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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第27話

~深夜・鉱山町マインツ~



「ヒック………ちょいと飲みすぎちまったか。」

誰もいない町中を宿酒場から出て来た鉱員の一人は同じ仕事仲間に酔いながら言った。

「しかし遅くなっちゃったな………町長に早めに帰るよう言われたばかりなのに………」

「あーん?例の魔獣の話かよぉ?けっ、こちとらカジノを我慢して毎日穴掘りばかりやってんだぜ?せめて酒くらい好きなように呑ませろってんだ!」

仕事仲間が呟いた言葉を聞いた鉱員は仕事仲間を睨んだ後、不満そうな表情で叫んだ。

「いつも週末には街に出てカジノに入り浸ってるくせに………それで全部スッてくるんだから店にはいいお得意さまだよなぁ。」

「う、うるせえ。店に貯金してるだけだっつーの。見てろよ~………次はルーレットで大当たりを出して今までの分を取り戻してやるからなぁ!」

仕事仲間に呆れられている鉱員が叫んだその時



グルルルル…………



どこからか何かの唸り声が聞こえて来た。

「んー………」

「あれ、今の………」

唸り声に鉱員たちが首を傾げた後、何かに気付いたその時、黒い狼たちが一瞬で鉱員たちを包囲した!

「ひっ………なんだぁ!?」

「ま、まさか………例の狼!?」

自分達の存在にに驚いて固まっている鉱員たちに狼達は徐々に距離を狭めた。

「よ、よ、寄るなぁ………!」

「た、助けて………女神(エイドス)様………!」

そして鉱員たちが身体を震わせたその時

「―――アンタら。できれば目を塞いでな。」

突然青年の声が聞こえて来た!すると声が聞こえた方向から何かが転がって来た後爆発し、強烈な光を放って狼達を怯ませた!

「ウォン!?」

「バウバウッ………!?」

強烈な光によって目が眩まされ、怯んでいる狼達は戸惑い

「うおっ………なんだ!?」

「い、今のは………」

鉱員達が驚いたその時、物陰に隠れていたロイド達が狼達を包囲した!

「スタングレネードさ。訓練された犬ッコロにも少しは利くんじゃねえか?」

狼達を包囲したランディは得意げな笑みを浮かべて説明した後、怯んでいる狼達を見つめていた。

「あ、あんたら………」

「ひ、昼間の……!?」

「話は後で!宿に避難してください!」

「あ、ああ………!」

「うう、何だってんだ!?」

ロイドの警告を聞いた鉱員達は慌てながら宿酒場に入った。

「グルルル!」

「バウバウ!!」

一方怯んでいた狼達は立ち上がってロイド達を睨んで吠えていた。

「意表はつけたが………かなり手強そうだぜ。」

「よし………このまま撃退するぞ!」

ランディの忠告を聞いたロイドは仲間達に号令をかけた後、戦闘を開始した。

「…………ソーニャ副司令ですか?特務支援課、ルファディエルです。”休暇中”の所、申し訳ありません。実は早急に警備隊に対処して頂きたい事があるのですが………」

一方ロイド達が狼達と戦い始める所を上空で共に待機しているギレゼル達と共に見守っていたルファディエルは口元に笑みを浮かべて自分が持つエニグマで誰かとの通信を始めた。その後ロイドは仲間達と協力して狼達を弱らせた。



「ふう…………かなり手強かったな。」

狼達を弱らせ、地面に蹲った事を確認したロイドは安堵の溜息を吐いた。

「こうして見ると………狼というよりは犬みたいね。」

「やはり訓練された軍用犬でしょうか………?」

「ええ………まず、普通の魔獣ではありえない動きをしていましたし……」

そしてエリィ、ティオ、セティが狼―――軍用犬達を警戒していると

「………グルル………!」

「バウ………!」

軍用犬達は立ち上がった後、ロイド達に背を向けて逃走を始めた。

「あ………!」

「逃げちゃうよ!」

「ちっ………まだ余力があんのかよ!」

軍用犬達の行動を見たティオは声を上げ、シャマーラは忠告し、ランディは舌打ちをした。

「ルファ姉の作戦通りだ!問題ない、このまま追いかけるぞ!逃げて行った先にマフィア達がいるはずだ!」

「ええ………!」

「逃がしません……!」

そしてロイドの言葉にエリィとエリナは頷いた後、仲間達と共に軍用犬達を追って行った!



