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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦艦ナデシコ
  1362話

 小惑星をくり抜いて作った軍港という事であまり期待はしていなかったのだが、実際に入ってみると結構設備が整っているのが分かる。
 木連の人数が具体的にどれくらいいるのか分からないが、それでもこうして見る限りではかなり高い国力を持ってるんじゃないだろうか。

「あ、ちょっと。あそこ見て、あそこ!」

 不意に美砂がシロガネの周囲を映し出している映像モニタの1つを指さす。
 その視線を追うと、そこに映し出されていたのは見覚えのある機体だった。

「バッタ?」

 そう、それはバッタだった。
 ただし、その大きさは今まで俺達が戦ってきたバッタとはかなり違う。
 具体的には、3分の1……いや、4分の1くらいの大きさか?
 今まで戦ってきたバッタだったが、ここまで小さくなるとペットロボットのようにすら思えてくるな。
 そしてバッタが何をしているのかと言えば、軍港の中で荷物を運んだり、何らかの作業をしたりといった風な行動をしていた。

「なるほど。この軍港が妙に立派だと思ったけど、バッタを労働力として使ってるのね」

 美砂の言葉通り、木連ではバッタは重要な労働力なのだろう。
 それで人口不足を補っているといったところか。
 その辺は俺達シャドウミラーとも似ているが、バッタの大きさを変えているというのは、少し驚いた。
 ホワイトスターにあるメギロートの生産プラントは、殆ど手を出せない状況にある。
 もしプラントを弄れたら、メギロートにブラックホールエンジンを装備させてるだろうし。
 そうすればバリアを装備でき、機体重量も軽くなり、サークル・レーザーの出力も上がると、良い事ずくめだ。
 そういう意味では火星古代文明の遺産を使っているだろう木連の方が俺達よりも進んでいるという事になるのか。
 勿論火星古代文明とエアロゲイターという面でそう簡単に比べられるものじゃないのは分かるんだけど。

「うちもメギロートを労働力として使ってはいるけど、大きさの問題から基本的に外での仕事になるのよね。メギロートも小さく出来ればいいんだけど」

 俺と同じ事を考えていたのだろう。千鶴が残念そうに呟く。
 確かにシャドウミラーは木連程に無人機を有効利用は出来ていない。
 だが、その代わり……というのとはちょっと違うが、量産型Wという存在がいる。
 この点に関しては、完全にシャドウミラーの方が木連よりも上だ。
 量産型Wとバッタのどっちが効率的に作業を出来るかと言えば、当然人型の量産型Wだ。
 外で重機代わりに使ったりするのはメギロートを使えばいい訳で……そう考えれば、総合的にはシャドウミラーの方が上だと思う。

「いやはや、私から見ればシャドウミラーも木連もどちらも凄いとしか言えませんよ」

 ブリッジに入ってきたヨシサダがしみじみと呟くが、そこにあやかが笑みを浮かべて口を開く。

「あら、連合軍の場合は人数が多いんだから、その辺の心配はいらないのではないですか? ああいう風にバッタがやっている仕事も、軍人が出来る訳ですし」
「人間とロボットでは、やはりロボットの方が作業効率は上ですよ。何か事故があっても、死人が出ませんし」

 千鶴とヨシサダがそんな風に言っている間に、やがてシロガネが軍港への入港を完了した。
 本来であればブリッジにヨシサダを入れるのはしないつもりだったのだが、木連との初接触に備えて意思疎通をしておいた方がいいという事になり、先程ヨシサダはブリッジへとやって来たのだ。
 一応連合軍とは友好関係にあるから、ブリッジを見せるくらいであれば、寧ろシャドウミラーの技術力を見せつけるという事になるという意見があったのも、ブリッジ入りが許可された理由なのだが。

「さて、到着したし、そろそろ行くか。……影のゲートで転移するが、構わないか?」

 この中で唯一影のゲートを使用した事のないヨシサダに尋ねる。
 もしどうしても嫌だと言うのであれば、それこそヨシサダと共に格納庫まで歩いて行く必要がある……と思っていたのだが、予想外な事にヨシサダは笑みを浮かべて頷きを返してきた。

「おお、実は一度体験してみたいと思っていたのですよ。アクセル代表はこの影のゲートというのを使って、自由に移動出来るとか。それを経験出来るとは……」

 何というか、こう……随分と頭が柔らかいな。
 いや、だからこそミスマルが推薦してきたんだろうけど。
 勿論ただ頭が柔らかいってだけじゃなくて、影のゲートという転移を一度経験してみる必要があると思っているといったところか。
 実際に経験してみないと、具体的にどんな感じなのかは分からないだろうし。

