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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第11話

~ライブハウス・『イグニス』~



「ヒャッハ―――!」

「女2人で俺達に挑んだ事……後悔させてやるぞ!」

「フクロにしちえまえ!」

「さっきの戦いのお返しだ!」

戦闘が開始されるとサーベルバイパーの青年達は一斉にルファディエル達に向かい

「クク……俺達に喧嘩を挑むんだ………ちったぁ、楽しませろよ?」

ヴァルドもルファディエル達に向かった!

「―――メヒーシャ、敵将は貴女に任せるわ。向こうが怪我をしない程度に無力化しなさい。その代わり取り巻きは私が全て無力化しておくわ。」

「ハッ!」

一方ルファディエルはメヒーシャに指示をし、指示をされたメヒーシャはヴァルドに向かった!



「「「「シャアッ!!」」」」

メヒーシャがヴァルドに向かた直後、青年達は同時にルファディエルに襲い掛かった!

「守護方陣!!」

しかしその時、ルファディエルは魔力を込めた杖で地面を軽く叩いた!するとルファディエルの足元に魔法陣が発生し、魔法陣は光の衝撃波を発生させた!

「「「「グアアアアアッ!?」」」」

魔力を込めた杖を地面に叩いて自分の周囲の敵を攻撃すると共に味方の傷を少しだけ回復する魔法陣を発生させるクラフト――――守護方陣を受けた青年達は怯み

「邪魔よ!光燐衝撃!!」

「「ガハッ!?………」」

ルファディエルが威力を最小限に調整して放った魔術を受けて吹っ飛ばされ、壁にぶつかり、立ち上がらなくなった!

「……の野郎!よくもやってくれたな!」

そこにルファディエルが放った魔術の範囲外にいた青年の一人が攻撃を仕掛けてきたが

「光牙衝!!」

「ガアッ!?」

杖の切っ先に溜めた光の魔力を解放し、敵の目を眩ませ、アーツや駆動も妨害して敵を吹き飛ばすクラフト―――光牙衝を正面に受けて吹っ飛ばされて壁にぶつかり、立ち上がらなくなった!

「チ、チクショオオオオオオオオッ!!」

そして残りの一人が怒りの表情でルファディエルに襲い掛かって来たが

「…………」

「なっ!?」

ルファディエルは杖で青年の攻撃を受け流し

「護法蓮!!」

「ギャアッ!?…………」

青年の背中に前方に敵を吹き飛ばす障壁を展開し、同時に自身の傷をわずかに回復するクラフト―――護法蓮を命中させて、青年を壁に吹っ飛ばしてぶつからせ、戦闘不能にした!

「ハッ!一人で向かって来る度胸はほめてやる!オラアッ!」

ルファディエルが青年達を一人で相手にしている一方、ヴァルドは好戦的な笑みを浮かべた後、武器でメヒーシャに重い一撃を放った!しかし!

「無駄だっ!」

「何!?そんな細腕で俺の一撃を受け止めた………だと!?」

メヒーシャの斧槍によって防がれ、攻撃を防がれたヴァルドは目を見開いて驚き

「ハッ!!」

「チィッ!?」

メヒーシャが力任せに振るった斧槍の一撃に吹っ飛ばされた後、受け身を取った!

「そこだっ!!」

そこにすかさずメヒーシャがクラフト―――加速襲撃で一瞬でヴァルドに詰め寄り、ヴァルドの武器に攻撃した!

「グッ!?」

メヒーシャの攻撃をヴァルドは武器に伝わって来る衝撃に表情を歪めながら受け止めた。

「………なるほど。力だけはそれなりにあるな。」

攻撃を受け止められたメヒーシャは静かな表情で呟き

「ハッ!その余裕そうな面をすぐに歪めてやるよ!オォォォォォ…………」

メヒーシャの言葉を聞いたヴァルドは好戦的な笑みを浮かべた後、一端下がって力を溜め

「ラアッ!!」

強烈な一撃を放った!

「……………」

「馬鹿なっ!?今のも防ぐ……だと!?」

どんな物も容易に砕くほどの一撃を放つクラフト―――オーガクラッシュを放ったヴァルドだったが、メヒーシャは顔色も変えず武器で防ぎ、自慢の技を防がれた事にヴァルドは驚いた。

「………そろそろ決めさせてもらう。」

「何!?」

そして静かな表情で呟いたメヒーシャの言葉に驚いたその時、メヒーシャは鍔迫り合いを止めて、一歩下がった後

「ハァァァァァァ………!」

「うおっ………!?」

ヴァルドの武器目掛けて斧槍で連続突きを放って、ヴァルドを怯ませ

「斬!!」

連続突きを放った後、最後はある程度手加減してある強烈な薙ぎ払いをヴァルドの武器に放った!

