話を会長さんから直接お聞きできないでしょうか?」

「は………?」

しかしロイドの質問を聞き、呆けた表情をした。

「ああ、確かにそういった話は本人から直接聞きたいもんだな。それとも留守にしてんのかい?」

「………………」

そしてランディの話を聞いたガルシアは黙ってロイド達を見回した後

「ははははははッ!」

大声で笑った後、足で机を大きく蹴った!

「………!」

「……………」

(なに、やる気なの!?)

(返り討ちにして差し上げます!)

(落ち着きなさい、2人とも!)

ガルシアの行動にエリィは内心恐怖を感じながらも表情に出さず真剣な表情でガルシアを睨み、ティオは慌てた様子もなく静かな表情でガルシアを見つめ、シャマーラとエリナは小声で呟き、それを聞いたセティが2人を諌めた。

(なんだい。脅しで誤魔化すとか器の小さい野郎だねぇ………)

(つまんねー脅し方だな………)

一方エルンストとギレゼルはつまらなさそうな表情をし

(フン、くだらん脅しを………)

(……………………)

メヒーシャは鼻をならして不愉快そうな表情をし、ラグタスは真剣な表情でガルシアを睨み

(ふ、ふええ!?)

(シャマーラ達に手を出したら許さないぞ!)

水那は怖がり、アトはガルシアを睨んでいた。

「―――調子に乗るなよ、小僧ども?てめぇらみたいなガキどもに会長が会う訳ねえだろうが………いつでもヒネリ潰すことのできる無知で哀れな仔犬ごときによ………?」

「なっ………」

「……チッ………」

「本来なら俺も、てめぇらごときにわざわざ会うつもりはなかったが………せっかくの機会だから親切に忠告してやろうと思ったわけだ。てめぇらが何をしようがこの(クロスベル)の現実は変わらねぇ………ましてや俺達をどうこうする事など不可能ってことをな。」

「………くっ…………」

「………………………」

「随分、余裕タップリじゃねぇか………」

(フフ、自分達の組織の大きさに慢心している者でよかったわ。わざわざロイド達に自分達が相手をする組織の大きさを教えてくれたのだから……)

嘲笑しながら言ったガルシアの言葉を聞いたロイド達は悔しそうな表情をしていたが、ルファディエルは不敵な笑みを浮かべていた。

「わかったら、とっとと失せろ。てめぇらみたいなガキどもを相手してるほど暇じゃねえんだ。だが、これ以上歯向かえば………ガキだろうが容赦なく叩き潰す。いくらあの”風の剣聖”と並ぶ天使の女がいようと、所詮は個人だ。個の力が組織の力に勝てる訳がねぇ。」

「………忠告、ありがたく受け取っておきますよ。―――行こう、みんな。聞き込みはこれで十分だ。」

「ええ……」

「……ですね。

「は~い……」

「「……はい。」」

「ヘッ………茶の一杯くらい出しやがれってんだ。」

そしてロイド達は立ち上がって部屋を去り始めたが

「―――待て。そこの赤毛………」

ランディが最後に部屋を立ち去ろうとした時、呼び止めた。

「………ああ、俺のことか?」

「その赤毛……どこかで見たような………いや………そんな筈は………」

振り返ったランディに見つめられたガルシアは考え込んでいたが

「おいおい、勘弁してくれよ。グラマーな姉ちゃんならともかくオッサンに言い寄られる趣味はねえぞ?」

「………フン、まあいいだろう。目障りだ、とっとと失せろ。」

ランディの話を聞き、鼻をならした後部屋を去るように命令した。

「ハッ………そっちが引き止めたんだろうが。」

そしてランディも部屋を去り、ロイド達と共にビルを出て、見張り達の視線が届かないところまで移動した。



「………参ったな。」

「完全に子供扱いでしたね………」

「フン、気に喰わねぇな………」

ロイド達はルバーチェ商会のビルを見つめてそれぞれ溜息を吐いたり、目を細めてビルを睨んでいた。

「そういえば、ランディ。何か呼び止められてたけどどうしたんだ?」

「………さあな。ただまあ、あの大男、ただのハッタリだけじゃねえぞ。まともにやり合ったら今の俺達じゃ歯が立たねぇだろ。……それこそルファディエル姐さん達全員と力を合わせたぐらいでないと勝てないと思うぜ。」