~マインツ山道~



ロイド達に背を向けて逃走した軍用犬達は山道の端に止めてある黒い運搬車の近くにいるマフィア達に向かって、到着した。

「グルルル!」

「バウバウ!」

軍用犬達は吠えた後、地面に蹲った。

「な、なんだ………?」

「おい、なんでこんな早く戻ってくるんだ?」

「町の人間を襲うように指示を出していたんだが………どうしたお前ら、早すぎるんじゃないか?」

軍用犬達の行動にマフィア達が戸惑っていたその時

「―――そこまでだ。」

武器を構えたロイド達が軍用犬達に追いついた!

「な、なんだ!?」

「お前達は………!?」

ロイド達を見たマフィア達は驚き

「クロスベル警察、特務支援課の者だ。」

「”ルバーチェ商会”の方々ですね。器物損壊、および傷害の容疑であなた方を拘束させてもらいます。」

驚いているマフィア達にロイドが名乗り、エリィがマフィア達を睨んで言った。

「け、警察………!?」

「なんでこんな町に………」

ロイド達の事を知ったマフィア達は戸惑っていたが、すぐにある事に気付いた。

「”特務支援課”………ファビオたちが下手打ったあの………」

「旧市街での仕込みを邪魔したとかいうガキどもか!?」

「ハハ、どうやら名前を覚えられちまったみたいだな。」

「ここは光栄に思っておけばいいんでしょうか………?」

マフィア達の言葉を聞いたランディは口元に笑みを浮かべ、ティオは首を傾げて呟いた。

「チッ………まあいい。警察の跳ねっ返りなんぞ、ここで痛めつければ済むことだ。」

一方マフィアは舌打ちをした後武器を構え

「前に仲間が世話になったようだなァ?おまけにウチの犬どもも可愛がってくれたようだし………」

「丁度いい………ここで礼をさせてもらうぜ。」

ロイド達を睨んで呟いた。

「………抵抗するのか。」

「早めに降参した方が身の為になるよ~?」

睨まれたロイドはマフィア達を睨み返して呟き、シャマーラは不敵な笑みを浮かべて言った。

「クハハ!それはこっちの台詞だぜ!」

2人の言葉を聞いたマフィアの一人は笑い

攻撃準備(ゲットレディ)!」

もう一人のマフィアは軍用犬達に回復薬を投げて、軍用犬達の傷を回復した!

「くっ………」

「チッ………薬で回復させやがったか!?」

それを見たロイドは表情を歪め、ランディは舌打ちをした。

「ククク………これでもプロなんでねぇ。」

「―――行け、仕留めろ(ゴー・アンド・アタック!)こいつらの喉を噛み千切る勢いでやれ!」

「グルル………!」

「ガウ………!」

「来ます………!」

マフィア達の様子や軍用犬への指示を見たセティは警告し

「こちらも手加減無用だ!」

「裁きを受けなさい!」

ロイドとエリナは叫んだ後、仲間達と共に戦闘を開始した!



「みんな、一気に行くぞ!!」

戦闘を開始したロイドは仲間を力強く励まして式を高める号令―――鼓舞で自分や仲間達の闘志を高めた!

「ガウッ!」

「グルッ!」

「バウッ!」

一方軍用犬達は目にも止まらぬ速さで駆け抜けて敵を怯ませるクラフト―――空牙でそれぞれロイド、ランディ、シャマーラに襲い掛かった!

「ぐっ!?」

「うおっ!?」

「ひゃぁっ!?」

軍用犬達の攻撃を受けたロイド達はそれぞれダメージを受けると共に怯ませ

「ククッ!!」

さらに軍用犬達の攻撃の後に放ったマフィアの銃を連射して範囲内の敵を攻撃するクラフト―――クイックショットによってさらに傷ついた!

攻撃準備(ゲットレディ)!」

そして鉈を持ったマフィアの指示によって軍用犬達は構え

「行け(ゴー)!!」

「ガウッ!」

「グルッ!」

「バウッ!」

マフィアのクラフト―――『一閃』による突撃と共に再びクラフト『空牙』でロイド達に襲い掛かったが

「エニグマ起動!エアリアル!!

「チッ!?」

「ガウッ!?」

「グルッ!?」

「バウッ!?」

ティオが放ったアーツによって発生した竜巻を受けて怯み

「やらせません!――――ハアッ!!」

「グッ!?」

「ガウッ!?」

「グルッ!?」

「バウッ!?」

光を纏った槍で空から奇襲するエリナのクラフト――――天翔残光槍によって、さらにダメージを受けた!

「チッ………落ちろ!!」

一方エリナの攻撃によって傷ついて行くマフィア達を見たマフィアは舌打ちをして銃でエリナを撃ち落そうとしたが

「させない!シュート!!」

「クソッ!?」

エリィが放ったクラフト――――3点バーストによって攻撃が妨害された!

