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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第92話

~トールズ士官学院・1年Ⅶ組~



「それにしても……改めて思ったけど、僕達の時代って凄い皇族ばかりいるよね……」

「隠居の身でありながらも未だに世界各国に武勇でその名を轟かせるメンフィル帝国のリウイ皇帝陛下やリフィア殿下を始めとしたメンフィルの皇族の方達………”賢王”と名高いリベールのアリシア女王陛下とその跡継ぎであられるクローディア王太女殿下も”リベールの異変”の解決の為に自ら”導力停止現象”を起こした空中浮遊都市に乗り込んで”結社”との決戦に挑んだという話だしな。」

「当然”自治州”だったクロスベルを”帝国”を名乗る程の巨大国家へと成り上がらせたヴァイスハイト皇帝陛下とギュランドロス皇帝陛下は凄まじいと言ってもおかしくないものね……」

「それに独立したノルドの元首となったリザイラさんも他国からしたら間違いなく”王”としても凄まじい存在でしょうね。」

「ああ……何せ伝承でしか存在しなかった精霊達の”女王”だからな。」

エリオットの言葉を聞いたリィンやアリサ、セレーネとガイウスはそれぞれの国の”皇”を思い浮かべた。



「そんな優秀な能力を持つ皇や皇族がいる各国に対してエレボニアの国王は民達から”愚帝”って侮辱されているものね。」

「フィ、フィーちゃん!その言葉はユーゲント陛下―――いえ、エレボニア皇家である”アルノール家”の方々に対して最大限の侮辱ですよ……!?」

「でも、国を纏められなくて戦争が起こって生活が滅茶苦茶にされて家族を失った人達もいるんだから、普通に考えたらそんな奴を自分達の王様と認めたくないよ。」

「確かにエヴリーヌお姉様の仰っている事は間違ってはいないのですが……」

フィーが呟いた言葉を聞いたエマは真剣な表情で指摘し、エヴリーヌの意見にプリネは複雑そうな表情で同意し

「”貴族派”と”革新派”を纏められずに内戦を引き起こしてしまった事でも民達はユーゲント陛下に対して不満を抱えていたのに、そこに追い討ちするかのようにクロスベルに独立されて領地の一部を奪われた事やメンフィル・クロスベル連合と和解する為にエレボニアにとって数々の不利な条約を受け入れてエレボニアを衰退させた事、そして”百日戦役”が起こった”真相”―――”ハーメルの悲劇”を公表したからな……ユーゲント陛下も御自分に対する民達の信頼を回復するのはもはや不可能と悟って、あのような思い切った決断―――セドリック殿下が成人した際にセドリック殿下に王位を譲り、それ以降はエレボニアの政治に一切関わらず隠居する事を公言されたのかもしれないな……」

「”ハーメルの悲劇”の件でエイドスさんがエレボニアの事もフォローする発言を公表してくれたけど、それでも民達のユーゲント陛下に対する悪印象は変わっていないもんな………」

「正確に言えばエイドスさんの件を依頼したのはオリヴァルト皇子だったとの事ですからね。そのお蔭でオリヴァルト皇子の評判は高まりましたが……」

「フン……こういう時こそ得意の情報操作とやらで民達のユーゲント陛下の印象を回復すべきだというのに、肝心な時に役に立たないな、”情報局”は。」

ラウラやマキアスは辛そうな表情で呟き、ツーヤは複雑そうな表情で答え、ユーシスは鼻を鳴らしてミリアムを睨んだ。



「無茶言わないでよ~。内戦やクロスベルの独立、それとメンフィル・クロスベルとの戦争でエレボニアが衰退した事でのユーゲント国王の責任はまだ誤魔化せるかもしれないけど、”ハーメルの悲劇”の件で”空の女神”がハーメルの件はユーゲント国王にも責任があるって言っちゃったから、さすがに誤魔化しようがないよ~。もしそれを誤魔化したりしたら、七耀教会は当然として、”空の女神”を崇めているゼムリア大陸全土の人達を敵に回す事になるんだから。でもその代わり他の皇族の人達――――特にメンフィルとの戦争勃発の切っ掛けになったアルフィン皇女の印象が最悪にならずにむしろ民達はアルフィン皇女に対して同情や感謝をしているし、ユーゲント国王も後5年で国王を辞めるんだから別にいいじゃないか~。」