「なっ………ガアッ!?」

エリィがメンフィル帝国に留学している間、鍛錬の為に手合わせをしたメンフィルの武将の一人――――”剣帝”レーヴェの技を参考にして習得したクラフト――――破砕槍による強烈な一撃を武器で受け止めたヴァルドはあまりの威力に吹っ飛ばされ、壁にぶつかった!



「ヴァ、ヴァルドさん!?」

「畜生………よくもやりやがったな!」

メヒーシャに吹っ飛ばされたヴァルドを見たサーベルバイパーの青年達は驚いたり、ルファディエル達を睨んで武器を構え直したが

「うるせえ!ちょっと力が抜けただけだ!今日はここまでだ、お前ら!」

立ち上がったヴァルドの怒鳴り声に制された。

「………………」

その様子を見たメヒーシャは斧槍を仕舞ってルファディエルの元に戻り

「………勝負は私達の勝ちでいいわよね?」

ルファディエルは杖を仕舞った後口元に笑みを浮かべて尋ねた。

「フン………本来なら徹底的にやり合いたいところだが、ヤツとの決戦が近づいてるし、今はこのくらいにしておくぜ。」

そして尋ねられたヴァルドは鼻を鳴らした後、好戦的な笑みを浮かべてルファディエルを見つめて言った。

「そう。それじゃあ約束通り、話を聞かせてくれるかしら?」

ヴァルドの言葉に頷いたルファディエルは真剣な表情に直してヴァルドに質問した。

「フン、いいだろう――――」

ルファディエルの質問に頷いたヴァルドは木箱に座り直して話し始めた。

「―――5日前の夜のことだ。ウチのメンバーの一人が青坊主どもの闇討ちに遭った。ここを出てすぐの場所だ。」

「なるほど………」

「フン、大方奴等も同じことを言うだろうぜ。だが、こちらに言わせりゃとんだ言いがかりってもんだ。俺達サーベルバイパーは武闘派で鳴らしている………闇討ちなんて汚ねぇマネ、するわけがねえだろうが?」

「……………………その、闇討ちにあったメンバーはどのくらいの怪我だったのかしら?」

ヴァルドの話を聞いて目を閉じて考え込んでいたルファディエルは目を開いて尋ねた。

「打撲による骨折で全治一カ月の入院だとよ。まあ、青坊主のところみたいに意識不明ってわけじゃねえが………ケガだけって事ならむしろ重たいくらいだぜ。」

「そうね………」

「………しかし何故、あの者達が襲撃犯だとわかった?襲撃された者から聞いたのか?」

そしてヴァルドの言葉を聞いたルファディエルは頷き、メヒーシャは尋ねたが

「…………………」

ヴァルドを含めたサーベルバイパーのメンバー全員は黙り込んだ。



「?まさか、見ていないのかしら?」

その様子を見たルファディエルは意外そうな表情で尋ねた。

「………まあな。だが、青坊主どもがやったのは間違いねえ。いきなり遠くの方から石が飛んできたらしいからな。」

「………テスタメンツのメンバーの内の2人が使っていたスリングショットね。」

「ああ、それだ。それを喰らって倒れたところをタコ殴りにされたらしくてな。あとは気を失ったらしいが………犯人は言うまでもないだろうが?」

「………………」

ヴァルドに尋ねられたルファディエルは考え込み

「クク、話は終わりだ。―――さっきも言ったように細かい事情はどうだっていい。青坊主どもと………ヤツとケリが付けられるならもう何だっていいんだよ。邪魔するってんなら、いいぜ。青坊主どもとまとめて叩き潰してやるからよォ………?」

