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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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異伝~姫神と風の剣聖の戦い~

エステル達がクロスベル支部に着任し、アリオスを含めた遊撃士達と自己紹介をし合ったエステル達はサポーターであるフェミリンスに戦闘能力のテストが必要であることをミシェルに言われた。



~数日前・遊撃士協会・クロスベル支部~



「テスト!?フェミリンスに戦闘能力の?」

「何で??」

「彼女の実力については他の支部から報告がいっているはずですが………」

ミシェルの話を聞いたエステルは目を丸くし、ミントは首を傾げ、ヨシュアは不思議そうな表情でミシェルを見つめた。

「勿論聞いているわ。………でも、ここクロスベルだと話は別。ちょっと戦える程度の実力だといざという時に自分の身も守れないわ。………要するに本当に貴女達の足を引っ張らない実力を持っているかどうか、この目で確かめたいの。」

「……………………」

「いやまあ、確かにそれはそうなんですが………」

ミシェルの説明を聞いたヨシュアは冷や汗をかきながら黙り込んでいるフェミリンスに視線を向け

「ア、アハハ………」

ミントは苦笑しながらフェミリンスを見つめた。

「………要は力を示せばいいのですね?それで?相手はどなたがするのですか。」

一方フェミリンスを静かな表情で呟いた後、アリオス達を見回して呟き

「そうね………エオリア。相手をしてあげてもいいかしら?」

フェミリンスの言葉を聞いて考え込んだミシェルは女性遊撃士の一人―――エオリアに視線を向け

「ええ、いいわよ。」

視線を向けられたエオリアは頷いたが

「ダメダメダメダメ―――――――ッ!!エオリアさんの実力じゃ、すぐにフェミリンスにボロボロにされちゃうわ!」

エステルが慌てた様子で大声で叫んだ。

「………エステル?それは私を侮辱しているのかしら………?」

「さすがに今のは聞き捨てならないね、エステル。エオリアの実力はあたしも知っている。相棒である彼女を侮辱する事はあたしも許さないよ……?」

エステルの言葉を聞いたエオリアは静かな怒りを纏ってエステルを睨み、武闘家の姿をした女性遊撃士―――リンもエオリアと共にエステルを睨んだ。

「2人とも、フェミリンスの実力を知らないからそう言えるんだって!………………ねえ、ミシェルさん。フェミリンス、どうしても実力を示す必要があるの?」

2人に睨まれたエステルは疲れた表情で溜息を吐いた後、ミシェルに尋ねた。

「どうしてもね。なんなら貴女達が指名してもいいわよ?」

「わかったわ…………じゃあ、アリオスさん、申し訳ないけどフェミリンスの相手をしてもらってもいい?」

ミシェルの答えを聞いたエステルは溜息を吐いた後、アリオスに視線を向け

「おい、エステル。その女性、そんなに強いのか?」

「………アリオスさんと戦うなんて、無謀としか言いようがないぞ。それこそ彼の相手ができるのはお前の父親ぐらいだと思うが。」

エステルの言葉を聞いた男性の遊撃士の一人―――スコットはフェミリンスに視線を向け、もう一人の男性の遊撃士―――ヴェンツェルは冷静な表情でエステルに言った。

「アリオス、アナタはどうする?」

「………構わん。それにエステルがそこまで評価するほどの人物の強さは気になっていたしな……」

「決まりね。じゃあ、街道に行きましょう。」

そしてエステル達は近くの街道に向かった。



~東クロスベル街道~



「それじゃ、2人とも準備はできたかしら?」

街道にエステル達と共に来たミシェルは対峙しているフェミリンスとアリオスに尋ね

「問題ありませんわ。」

「ああ。」

尋ねられた2人はそれぞれ頷いた。

「それじゃ、模擬戦開始!」

そしてミシェルの号令の元、2人は戦闘を開始した。



「弐の型―――疾風!!」

戦闘を開始したアリオスは先制攻撃に剣技―――疾風でフェミリンスに強襲した!

「……………」

「っ!?」

しかしフェミリンスはアリオスの動きを見切っていたのか、槍でアリオスの攻撃を受け流し

「ハアッ!!」

クラフト――――闘聖の薙ぎ払いを放った!

