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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第22話 いざ!合宿へ! 1日目






2時間の移動を終え、やっと真姫の別荘近くの駅へ到着

目の前には綺麗な海が広がっていて、既に海水浴をしている人達がちらほら見受けられる
磯の匂いが漂い、俺はお馴染みの雄叫びをする

「海だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

うん、すっきり。やっぱりここに来たらこれをしなくちゃな

「あ〜!大くんに言われた〜!穂乃果が先に言いたかったのにー」

「大地くんずるいにゃ!」

俺が先に叫んだ為、穂乃果と凛に文句を言われる

「穂乃果ちゃんと凛ちゃんに思考が似てる大地くんって.....」

「ことり、それは仕方ないことです。相手は大地ですから.....」

2人は頭を抱える

「ほらバカやってないでさっさと行くわよ、穂乃果、凛、大地」

「にこ先輩も一緒に青春しよ〜ぜ!」

「するわけないでしょ!それににこ《先輩》じゃなくてにこにー。わかった?」

そうか...《先輩》って付けちゃいけないんだっけ。失敬失敬

「わかったよ、《にこにー》」

「なんかあんたに言われるとムカつくわね......」

最初にそう呼べと言ったのはあなたでしょうに.....

「真姫ちゃんの別荘はここから見えるの?」

「まだよ、ここから少し歩かないといけないわ」

まじかよ....この炎天下の中俺に歩けと?そう言いたいのか?
少し騒いでしまったため体が少し汗ばんでしまった
別荘着いたら即着替えないとな

「はい!それじゃあみんな、真姫の別荘に行くわよ」

絵里さんが注目を集めて真姫を先頭にまた歩き出す
なんていうか....こういうのいいよな.....
最初の頃は嫌々だったけど、結局は楽しんでいる俺がいる
前までの俺だったらこんなことしてる時間もったいねぇぞとか言ってるんだろうな.......


しばらくみんなと話しているとかなり大きめの赤い屋根が見えてきた
真姫や希さん、絵里さんが指さしているのを見ると、どうやらあれが真姫の別荘らしい.......真姫の家を見た時も思ったが.....すごいな.....

「みんな〜もう少しよ〜」

上り坂が多く、みんな汗をかきながら「は〜い」と弱い返事をする

「真姫んちなら執事とかいそうなんだけどな....」

思ったことを口にしてみた。かといって誰かが聞いているわけでもなく、独り言となってしまった

「海未ちゃ〜ん....穂乃果もう限界.....」

「だらしないですよ穂乃果」

「穂乃果ちゃ〜ん、ふぁいと〜」

後ろで穂乃果を励ましながらゆっくり歩く2年組
その後ろの花陽とにこにーは息を切らし、凛はスキップ(鼻歌付き)しながら「か〜よち〜ん、にこちゃ〜ん、遅いにゃ〜」と声をかける
凛はまだまだ余裕そうだ

「凛ちゃ〜ん...待ってよ〜」

「凛...みたいに....運動系の部活所属したことないから....そんな体力...ないわよ」

そして、俺の前を歩く真姫、絵里さん、希さん。
真姫と絵里さんの表情は疲れどころかまだまだ余裕で会話している
一方希さんは2人のペースについて行くも少し遅れをとっている

体力トレーニングしてやらないとな、と思った




瞬間




「.......??」

向こうから歩いてくる2人組。1人は髪を茶髪に染め耳にピアスをつけ、ラフな服装の男性。もう1人は黒髪をオールバックにし、左目の下に変なマーク...バーコードみたいな入れ墨、そして右耳にピアスをつけていた。

一目見て、「こいつらは不良」と理解できた。

先頭の3人も不良の存在を確認すると少し離れて横切った
俺も3人に続いて素通りしようとした.......

だが、できなかった。
いや、正確には素通りさせてくれなかった




「.....あ?.....」

バーコードの入れ墨の男性と俺と目が合ってしまった。まずい....
すぐさま目を逸らして横切った

「ちょっとお前待てよ」

俺の右腕をがしっと掴んで歩かせてくれなかった
また変なのに絡まれてしまった......






