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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  とある魔術の禁書目録 ~とある「欠片」の聖人模倣~

「ふ―――っと!!!!」


蒔風が病室から飛び出し、アックア・レプリカに飛びかかる。
その漆黒の体躯をうならせて、巨大な|棍棒(メイス)を蒔風に振るった。

対し、空中で背の三本剣を握り流れる動作で獅子天麟に組み上げる蒔風。

「おおおおぁ!獅子天麟っと!!!」


バッ、ガギョ!!!

蒔風が、自身を仕留めようと振り下ろされたメイスに対して獅子天麟で受けるが、弾き飛ばされ別のビルの屋上に着地する。
そこに更に叩きつけられるメイス。

追撃が止まらない。


ビルからビルに飛び移り、体勢を立て直す蒔風。
次第に交互に飛び交いながら打ちあっていく。


(何て野郎だよアックアってのは!!一番重量のある獅子天麟がビリビリ言ってんぞ!?)


それもそのはず。

「後方のアックア」はこの世界では「聖人」と呼ばれる人間である。

聖人とは、「神の子」と身体的特徴が似通った人間のことで、ゆえに莫大な力をもった者のことである。
さらにアックアは「神の子」だけではなく「聖母」とも身体的特徴が似ている。

つまりは、「神の右席」で「聖人」で「聖母」なのが後方のアックアという人物なのだ。

レプリカとはいえ、その力に落ち度はない。
「奴」の力はそんなに荒くはない。




ガバァン!!ドギャ!!ゴガゴン!!!



ビルとビルとを跳ねまわりながら打ち合い、飛んでもない音を立てて移動していく二つの影。

地上の人間が何事かと上を見上げる頃にはそこにあった二つの影はない。
猛スピードで動いていく二人。


蒔風がビルに着地と同時にまた跳躍する。
何度目になるかわからないアックア・レプリカとの衝突。

しかし、到底届かないであろう位置から、アックア・レプリカはメイスを振るってきた。
すると、これから打ち合う体制に移行しようとしていた蒔風に、暴風が襲いかかった。
暴風といっても、それだけでは言いきれまい

突風 暴風 轟風 烈風
それらあらゆる風がまじりあい、風であるにもかかわらず、何かが激突したように蒔風を物理的に叩いたのだ。

その衝撃を、蒔風は顔面でしか受けることができなかった。


空中でのけ反り、体勢を崩す。
そこにアックア・レプリカが二撃目を、今度は直撃コースで振るってきた。




「だああああああ!!っそい!!」


それを蒔風は仰け反ったまま一回転して獅子天麟で真っ向から受け止めてしまった。
再三の激突に両手は痺れており、さらには無理な体勢から受けてしまっては、蒔風の両手は獅子天麟を握っていることができなくなる。


街のどこかに獅子天麟が落ちていく。


落としてはしまったが、取りに行くこともできない。
手元に再び戻すには、いったん落ち着いてからじゃないと無理だ。


しかしそのおかげで直撃は免れ、ふたたび無事に屋上に着地することができた。
蒔風は飛び上がらず、その場でアックア・レプリカに向け力を放つ。


「燃え上がれぇ!!獄炎砲、獄炎尖、獄炎掌、獄炎砲、獄炎竜、獄炎掌ぉ、おおおおおおぉぉおお!!!」


蒔風がアックア・レプリカに向かって獄炎コンボを放ちまくる。
しかし相手の元は後方のアックア。それだけでは潰されない。

空中でメイスを振るう反動を使って、上下左右に移動しかわしていき、時にはメイスで砕いた。
だが蒔風の本命かここからだ。


「獄!!炎!!!弾!!!!」


ゴォ!!!

蒔風の胸前にエネルギーがたまり、それを標的に力のかぎり投げつける。


そして着弾。獄炎弾が爆発を起こす。
蒔風の能力で最高峰の一つを放ったのだ。無事であるわけがない。

そんなはずはないのだ。
――――だが

「だけど・・・まだ生きてんのかお前!?」


グバッ!!と獄炎の膨張した巨大火球から、アックア・レプリカが飛び出てきた。
そして一瞬で姿を消し、気付くとその姿は蒔風の背後に。

「やば」

蒔風の言葉が途切れる。
口から洩れる音が彼の耳に届くよりも早く、アックア・レプリカは蒔風の襟を掴んで大きく振りかぶって大地に向かって投げつけたのだ。


空気の壁を一つ破り、猛スピードで落下した蒔風は、頭をフルフルと左右に振って立ち上がる。
頭を抑えた掌を見ると、小さいが赤い液体がこびりつく。


いくら翼人とは言っても、いきなり音速を超えて投げつけられれば出血だってするだろう。

(くっそ・・・高速移動なんてオレにはできねぇぞ!?ッ!?)

ドゴン!!