そしてロイドに尋ねられたランディは答えた後、真剣な表情で忠告し

(おいおい、何を言ってんだよ、ランディ。あの程度の雑魚、あたい一人でも十分だよ。)

「そうか……」

ランディの忠告を聞いたエルンストは呆れ、ロイドは重々しく頷いた。

「それ以前に、まともに相手にされていない感じでしたけど………こちらが何をしたところで痛くも痒くもないというか………」

「ああ、それは俺も感じたよ。議員との繋がりがあるとはいえ、あの余裕は何なんだ………?」

「……………………」

ティオの言葉にロイドが答えて不思議そうな表情で考え込んでいる一方、エリィは複雑そうな表情で黙ってルバーチェ商会のビルを見つめていた。

「エリィ………?」

「なんだ、どうした?」

「あ、うん………何でもないわ。それより、これからどうするの?どうやらルバーチェには何か心当たりがあるみたいだけど。」

「ああ、脅迫状の一件か。うーん、あの若頭の言葉を鵜呑みにするわけじゃないけど………俺は、この件にルバーチェが関係している可能性は低いと思う。」

「えっ………!?」

「でも………脅迫状を見て明らかに反応してましたよね?」

「それなのにどうして関係が低いと言えるのですか?」

ロイドの推測を聞いたエリィは驚き、ティオとエリナは意外そうな表情で尋ねた。



「ああ、間違いなく何かに気付いたんだと思う。」

2人の質問にロイドは頷いた後懐から脅迫状を出し

「恐らく、気付いたのは―――差出人の名前………これに反応したんだと思う。」

(そう………それでいいのよ、ロイド。)

答えを言い、ロイドの話を聞いていたルファディエルは頷いていた。

「”銀”………結局はこいつか。」

「この人物がルバーチェの関係者という可能性は無いかしら?」

ロイドの答えを聞いたランディは目を細め、エリィは疑問に思ったことを口にした。

「いや、関係があるとしたらあの若頭の態度はおかしい。まるで関係が無い事を最初から確信しているような………そんな感じじゃなかったか?」

「あ………」

「なるほど………確かにそんな素振りだったな。」

「天使の血を引く私はある程度人の感情を感じ取れますが………あの時の男からは嘘をついている感じはなかったです。」

そしてロイドに尋ねられたエリィはある事に気付き、ランディとエリナはそれぞれ言った。

「ルバーチェと無関係でありながら彼らが強く意識している存在………そういう人物という事ですか。」

「ああ、そうだと思う。」

「………だとすると………ルバーチェの情報に詳しい人に相談してみた方がよさそうね。法律事務所のイアン先生とか。」

「ああ、そうだな。本当だったらグレイスさんにも相談してみたいところだけど………」

エリィの提案にロイドは頷いた後疲れた表情をした。

「ま、あの姉さんに話したら脅迫状のことまで強引に聞き出してくるだろうな。」

「………アルカンシェルにとっては格好のスキャンダルになりそうですね。」

「………それだけは絶対に避けないといけませんね。」

「そうだね。そのためにリーシャさん、あたし達を頼ってきたんだから。」

「ああ、だから正直、アテにしない方がいいだろう。あとは………他に心当たりがあるなら当たってみよう。もしかしたら思いがけない情報が入ってくるかもしれない。」

そしてランディ、ティオ、セティ、シャマーラの意見に頷いた後提案した。

「ええ、そうね………ふふっ……………」

「ど、どうした?」

自分の提案に頷いた後微笑みを浮かべたエリィに気付いたロイドは戸惑った様子で尋ねたが

「ううん、何でもない。それでは早速聞き込みを始めましょう。どこを回るにせよ法律事務所には行かないとね。」

エリィは答えを言わずに次に行動すべき事を言った。

「ああ、そうだな。」



その後ロイド達は手分けして聞き込みをした後、イアンに話を聞く為に法律事務所に向かった…………


 
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