ユーシスに睨まれたミリアムは疲れた表情で答えた。

「全然良くないぞ。その5年の間にユーゲント陛下に不満を持つ民達がクーデターとかを起こしたらどう責任を取るつもりだ?」

「それに関しては大丈夫だと思うよ~?セドリック皇太子とオリヴァルト皇子の二人はアルフィン皇女同様内戦の件で人気が急上昇したし、何より”あの人”がユーゲント国王が国王を辞めて成人したセドリック皇太子に王位を渡すまでの5年間空位になった”宰相”を務めてくれるんだから。実際”あの人”を勧誘して”臨時宰相”に採用した事に関しては民達も正解だって声は多いよ?」

「”あの人”――――パントき、いや”パント臨時宰相”か。」

マキアスの指摘に答えたミリアムの話を聞いたリィンはかつて共に戦った人物の今の状況を思い出した。



「まさかパント卿がエレボニアの宰相になるとは想像もしていなかったな……」

「というか普通に考えて誰も想像できないよ。パント卿は他国―――それも戦争をした相手の国の貴族で、しかも重鎮なんだから。」

「あくまで”臨時”、ですけどね。パント卿がエレボニアの宰相を務める際に提示した条件―――『エレボニアの臨時宰相の就任期間はセドリック皇太子が皇位を継ぐまでの5年間』ですから、ユーゲント陛下達から話を持ち掛けられた時にパント卿自身が推薦した本来のエレボニアの宰相――――オリヴァルト殿下がパント卿の元で宰相として必要な事を学んでいるオリヴァルト殿下が、ユーゲント陛下が退位するまでの5年よりも早く成長して宰相としての仕事を任せられるようになれば、徐々にオリヴァルト皇子に宰相としての仕事を引き継ぐとの事ですから、オリヴァルト殿下の成長の速度によっては予定よりも早くパント卿は宰相の座から降りると思いますよ。」

「まあ、ふざけた態度ばっかり取っていてサボリなあのオリビエがそんなに早く成長するとはとても思えないけど。オリビエの事だから、どうせ隙を見て適当にサボると思うね。」

「エ、エヴリーヌさん……確かにリベールでのオリビエさんはそんな人だった事は認めますけど、エレボニアに帰ってからのオリビエさんは皇族として忙しく働いていましたし、何よりも祖国の未来を考えたらさすがのオリビエさんも真面目に勉強すると思いますよ……?」

ガイウスの言葉にエリオットは苦笑し、プリネは静かな表情で答え、呆れた表情で呟いたエヴリーヌにツーヤは疲れた表情で指摘し、二人の会話を聞いたリィン達は冷や汗をかいた。



「フフッ、オリヴァルト殿下が宰相となられ、ユーゲント陛下達を支える事には期待しているが同時にパント臨時宰相閣下には一日でも長くエレボニアに留まってユーゲント陛下達を支えて貰いたいという気持ちもあるから、我々エレボニア人としては色々と複雑だな。」

「実際パント臨時宰相の手腕はあのオズボーン宰相を越えていると噂されている程、異例な速さでエレボニアの復興や経済回復の案を出して次々と実行し、エレボニアの復興は順調に進んで資産凍結や内戦で恐慌状態であった経済も凄まじい速さで回復し続けていますものね。」

「さすがはあのメンフィル帝国の”宰相”を務めた偉大なる人物と言った所だな。」

ラウラは苦笑し、エマは明るい表情で呟き、ユーシスは静かな表情で呟いた。

「それにしてもよく”英雄王”達はあんな優秀な人が戦争をした相手の国の宰相になる事をたったあれだけの条件で許可したよね?」

「そうですわよね……普通に考えたらパント卿程の優秀な方を戦争をした国家の重要な役職に就くことを許可しませんわよね?」

「フフ、パント卿自身も仰っていましたがパント卿は既に爵位や当主の座もご子息に引き継いでお父様同様隠居の身ですから、お父様達もそんなに口うるさく言うつもりはなかったのだと思います。」