「!!」

攻撃に気付いたアリオスは大きく後ろに跳躍して回避し

「ハァッ!洸破斬!!」

巨大な衝撃波をフェミリンスに放った!

「その程度!」

しかしフェミリンスはクラフト――――ハイロウスピンでアリオスが放った衝撃波を呑みこむと共に攻撃した!

「!………風よ、我が力となれ!!」

自分が放った攻撃をも呑みこんだ衝撃波に驚いたアリオスだったが、すぐに回避してクラフト――――軽功を使って自分自身の身体能力を上げ

「オォォォ……ハアッ!!」

静かなる気を纏わせた剣で斬り落とすクラフト―――大雪斬でフェミリンスに強襲した!

「セイッ!!」

アリオスの攻撃を見たフェミリンスはクラフト―――闘聖の滅燐撃による強烈な一撃を対抗した!すると

「なっ!?」

フェミリンスの一撃がアリオスの一撃を上回り、アリオスは驚きながら吹っ飛ばされ、受け身を取ったが

「耐えられるかしら!」

「グッ………!?」

フェミリンスが片手で放った魔術――――嵐光弾による無数の魔力弾をその身に受け、怯んだ!その隙を狙ったフェミリンスは一瞬でアリオスに詰め寄り



「フッ、ハッ、ヤッ、まだっ、止め!!」

クラフト――――五連聖印突で攻撃し

「………!」

攻撃をされたアリオスはフェミリンスの連続攻撃を全て武器で受け流し、反撃の隙を狙い

「そこだっ!!」

5連続攻撃が終わった際にできたフェミリンスの隙を見つけて、武器を振るった!

「無駄です!」

「何っ!?」

しかしアリオスが武器を振るった瞬間、隙ができたはずのフェミリンスはすぐにアリオスの攻撃に対処する為に槍で防御し、防御されたアリオスは驚き

「吹き飛びなさい!!」

「グアッ!?」

フェミリンスが槍全体からクラフト――――ハイロウスピンによる衝撃波を受け、ダメージを受けると共に吹き飛ばされた!

「光よ!聖なる炎と共に我が仇名す者達を滅せよ!贖罪の聖炎!!」

「ガアアアアアアアアア―――――――ッ!?」

さらに追撃するように片手で放ったフェミリンスの光の炎に焼かれ、悲鳴を上げた!そしてフェミリンスはたたみかけるようにもう片方の手に溜めこんだ魔力を解き放った!

「超越せし純粋よ、今ここに集い、我が仇名す愚か者達に滅びの鐘を奏でよっ!!ルン=アウエラ!!」

「グッ!?」

フェミリンスが放った膨大な純粋の魔力による大爆発はアリオスからある程度の距離が離れた所で起こったが、余波はあまりにもすざましく、距離が離れているはずのアリオスを吹っ飛ばした!そしてフェミリンスが放った魔術の中心地にはクレーターが出来ていた!



「ちょ、ちょっと、ちょっと!何よあの威力………!戦闘用の飛行艇の導力砲より威力があるんじゃないの!?」

2人の戦いを見ていたミシェルは信じられない表情でフェミリンスが放った魔術によってできたクレーターを見つめ

「そ、それにあのアリオスさんが一方的にやられるなんて………!」

「嘘だろう………!?」

「正直、信じられませんわ………!」

「………何者なんだ、彼女は。」

リン、スコット、エオリア、ヴェンツェルは信じられない表情でアリオスやフェミリンスを見つめ

「ア、アハハ………やっぱりこうなったよね………」

「………いくらアリオスさんでも彼女を相手にするには分が悪すぎるよ…………セリカさん達と一緒に戦ってようやく勝てた相手なんだから…………」

ミントは引きつった笑みで冷や汗をかきながら呟き、ヨシュアは疲れた表情で溜息を吐き

「こら―――――ッ!ちょっとは手加減しなさい!!アリオスさんを殺す気!?」

エステルはフェミリンスを睨んで怒鳴った!