「光の精霊よ………彼の者達に慈悲を!癒しの風!!」

そしてセティは治癒魔術でロイド達の傷を回復した。



「サンクス!へっ、コイツはお返しだぜ!ほーらよっ!!」

セティの魔術によって傷が回復したランディは懐から手榴弾をティオのアーツによって足を止められていたマフィア達の中心地に投げ込んだ。すると手榴弾は閃光を走らせて爆発を起こした!

「ガウッ!?」

「グルッ!?」

「バウッ!?」

「グアッ!?クソッ………スタングレネードか………!」

閃光手榴弾を投げて敵の目を眩ませるランディのクラフト―――クラッシュボムを受けた軍用犬達は怯み、マフィアは舌打ちをした。

「チッ、何をしてやがる!!」

怯んでいる様子のマフィア達を見たマフィアは舌打ちをした後銃をロイド達に向けたが

「させません!!」

「そこっ!!」

「グアッ!?」

セティが放ったクラフト―――精密射撃とエリィの銃撃を利き手の肩に受け、銃を地面に落として矢が刺さった肩に銃を持っていた手を当てたその時

「炸裂せよ!イオ=ルーン!!」

「うおおっ!?」

エリナが放った魔術による爆発を受けてダメージを受けると共に吹っ飛ばされた!

「喰らえ―――せいっ、はっ、たぁっ!!」

「行くよ~………暗黒スマッシュ!!」

「はああっ………燃えろっ!!」

一方ロイドはクラフト―――ホーリーラッシュで、シャマーラは暗黒の魔力を大剣に纏わせて叩き付けるクラフト―――暗黒スマッシュで、ランディはクラフト―――ヒートスマッシュで目が眩んで怯んでいる軍用犬達を順番に連携して攻撃していた。

「この………調子に乗るなよっ!!」

そしてスタングレネードによる閃光によって眩んでいた状態の目が回復した鉈を持ったマフィアはロイド達に攻撃を仕掛けようとしたが

「霧よ………愚者達の理性を奪え!幻惑の霧!!」

「グアアアアッ!?」

ティオが放った魔術―――幻惑の霧を受けて苦しんだ後

「………………」

「グアッ!?テメェ、何をしやがる!?」

正気を失った目で銃を持ったマフィアにクラフト―――『一閃』を放ってダメージを与えた!

「ふふっ♪混乱しちゃえ~♪」

「グッ!?………………」

さらに銃を持ったマフィアはシャマーラが放った魔術―――誘惑の微笑みによって混乱し、同士討ちを始めた!

「そこだっ!だぁあああっ!」

同士討ちしているマフィア達を見たロイドは全身に光の魔力を纏って、光の衝撃波と共にトンファーで怒涛の攻撃を行い

「タイガー……ハウル!!」

怒涛の攻撃の後に全身に纏った光の魔力を解放した!すると白き虎の頭が咆哮を上げながらロイドの全身から上空へと上がって行った!

「「グアアアアアッ!?」」

ロイドが放った光の魔力を全身に纏って突撃し、全身に纏った魔力を解放する白虎の咆哮――――タイガーハウルによって全身に強い衝撃を受けたマフィア達は正気に戻ると共に戦闘不能になり、地面に膝をついた!

「行くぜ~………おらっ!!」

「「「ギャンッ!?」」」

一方ランディはクラフト―――大切斬で再び軍用犬達を怯ませ

「落ちろ!落雷!!」

「雷の精霊よ、力を!轟雷!!」

「「「グギャアアアアアアアア――――――ッ!?」」」

さらにエリィとセティが放った2種類の異なる雷を受け、悲鳴を上げた後、戦闘不能になったのか、地面に伏せて動かなくなった!



「はあはあ…………」

「2連戦はさ、さすがに厳しかったわね……」

「まさかあんな風に犬を操るなんて………」

「フン……なかなかの練度じゃねえか。」

戦闘が終了するとロイドとエリィは息を切らせ、ティオは考え込みながら呟き、ランディはランディは目を細めてマフィア達を睨み

「ば、馬鹿な……」

「くっ………こんなガキどもに………!」

マフィア達は悔しそうな表情で呟き

「へへーんだ!あたし達の力、思い知った?」

「………調子に乗り過ぎです、シャマーラ。まだ戦いは終わっていないのですよ?」

「…………………」

シャマーラは得意げな笑みを浮かべ、エリナはシャマーラに忠告し、セティは周囲を警戒していた。

「――――これ以上の抵抗は無駄だ。あんたたちの身柄は今夜中にすぐに警備隊に引き渡す。」

「大人しくしていれば、痛い目には合わせません。抵抗は諦めて、大人しく拘束されて下さい。」

「ま、警備隊が来るまで待っときなよ。俺達が責任をもって見張っといてやるからよ。」

そしてロイドとセティは忠告し、ランディは口元に笑みを浮かべて言った。

「ククク………」

「ハハハ………」

一方マフィア達は不敵な笑みを浮かべて笑った後、すぐに立ち直って運搬車の近くまで下がった。

「待て………!」

「ハッ、行かせるかよ!」

「クク、勘違いするな。」

「こうなったら手段は選ばねぇってだけだ!」

ロイドとランディの言葉を聞いたマフィア達はロイド達を睨んだ後、運搬車の後ろのドアを開けた。すると十数匹の軍用犬達が次々と現れ、ロイド達を包囲し、さらに地面に伏せていた軍用犬達も立ち上がった!