.........?また?....またって......俺はどうして《また》なんて思ったんだ?
いや今はそんなことはどうでもいい




「な、なんですか?俺に何か......っ」

そして俺は気づいてしまった
相手も気づいたから声をかけたのであろう
まさかここで遭遇するとは思わなかった。つか、前の面影はすでに無かったから右目のホクロを見つけなかったらわからなかっただろう





「てめぇ.......てめぇここでなにしてやがる?笹倉大地....」



「数ヶ月ぶりだな......逃げ出した腰抜け野郎」

できれば一生会いたくなかった2人
いつもいつも俺の邪魔をして、俺のやろうとすることにいちゃもんかけて妨害してくる2人

バーコードの入れ墨なんて....なんてセンスの無いことしてんだ?
.......西井新治(にしい しんじ)
そして.......照澤愁季(てるさわ しゅんき)

「.....お前らとは出来れば会いたくなかったよ、西井、照澤」

何が起こったの?といった様子でμ‘sのメンバーは囁き始める
みんなに迷惑かけたくないのに...でもこいつらに絡まれたら満足するまで離れてくれねぇぞ

「それはこっちのセリフだクソ野郎....笹倉こそここでなにしてんだよ」

「うるさい、西井には関係ねぇ、その手を離せ」

「まさかよ...この周りの女の子達も笹倉の知り合いかぁ〜?」

照澤は穂乃果を舐めるように見る
穂乃果はビクッとして一歩下がる

「そんなこと聞いてどうすんだ?また邪魔でもする気か?」

俺の問に西井は「はははっ」と笑って手を離す

「まさか〜。何言ってんだよ、俺らと笹倉の仲じゃねぇか....過去のことは水に流して忘れようや....」

嘘だ.....信用できるわけない。
今まで俺に何をしてきたのか忘れたわけではないくせに

「俺の友達に手を出したら許さねぇぞ」

「はははははひひひっ!!」

照澤は不気味な笑いで俺に近寄る

「笹倉が『友達』だぁ??ひひひっ、笑わせてくれるねぇ〜。クラスに話せる人がいなかった笹倉に『友達』なんて似合わねぇよ。ありえねぇよ.....どうせこの女たちも思ってるさ!『笹倉は友達じゃない』ってよぉ!ひひひっ!」

「照澤落ち着け、今は笹倉に構ってる場合じゃねぇだろ?いいから行くぞ」

西井になだめられ、照澤は真顔の表情に戻る
そして2人は俺の横を通って視界から消える


「笹倉ぁ、今度あったら.....覚悟しておけよ」

捨てゼリフを残して2人は去っていった


俺の足元に水滴が落ちていた
それは運動したときにかく汗ではなく....冷や汗だった
まずい事になった。西井と照澤にμ‘sの顔がバレてしまった.......

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!

「大くん?大丈夫?」

穂乃果に声をかけられ我に返る

「....え?あ、あぁ....すまん、大丈夫だ」

「大地くん、今のは知り合い?」

「絵里さん.......知り合いというか.....できれば一生会いたくなかった人達.....かな」

「そう、なにか訳ありみたいのようね」

絵里さんは深追いすることなく「さぁ、気を取り直して行くわよ」と歩き始めた

...だけど....俺は不安で仕方がなかった











----------------------------



「「「「「「「「「おお〜〜〜〜〜〜っ!!!」」」」」」」」」

真姫の別荘に到着して歓喜する
別荘.....自宅よりでかいぞ.....あの家何個分だ?

「すごいよ真姫ちゃ〜ん」

「さすがお金持ちにゃ〜」

「そう?普通でしょ?」

真姫たちは中へぞろぞろと入っていく

「ぐぬぬぬぬぬ.......」

にこは1人だけ歯を食いしばって唸っている

「ほら行くよ〜にこにーさんや」

俺は彼女を放置して中へお邪魔する








各自はそれぞれ別荘の中を見て回り、いろんなところから驚きの声が聞こえる。俺が数えただけでも部屋数2桁超えてましたよ?そして1階2階それぞれにグランドピアノ1台ずつとか.......驚きのあまりグウの音も出なかった

「このベッド気持ちいい〜」

俺は穂乃果に連れられ一緒にベッドでゴロゴロしていた

「ほんとだ〜、眠たくなってきたな〜」

「そうだねぇ〜」


「おお〜!ここには露天風呂があるにゃ!すっごいにゃ〜!!」

「パパが露天風呂好きだからどうせならって作ったの」

風呂にはどうやら露天風呂があるらしい。1階から凛の声が聞こえてきた

一体この別荘建てるのにどれくらいかかったのだろうか
聞きたいけど怖くて聞けない

「いいな〜この部屋.....落ち着く」

基本的に薄い茶色の部屋はゆったりさせてくれるような気がした
ベッドの他にノートパソコンや机、本棚にはピアノの楽譜などが保管されて、これだけ見るとここでも練習していたんだなと感じてしまう

「よし穂乃果、絵里さんのところにいくぞ」

「........」

「穂乃果?」

「.....すぅ.....すぅ.....」

すでに夢の中にいた。寝つきが良い奴だな......