「パント卿をエレボニアの宰相に就任する事に対してリウイ陛下達が出した条件であるメンフィルにパント卿が”総参謀”として必要な程の事態になった際は宰相を休職させてメンフィルの”総参謀”に就かせる事ですけど、現状メンフィルと本格的に戦争をしている国家はありませんし、パント卿が”総参謀”として必要な事態には余程の事がない限りありませんから、恐らくパント卿がエレボニアの宰相を休職するような事はないと思いますよ。」

フィーとセレーネの疑問にプリネとツーヤは微笑みながら答えた。



「……パント卿がエレボニアの臨時宰相に就任した時からずっと疑問に思っていたんだけど、マキアス。どうして知事閣下は空位となった宰相の座に就任しなかったんだ?」

「レーグニッツ知事は”鉄血宰相”の盟友だからな。”鉄血宰相”亡き後のエレボニアの”宰相”の座に”鉄血宰相”の盟友であったレーグニッツ知事が就任してもおかしくはないな。」

「そ、そう言えば……」

マキアスを見つめて質問したリィンの疑問に続くように答えたユーシスの話を聞いたエリオットは目を丸くしてマキアスを見つめた。

「いや……逆だよ。確かにパント卿に話が行く前にユーゲント陛下から打診はあったそうだけど、その場ですぐに辞退したそうだ。辞退した理由を聞いたら『内戦とメンフィル・クロスベル連合との戦争によってエレボニアが衰退する原因となった人物の一人であるオズボーン宰相の盟友であり、”革新派”の中心人物の一人でもあった私がオズボーン宰相の後を継いで”宰相”に就任すれば、また同じ事が繰り返される恐れがある。だから私は絶対に”宰相”に就任してはいけなく、”宰相”に就任するのは”革新派”でもなく”貴族派”でもない第三者である事が一番丸く収まる方法だ』って父さんは言ってたんだ。」

「知事閣下がそのような事を……」

「ま、言われてみればその通りだよね。」

静かな表情で語ったマキアスの話を聞いたラウラは複雑そうな表情をし、フィーは静かな表情で呟いた。

「という事はパント卿がエレボニアの臨時宰相を務める事やオリヴァルト殿下がパント卿の後を継いでエレボニアの宰相となられた事にも賛成なされているのですか?」

「ああ。『これからのエレボニアの為にもパント臨時宰相は勿論、オリヴァルト殿下の支えになれる人物になる事が私の目標だ』って言っていたくらいだ。」

セレーネの疑問にマキアスは明るい表情で答え

「レーグニッツ知事も協力的ですから、大丈夫そうですね。」

「ええ……」

ツーヤの言葉にプリネは静かな笑みを浮かべて頷いた。

「それにしてもパント臨時宰相をエレボニアの次の宰相にする事をセドリック殿下がユーゲント陛下に提案した事には驚いたわよね。」

「恐らくパント卿から直々に学んだからこそ、今のエレボニアにはパント卿が必要だと思ってセドリック殿下は提案なさったんだろうな。」

苦笑しているアリサの言葉にリィンは静かな表情で答え

「まあ、あの人が宰相を務めている事でエレボニアが助かっているのは事実だけど、ギリアスのオジサン直属のボク達を冷遇しているとしか思えないんだけど~。あの人が提案した遊撃士協会との和解の為の案のせいで情報局(ボク達)全員当番制でボク達の半数が2年間遊撃士協会に出向して遊撃士達にコキ使われる羽目になったんだからさ~。お蔭でボクも来月から遊撃士達の”協力者”として復活したエレボニアの支部に配属されるんだよ~?」

ミリアムは不満げな表情で答えた。

「フン、それについては2年前の猟兵達による帝国にある遊撃士協会支部の襲撃事件を利用し、遊撃士協会の支部のほとんどをエレボニアから撤退させた事に深く関わっていたお前達”情報局”の自業自得だろうが。」

「それにオズボーン宰相直属の人達を冷遇しているって言っているけど、”通商会議”の件で降格処分を受けたレクター少尉の軍位をエイドスさんによる治療の件の取引を成功させた事やクロスベルの人達と一緒にディーター・クロイス政権を崩壊させた事を功績にして”少佐”に昇格させた上クレア大尉達――――”鉄道憲兵隊”のクレア大尉を含めた将校クラスの人達も内戦終結に貢献した事で昇格させたし、皇族の警護にも関わらせているんだからむしろ好待遇をしているぞ。第一今まで周辺の自治州や自由都市を自国領とする為に暗躍して来たんだから、僕は処罰代わりにもちょうどいいと思っているぞ。エレボニアの遊撃士達を手伝う事で戦後のエレボニアの復興や治安維持に役立つ事になるんだからな。」