「……挑発には乗らないわ。捜査協力に感謝するわ。色々と参考になりそうよ。何かわかったら一応、連絡させてもらうわ。」

「フン………まあ、勝手にしやがれ。」

そしてルファディエルとメヒーシャは『イグニス』を後にして、ロイド達がいるテスタメンツの拠点に向かった。

~バー・『トリニティ』~



ルファディエル達がヴァルド達に事情を聞きに行っている一方ロイド達はテスタメンツの拠点である酒場らしき場所に入った。

「ビリヤード台………?」

「プールバーってやつか。なかなかいい趣味してるぜ。」

「『トリニティ』………一応、認可を受けた店ですね。」

「なるほど、ここが『テスタメンツ』の溜まり場か………」

「―――何用だ。」

ロイド達が周囲を見回していると禿の大男が2人のテスタメンツのメンバーを連れてロイド達に近づいてきた。

「君達は………!?」

「け、警察の犬!?」

「……………………」

ロイド達を確認したテスタメンツのメンバーは驚き、禿の大男は黙ってロイド達を見つめた。

「先ほどはどうも。一応、営業してるみたいだね。邪魔させてもらうよ。」

「くっ、ぬけぬけと………何の用だ!?返答次第ではタダでは帰さん!」

「さ、先程の借りもまとめて返させてもらう………!」

ロイドの説明を聞いたテスタメンツのメンバーはロイド達を睨んで武器を構えたその時

「――――待て。」

「アッバス………」

「な、なぜ止める………?」

禿の大男―――アッバスに制された。

「ここは聖域―――余計な雑音を立てるな。ワジ、どうする?」

青年達に忠告したアッバスはロイド達に背を向けて誰かに尋ね

「………ん、そうだね。いいんじゃない?ここに通しちゃっても。」

尋ねられた人物――――カウンターにある椅子に座り、ワインを静かに飲んでいるワジは口元に笑みを浮かべて答えた。

「………わかった。」

ワジの答えを聞いたアッバスは青年達と共に道を開け

「……………」

黙ってロイド達を見つめた。

「ど、どうも。」

(なんだ、このノリは………)

(何かの儀式みたいね………)

アッバス達の行動にロイド達は戸惑いながらも、ワジに近づいた。



「―――で、なに?警察の犬はお呼びじゃないって言ったはずだけど?」

「そちらに用がなくてもこちらにはあってね。君達に、少しばかり捜査に協力して欲しいんだ。」

「ふーん、捜査ねぇ。言っておくけどバイパーと決着を付けるのを止めるつもりはないよ?近所の住民には迷惑だろうけど、ま、我慢してもらうしかないよね。」

ロイドの話を聞いたワジは不敵な笑みを浮かべて答えた。

「別に君達の争いを止めにきたわけじゃない。―――君達が本気で潰し合おうとしている理由………それを聞かせにもらいに来た。」

「へぇ………」

予想外のロイドの話を聞いたワジは感心し

「そ、それは………!」

テスタメンツの一人は驚き

「―――口を出すな。全てワジに任せろ。」

「あ、ああ………」

アッバスはメンバーを制した。

「………その様子だと本当に何かあるみたいだな。どうか聞かせてくれないか?」

ワジ達の様子を見たロイドが尋ねたその時

「あのさあ………それを知ってどうするの?遊撃士ならまだしも………警察が何かしてくれるワケ?僕達旧市街(ダウンタウン)に住む、厄介者の悪ガキ(バッドボーイズ)にさ?」

ワジは立ち上がってロイドの正面に近づいて尋ねた。

「………警察の対応が不十分なのは認めるよ。理由を知ったからといって君達に協力できるとも限らない。人を守るのが仕事だっていう遊撃士と同じ訳じゃないからね。」

「お、おい………」

「ちょっと、ロイド………」

ロイドの答えを聞いたランディとエリィは焦り

「やれやれ、お話にならないな。ギブ・アンド・テイクなしに情報だけを引き出すつもりかい?」

ワジは呆れた後口元に笑みを浮かべて尋ねたが

「―――いや、ギブならあるさ。」

「え………」

ロイドの答えを聞き、呆けた表情をした。

「捜査官の仕事は闇に埋もれた真実を明らかにして人と社会に光をもたらすこと………少なくとも俺はそんな風に教えられてきた。もし君達が、ほんの少しでも疑念という闇を抱えているのなら……それを晴らす手伝いはできると思う。それが………俺達の提供できるギブさ。」

「………あ………」

「こりゃまた……」

「……………………」

(ククク………ハハハハハハッ!さすがはロイドだ!いきなりそんな面白い発言をしてくれるとはな♪)

ロイドの話を聞いたエリィは呆け、ランディとティオは口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ、ギレゼルは大声で笑い

「………くくっ……………あははははははッ!!」

ワジは大声で笑い始めた!