「つか、寝るんじゃない!」

ピシッ

寝ている穂乃果のおでこに一発デコピンをかます

「いた........ふぇ?寝ちゃってた?」

「ほら、荷物置いたらすぐ下に降りてきてって絵里さん言ってたろ?」

「ん〜そうだね、よいしょっと」


















「それでは、今日のメニューを発表します」

外に出て、それぞれ練習服に着替える....と思いきや、穂乃果、ことり、凛、にこさんは既に水着を着ていた。明らかに遊ぶ気満々だ
真姫と絵里さん、希さんはいつもの練習服であるが中に水着を着ているに違いない。ごくり......
海未は多分水着は着てないな...なんとなくだけど
てか、海未以外練習する気ないぞ。ど〜すんの?これ


海未は紙を張り出したようなので、軽く目を通す

「.....って、海は!?」

「...私ですが?」

「お前じゃねぇ、《海》、英語で《sea》だ」

「あぁ、それならほら」

珍しく海未がボケた。いや.....多分素であの反応なのだろう
海未が指さしたメニューには

ランニング 15km

筋力トレーニング(腹筋,背筋,腕立て伏せ,体幹etc)

ダンス

遠泳 15km

発生練習 とかとか......

「......海未?なんかのスポーツ選手にでもさせる気?」

「これはさすがに...みんなもつかしら?」

絵里さんも苦笑いの様子

「大丈夫です!熱いハートがあれば!」

「ははは.....確かに重要だけど.....俺がやるとしてもこれはキツイな」

俺の否定的な意見に穂乃果、凛、にこの3バカトリオはうんうんと頷く

「最近思うのです。基礎体力をつける練習が減っていると...せっかくの合宿ですし、ここはみっちりとやっといた方がいいかと!」

「海未のやる気スイッチが痛い方向に入ってるわよ。穂乃果、なんとかしなさい」

「う...うん、よし。凛ちゃん」

「わかったにゃ!」

凛は海未を炎天下の中に連れていく

「あ〜!!海未ちゃん!あれはなに!」

出ましたお約束.....こんな初歩的なのに引っかかるわけが....



「え?どこ?どこです?」



引っかかってたーーーーーーっ!!



「今にゃ!みんな走れーーっ!!」

凛の合図と共に既に水着組の皆は海へ走り去っていった

「わーい!久しぶりの海〜!!」

「わわっ!待ってよ凛ちゃ〜ん!」

「穂乃果!水泳で勝負よ!負けたらジュース一本」

「いいよにこちゃん!勝負!」


置いてかれた俺、真姫、絵里さん、希さん、そして....海未

「あ、あなたたちちょっとっ!!」

悔しそうに顔をしかめる海未に「まぁ、いいんじゃないかしら」と声をかける

「え?いいんですか絵里先輩.....あっ」

「《禁止》って言ったでしょ?」

「す、すいません」

「μ'sはこれまで部活の側面も強かったから、こんなふうに遊んで、先輩後輩の垣根を取ることも重要よ」

絵里さんはそう言って家の中に入る

「どこ行くんすか?」

「どこって.......これから着替えるのよ?」

なんと!絵里さんは中に水着を着ていなかった

「おーい!大く〜ん!絵里ちゃ〜ん!早く泳ご〜よ〜!!」

「はーい!!今行く〜」

絵里さんは手を振って返事をする
真姫はため息をつきながら絵里さんについて行く。それに続いて希さんも

「海未?なにしてるの?行きましょ!!」











俺は今天国にいる。9人の美少女の水着姿を拝めるんだ、これ以上ないっていうくらい幸せだ!

「ひゃっほ〜い!」

バシャン!