「フウ………言っておきますが、これでも”かなり”手加減しているのですよ?」

エステルに怒鳴られたフェミリンスは溜息を吐いた後エステル達に視線を向けて言った。

「なっ!?」

「ア、アリオス相手に一方的に戦っていて、て、手加減って…………」

「………一体どれほどの実力を秘めているんだ………?」

フェミリンスの言葉を聞いたリンは驚き、ミシェルは口をパクパクさせ、ヴェンツェルは目を見開いてフェミリンスを見つめていた。

「……それで?まだ続けますか。貴方如きの腕では私に敵わない事は今の戦いで理解したと思いますが。」

そしてフェミリンスは刀を支えに身体を震わせながら立ち上がったアリオスに視線を向けて静かに尋ね

「………ああ。だが……”八葉一刀流”の剣士として無様な敗北は許されん………せめて一太刀は浴びてもらうぞ………!」

尋ねられたアリオスは静かに答えた後

「受けてみよっ!滅びの太刀!!ハアアアアアアアア――――――ッ!!」

満身創痍の状態でありながらも全身にすざましい闘気を纏って跳躍した!

「……………………」

一方アリオスの行動を見たフェミリンスは槍で迎撃の構えをした。

「絶!黒皇剣!!」

闘牙を纏ったアリオスはフェミリンスに向かってすざましい闘気と風を纏わせた剣で突進した!

「終わりです――――闘聖の滅燐撃!!」

対するフェミリンスは静かに呟いた後、すざましい光の魔力を纏った槍で突きを放った!2人の武器が重なった時、光の大爆発が起こった!そして爆発の煙が晴れるとそこには!

「グッ……………これほどまでに……………力の差がある…………とは………」

全身ボロボロのアリオスが無念そうな表情で呟き、地面に倒れ

「フウ………時間の無駄でしたわ。」

傷一つついていないフェミリンスは溜息を吐いた後、武器を仕舞った。



「エオリア!アリオスの傷の治療を!」

そしてその様子を見たミシェルは慌てた様子でエオリアに指示をし

「は、はいっ!アリオスさん!大丈夫ですか!?」

指示をされたエオリアは弾かれたように走り出し、アリオスの治療を始め、ミシェル達も走ってアリオス達に近づいた。

「これで私がエステル達のサポートをする事に文句はありませんわね?」

「え、ええ………」

フェミリンスに確認されたミシェルは戸惑った様子で答え

「ハア………やっぱりこうなったわね………」

「ハハ………さすがだね。」

「えっと………す、凄いね、フェミリンスさん!」

エステルは溜息を吐き、ヨシュアとミントは苦笑しながらフェミリンスを見つめて言った。

「”この程度”の相手、口ほどにもありませんでしたわ。」

一方見つめられたフェミリンスは静かな様子を纏って呟き

「アリオスを”この程度”扱いって、アナタ一体何者よ………アナタほどの実力の人がウチの情報網に引っかかっていないなんてありえないわ。」

ミシェルは疲れた表情で溜息を吐いた後、真剣な表情でフェミリンスを見つめていたが

「………私の出身はレスペ――――いえ、メンフィル帝国です。これで満足ですか?」

「あー、異世界の人ね………それならしょうがないか………というか異世界出身の人達ってアナタや”覇王”達みたいに反則的な強さを持つ人達ばかりなのかしら?」

フェミリンスの答えを聞いて納得した後、疲れた表情で呟いた。

(フェミリンスの場合は色々と特殊すぎるんだけどね………)

(ア、アハハ………)

一方ヨシュアは疲れた表情で溜息を吐き、ミントは苦笑していた。



「………アリオスさんを弱者扱いだなんて、さすがに聞き捨てならないね。」

「ああ………アリオスさんはクロスベルの希望と言ってもいい人なんだぞ………?」

そしてフェミリンスのある言葉を聞いたリンとスコットは怒りの表情で睨んだが

「………2人共止めろ。彼女の実力はアリオスさんと比べものにならない事は今の戦いでわかっただろう?………それに彼女に戦いを挑んだのは俺達の方だし、彼女は今日から俺達の仲間だ。こんな心強い仲間にそんな態度はないだろう。」

