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英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第27話

ロイド達が西クロスベル街道に向かったその頃、ルーク達と合流したレンがルーク達と共に遺跡の前に到着すると悲鳴が聞こえてきた。



~古戦場~



「だ、誰か助けてくれぇ~~~!!」

「女神様~~~~っ!!」

「レン!」

「ええ!」

悲鳴を聞いたルークとレンは表情を引き締めて遺跡の前に魔獣達に包囲されているカップルを見つめた。



「な、なんで俺達がこんな目に………!」

「な、何とかしてよ!男でしょう!?」

「む、無茶言うなよ!……誰か~!!誰かいないのか~!?」

男性の観光客が悲鳴をあげたその時魔獣達は徐々に距離を詰め始めた。

「ひ、ひぃぃぃ……!!女神様、お助けを……!!」

「誰でもいいから助けて~……!!」

そしてカップルが悲鳴を上げたその時!

「炎よ集え!魔王炎撃波!!」

ガイが凄まじいスピードで近づいて跳躍してカップルの前で闘気の炎を纏った剣を振るって炎の斬撃波を放って魔獣達を怯ませた!



「へ………」

「え………」

「ガイ様、華麗に参上ってか。大丈夫かい、お二人さん。」

「あ、あんたは一体………」

「も、もしかして私達を助けに来てくれたんですか……!?」

ガイの登場にカップルが戸惑っていたその時レン達も追いついた。

「うふふ、ガイお兄さんに美味しい所を持っていかれちゃったわね♪」

「さすがガイさんですの!」

「ったく、今はそんな事を気にしている場合じゃないだろ……遊撃士協会とクロスベル警察の者だ!俺達が魔獣を惹きつけている間に避難してくれ!」

ガイの登場の仕方に感心しているレンとミュウに呆れたルークはカップルに指示をし

「あ、ああ……!」

「あ、ありがとうございます……!」

ルークの指示に頷いた二人は急いで避難し、ガイは素早くルーク達の元へと戻った。すると魔獣達は咆哮を上げてレン達を睨んだ。



「……へえ?この辺りでは見かけないタイプの魔獣みたいね。」

「少なくてもこの辺りに棲息しているどの魔物でもないでしょうね……!見た所竜に似ているタイプの魔物だけど……―――!もしかして……古代から棲息していた魔物……!?」

レンは意味ありげな笑みを浮かべて魔獣達を見つめ、ティアは厳しい表情で魔獣達を睨んでいた。

「へっ、”影の国”で戦った奴等と比べれば大した事ないだろう!ティア、ガイ、レン!全て撃破するぞ!」

「「ええ!」」

「おうっ!」

そしてルークの号令を合図にレン達は戦闘を開始した!



「A(アンチ)ディフェクター発動……解析完了!4属性は全て弱点だけどその中でも水属性が一番の弱点よ!」

「了解!貫け、氷の刃!絶衝氷牙陣!!」

魔導杖で魔獣を解析したレンの助言に頷いたガイは魔獣の弱点属性かつ広範囲を攻撃するクラフトを放って魔獣達にダメージを与えると共に怯ませた。

「うふふ、まだ終わらないわよ♪二の型――――疾風!!」

敵が怯んだ瞬間ガイと戦術リンクを結んでいたレンは間髪入れずに追撃を叩き込んだ。

「炎の刻印よ、敵を薙ぎ払え、フラムルージュ!エニグマ駆動――――エアリアル!!」

その時術の詠唱とオーブメントの駆動を終えたティアが炎を発生させる術を放った後にアーツで竜巻を発生させ、竜巻は魔獣達を襲う炎と合体して炎の渦と化して魔獣達に反撃を許さないかのように炎を魔獣達を襲い続けた。

「これで終わりだっ!はぁぁぁぁぁぁ………っ!」

炎の渦が消えかかる頃にルークは魔獣達の目の前へと詰め寄って剣を空中に掲げた。すると剣に莫大な闘気が収束されると共に周囲に光の螺旋が発生し

「アルバート流最終奥義――――神葬星条破――――――ッ!!」

闘気を収束した剣を地面に叩き込むと光の波動と白い羽根が戦場を覆い尽くした!そしてルークが放った絶技――――神葬星条破が終わると魔獣達は消滅していた!



「お、終わったのか……?」

魔獣達の消滅を確認してそれぞれの武器を収めたレン達の様子を見守っていたカップルはレン達に近づいた。

「ああ、そっちはケガはしていないか?」

「は、はい……!皆さん……どうもありがとうございました!なんとお礼を言っていいか……」

「うんうん、いいものをみたよ!あんな強そうな魔獣をあんな短時間で倒すなんてな!」

ルークの言葉に対して女性はレン達に対して感謝の言葉を述べ、男性は興奮した様子で答えた。



「あの、ガイさん、でしたね?先程私達が危なくなった時真っ先に駆けつけてくれたお陰で本当に助かりました………それに、剣の腕も……すごいんですね……♪」

「ちょ、ちょっと……?」

「ハハ、とにかく無事で何よりだ。」

憧れの目でガイを見つめ始めた女性に男性は冷や汗をかいて焦り始め、ガイは特に気にした様子はなく笑顔で答え、その様子を見守っていたレン達は冷や汗をかいて脱力した。

「ガイ……頼むからトラブルを自ら作るのはマジでやめてくれよな~。俺達はトラブルを解決する為に来ているのに、別のトラブルを作ったら本末転倒だろ……」

「ハア……あれで天然なのだから本当に性質が悪いわよね……」

「ガイさんですから仕方ありませんの!」

「うふふ、ロイドお兄さんも成長したらガイお兄さんみたいになるでしょうね♪それよりも早く二人をアルモリカ村に送った方がいいのじゃないかしら。お兄様、殿(しんがり)はレンが務めるからお兄様達は先導をお願い。」