水しぶきがキラキラとみんなを輝かせる。
てか....水着....ヤバいです。
血が足りなくなりほう
2年生組を見る

「うわわっ!ことりちゃん水鉄砲持ってる〜!穂乃果も持ってくればよかった〜」

「えへへ〜///水鉄砲楽しいね〜。海未ちゃんも浸かってないで遊ぼうよ〜」

「い、嫌です!水着姿なんて恥ずかしい.....」

「そんなこと言ってないで俺に海未を見せてくれ〜!」

じゃないとじっくりねっとり観察できないじゃないか

「だから嫌なのです〜///」

ピューッ

「きゃっ!ことり!なにするんですか〜!」

「海未ちゃん怒った〜あははっ♪」

ようやく海の中から出てきた海未。てか、海未とか海とか区別つかないぞ

よし、観察開始!
穂乃果はごく普通の女子高生って感じだ。胸もそこそこあり、まだ成長するなと思う。パーソナルカラーであるオレンジのビキニがよく似合ってらっしゃる....ジュルリ

ことりは服越しではわからなかったが、やはり胸は大きめだ、絵里さんや希さん、花陽には劣るが美乳の類に入るだろう.....
ビキニの色は緑....う〜ん....キュートや....ジュルリ

海未は3人の中では控えめな胸だが、それはそれで可愛らしい....
水着の色も白で派手な感じはしないけどそれが海未らしくて.....うう〜ん....セクシー.....ジュルリ



さてさて、お次は1年生組

「か〜よち〜ん!それ〜!」

「うわっぷ!凛ちゃんやったな〜!えいっ♪えいっ♪」

バシャバシャッ


凛は恐らくμ'sの中でワースト1位2位を争うくらい胸が残念.....
でも彼女のスタイルは細く、赤や黄色など蛍光色のビキニがとても似合ってる!どちらかというと俺は巨乳派だが、これはこれで......イイッ!
グッドだよ凛......ジュルリ

花陽はやっぱり天使様だった。制服越しでもわかる強調された2つの大きな胸はさっきからゆさゆさ揺れて俺の視線を釘付けにさせる。
アカン....鼻血でてきた....
ビキニより露出の少ないワンピース水着を着ているものの、やはり.....破壊力抜群だぜ!ジュルリ


「....あれ?真姫は?」

「あ、真姫ちゃんならあそこに」

花陽が指さした先にはパラソルの中で優雅にソーダを飲みながら本を読む真姫がいた。あんにゃろう....俺がせっかく査定してやってるのに参加しないとはどういうことだ?早く俺の餌食になりやがれ....
仕方ない遠くから観察してやろう

.....ふむふむなるほどなるほど〜


やはりこの子スタイルいいな...足が長くてスラッとしてて、そしてなによりくびれが!胸は穂乃果と大差ないけど....将来グラビアのアイドルとかに、なれそうだな.....花陽と同じく上下の繋がった水着ではあるが赤色の水着はよく似合っている......可愛すぎるぜ!ジュルリ


さてさてお待ちかね!3年生組

「にこっち〜こっち向いて〜」

「うわっ!希ビデオカメラで撮らないでよ」

「今度のPVで一部を使うからいいの」

「え!?じゃあ.....にっこにっこに〜♪みんなにこの水着姿どう?」

「いや、にこっちキャラ作んなくてええよ」

絵里さんは...やっぱり可愛い..というか大人〜って感じだ
胸は言うまでもないが締まるところは締まってて出てるところは出てて...
足綺麗....頬ずりしたくなるよ...ビキニ似合ってますよ....上が白の下がピンクとか.......うへへへ....ジュルリ

希さんは....なんということでしょう
バストサイズ何センチ?すばらしい......どんな食生活をしたらそうなるの?凛や、にこさんに教えてあげたいくらいだ
海未のように派手な水着ではないが着飾ることのない彼女にぴったりの純白の水着だと思う.....ジュルリ


.......にこさんはいいか.....フリフリのビキニ似合ってますよ.....はい
幼児体型であんまり興奮しないけど...はい


「....あんた....今失礼なこと思わなかった?」

「ははは..はぁっ!?そんなこと思ってないよ?」

「嘘ね!ど〜せ私は幼児体型ですよ〜だ!一生水に浸かってなさい!!」

ドカっ!ゴンっ!ベキっ!!

