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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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外伝~受け継がれていく意志~

”聖痕”が放った眩い光が消えると、かつて”黒騎士”と戦った場所―――狭間にケビンとリースが立っており、共に戦った仲間達は周囲にはいなかった。



~狭間~



「こ、ここは………!?」

「”黒騎士”と戦った………」

光が消え、自分達がいる場所にリースが驚き、ケビンが真剣な表情になったその時



………ここは彼と相談して私が築いた別れの場所。ふふ………やっぱり役に立ったわね。



女性の声が”狭間”に響いた後、ケビン達の目の前に蒼い光を放っている”星杯騎士”の姿をしたルフィナが現れた!

「あ………」

「ね、姉様………」

騎士姿のルフィナを見たケビンは呆け、リースは微笑んだ後、ルフィナに近づいた。

「騎士装束………やっと………”聖痕”から解放されたんやな。」

「ふふ、おかげさまでね。2人とも………本当によく頑張ったわね。あれだけの困難を最後まで決して諦めずに…………うんうん。さすが私の自慢の弟と妹ね♪」

穏やかな目をして自分を見つめるケビンの言葉に頷いたルフィナは優しげな微笑みを浮かべた後、嬉しそうな表情をした。

「………姉様…………」

「………はは………ホンマ、相変わらずやな。それにしても………”聖痕”はちゃんと消えたんか?」

ルフィナの表情を見たリースは微笑み、ケビンは苦笑した後尋ねた。

「いいえ………まだ、私の中に残っているわ。あなたたちが勝ったことでようやく抑えられたけど………このまま放っておけばすぐに力を取り戻すでしょうね。」

「そうか………」

「ど、どうしたら………」

そしてルフィナの説明を聞いたケビンは目を伏せて頷き、リースは不安そうな表情をした。

「………だからね、ケビン。最後はあなたの手で止めを刺して欲しいの。」

一方ルフィナは静かな表情でケビン達にとって驚くべき話を口にし

「え………」

「ね、姉様………まさか!?」

話を聞いたケビンは目を見開いて驚き、リースは信じられない表情でルフィナを見つめた。

「そう。ここにいる私ごとよ。そうすれば、この世界にコピーされた”聖痕”は完全に消滅するでしょう。セレストさん………だったかしら?彼女の力も戻るはずだからきっとあなたたち全員を元の世界に帰してくれるはずよ。………勿論、時を超えた仲間の方達もそれぞれの時間軸に帰してくれるし………元の場所ではなく、新たな場所に”帰る”事を望んでいる2人………エレナさんとシルフィエッタさんだっけ?彼女達もそれぞれが望む場所――――あなた達の仲間の方達の隣へと送ってくれるはずよ。」

「で、でも………そんな………!」

ルフィナの説明を聞いたリースは辛そうな表情で焦った。

「なあ姉さん………それが必要なんやな?」

一方ケビンは穏やかな目でルフィナを見つめて尋ねた。



「ええ………それ以外の選択肢は存在しない。5年前のあなたは、暴走して殆ど意識も無かったけど………今度は、あなたは自分の意志でそれを行わなくてはならないわ。」

「…………………………」

「姉様………ひどいよ………!ケビンにまた………そんな事をさせるなんて……!それに………それに……そうなったら姉様は………!」

そして疑問に答えたルフィナの話を聞いたケビンは真剣な表情で考え込み、リースは悲しそうな表情をした後、ルフィナを睨んだ。

「ごめんね、リース………でも、これだけはどうしても私が言わなくてはならないから。」

リースに睨まれたルフィナは辛そうな表情で語った後、真剣な表情に戻してケビンを見つめて言った。

「―――――ケビン・グラハム。最後にもう一度だけ言います。私を滅して皆と共に元の世界に還りなさい。姉として、騎士の先輩として、あなたのお母様の代わりとして…………私にできる最後の忠告です。」

「………あ…………」

優しげな表情のルフィナとルフィナの話を聞いたリースは悲しそうな表情になり

「………はは………ホンマ………優しいくせに誰よりも厳しい姉さんやな………でも………それでこそルフィナ姉さんや。」

ケビンは辛そうな表情になった後苦笑し、そしてボウガンをルフィナに向けた!

「ケビン………!」

それを見たリースは辛そうな表情をし

「ごめんな、リース………2度も……お前の姉さんをこの手に掛けることになって………」

ケビンは寂しげな笑みを浮かべてリースを見つめた。

「だ、だったら………だったら私も一緒に撃つ!」

そしてリースは身体を震わせた後、驚くべきことを大声で叫んだ!