「いいね!すごくいいよ!そんなクサイ台詞、そうそう聞けるもんじゃない!ロイドって言ったっけ!?いや~、気に入っちゃったよ!」

「………別にウケを取る為に言ったんじゃないけどな。それで、どうなんだ?『本気潰し合う理由』………教えてくれる気はあるのか?」

「………フフ、まあいいか。あんな決め台詞まで聞かされておひねりを出さないほどケチじゃないさ。―――アッバス。教えちゃっていいよ。」

そしてロイドに尋ねられたワジは頷いた後椅子に座り、アッバスに視線を向けた。



「………わかった。」

一方視線を向けられたアッバスは頷いた後ロイド達に向き直り自己紹介をした。

「名乗っていなかったな。俺はアッバス。テスタメンツの一員だ。」

「あ、ああ………よろしく。(でかいな……何かやってるのか?)」

「事の発端は5日前の夜だ。うちのメンバーの一人がこの近くの裏路地でバイパーどもの闇討ちにあった。」

「闇討ち………!?」

「その………ただの喧嘩ではなくて?」

アッバスの話を聞いたロイドは驚き、エリィは真剣な表情で尋ねた。

「フン、喧嘩なものか………!後頭部に一撃くらって倒れた所をメッタ打ちだぞ!?」

「い、一方的な襲撃だ………やられたヤツは………びょ、病院に運ばれている………」

するとその時、テスタメンツのメンバーが怒りの表情でアッバスの説明を補足した。

「そいつはエグイな………」

(フン………闇討ちとはつまんない真似をするねぇ………)

説明を聞いたランディは溜息を吐き、エルンストは不愉快そうな表情をした。

「その………容態の方はどうなんだ?」

「病院からの連絡ではまだ意識が戻らないらしい。手当は済んだようだが頭を打ったらしいからな………今、連絡を待っているところだ。」

「そうか………」

「………あの、やっぱり警察には届け出なかったの?」

アッバスの説明を聞いたロイドは重々しく頷き、エリィは尋ね

「伝えたところで我々のために動くとはとても思えんからな。それに犯人は明確だ。報復の邪魔をされては困る。」

「………そう。」

アッバスの話を聞き、複雑そうな表情で頷いた。

「―――待ってください。襲われた人は、まだ意識が戻っていないそうですけど………なら、どうしてその人が『サーベルバイパー』に襲われたとわかったんですか?」

「そういえば………ひょっとして状況証拠だけなのか?」

一方ある事に気づいたティオは質問をし、ロイドも同じ質問をした。

「………ま、そこまで僕達は短絡的じゃないよ。」

「なにせウチは、連中と違って知性派で売ってるらしいからね。ハハ、たかが不良に知性派ってのもどうかと思うけど。」

「ワジ………!」

「フフ、僕達が彼らの仕業と断定した理由………捜査官の君なら見当がつくんじゃないの?」

そしてワジはロイド達の質問に答えた後、試すような視線でロイドを見つめて尋ねた。



「………そうだな………………わかった。襲われたメンバーの傷跡が決め手になったのか。」

「ビンゴ、流石だね。」

「傷は、主に打撃によるものだったが同時に裂傷も目立っていてな………まるで硬く尖ったもので引き裂いたような感じだった。」

ロイドの推測を聞いたワジは笑顔で答え、アッバスが説明を続けた。

「打撃による傷跡と硬く尖ったものによる裂傷………………あ………!」

「……なるほど。連中が持ってた釘付きの棍棒か。」

「確かに犯人の目星としては決定的かもしれませんね。」

アッバスの話を聞いたエリィ達はそれぞれ納得した表情になっていたが

「―――話は大体わかった。ありがとう、参考になったよ。」

ロイドだけは考え込んだ後、ワジ達にお礼を言った。

「それはいいけど………何、その情報だけでいいの?報復を止めろとか、改めて言ったりしないわけ?」

お礼を言われたワジは意外そうな表情をして尋ねた。

「個人的にはもちろん止めたいところだけど………今はまだ、判断材料が少なすぎる。サーベルバイパーの話も聞いて何かわかったら連絡させてもらうさ。」

「フフ、なるほど。あくまで”捜査”に拘りたいのか。なら、面白い話が聞けるのを楽しみにさせてもらおうかな。―――まあ、そうならなかったら血の雨が降るだけの話だけどね。」