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

お子様に殴られ蹴られ、宙を舞って海に沈んだ
やべ........肋の2,3本折れたかも



「と、撮るのはやめてください!希先輩!」

「ん〜?なんやって?」

「......っ///希!撮らないでください」


「真姫ちゃ〜ん!真姫ちゃんもおいでよ〜!」

「えっ!?....私は...いい」

「ええ〜〜っ!?いいから〜!」

「ちょちょっと!引っ張らないでよ」



「か〜よちん!スイカ割りするにゃ〜!」

「わ〜っ!いいね!いいね!にこ先輩もやりましょう」

「にこ先輩じゃないでしょ、にこに〜」

「あ、そ、そうだね...にこちゃん」

「なんで誰もにこに〜って呼んでくれないのよ」





みんなそれぞれ楽しんでいるみたいだった。
真姫は当分慣れてくるのに時間がかかると思った。
ちらっと希さんと目が合った。『真姫ちゃんはウチに任しとき』と言っているように見えた。

なんだかんだで海未も楽しそうに遊んでるし、絵里さんの言う通りこうやって遊ぶのも悪くないな...............







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真姫side



みんな楽しそうね......

私はパラソルの下でゆっくり本を横目にみんなの様子を観察する
穂乃果ちゃんに引っ張られて少しだけ海で遊んだけどみんなとワイワイ騒ぐのは苦手で結局すぐ戻ってきた
仲良くしたけど上手くいかない
昔からそうだったわ。

本を閉じ、伸びをする

「全くPVの撮影とはいえ、小悪魔を演じるのも大変よね〜」

隣にやって来たのは3年のにこちゃん。小悪魔演じるのが大変ならしなければいいのに...と思うも言葉にせず飲み込む

「隣、いいかしら?」

なにかセリフ地味たように聞こえるけど無視して続ける

「勝手にすれば?」

「それじゃあ失礼」

にこちゃんは私と同じ体勢にしようとする
私は足を組んでサングラスを頭にかけソーダを飲む
にこちゃんも真似して足を組み.....たいところだけど、真似しようと必死になっている..
明らかに身長差よね....

と、

ボフンッ

「きゃあっ!」

「ごめんにこちゃん〜大丈夫?」

にこちゃんの顔面に当たったのはビーチバレーボール
穂乃果ちゃんの周りにはチームを組んでビーチバレーをしていた

「もっと遠くでやりなさいよ〜!!」

「にこちゃんもやろうよ〜!!」

「そんな子供の遊びやるわけないでしょ?」

一番子供みたいな人がそれ言っていいの?

「そんなこと言って...ほんとは苦手なんだにゃ〜」

ほら...凛に煽られた.....

「何言ってるのよ!見てなさい!らぶにこアタックを見せてあげるわ!」

煽られてそれにのってしまったにこちゃんは足元のボールを手にして穂乃果ちゃんたちの方へ向かった

「真姫ちゃんもやろ〜よ〜!!」

「ええっ!?...私は......いい」


私はまた素直になれず断ってしまった。本当は一緒に遊びたいけど.....








「なるほどね...確かにこれは時間がかかりそうや」

「真姫もなかなか大変そうね」

「ふふっ...えりちがそんなこと言うん?」

「な、なによ」

「ん〜ん、なんにも」















----------------------------
希side

「え?買い出しに行かなきゃいけないの?」

「ええ、さっき冷蔵庫確認してみたけどあまり食材なくて」

えりちがみんなの前で報告をすると、どうする?とか誰が行く?とか話し出す。今は午後5時、そろそろ買いに行かんと夕食の時間に間に合わなくなる

「あと、真姫ちゃんの話によるとスーパーが遠いみたいなの」

「んじゃあ俺が行くよ。力仕事は俺の出番だろ?」

「さすが大くん!」

大地くんが手を挙げて「ことり部費持ってる?」と行動を起こす

「別に、私一人で行ってくるからいいわよ」

二階から真姫ちゃんが大地くんを呼び止める

「あ?だけどさ」

「あなたが行ったところでスーパーの場所わからないでしょ?」

「んだったら俺と真姫で行くか?」

と、大地くんは提案する

「え!?じゃあ穂乃果も行く!」

「だからいいわよそんなに来なくて....私一人でいいわ」

一階に降りて、大地くんから部費の入った封筒を受け取り、玄関へ向かう

「じゃあ、ウチがお供する」

「え??」

一斉にウチを見る。そんなに意外?

