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Blue Rose

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第十五話 変わる為にその六

「ちなみに二人共蝶々夫人にも出てたよ」
「舞台で歌ってたんだな」
「うん、どちらもね」
「そうなんだな、じゃあ今から聴くな」
「じっくりと聴いてね」 
 優花は優しい笑顔で龍馬に応えた、そして龍馬はフレーニのある晴れた日を聴いた。そして聴き終えてから優花に言った。
「御前の言う通りだな」
「いい曲だよね」
「ああ、耳いや心に残るな」
「そうした曲だよね」
「本当にな」
「この曲本当にいいんだ」
 優花は龍馬に優しい笑顔でさらに話した。
「プッチーニの音楽自体がそうでね」
「プッチーニか」
「うん、蝶々夫人もいいし」
「他の作品もなんだな」
「ラ=ボエームなんてね」
 この作品についてもだ、優花は龍馬に話した。
「凄くいいんだ」
「そんなにか」
「音楽もストーリーもキャラクターも」
 その全てがというのだ。
「泣いてしまう位にね」
「泣くのか」
「悲しい結末だし」
「そんなにか」
「うん、蝶々さんもそうだけれど」
「そのラ=ボエームもなんだな」
「そうだよ、けれど凄く奇麗な結末で」
 悲しみに満ちた結末だ、しかしどの作品もそれ故にかこれ以上はないまでに美しい奇跡の様なそれになっているのだ。
「観て後悔しないよ」
「そうか、じゃあ今度な」
「観てみる?」
「そうしてみるか、オペラも」
「いいと思うよ、プッチーニの作品は二時間位で観やすいし」
「大体映画と同じだな」
「うん、CDで二枚だよ」
 それ位の長さだというのだ。
「ワーグナーに比べるとずっと観やすいよ」
「ワーグナーっていうとヒトラーが好きだったな」
「ルートヴィヒ二世も好きだったよ」
 狂王と呼ばれた悲劇のバイエルン王だ、だがその実は狂王ではなく繊細でかつ芸術を愛した王であったのではないだろうか。
「あの人もね」
「ワーグナーの作品は確か」
「指輪あるよね」
「ニーベルングの指輪か」
「この作品は全四部作、十五時間あるんだ」
「凄いな」
「だからおいそれとは観られないよ」
 そうした作品だとだ、優花は龍馬に話した。
「あの人の作品はね」
「十五時間か」
「凄いよね」
「よくそんなの作曲したな」
 龍馬は驚きを隠せなかった、優花のその話を聞いて。
「十五時間なんてな」
「ワーグナーは自分の作品の脚本も全部書いてたよ」
「じゃあ脚本もか」
「うん、十五時間分ね」
「書いたのか」
「そうなんだ、他の作品も長いんだ」
 優花は龍馬にワーグナーの他の作品についても話した。
「ニュルんベルグのマイスタージンガーとか四時間半はたっぷりあるし」
「四時間半か、凄いな」
「映画でこんな長い作品滅多にないよね」
「ないな」
 首を傾げさせてだ、龍馬は答えた。 
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