「………わかった。せいぜいご期待に沿えるよう、面白い話を持ってくるさ。」

その後ロイド達はトリニティを出た。



~クロスベル市・旧市街~



「さてと……テスタメンツの方は終わったから、後はサーベルバイパーの方だけど………」

トリニティを出たロイドがエリィ達を見回して言ったその時

「そちらの方も先程終わったわよ。」

メヒーシャを連れたルファディエルがロイド達に近づいてきた。

「メヒーシャ、ご苦労様。ルファディエルさんを護衛してくれて、ありがとう。」

「………別に礼を言われるほどではない。」

エリィの言葉を聞いたメヒーシャは静かな表情で答えた後、エリィの身体に戻った。

「ルファ姉。その様子だとヴァルド達からも聞けたんだ。」

「それにしてもよく話してくれましたね………そんな簡単に答えてくれる人達には見えませんでしたけど………」

そしてロイドはルファディエルに話しかけ、ティオは驚きの表情で言った。

「フフ………ああいう人達は交渉事に対して一番扱いやすい人達よ。交換条件も予想通りだったし。」

「交換条件?何だったんだ、それは。」

ルファディエルの説明を聞いたロイドは不思議そうな表情で尋ねた。そしてルファディエルはヴァルド達に説明を聞いた時の交換条件を説明した。

「ええっ!?2人でサーベルバイパーの人達と戦った上、勝ったんですか!?」

「さすがルファディエル姐さんとメヒーシャちゃんッスね!」

「力で従わせる………ですか。単純ですけど一番簡単なやり方ですし、あの人達の場合だとそれが一番効果的ですね。」

ルファディエルの説明を聞いたエリィは驚き、ランディは嬉しそうな表情をし、ティオは納得した表情で頷いたが

「いやいやいや!?ルファ姉、俺達は警察官なんだから私闘は許されないって!」

ロイドは慌てた表情で突っ込んだ。

「あら。私は襲い掛かって来た暴徒から”一般市民”と自分を守る為に戦っただけよ?私闘をした覚えはないわ。一応”正当防衛”になるわね。」

一方ルファディエルはロイドの突込みに笑顔で答えた。

「”一般市民”………?」

「………まさか。メヒーシャの事ですか?」

ルファディエルの説明を聞いたロイドは不思議そうな表情をし、ロイドの疑問の答えがわかったエリィは尋ねた。

「ええ。メヒーシャは私やロイド達と違って警察官ではないから、”一般市民”である事には違いないでしょう?」

「いやまあ、確かにそうかもしれないけど………」

そしてルファディエルに尋ねられたロイドは疲れた表情で溜息を吐き

「メヒーシャが”一般市民”って………」

「………正直言って詐欺に近いですよね。メヒーシャさんの実力や正体を考えたら、どう考えても”一般市民”の枠に入らないですし………というか”正当防衛”ではなく、”過剰防衛”の気がするのですが。」

エリィは表情を引き攣らせ、ティオはジト目でルファディエルを見つめ

(フッ………相変わらず口が上手い奴だな……)

「か~!そういう強かな所も素敵ッス!」

(あっははは!シェヒナと知恵を競い合っていた奴に口で勝つなんて、普通の人間では無理だよ!)

(かかかっ!どうせそんな事だろうと思ったぜ!)

ラグタスは口元に笑みを浮かべ、ランディは嬉しそうな表情でルファディエルを見つめ、エルンストとギレゼルは笑った後口元に笑みを浮かべていた。

「フフ………戦ったといっても全員怪我をしていないから、安心しなさい。」

「そういう問題じゃないよ……ハア…………それで?ヴァルド達からはどんな情報が聞けたんだ?」

ルファディエルに微笑まれたロイドは溜息を吐いた後、気を取り直して尋ね、そしてルファディエルはヴァルド達から聞いた情報を説明した。



「………どういう事かしら?どちらのメンバーも闇討ちに遭っているなんて。」

「どちらかが嘘を付いている………そういう訳でも無さそうですね。」

「…………………………」

ルファディエルの情報を聞き、テスタメンツの情報と照らし合わせたエリィは考え込み、ティオは静かな表情で頷き、ロイドは考え込んでいた。

「………どうしたの?」

ずっと考え込んでいるロイドの様子に気づいたエリィは尋ね

「ああ、いや………ただ、少し妙だと思ってね。」

「妙………ですか?」

エリィの言葉に答えたロイドの話を聞いたティオは首を傾げた。

「ああ………どちらも5日前の夜………違う場所で同時に襲われている。お互いが偶然、相手のメンバーを闇討ちするつもりだったとしても………同時にそれだけの人数が動いていたらお互いに気付かないって事があるか?」