「たまにはいいやろ?こーゆー組み合わせも」

「.........」

真姫ちゃんは無言で頷く。

「ほな、行ってくる」















夕陽の色に染まった海を眺めながらウチと真姫ちゃんはスーパーへ向けて足を運ぶ
初めて組み合わせのせいか、それともいつものことなのか、真姫ちゃんは無言でウチの後ろを歩く。

「ん〜、綺麗な夕陽やね〜」

「.........どういうつもり?」

真姫ちゃんは冷静に淡々と問いかける
その問いかけはどういうつもりで言ったんやろうか....
ウチは微笑みながらおもむろに話し始める

「別に〜、ただ真姫もめんど〜なタイプやな〜と思っただけや。本当はみんなと仲良くしたいのになかなか素直になれない」

「私は普通にしているだけよ」

「そうそう、そんなところや」

「え?」

「そうやって素直になれないんよね?」

「...ていうか」

真姫ちゃんは立ち止まり、まっすぐこっちを見て話す

「どうして私に構うの?」

どうして.....まぁ答えは決まってる




「ほっとけないのよ、よく知ってるから....あなたに似たタイプ」

ウチは珍しく真面目な口調で答える。そう...あの子もそうやった。素直になれず独りよがりなところはあの子と真姫ちゃんはそっくり。だからすっぽり被るんやな。2人は....


「.....なにそれ...」

「ま!たまには無茶してみるのもいいと思うよ〜、合宿やし」

最後にそう告げ、ウチと真姫ちゃんは再び歩き出す
そうや....合宿でみんな変わってほしい.....










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今日の夕食は無難にカレーだった

それぞれ皿にご飯にルーをかけてテーブルに並べる

「本当に花陽ちゃんはご飯とルー別々でいいの?」

絵里さんがそう言ったのが聞こえ、振り向くと確かに花陽のだけご飯とルーが別々なのである。しかもどんぶりめし.....?
花陽って大食い少女なの?

「大丈夫です!ご飯は別の方がいいのです!」

やけにテンションが高いな.....アイドルを語る時のそれと同じだ

「うわぁ〜......つやつやのご飯〜♡きれい〜♡」

どんぶりめしを見てうっとりする花陽
花陽はご飯が好きなのだろうか.....

凛に話を聞くとどうやらご飯とアイドルが大好きなのだそうだ....
特に収穫の秋になると食欲がすごいんだとか
なるほど....だからそんなに一部が成長するのか

「それじゃあみんな席について〜」

ぞろぞろと席につき、俺は穂乃果とにこの間に座る

「それにしてもにこちゃん料理上手だね〜」

「あ?これにこさんが作ったの?」

「ふっふ〜ん♪どう?すごいでしょ」

「まじか....てっきりキャラ被ることしか能のない人だと思ってたけど...」

「大地の中で私はそんな風に思われていたわけね.....いいわ、じゃあ選びなさい。目を潰されたいか、それとも目にカレーを流し込むか」


なんてグロテスクな二択を......

「じゃあにこさんの手作りカレー食いますか!」

もちろんここは安定のスルーで

「そうね....じゃあいただきます」

「「「「「「「「いただきますっ!!」」」」」」」」

「ちょっと!スルーするんじゃないわよー!」












「ふ〜っ、食った食った〜」

みんなが食べ終わる頃に丁度俺も食べ終わった
結構甘めのカレーだったな.....みんなのこと考えてそうしたのだろう
俺としてはちょい物足りない気がするけど、味は絶品だった

また今度作ってもらおうと思った

「雪穂〜お茶〜」

穂乃果はすぐにソファに横になりゴロゴロはじめる

「穂乃果、いきなり横になると牛になりますよ」

「う〜海未ちゃんもお母さんみたいなこと言わないで」

さて...んじゃあ俺は食器片付けるかな
よっこいせと立ち上がり食器をまとめる

「え?大地さん?」

「あ〜、みんな食器集めて、俺全部片付けておくから」

「え?でも....」

花陽は心配してくれるも俺は手を止めない

「でも、後片付けはみんなでやった方がいいですよ」

「そうよ、そんな不公平や良くないわ」

絵里さんも抗議する

「いいからいいから、ほらみんな練習しないとまずいんじゃないか?」

結局一日中ずっと遊んでいたため、練習はろくにしていない

「そうです、大地の言う通り練習します」

「え〜、そんなことより凛は花火したいにゃ〜」

凛はぴょんと立ち上がりバックから花火セットを用意する
準備いいな......

