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おぢばにおかえり

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第三十話 春季大祭その七

「誰だって。性格が悪かったら駄目じゃない」
「まあ確かにね」
「幾ら顔や頭がよくても性格が悪かったらね」
「それで最悪」
 その通りです。大切なのは本当に性格です。最近の仮面ライダーではよく信じられないような性格のキャラクターが出て来ますけれど。それでもです。
「ちっちは性格はね」
「真面目過ぎるというか融通が利かないというか?」
「っていうか変に世間知らずなところがあるけれど」
「何よ、それ」
 確かに自分でも融通が利かないところはあるとは思っていますけれど。
「その世間知らずっていうのは」
「だから。もうちょっと勉強しなさいって」
「男の子のことね」
「男の子のこと!?」
 これで今日何度目かわかりませんけれどまたまた首を捻ってしまいました。
「本当に話が全然わからないけれど」
「それがわからないのが駄目なのよ」
「さもないと駄目よ」
「そうそう。折角いい子も見つかったんだし」
「阿波野君の何処がいい子なのよ」
 今度は誰のことを言っているのかすぐにわかりました。それで私も言葉を返しました。
「あんないい加減でお調子者で。しかも反省しないし」
「そういうのはお愛嬌」
「ちっちはお姉さんよ」
「私が何であの子のお姉さんなのよ」
 本当に冗談じゃないです。私は妹が二人いるだけです。間違っても弟なんかいません。将来妹達が結婚してもそれで弟になってもそういうお姉さんじゃないですし。
「私に弟はいないから」
「だから。勉強しなさいよ」
「阿波野君からね」
「言ってる意味全然わからないし」
 もう頭がこんがらがって。という結局皆が何を言いたいのかさっぱりわからなくなってきました。何が何だかって感じで困ったことになってきました。
「とりあえず。世間知らずならそれはね」
「勉強するのね」
「いい心掛けね。ちっちらしいっていうか」
 何か皆微妙に阿波野君が来てから上から目線ですし。私は背が低いですからそう捉えてしまうだけかも知れないですけれど。
「そうじゃないとね」
「さて。お話してる間に」
「もう十二下り終わったわね」
「そうね」
 時間が経つのは本当に早いです。色々といじられてる間に。
「早いわね、本当に」
「後は講話よね」 
 古くから天理教の為に働いておられる先生の講話があります。この講話をされる方はその時によって違います。ですが天理教のお話であることは変わりません。
 それが済んでこの参列は終わりです。本当にあっという間です。
「これと後のひのきしんが終わったらだけれど」
「どうするの?」
「あっ、私?」
 皆また私に声をかけてきていました。今それにやっと気付いた感じです。
「私なのね」
「ええ。どうするの?」
「もう寮に戻るの?」
「また。詰所に行くわ」
 こう皆に答えました。
「教会の信者さん達も来られてるから」
「そうするのね」
「ええ、呼ばれてるし」
 呼ばれていなくても行くつもりです。やっぱり信者さん達には私がまだ赤ちゃんだった頃から大切にしてもらっていますから。大恩があるんです。 
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