「なっ………!?」

「………え………」

リースの叫びを聞いたケビンとルフィナはそれぞれ驚いた。

「も、もう私は………2人に置いてかれたくない………!見ているだけはイヤ………!ただ待っているのもイヤなの!それが必要だというなら………今度は私も………ケビンと一緒に罪を背負う!」

「リース………」

「ふふ………なるほどね。5年か………本当に成長したわね。たしか、ケビンと同じくアインに師事したのよね?ふふ………彼女には感謝しなくちゃ。」

リースの決意を聞いたケビンは真剣な表情をし、ルフィナは優しげな微笑みを浮かべた。

「ね、姉様………」

「………私は異存はないわ。ケビン、あなたが決めなさい。」

「ちょ、ちょっと待ってや!これはオレが………オレ一人が背負うべきものやろ!?なんでリースまでそんな………」

ルフィナの話を聞き、慌てたケビンがルフィナを見つめたその時

「―――――君も男だろう!ケツの穴の小さいことを抜かすな!」

ケビンを見つめて大声で普段の口調ではない口調で叫んで、ケビンとリースを驚かせた。

「って、アインだったら一喝してるかもしれないわね。まあ、私はあくまでケビンが好きに決めればいいと思うけど。」

そしてルフィナの説明を聞いたケビンとリースは脱力した後

「ね、姉様ったら………」

リースは苦笑し

「はは………もう………ホンマかなわんわ……………………………」

ケビンは寂しげな笑みを浮かべた後、ボウガンを片手で肩に担いで、もう片方の手をリースに差し出した。



「リース……こっち来いや………2人で………一緒にボウガンを持とう。」

「………うん………」

そしてリースは差し出されたケビンの手を握った後、ケビンと身体を合わせてボウガンを握って、ルフィナに向けた。

「ふふ………私もまだまだだったわね。そんな選択………思いつきもしなかった。」

一方ルフィナは静かな笑みを浮かべて語り

「え………」

「姉様………?」

ルフィナの語りを聞いたケビンとリースは戸惑った表情をした。

「ねえ、ケビン……………さっき、私が立っていた場所まで歩いていくつもりって言ってたわね?」

「あ、ああ………先は長そうやけど………そうさせてもらうつもりや。」

「それはあなたの自由だけど………出来れば、考え直して欲しいかな。私もずっと………迷い、悩みながら歩んできた。…………誰もが幸せになれる世界。それが存在し得ないと知りながら少しでもそれに近づけないかと必死になって足掻く毎日だった………」

「………望むところや。」

「私も………できれば私も姉様と同じ道を歩きたい。」

複雑そうな表情で語るルフィナにケビンとリースは決意の表情でルフィナを見つめ

「ふふ……仕方ないわね………だったら………だったら私のいた場所なんて小さなことを言わないで。私が夢見て、辿り着けなかったそんな場所を目指して欲しい。あなたたちなら………きっとそれが出来ると思うから。」

見つめられたルフィナは苦笑した後、静かな微笑みを浮かべた。

「姉様………」

「はは………メッチャ大変そうなことをさらりと要求するなぁ………でも………わかった。そこまで言うんなら意地でも目指したるわ。」

「……うん、約束。」

「ふふ………あくまであなたたちのペースでね。―――さてと。あまり待たせてしまっては他の人達にも悪いかな。ケビン、リース……そろそろお願いね。」

ケビンとリースの”約束”を聞いたルフィナは微笑んだ後、静かに2人を見つめた。



「………ああ………」

「………うん。」

そしてルフィナの言葉に辛そうな表情で頷いた2人は矢を番えたボウガンをルフィナに向けた。

「…………っ……………」

「大丈夫………オレが付いてる………ゆっくり………そう………ゆっくりでいい。」

辛そうな表情をしたリースにケビンは穏やかな目で見つめて助言し

「ふふ………あなたたち2人に女神達の導きがありますように………ケビン………リースのことをよろしくね。」

2人の様子を満足げな微笑みを浮かべて見つめていたルフィナは両手を広げ、優しげな微笑みを浮かべてケビンを見つめた。

「……ああ、任せといてや。今まで………本当に………ありがとう。」

「ね、姉様………わたし………わたし………」

ルフィナの言葉にケビンは静かに頷き、リースは涙を流しながらルフィナを見つめ

「ふふ………リースもケビンのことをよろしくね。2人とも………いつまでも仲良く元気で………幸せにね。」

「ね、姉様………うん………!大丈夫だから………だから………!」

「さよなら………ルフィナ姉さん………」

そしてケビンと共にボウガンの矢を放った!放たれた矢はルフィナの心臓の部分に刺さり、ルフィナは地面に崩れ落ちて膝をついた後宙に浮き、穏やかな微笑みを浮かべて光に包まれ、光は蒼い”聖痕”の形を見せた後、分散して消滅した!



「………あ…………」

消滅していく様子のルフィナを見たリースは呆けた声を出し

「………ううっ………ああっ…………」

涙を流して泣き出した。

「………リース………大丈夫や。いつの日か………俺たちも辿り着けるはずや。姉さんが夢見て……辿り着こうとしてた場所に………多分………姉さんはそこに先に向かっただけのことや………だからきっと………きっとまた………会えるやろ。」

一方ケビンは穏やかな目でリースを見つめて、涙を流して泣いているリースを自分の胸に引き寄せてリースの頭を撫で

「ううううっ………ああああっ…………わぁあああぁぁぁっ!」



リースはケビンの胸で涙を流して大声で泣き続け、そして光が異空間全体を包み込み、ケビンとリースがいる”狭間”は光に包まれた…………




 
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