歯ぎしりし、焦りを見せ始める蒔風。
すると、アックア・レプリカが蒔風の立つ位置に、彼を踏み砕こうと飛び降りてきた。

どうやらここは開発途中か、それともこれから開発する区域らしい。

周りに建物は一応あるが、誰かがいる気配はない。
しかし、ちょっとでも離れれば市街地だ。

「まだまだ気は抜けない・・・か・・・龍虎雀武!!解放形態!!」


蒔風が龍虎雀武を開放して組み立てる。
とはいっても、朱雀槍の先端が青龍刀になっていて、柄の部分に「白虎」「玄武」の文字が彫られただけのものだが。



「朱雀青龍刀!!四獣を宿したこの武器相手に、力技じゃあ・・・勝てないぞっ!」


ダッ!!


蒔風が駆ける。
アックア・レプリカの足元から上段にかけて朱雀青龍刀を振り上げる。

それを当然のようにかわし、アックア・レプリカはメイスを横なぎに振るう。

そして、蒔風がそれを武器で受け

バァアン!!という、銅鑼を鳴らしたような音が響き、蒔風が地面を滑って後退した。


「よっし!!これでいけるか?!!!」

蒔風の握る武器の形が変わっていた。
先端が青龍刀であったのが、円盤状でふちが刃になっているものとなっていたのだ。

「朱雀玄武盤。ちと音大きいし、後ろに飛ばされちまうけど、まあ何とか・・・・」


ゴゴゥ!!!
ブシッ!!


「なるかな?」

蒔風が得物を振るうと、アックア・レプリカの脇腹辺りが裂けていた。

「変幻自在の武器、攻防。とくとご覧にあげましょう!!!」


ゴダゥッ!というメイスを横薙ぎに振るう音と、アックア・レプリカの足の裏から響く踏み込みの音が同時に聞こえた。
蒔風はそれを柄の部分で一瞬だけ受け、その地点を軸にくるりとメイスを乗り越えアックア・レプリカの頭上に。


「朱雀白虎棍!!」


そしてそのまま、今度は槍の両端に白虎釵を取りつけた形として、アックア・レプリカの手首に突き刺す。
アックア・レプリカはそんなものは関係ないと腕を振るおうとした。


が、しかし、その腕は動かない。
アックア・レプリカに突きささっている方の白虎釵は、蒔風の持つ槍の先端からはずれていた。

そしてそれがまるで空中に固定されたかのように動かないのだ。



「説明してもわかんないかもしれないけどな。この両端についてる白虎釵は、この状態からなら取り外すことで空中に固定できるんだよ。ま、引き抜かれちゃ終わりだが、その一瞬で十分だ!!」


ドスっ!!


もう一方の先端をアックア・レプリカに突きさす蒔風。
突き刺した白虎釵をそのまま残し、取り外す。

朱雀青龍刀に変え、アックア・レプリカの腕を切り落とし、メイスを落とさせる。
青龍刀を白虎釵のように突き刺し、離し、今度は朱雀玄武盤にする。

それを脳天からざっくりと切りつけてめり込ませ、蒔風が号令をかける。



「よぉ~~し。暴れろてめぇら!!」



ドッ、グバァ!!!!



その突き刺した所から、体内に向かって四神が飛び出した。
体内から引き裂かれ、アックア・レプリカが無残に散る。


「欠片も残さん!!!」


風林火山をブォンブォン回転させ、細かく散った欠片をも消し炭にして消滅させる。



「これで終わりだな。上条~~~。見てるん?今戻るよ~~ん」

パチン、と指を鳴らしてテレビとのリンクを切る。
帰るか、戸踵を返し、しかし飛び回って来たから帰り道わかるかなぁ、と腕を組んでしまったところで

しかし



蒔風のズボンの裾が、突如として現れた鉄矢によって地面に縫いつけられ、歩みが止まる。
さらにそこに二人の少女が突如として現れた。


小柄なツインテールの方が右腕の腕章を掴み、こう叫んだ。

風紀委員(ジャッジメント)ですの!!放火能力(パイロキネシス)の乱用と、市街地での戦闘容疑で拘束します!!」


そういった少女、白井黒子は蒔風の前に立つ。
戦いはまだ終わらないようだ。




to be continued
 
 

 
後書き
アリス「今回また新しい武器出ましたね?」

解放状態での龍虎雀武の組み合わせですね。
まあ、朱雀槍の先端が変わっていくだけですけど。

各組み合わせはこのように

青龍→先端が青龍刀になる。薙刀?青龍偃月刀?みたいな。
玄武→先端が円盤のふちに刃がついた物になる、防御に優れる。━━━○こんな感じ
白虎→両端に白虎釵がつく。振っている途中でも切り離し、空中に固定することのできるトリッキーなもの。←━━━→みたいな感じ。

ですね



アリス
「最後に白井さんが出てましたね」

まああんだけ暴れればそりゃ来るでしょう。




アリス
「次回、VS常盤台コンビ!!」

この世界戦ってばっかかも・・・
ではまた次回








いい加減に始めようぜ、魔術師!!! 
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