「分かった。じゃあ、会談に向かうメンバーは集まってくれ」

 その言葉に従い、エザリア、あやか、千鶴、ヨシサダの4人と一応護衛ということで量産型Wが2人やってくる。
 ぶっちゃけ、量産型Wの護衛というのは俺達じゃなくてヨシサダ用だよな。
 シャドウミラーのメンバーなら、大抵この世界の住人は生身でどうとでもなるし。

「お? おお? おおおおお!?」

 影に沈んでいく感覚に、ヨシサダが悲鳴とも歓声ともつかない声を上げる。
 いやまぁ、生まれて初めての感覚なんだし、無理もないか。
 そうして影に沈んだと思った次の瞬間には、俺達の姿はシロガネの格納庫にあった。
 俺達を見つけたイザークとオウカが近寄ってくる。

「母上、お気を付けて」
「皆さん、何かあったら……と、心配するまでもないでしょうけど、それでも一応気をつけては下さいね」

 そんな激励を貰い、俺達は揃って格納庫から出て行く。

「エザリアさん、こちらです!」

 格納庫から軍港へと降り立った俺達を出迎えたのは、当然ながら白鳥。
 近くには星刻のような黒い長髪をした白い学生服の男もいる。
 いや、白鳥も白い学生服を着ているし、もしかしてあれが木連の軍服なのか?
 ……何で学生服?
 勿論ただの学生服じゃなくて、色々と手を加えられてはいるんだろうが……それでも何故学生服の形にしたのかには疑問に思う。
 疑問を抱きつつも、俺達は白鳥の方へと向かい……

「待て、九十九!」

 俺達が近づいた瞬間、白鳥ではないもう1人の方の男が鋭く叫ぶ。
 その声同様に鋭い視線が向けられているのは、俺……ではなく、俺達の後ろにいるヨシサダだった。

「見ろ、奴の制服は連合軍の物だ! つまり、このシャドウミラーという者達は悪の地球人と繋がっているんだ!」
「そ、そんな事は……」

 いや、何だよ悪の地球人って。本当にヤマダモドキっぽい感じだな。

「エザリアさん、これは一体?」

 白鳥が救いを求めるようにエザリアに尋ねてくるが、元々ここで連合軍の軍人であるヨシサダの存在が問題になるというのは、前もって予想されていた事だ。
 だからこそ、エザリアも特に動揺した様子もなく口を開く。

「私達が最初に姿を現したのが地球だった以上、連合軍と交渉するのはおかしくないと思いますが?」
「見ろ! やはりこいつらは俺達を相手に何か罠を仕掛ける気だ! こんなキョアック星人のような奴等を信用するのは間違ってたんだ! 九十九、今からでも遅くはない。草壁閣下にこの件を知らせて、然るべき処置を……」
「待て、元一朗。もし俺達を罠に仕掛けるのであれば、こうも堂々と連合軍の軍人を連れてくる筈がない。であれば、これには全く別の何かがあるのではないか? ……エザリアさん、その辺はどうなんでしょうか?」
「正確にはこちらのヨシサダ少将は、私達と貴方達木連との交渉の見届け人という立場よ」

 エザリアの言葉に合わせるように、ヨシサダが俺達の前に出る。
 それを見た瞬間、元一朗と呼ばれた男が懐へと手を伸ばし掛けるが……

「待て、元一朗!」

 量産型Wがヨシサダとエザリアを庇うように前に出て、俺が瞬動を使って元一朗とやらとの距離を縮めようとした瞬間に白鳥が叫ぶ。
 その声に元一朗とやらは動きを止め、何故止めるのかと白鳥を睨み付けた。

「何故だ九十九! この者達は悪の地球人の手先! そんな悪はこの俺が滅ぼしてくれる!」

 何だろうな、悪の地球人とか言われると微妙に苦笑が浮かんでくる。
 まあ、それでもこのままにしておけばいらない騒動になるが……
 どうする? とエザリアの方へと視線を向けると、それに頷きが返される。
 どうやらやってもいいって事らしい。
 こちらの実力を見せつけ、迂闊な行動を取らせなくする。……いつもやってる事だし、そんなに気にする必要はないか。
 未だに何やら言い争っている2人に向け、瞬動を使って一瞬にして男の……元一朗と呼ばれている男の側へと姿を現す。