「練習が先です」

「花火するにゃ!真姫ちゃんもやろ〜花火〜」

「私は遠慮しておくわ」

「え〜?じゃあかよちんやろ?」

「私は....お風呂に入りたいな」

「「第三の意見出してどうすんだよ(のよ)!!」」

見事ににこさんとハモった
まとまりねぇな.....これでほんとにラブライブ目指してるのか不安なんだけど.....

「希....どうする?」

絵里さんは希さんに助けを求める。しばらく考える素振りを見せた希さんは手をポンとたたき、提案する

「じゃあ今日はもう寝ようか」

「え?希....ですが昼間はあんなに遊んでしまったのに練習しないのはどうかと思いますが.....」

その中に混ざっていたのは君もだと思いますが.....

「そうやけどね、みんな疲れてるでしょ?練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜することにして」

「そっか...それでもいいにゃ」

凛は納得してくれたようだ

「....確かに練習もそちらの方が効率がいいかもしれませんね。わかりました、私は希の意見に賛成します」

海未も納得したところでどうやらまとまったようだ

「んじゃあガールズのみなさんはちゃちゃっと温泉行ってきてくれ。俺はここを片付けておくから」

「大地くん.....だけど」

「ほら、君達は早朝練習あるんだろ?だったらさっさと入って寝ろ」

「絵里、大地の言う通りよ。ここは任せておこう?」

「にこ.....わかったわ。じゃあお願いね」

みんなそれぞれ立ち上がり一度荷物を取りに部屋へ戻る
静かになったリビングで俺は一人黙々と片付ける







いくら夏とはいえ水冷たい.......でもまぁ母さんの手伝いしてたしそんなに時間かからなくて済みそうだ。ここで家庭的スキルが試されるとは思わなかったな。手伝いしててよかった〜
と、しばらくしてみんなの話し声が聞こえてきた。
そしてその声は小さくなっていった。
これから風呂か......あいつら上がるまでなにしてようか.....

俺はテーブルを拭こうとリビングへ戻る


「.....すぅ.......すぅ.......すぅ......」

そういえばさっきから声がしないなと思っていたけど....穂乃果の奴、ソファで寝ていやがった。つか、起こさないμ'sもμ'sだよ....
ここは普通起こすべきだろ
だがこのまま放置しておくわけにもいかないので俺は穂乃果を強制的に起こす

「穂乃果.....穂乃果っ.....みんな風呂に行ったぞ?起きろ穂乃果〜」

肩をゆさゆさと揺らしながら声をかける.....

「.....すぅ......んんっ.....大くん.......」

もう少しで目を覚ましそうだ。このまま継続して揺らす

「ほ〜の〜か〜、お〜き〜ろ〜」

「.......大くん........」











「...........好き..........だよ........」










...........え?
今........なんて言った?
大くんって俺だよな?それってつまり.....そういうことだよな?



いやいやいやいやいや!無い無い!絶対ない!
ありえないって...しかも寝言だろ?ありえないって!!
なに寝言で緊張してんだよ俺は....

鼓動の早い胸を抑えながら再び揺する

「穂乃果!起きろ〜!」

「........うん?....あれ?...大くんだ.....どうしたの?」

「やっと起きた、みんな風呂に行ったぞ?お前も早く入ってこい」

「ん〜.....おんぶ...」

「はぁ?何寝ぼけてるんだよ。ほら早く」

「....おんぶしてくれなきゃやだ」

なんだーーーーーー!!!!どうしたんだ!!
穂乃果がめちゃくちゃ甘えん坊になってるんだけど!!!
寝起きだから!?寝起きだからか!?
思わずクラッっときたじゃねぇか