ミリアムの不満を聞いたユーシスとマキアスはそれぞれジト目で指摘し

「処罰と言えば……”貴族連合”に所属していた人達―――特に上層部の”四大名門”やオーレリア将軍達に対する処罰はかなり厳しかったですよね……?恐らくあの処罰にはパント臨時宰相の案もあったと思われますし。」

「……”アルバレア公爵家”はメンフィルの”戦争回避条約”通り爵位剥奪と全財産没収、そしてメンフィルに処刑されたアルバレア公爵夫妻の生首を王都ヘイムダルのドライケルス広場に晒し首、”カイエン公爵家”についてはメンフィルに認められてクロスベルに帰属した為”カイエン公爵家”自身に対しての処罰は無しでアルバレア公爵夫妻同様カイエン公とカイエン公の子息であるナーシェン卿の生首の晒し首、そして”ログナー侯爵家”と”ハイアームズ侯爵家”に関してはどちらの爵位も”子爵”に下げて統括領主権限の剥奪並びに全財産の半分を没収だったな……」

不安そうな表情をしているエマの話に続くようにガイウスは重々しい様子を纏って呟いてユーシスに視線を向けた。



「その……ユーシスはよかったの?お父さん達が処刑された上、お父さん達の生首が貴族連合に所属していた貴族達の人達に対する”見せしめ”として使われたし……」

「実際父がメンフィルとの戦争勃発の切っ掛けを作り、エレボニアを衰退させた元凶の一人だ。父は当然の”報い”を受けたと思っているし、不敬にも内戦を引き起こし、陛下達を幽閉して利用した愚か者共に対する”見せしめ”になり、戦後のエレボニアの安定の為に役立つのならば望む所だ。」

「ユーシス……」

「………………」

不安そうな表情をしているエリオットの疑問に迷う事なく答えたユーシスをリィンとマキアスは辛そうな表情で見つめていた。

「それにパント臨時宰相はわざわざ俺の為にユーゲント陛下達やリウイ陛下達に交渉して、没収された公爵家の財産の5分の一を俺に返還してくれた上本来”男爵”の爵位が授けられるはずであった俺に”子爵”の爵位を授けるようにしてくださった所かリィン―――”シュバルツァー家”がクロイツェン州の統括領主を務める事によって多忙になる為、別の担当者に与える予定であった”セントアーク地方”の領主権限を与えてくれるようにして下さったのだ。むしろ俺は今でもパント臨時宰相に感謝している。」

「クロチルダさんが自分からメンフィルに投降して来た事で、ユーシスさんがサインした誓約書に込められてあった”エレボニアの誠意”という意味が無くなった為、本来なら誓約書通り士官学院を退学する必要がないにも関わらず誓約書通りに実行するエレボニアとメンフィルに対するユーシスさんの誠意の評価を理由にし交渉した件ですね……」

「もしかしたら処刑されたアルバレア公爵夫妻の遺体を利用した事でのユーシスさんに対する”詫び”の意味で、ユーゲント陛下達やリウイ陛下達に交渉したのかもしれませんわね……」

ユーシスの話に続くようにプリネは静かな表情で答え、セレーネは重々しい様子を纏って推測を口にした。



「アンゼリカ先輩やパトリックにとってはショックだろうね……実家の爵位が下げられた上統括領主じゃなくなったし。」

「ですが”四大名門”は貴族連合の中枢部だったのですから、貴族連合に所属していた他の人達よりも処罰を厳しくしないと、内戦に巻き込んだ民達やメンフィルに対する”示し”がつきませんから仕方ありませんよ。」

「そだね。というかエヴリーヌ達からしたらむしろ甘いくらいの処罰だよ。王様に逆らった奴なんて家族みんな纏めて”処刑”で、女達は娼館送りがエヴリーヌ達にとって常識だし。」

複雑そうな表情をしているエリオットにツーヤは静かな表情で指摘し、エヴリーヌの口から出た物騒な発言にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「……そうなのか?」