「なっ!?」

 それに気が付き、懐の中に入れた手を出そうとするが……その腕を掴み、動きを止める。
 何とか必死に腕を抜こうとするが、俺の身体能力を考えればそれは無駄以外のなにものでもない。

「諦めろ。俺とお前達では、そもそも存在の格が違う」

 悪の地球人とか言っている、ヤマダモドキ。……混沌精霊としての俺の姿を見せれば、まず間違いなく敵対しそうだな。

「くっ! この馬鹿力め! これでも受けてみろ!」

 空いている左手をこちらに伸ばしてくる男は、自分の右手を押さえている俺の右手を握り……へぇ。
 瞬間、男の顔は驚愕に固まる。
 今、自分が何をしようとしたのか、そして出来なかったのかを理解しているのだろう。
 この男が今やろうとしたのは、何らかの生身の攻撃。それも柔道とか合気道とか、そっち系等の相手の力を利用して放つ攻撃だ。
 だが、その攻撃を仕掛けようとした瞬間、俺はその力を完全に受け流した。
 まさか自分の攻撃がこうも簡単に受け流されるとは思ってもみなかったのだろう。
 余程自分の力に自信があったようだが、このナデシコ世界の住人が俺と生身で戦おうなんて、自殺行為でしかない。
 いやまぁ、機体を使った戦いでもニーズヘッグがある以上は大して変わらないんだが。

「どうした? 何かしたか?」

 力を受け流したのを表に出さず、敢えて何もなかったかのように尋ねる。
 そんな俺の言葉で、白鳥も何が起きたのか理解したのだろう。慌てて男の肩へと手を伸ばす。

「おい、元一朗! いい加減にしろ! 確かにエザリアさん達は地球人を連れてきたが、だからって一国の使者として来た相手を攻撃していい筈がないだろう! そんな真似をしては、それこそ自分達が悪だと言っているようなものだ!」
「ぐっ、し、しかし……」

 何かを言い返そうとするのだが、その前に白鳥が口を開く。

「すいません、エザリアさん。それに他の皆さんも。この男は月臣元一朗といって、私の部下……いえ、親友です。元々熱い男で、地球に対しては、その……」

 言葉を濁す白鳥。
 なるほど、この元一朗……いや、月臣という男は白鳥よりも更にヤマダタイプな訳か。

「君も。もう元一朗の手を離してくれないか。もうこれ以上勝手な真似はさせないから」

 うん? ああ、そうか。そう言えば俺の自己紹介はまだだったな。だからこそ、白鳥の視線はエザリアにばかり向けられていた訳だ。
 この場にいる者の中で、エザリアが一番偉い責任者だと判断していた訳か。

「……離せっ!」
「悪かったな。まさかこんなに力が弱いとは思わなかったんだ」

 強引に俺から離れる月臣だったが、今回はそれを妨害したりはしない。
 俺から距離を取って睨み付けてくる月臣を見送り、エザリアの側に戻る。
 そして俺が立ったのはエザリアの前。
 そう、明らかに俺の方がエザリアよりも上の立場だと態度で示した訳だ。
 そんな俺の様子に、白鳥は不審そうにしながら口を開く。

「……名前を聞いてもいいかな」
「そうだな、自己紹介がまだだった。俺の名前はアクセル。アクセル・アルマー。シャドウミラーの代表を務めている」
「っ!? ……随分と若い代表なのですね」

 一瞬息を呑む白鳥だったが、それでもすぐに我に返ったのはさすが俺達との対応を任された人物だというべきだろう。
 月臣の方は、信じられないといった視線を俺の方へと向けていた。

「とにかくだ。そこにいるムネタケ・ヨシサダは俺達シャドウミラーの客人だ。それに手を出すという事は、俺達と敵対する事になると判断して欲しい」
「……分かりました。ですが、元一朗の件を見ても分かる通り、我々木連は地球に対して強い憤りを抱いています。私達と地球の関係はご存じですか?」
「その辺は聞いている。だが、連合軍の中で木連の件を知っているのは本当に上層部の極一部だけだ。例えば、このヨシサダは少将という地位にいるが、木連については知らなかった」

 その言葉に、俺達の後ろからヨシサダが前に進み出る。

「私達が木連に対して行った事は、決して許される訳ではないでしょう。その件については、後日きちんと明らかにする予定です。ですが、今回の私はあくまでもシャドウミラーと木連の会談の見届け役としてやって来たのです。その辺を汲んで貰えると助かります」

 そう告げ、深々と一礼するのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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