しかし、このままでは埒があかないので仕方なくおぶってやることにした

「ほら、早く乗れ。着替えとかは?」

「ありがと大くん.....着替えは.....バックの中〜」

まだ意識がはっきりしていないためのんびり口調の穂乃果

「これか?まったく...世話のかかるやつだな....」

穂乃果を背負いながら片手に穂乃果の着替えの入った袋を持って風呂場へ向かう


穂乃果も女の子なんだな〜と感じた
密着しているため穂乃果から甘い香りや背中にあたる柔らかい感触
理性を維持しながら穂乃果を落とさないようにゆっくりゆっくり歩く

「大くん........懐かしいね....」

「え?なにが?」

「ちっちゃい時も....こうやって穂乃果をおぶってくれたんだよ?穂乃果が遊び疲れて公園で寝ちゃった時も、大くんが......」

........穂乃果はまだ寝ぼけているのか?
ちっちゃい時って....いつのことだよ
俺とお前はこの春に音乃木坂で出会ったんだろ?


キリキリ......

なんだろう.....何か.....ひっかかる。

「穂乃果はね〜......そんな優しい大くんが大好きなんだよ〜」

俺はきっと顔を真っ赤にしているに違いない
そんなこと言われると....照れるよ

そうこうしているうちに脱衣所前に着いた

「ほら着いたぞ、この先俺は行けないのから1人で行ってこい」

「ん〜....大くんありがとね」

ふらふらと脱衣所の中へ入る

ほんとに世話のかかるやつだな
さて....リビングに.....ん?

ふと、視界に入ったのは『女湯』と書かれたのれん
その隣には『男湯』と書かれたのれん


.....ここって男女別々だったのかよ!!!!!!!













現在は23時15分
みんなはリビングで仲良く寝るらしいが俺はさすがにそうはいかない
俺は一人二階の別室で勉強していた
夏休みの課題はここに来る前に消化していたので今やっているのは次に行われるプ〇模試というマーク式の、いわゆるセンターに似た試験の勉強をしている。
10時頃にリビングは消灯したらしいがその後すぐにキャーキャー騒ぎ始めた時は集中できなかった
なにやっているんだろうと思いつつ外界の音を社団をしながらカリカリとシャーペンを走らせた

その騒がしい声はすぐに止み、それ以降うるさくなることはなかった
すでに俺も限界にきているがノルマを達成していないためまだ眠れそうにない。かと言って集中しているわけでもない
ここはひとまず外の空気吸ってこようかな

俺は音を立てないようにそっと部屋を出て、階段を降り、寝ている彼女達をそ〜っと眺めながら玄関へ向かう










夜の海を見るのは人生で初めてだった
昼間や夕方の海とは違い、暗い海は幻想的でそれはそれで綺麗だった
ザーザーと波の音しか聞こえない
明かりは道路の街灯と月の明かりのみ
潮風が鼻を満たし、頭の中がリフレッシュされた気がした

明日は何するんだろうなとぼんやり海を眺めているところにザッザッと足音が聞こえてきた

「まさか......あなたがここにいるなんてね」

この声は真姫だ

「真姫か......明日早いんだろ?起きてていいのか?」

「大丈夫よ。ご心配なく」

俺の隣にやってきて海を眺めてる
やっぱりこいつ綺麗だよな、と横顔を見てそう思った

「そういえば10時頃下うるさかったけどなにしてたの?」

「.....枕投げ」

そっぽを向いてぽつりと呟く

「やっぱり真姫も混ざってたか〜。真姫の叫び声聞こえたからまさかとは思ってたけど」

「べ、別に私はやりたくてやったわけじゃないわ!ただ希が私のせいにして枕投げ始めるから仕方なくやっただけよ!」

真夜中なのに真姫のツンデレを平常運転のようだ

「それで、寝てた海未を起こしちゃって....機嫌の悪い海未がみんなを全滅させた」

怖ぇぇ....海未寝起きは機嫌悪いのか....気をつけよ

「......つか、やっと名前で呼べるようになったんだな」

「え?」

「よかったじゃないか....」

「.......そうね」

潮風によって乱れた髪を抑えて真姫は答える

「みんなと、仲良くやっていけそうか?」

「.....うん」

「そうか、俺はそれが聞けただけで十分だ」

俺は真姫の頭をわしわしと撫でて別荘に戻ろうとする

「大地......さん」

「ん〜?」

「.........ありがとう」

真姫の笑顔は月明かりに照らされて...美しかった

「俺は、な〜んにもしてないよ〜」




合宿1日目はこうして幕を閉じた
少しだけμ‘sの絆は深まったようだ
 
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