「「………………」」

ヴェンツェルの制止の言葉を聞き、複雑そうな表情で黙り込んだ。

「…………一つ忠告しておきましょう。その人間と剣を交えてわかりましたが、その人間の剣は”人”が本来持っていた”絆”を捨て、修羅と外道に成り果てた邪剣。そのような者の剣が私に届くはずがありません。………何故、このような者が遊撃士という民を守る職につけているのか理解できませんわ。――――大いなる癒しの風!!」

そしてフェミリンスはミシェル達を見回した後、エオリアに治療されているアリオスに視線を向けて不愉快そうな表情で呟いた後、治癒魔術をアリオスに放った!すると

「う、嘘………!?あれだけ酷かった傷が一瞬で………!」

満身創痍のアリオスの傷は一瞬で完治し、アリオスを治療していたエオリアは信じられない表情をした。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!?何でアリオスさんをそんな風に言うのよ!?」

一方フェミリンスの言葉を聞いたエステルは真剣な表情でフェミリンスを睨んで言ったが

「………その人間からは”かつての私”によく似た気配を感じました。エステル。”かつての私”を救った貴女ならこの意味、わかるでしょう?」

「!!う、嘘………!?」

「そ、そんな………」

「…………………」

フェミリンスの答えを聞き、エステルとミントは信じられない表情をし、ヨシュアは真剣な表情で気絶しているアリオスを見つめていた。

「……それでも………それでもあたしはアリオスさんを信じるわ!みんなの為に頑張っているアリオスさんがそんな悪い人だなんて、思えないもの!それにもし本当に貴女が言うような事をしていても、何か理由があるはずよ!」

そしてエステルは真剣な表情でフェミリンスを見つめて言った後、笑顔を見せた。

「フフ………貴女はそれでよいのです。貴女の信頼を裏切り、傷つけようとする者から守るのが私と貴女を守る貴女の”友”達の役目。――――行きますよ。」

エステルの笑顔を見たフェミリンスは微笑んだ後、ミシェル達に背を向けてクロスベル市に向かい

「あ、ちょっと待ちなさいよ~!」

「皆さん、僕達は先に戻って仕事を始めておきますね。」

「えっと………フェミリンスさんにも何か考えがあって、あんな事言ったんだと思います。だからフェミリンスさんの事、誤解しないで下さいね!………失礼しまーす!」

エステルがフェミリンスを追いかけ、ヨシュアとミントはミシェルに頭を下げた後、フェミリンスとエステルの後を追った。



「………彼女、本当に何者よ………見た目は人間だけど、アタシ達とは”何か”が”違う”って感じ取れたわ………」

フェミリンス達が去った後ミシェルは呆然とした表情で呟いたその時

「グッ……」

気絶していたアリオスが目を覚まし

「!アリオスさん!」

「大丈夫ですか!?」

その事に気付いたエオリアとリンはアリオスに呼びかけた。

「ああ…………エステル達はどこに行ったんだ?」

「彼女達なら先に戻って、仕事を始めていると思うわ。それとあのフェミリンスって人、アナタに対して意味不明な事を言っていたわよ?」

「?どういう事だ?」

そしてミシェル達は起き上がって立ち上がったアリオスにフェミリンスが去り際に残した言葉を伝えた。

「………………………………」

フェミリンスが去り際に残した言葉を聞いたアリオスは目を伏せて黙り込み

「………まさかとは思うけど、思い当たる事があるの?」

その様子を見ていたミシェルは真剣な表情で尋ねたが

「いや………まだまだ精進が必要だと思っただけだ。俺も戻らせて仕事に入らせてもらう。」

目を見開いたアリオスは呟いた後、クロスベル市に向かって歩き出した後、ミシェル達からある程度距離を離れると一旦立ち止まり

(”絆”を捨て、修羅と外道に成り果てた邪剣か……………まるで全て見てきたかのような物言いだな……………ルファディエル、フェミリンス、エステル………そしてロイド。恐らくお前達が俺にとって最大の障害になるであろうな…………俺の前に立ちはだかったその時は………例え我が剣が邪剣であろうと貫かせてもらう………)



静かな表情で考え込んだ後真剣な表情になり、そして再びクロスベル市に向かって歩き出した……………




 
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