「っ!」

「………ルファディエルさんの読み通り、まだいたわね………!」

軍用犬達に包囲された事にティオは驚き、エリィは真剣な表情で言った。

「20匹か……こんなに連れていたとはな。」

ランディは軍用犬達の数を数えた後厳しい表情をした。

「ククク………形成逆転だなぁ………?」

「俺達をコケにしてくれた礼だ………せいぜい時間をかけてなぶり殺しにしてやるよ………」

そしてマフィア達は凶悪な笑みを浮かべてロイド達を見つめていた。

「―――ロイドさん。そろそろいいのでは?」

一方ティオは落ち着いた様子でロイドに呼びかけ

「ああ、そうだな――――」

呼びかけられたロイドが頷いたその時



ウオ―――――――――ン!!



辺りを響き渡らせるほどの遠吠えが聞こえて来た!

「なっ………」

「なんだ………!?」

遠吠えを聞いたロイド達とマフィア達、両方とも驚いたその時、段差の上に10匹の茶色の狼達がロイドやマフィア達を見下ろし、さらにその上の段差に白い狼がいた!

「グルルルルル………」

白い狼は唸った後



ウオ―――――――――ン!!



茶色の狼達と共に再び遠吠えをした!すると軍用犬達は全て、地面に伏せて震えていた!

「あ、あれは……!」

「あの時の白い狼………!」

「はは………仲間を連れて見参ってわけか。」

「ええ………どうやらそのようですね。今までの濡れ衣を晴らしに来たようですね。」

白い狼達を見たティオとエリィは驚き、ランディとセティは笑っていた。

「お、お前ら………!何を怯えてやがる!?」

「数じゃ、こちらが上だろうが!尻尾を丸めてんじゃねえ!」

一方マフィア達が慌てた様子で軍用犬達に叱咤したその時!

「フフ、本物と偽物の差と言った所ね。」

なんと、上空からルファディエルの声が聞こえて来た。すると!

「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」

上空からから放ったルファディエルの光の魔力弾が雨のように降り注いで、軍用犬達を襲い

「あっはははっ!雑魚はさっさと死になぁっ!カラミティレイン!!」

エルンストの笑い声が聞こえて来た後、無数の短剣が上空より雨のように降り注いで、軍用犬達の半数を一瞬で身体を短剣だらけにして、地面に大量の血を飛び散らせた後絶命させ

「かかかっ!闇に呑まれちないなっ!ティルワンの闇界!!」

ギレゼルの声が聞こえて来た後、突如現れた闇が9匹の軍用犬達を覆って、軍用犬達を苦しめ

「終わりだ。――――斬!!」

空より急降下して来たメヒーシャがクラフト―――雷光撃を放って、ギレゼルによって弱らせられた軍用犬達の身体を真っ二つに斬って、絶命させた!ルファディエル達の奇襲により、軍用犬は地面に伏せている一匹だけを除いて、全て絶命させられた!

「オォォォォォ………!マックス・エクステンション!!」

さらに上空で両手に闘気の球体を溜めていたラグタスは巨大な闘気の球体を運搬車目掛けて放ち、運搬車に爆発を起こして木端微塵にした!

「グアアアアアッ!?」

「グッ……い、一体何が………!?」

運搬車の爆発に巻き込まれ、吹っ飛ばされたマフィア達が驚いたその時、上空からルファディエル達がロイド達の背後に降り立った。

「ロイド、ソーニャ副司令には既に連絡済よ。」

「わかった、俺達の代わりに連絡をしてくれてありがとう。………今度こそ終わりだ。器物損壊と傷害容疑、および公務執行妨害であんたたちを逮捕する――――」

ルファディエルの言葉に頷いたロイドマフィア達に宣言した後、仲間達と共にマフィア達を拘束し始めた。そしてその様子を数匹の狼達と共に見守っていた白い狼は軽く吠えて、狼達を下がらせた後、数歩歩いて一端止まり

「………………………」

ある方向をじっと見つめた後去って行った…………


 
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