「ええ。私達の世界―――ディル・リフィーナは国によっては先程エヴリーヌお姉様が仰っていた処罰を実行している話はよく聞きます。ただメンフィルは余程の事が無い限り一家郎党処刑や娼館送りはしませんが……」

「”殲滅天使”がわたし達の前で発表した”戦争回避条約”を知った時は幾ら何でも理不尽だって思っていたけど、むしろ異世界からしたらあれでも甘い処罰方法だったみたいだね。」

「うむ……遥か昔のゼムリア大陸の国家でもそのような余りにも惨い処罰方法があった話は知っているが、まさか異世界では未だにそのような処罰方法が常識とはな……」

「それも異世界との文化の違いという事なのでしょうね……」

ガイウスの疑問に複雑そうな表情で答えたプリネの話を聞いたフィーは静かな表情で呟き、ラウラとエマは重々しい様子を纏って呟いた。



「貴族連合の上層部に対する厳しい処罰方法で言えば、オーレリア将軍とウォレス准将もそうだよね……」

「確かウォレス准将は爵位剥奪並びに”大佐”に降格処分の上ノルド精霊共和国との国境――――”ゼンダー門”の司令官に異動で、オーレリア将軍は爵位は”伯爵”から”子爵”に降格処分並びに”准将”に降格処分、更には今までの武勲によって授かった勲章も全て剥奪され、エレボニアの”百日戦役”に対するリベール王国への賠償で贈与された”パルム地方”との国境―――”パルム門”の司令官に異動でしたね。」

「そして”貴族連合軍”―――領邦軍に関しましてはセドリック皇太子殿下直々の提案によって解体され、全員正規軍に強制異動でしたわね……」

複雑そうな表情をしているエリオットの言葉に続くようツーヤとセレーネは静かな表情で呟き

「まさか”戦争回避条約”等を知らせに来たレン姫が帰り際に答えた領邦軍に対する処罰方法をセドリック殿下が本当に採用して、実行するとは思わなかったよな……」

「しかも”殲滅天使”が助言した時と違って、”強制的に正規軍に入隊させられる”し、ユーゲント国王が王位をセドリック皇太子に譲る5年の間に辞めたら強制労働か牢屋行きっていう処罰まであるからね~。さすがにそんな処罰があったら嫌々入隊させられた正規軍を辞めたくても辞められないから、賢い処罰方法だよね~。」

「ん。それに領邦軍が解体された事で課題になっていたそれぞれの領地の治安部隊を正規軍で結成して、その中に領邦軍の兵士達を入れた事も賢いよね。」

マキアスとミリアムの言葉に続くようにフィーは静かな表情で呟いた。



「セドリック殿下は元領邦軍の反発はどうお考えなのでしょうね……?そのような事をすれば、間違いなく元領邦軍の中から反発する者が現れると思うのですが……」

「――だからこそその対策として、元領邦軍の兵士達の配属先には全て元から正規軍に所属している兵士達の元へと分散させたんだろうな。」

「……戦力を分散して反乱を起こさないようにする為と正規軍に見張りをしてもらう為、と帝国―――いや、”王国時報”に書いてあったな。」

「正直今でも信じられないわよね……?幾らパント臨時宰相の教育によって成長したとはいえあのセドリック殿下がそこまで深く考えておられて、提案したなんて……」

不安そうな表情をしているエマの疑問にリィンとガイウスは答え、アリサは不安そうな表情をしていた。

「恐らくその案の中の一部にはパント卿の助言もあったのでしょうけど、”今後”の事を考えて全てセドリック殿下が提案したような記事にするように情報操作されたのでしょうね。」

「―――”戦争回避条約の救済条約”を実行するアルフィン殿下のように次代のエレボニアの国王としての”威光”を民達と貴族達に見せつける事で内戦や”百日戦役”、そしてメンフィル・クロスベル連合との戦争の件で著しく下がったエレボニア皇家の権威や信頼を回復させる為、か。」

「……実際あの処罰方法によってセドリック殿下の評判は更に上がっているそうだしな……」

プリネの推測に続くようにユーシスは静かな表情で答え、ラウラは重々しい様子を纏って呟いた。 
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