「あ………」

「………確かにそうだな。戦闘のプロ同士でもない限り、普通なら考えられない状況だぜ。」

「では、どちらかが先にやられてその報復のため動いたというのは?」

ロイドの推測を聞いたエリィとランディは頷き、ティオは疑問に思っている事を口にした。

「ううん、それもおかしいわ。当然、先に闇討ちした方は相手の報復を警戒するはず………なのにどちらのメンバーもあっけなく不意を突かれている………そういう事よね、ロイド?」

「ああ………この事件、何かがおかしい。必要なパズルのピースが欠けてしまっているみたいな………」

「…………………………」

そしてティオの疑問を否定して説明したエリィの話にロイドは頷いて考え込み、ルファディエルが黙ってロイドを見つめていたその時

「フフン、お困りのようね?」

聞き覚えのある女性の声が聞こえた後、以前会った事のあるクロスベルタイムズの記者の女性―――グレイスがロイド達に近づいてきた。

「あ、あなたは……!?」

「クロスベルタイムズの………」

「ハロハロー。また会っちゃったわね。おっと、いい構図!」

驚いているロイドとエリィの言葉を聞いたグレイスは軽く手を上げた後、カメラで数枚ロイド達に写真を撮った。



「っ………」

「………肖像権侵害です。」

写真を撮られたロイドは厳しい表情になり、ティオはジト目でグレイスを見つめた。

「いや~、職業柄、いい()が撮れそうだと反射的にやっちゃうのよねぇ。まあ、記事の写真に使うかもしれないんだし。ケチケチしないでほしいなぁ。」

「あ、あのですね………」

「また、あんな記事を書いて笑い者にするつもりですか?」

グレイスの言葉を聞いたロイドは厳しい表情でエリィと共にグレイスを睨んだ。

「あはは、おかげであの記事、結構評判みたいでね~。それよりも、何だか今度は面白いネタに絡んでるみたいね?ちょっとお姉さんの取材に協力してくれないかしら?この前の記事のお礼としてお姉さんが奢ってあげるからさ。」

「くっ………捜査中の情報を、部外者に簡単に洩らせるわけないでしょう。それもマスコミの人間なんかに。」

「もう、つれないなぁ。せっかく美味しい東方料理をご馳走してあげるのにぃ………デザートとして『欠けたパズルのピース』もね。」

「なっ………」

「なるほど………情報交換ってことか。」

グレイスの意味ありげな言葉を聞いたロイドは驚き、ランディは納得した表情で頷いた。

「うふふん……………♪その気があるなら東通りに出た所にある『龍老飯店』にいらっしゃい。お姉さん、先に一人で飲んで待っててあげるから。――――そうそう。まだ名乗ってなかったわね。”クロスベルタイムズ”の記者、グレイス・リンよ。グレイスお姉さんって呼んでね♪」

ロイド達の反応を見て口元に笑みを浮かべたグレイスは自己紹介をした後、ロイド達から去って行った。

「グレイス・リン………クロスベルタイムズの記者か。」

「ウサン臭そうな姉さんだが色々と情報は持っていそうだな。ここは誘いに乗ってみるか?」

グレイスが去った後ランディはロイドに尋ね

「う、うーん………ご馳走になるかはともかく、話を聞くだけは聞いてみよう。本部がアテにならない以上、少しでも多くの情報が欲しい所だ。」

尋ねられたロイドは考え込んだ後、答え

「………そうね。記者なら情報通でしょうし。ただ、話しすぎないよう、こちらも気を付けておかないと。」

「………同感です。気を抜いたらどこまでも図々しくしてくるタイプかと。」

「………まあ、記者という職業は総じてそんな性格でないとやっていけないわよ?」

エリィとティオはそれぞれ忠告し、ルファディエルは苦笑しながらティオの言葉を補足した。

(うーん………散々な言われようだな。)

エリィ達の話を聞いたロイドは苦笑した後、グレイスに話を聞く為に仲間達と共にグレイスがいる『龍老飯店』に向かった…………











 
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