ルークと共に呆れた表情で溜息を吐いたティアにミュウは無邪気な笑顔を浮かべて答え、レンはからかいの表情でガイを見つめた後気を取り直してルークに視線を向けた。

「わかった。じゃあ俺達がアルモリカ村まで先導するからついてきてくれ。」

その後レンはルーク達と共にはカップルを護衛し、アルモリカ村まで無事送り届けた後依頼者に報告し終えた後ルーク達と別れ、クロスベルに戻る為にバスを待ち始めた。



~西クロスベル街道~



一方その頃西クロスベル街道に向かったロイド達は途中に止まっている運搬車の運転手から状況を軽く聞いた後、急いでコリンを捜しながら街道を進んで行くと、子供の声が聞こえ、その方向を見ると写真通りの子供が無邪気な笑顔で蝶々を追いかけていたので、それを見て安心したロイド達は保護する為に子供―――コリンに近づいた。

「はあ、あれを追ってここまで来ちゃったのか………」

「ハハ、随分と好奇心旺盛なガキンチョだな。」

「……………………」

無邪気に蝶々を追いかけているコリンを見たロイドとランディは苦笑し、ユウナは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「ふふ、それじゃあ保護するとしましょうか………」

そしてエリィが微笑みながらロイド達にコリンの保護を促したその時

「あっ………!」

「あれは………!」

なんと蝶々を追っていたコリンが段差から現れた狼型の魔獣に囲まれた!



「ふえ………?」

魔獣に囲まれたコリンは首を傾げ

「まずい………!」

「クッ………間に合うか!?」

「あの数だと牽制も………!」

それを見たロイド達がそれぞれ武器を構えたが、コリンが魔獣に襲われる事を防ぐことが間に合わない事に気づいて表情を歪めたその時!

「………っ……!」

ユウナは大鎌を構えて魔獣達に凄まじいスピードで詰め寄り

「ハア……!?」

「ユウナさん……!?」

それを見たランディとティオは驚いた。



「はわ~っ………」

一方魔獣に囲まれたコリンが呆けていたその時!

「さがりなさいッッ!!」

大声のユウナの警告が聞こえ

「邪魔よっ!!」

コリンの傍に現れたユウナがクラフト―――カラミティスロウを放って、数体の魔獣を真っ二つにして絶命させた!

「…………………」

それを見たコリンが呆けたその時、ユウナはコリンを抱きかかえて、後ろに跳躍し、ユウナと交代するかのようにロイド達が駆け付けた!

「お兄さんたち、お願い………!」

「―――任せろ!」

「残りは片付けるぜ!」

そしてロイド達は狼型の魔獣との戦闘を開始し、協力し合って、若干苦戦しながらも魔獣達を倒した!



「ふう………」

「正直、危なかったぜ………」

戦闘を終えたロイドとランディは安堵の溜息を吐いた。

「そうだ………ユウナちゃんとコリン君は!?」

ユウナとコリンの事を思い出したエリィは声をあげた後、コリンを抱きかかえているユウナにロイド達と共に近づいた。

「…………………………」

「………もう、大丈夫よ。コワイ魔獣はお兄さんたちが退治してくれたから………だから、安心していいわ。」

黙り込んでいるコリンにユウナが優しげな口調で声をかけた。

「ふえっ………うくっ………」

「ちょ、ちょっと………」

するとコリンは今にも泣きそうな表情になり、それを見たレンが戸惑ったその時

「うううううっ………うわあああああああああん!」

コリンは大声で泣き始めた!



「ど、どうして泣くのよ………もう危なくないって言ってるのに………あなたなんか………あなたなんか………本当は助けるつもりなんて………ゼンゼンなかったのに………!」

コリンの行動にユウナは戸惑った後、辛そうな表情で叫んだ。

「………ユウナ………」

「ユウナさん………」

「バカみたい………!……ほんとバカみたい………!見てるだけって決めたのに………!おねえちゃんみたいに絶対に関わらないって決めたのに………!どうして………どうしてユウナは………!」

「ユウナちゃん……」

「…………………………」

仲間達がそれぞれ辛そうな表情でユウナを見つめる中、考え込んでいたロイドはユウナの近くに歩いて膝をつき

「―――君……いや、君とレンの事情は知らない。でも、きっと君は君とレンにとって大切なものを守ったんだ。他ならぬ君自身の手で。その腕に感じてるぬくもりが何よりの証拠だよ。」

優しげな口調でユウナに声をかけた。



「っ………」

「不甲斐ないけど、俺達は君の手伝いをしただけだった。でも、それでも光栄に思う。ユウナ―――君が二人の大切なものを守る手伝いができて。」

「ううっ………ああっ………うわあああああああああん!」

「ふえええええええええええん!」

そしてロイドの言葉を聞いたユウナはコリンと共に大声で泣き叫んだ!



その後コリンを保護したロイド達はユウナと共に支援課のビルに戻った――――


 
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